小説『オトゥール王の氷像』

2019年04月03日

――氷 像――

 時の矢は鈍ることなく突き進んでいった。
 智謀の将トバイアスが帰国してから、十年の月日が流れていた。オトゥール王の国も、クリフォーレ王の国にも平穏な時が流れつづけていた。
 トバイアスとノードゥスとのあいだには二子が生まれ、長男は生まれてすぐに、クリフォーレ王のもとへ送られた。嫁いだ娘の忘れ形見として育てて欲しいという好意からだった。夫妻にとって心を引き千切られるような別れではあったが、二人に行く末を許してくれた恩返しとして、長男を捧げたのである。
 すでに老境に入っていたクリフォーレ王とその妃は、彼らの思いやりを喜び、珠のような孫息子を愛した。世間にはこうした出来事を政略だと目算する声もあったが、城主の近辺にある重臣たちは、二十年という歳月のあと情深くなった老王とその妃が、笑窪えくぼをつくりながら乳飲み子を抱くのを見て、黙って目を細めるだけだった。
 トバイアス夫妻のあいだに生れた第二子は女児であり、ユーラレと名づけられ、二人の愛を一身に受けることになった。
「もうすぐつたい歩きをはじめそうではないか」
 寝台に半身を起こしながら、白髪白髯となった王が、ユーラレを見つめながら言った。
 若きオトゥール王はもう若くなかった。全身に老いと病が染み渡っていた。だがその双眸は変わらずかつての叡智を静かに宿していた。しかし、いまや手足もきかず、自らの力で立ち上がることもできなかった。
「我が君には長生きをしていただき、この子が成人した麗しい姿を見ていただかなければ」
「トバイアス卿、世辞は不要だ。予はそう長くはないぞ」
「何をおっしゃいますか我が君は」
 ノードゥスは無邪気な子どものように感情もあらわに声を張り上げた。
「卿は気づいているのか、卿の妻の素質を」
「我が君はノードゥスにあの素質があると仰るのですか」
「どうやら、何もかも話すときが来たようだな。卿と卿の妻が惹きあったのは決して偶然ではない。卿らはそれになぜ気づかなかったのだ」
「しかしそれでは……」
 トバイアスは妻が死者の声を聞けるようになることによって、苦しむことを望んでいなかった。例えそれが王の命令だとしても。
「ノードゥス、すまぬがユーラレを連れて外に出ていてくれまいか」
 彼女は素直に言いつけに従って、娘を抱き上げ、部屋を出ていった。
「卿は彼女を娶ろうと思ったとき、彼女に何と言ったのだ?」
「確か、こう言ったはずです『神かけて誓うことはなりません。己自身に対して誓いあいましょう』と」
「それが素質というものだ。それに卿の妻が先に見せたようなあの無邪気さもまた素質といえる。また別の言い方をするなら詩心とでもいえるがな」
「詩心ですか?」
 トバイアスはかつてクリフォーレ王の夜宴で、ノードゥスと詩を交わしあった日々を思いおこしていた。
「心当たりはあるのか?」
「それが無いとは申せません。彼女と親しくなったのは、その詩が我らのあいだにあったからです」
「そうであろう。予の寿命が尽きる前に、いつかは伝えんと思っていたことだ。予にしても卿にしても、ネッドやデクスターにしても、またエイダンにしても、死者の声など聞けるものなどおらぬ。それらは己のこころの声を曇った硝子を通すことなく聞けるまでのことだ。卿がノードゥスに求めた、己自身に誓うということが素質の正体を恐らく最も的確に言い当てている言葉であろう」
「では、デクスターはどうなるのです? 彼はそれを知らないのではないですか」
「左様だな。だがあの男は、納得しておるし、それが死者の声を聞く声だと思いこんでいたとしても、実際にあの男が聞いているのは己のこころの声であるのだから、例え一生涯、故国の土を踏めなかろうと、後悔はせぬだろう。だが、卿とエイダンにはしかと伝えておくつもりだった。予亡きあと、政略ととられかねる者を王位につけるわけにはいかぬ。智謀の将トバイアス卿よ、予のいう意味がわかるか」
「では、エイダンを王とされよと申されるのですね」
「その通りじゃ。そして卿が予から受け継いだものを与えてやって欲しい」
「御意のままに」
「予は老いた。そしてまた予の唯一貴ぶべき存在であったシアーシャも老いた。今やあの雄の鵞鳥は、狩りもできぬ身じゃ。予とそう変わりはない。じきにシアーシャも世を去るだろう。そのときは手厚く葬ってやって欲しい。何ものも年月の流れには逆らえぬのだから」
 トバイアスは言うべき言葉を失い、ただ黙然として頭を垂れつづけた。
「もはや、死者の声に悩まさる必要はない。安堵して過ごすがよい。ノードゥスとの誓いを守れ。誓いの意味を皆に教えてやってくれ」
「御意のままに」
「予は疲れた。休ませてくれ」
 トバイアスは言葉を発さずに、頭を垂れたまま王の居室から辞去した。
 雲ひとつない晴れた晩夏のある日、老いたオトゥール王は用意された椅子に座して、シアーシャをはじめとする近習の臣下たちをつれて狩りにでた。そこには青年となったエイダンの逞しい姿もあった。もはや狩りの出来なくなった王と鵞鳥は、優雅に矢を放つ凛々しいエイダンを眺めながら、蘆原を揺らす風にただ吹かれていた。
 それから数日して、オトゥール王は静かに息を引きとった。
 翌日、エイダンがオトゥール鏡い箸靴涜┛未靴拭
 新王から休暇を得たトバイアス夫妻は、二十年の時を超えて、かつてクリフォーレ王と対峙したあの湖畔を訪ねていた。
 歳月が多くのものを変えていた。もはや戦の痕跡はどこにもなかった。
 湿原に吹く風を頬に受けながらトバイアスが妻に言った。
「君がはじめて夜会で歌った詩を憶えているかい?」
「ええ、もちろんです」
「歌っておくれ、今は亡き我が君のために」

  太古より来る風よ
  何処なぞからきて
  何処ゆくか
  彼方へおもむくく風よ
  
  風よお前は変わらでか
  あし原うって波立てて
  風よお前はいつの日か
  翳とどめんと振りむいて

  群なすひと草ゆらさんと
  踊らんばかりに渦巻けや
  あえなくひと草たおさんと
  踊れや踊れ渦巻けや

  いつか朽ちては
  去る前に
  いつか朽ちては
  去る前に

  だけどお前はつれない風
  昔と今と夢掃くように
  だけどお前は吹いて消え
  もはや踊りもままならに
 
  ひと草の蘆つき見よと
  その身起こすことならじ
  ひと草の蘆つき見よと
  お前よ風を待つだけに

  いつか朽ちては
  土還るだけ
  いつか朽ちては
  土還るだけ

 それは以前と変わらぬ美しい歌声だった。宵闇迫る寒空に、月を呼び出すような妙なる声だった。
「我が君は月を見れたのだろうか」
「きっと見れましたわ。永久に風はやみませんから」
「ならばいいのだが」
「ねえあなた、ユーラレがもう少し大きくなって、王様はどんな人だったのと聞いたら、なんと答えるおつもりですか?」
「そうだな、我が君、若きオトゥール王は氷像のようなお方だった」
「逆らうことなく、ただ溶けるままにお任せになったと仰るのですね。その手やその心は決して冷たくはなかった。何もかも見通していたし、誰にでもご自身を隠すこともなかった。そう仰るのですね」
 トバイアスはこの世界で立てられる誓いがすべて叶うことを祈るような眼差しで、昇りはじめた半透明の月を見つめていた。
 蘆原に立つ二人は、月光が通りぬけてゆくように透明で冷たい氷像のようだった。
 しかし、繋ぎ合わされた手と手には温もりがあった。

――完――




参考:ちくま文庫、W・B・イエイツ『ケルト幻想物語』「オトゥール王とその鵞鳥」

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――光 明――

 智謀の将トバイアスが大使として迎えた、八年目の朝もいつもとたいした変わりはなかった。
 早朝に起床して必要な執務をとり、祖国とのあいだに必要な連絡報告をすませ、イングランドの重要な内政に関する施策に助言すべく、クリフォーレ王の政治顧問や執政官と討議をかわす。そして午後の日差しが強まるころ、街路にでて長屋や四阿あずまやに暮らす戦争寡婦や孤児たちを訪ない、西の空が茜色に染まるころ帰路につくといった調子だった。
 その日、いつもより比較的早く帰路についたトバイアスの頭は、散りぢりに湧きあがってくる思考に占拠されていた。すでに耳に届いていたオトゥール王の病状、ようやく安定感が見えてきた傷痍傷病者への施策、クリフォーレ王と妃とその娘や臣下たちの思惑、何一つ先行きの見通しがはっきりするものはなかったが、一つだけ心の乾板に強く焼き付いている印象があった。夜宴でのひと時とはいえ、見つめあってきた者だけが知る、瞳のなかに垣間見る星の煌めきだった。ノードゥス王女の黒目がちな瞳から放たれる光と、それを受けとめる感情がそれだった。
 彼は歩きながら無意識に己に問うていた。
「我が君は、王女を受け入れるだろうか、恐らくそこに問題はないだろう。いや、それ以前にクリフォーレ王が、王女をアイルランドへと赴かせるはずがない。我が君にしろ私にしろ、彼女を政略の道具にするつもりなど毛頭ないとしても、彼の王はそれを猜疑し、首を縦に振ることはないだろう……しかし王女自身はどう考えているのだろうか。私の帰国が近づきつつある今……」
 まとまりのつかぬまま彼は城門をくぐり、あてがわれている自室へと向かうために、城壁上の回廊へつながる階段をのぼりはじめた。
 回廊は午後の日差しの温もりをたくわえたまま、無言で彼をむかえたが、石壁は溶岩が発する熱を伝えているようだった。
 その回廊の石床を踏んで自室へと向かって歩きはじめたとき、
「離しなさい、離してと言っているのが聞こえませんか!」
 という、憤りに満ちた声を彼は耳にした。
「なりません。そんなことをなされたら、私たちが断首刑にされてしまいます、後生ですから、おやめください!」
 足取りを早めたその先でトバイアスが目にしたのは、露台から身を投げんとして胸壁を乗り越えようとするノードゥス王女と、それを止めんとしている侍女たちの姿だった。
「なりません!」
 トバイアスは瞬発的に叫んでいた。
 声の主の姿を目にした王女は、まるで吊られていた糸が切れた人形のように、露台に頽れたが、それでも力の入らない体を引きずるように、足をもつれさせながら、トバイアスの方へ這い寄ろうとした。九死に一生を得たと安心したのか、侍女たちはその場に力なく座り込んだ。
 ようやくのこと、トバイアスの傍らまで這い寄ってきた王女は、彼の膝を抱いてボロボロと大粒の涙を流して、頬を濡らした。
「トバイアス様。この者たちも父も母も、わたしの風切り羽をきってしまいます。わたくしは飛べないのです。飛べない白鳥にどんな価値があるというのでしょうか。この城には澄んで美しく広い湖もありません。いいえ、あったとしても、飛べない白鳥など見る者の慰めでしかありません。それならわたくしは、名も知られぬ小鳥にでも生まれ変わったほうがましなのです。ですから……。でも、こんな恥ずかしい姿をまさかあなた様に見られるとは、思ってもおりませんでした。わたくしは……禁断の果実を齧ったあとも裸でいるままのイブです」
 膝をつき、王女の腕を手にとりながら、トバイアスは力を込めるようにして言った。
「生きてください。私はこの目でいくつもの悲しい死を見てきました。そしてその者たちの声を聞いてきました。このうえ、こんな愁嘆場でさえ詩心を忘れない美しい心をもつあなたのような人を失うなど、耐えられません。きっと私は病気になってしまう」
「トバイアス様、裸のイブは迷わず申し上げます。あなた様を心から愛していると」
「多分、私もそうなのでしょう」
「多分とは……わたくしは神かけてあなた様を愛しています。トバイアス様も神にかけて誓ってください。わたくしの心を殺したままにしないと、誰人にも、わたくしたちのあいだを引き裂かせはしないと」
 ノードゥス王女の潤んだ瞳に、感極まった声に、震える肩に、真剣さがあった。
「いけません。神かけて誓うことはなりません。己自身に対して誓いあいましょう。私は私自身に対して、王女様は王女様の胸に誓うのです」
「わたくし自身に対して?……」
「そうです。必ず己の願いを叶えてみせます、と。神を冒涜するつもりはありませんが、神はいささか意地悪ですから。いつかは楽園を出てゆけと言いだすのが神ではないでしょうか?」
「蛇に気をつけろということですね」
「そうです。神は偉大であっても、蛇に気をつけられるのはわれわれ愚かな人間であって、神ではないのです」
 王女はすべてに納得がいったように、心身を震えから解放していった。黒目がちな瞳は以前にも増して強い光を放っていた。
「いったい何の騒ぎだ」
 クリフォーレ王の声だった。
「まさかお前たち……」
「ええ、そうですお父様」
「いいえ、違います」
「予は許さんぞ。政略の道具としてお前を嫁がせるなど」
「まあいいじゃあありませんか」
 クリフォーレ王の妃が、王の背中越しから覗きこむように二人を見つめていた。
「あなたはお忘れになっているようですね。わたしたちも、誰一人賛成する者がいないなかで惹かれあってきたことを。あの茨の道で味わった痛みを忘れたことはありません。わたしはここ数年ほど母親の眼差しでこの男を見てまいりました。いま口にすべきではないのかもしれませんが、及第点は差しあげられましょう。しかし惜しいのは、この者が娘を連れて故国くにへ帰ることで、我が国にようやく根付きはじめた施策が滞ることです。この娘を長く見てきました。なんとも施策には向かぬ子だと、わたしはとうに諦めておりました。そうしたことに優れた婿でも現れればとは思っていましたが、その婿に施策を仕切られるのもまた癪ではありませんか。ねえ、あなた、そうは思われませんか」
「一理あることじゃな」
「娘などいなかった。そう思えばいいことです。親子の縁が薄い子であったこともまた事実。我らに懐かぬ子でしたからな。ともあれトバイアス卿、夫の説得は私に任せて欲しい。ただ、先に申したこと、その点をお忘れなきよう願いたい。それから、二人の意見の相違を、まずなんとかすることですな。見るに堪えぬみっともなさと言うものです」
「御意のままに」
 意外な展開にトバイアスもノードゥス王女もあっけにとられたが、それは二人がはじめて見た光明であり、平穏であり、また自由への翼だったのである。
 十年が過ぎたとき、智謀の将トバイアスはノードゥス王女を妻として故郷へと帰還し、それと入れ替わるように新たな親善大使として、隻腕の族長デクスターがクリフォーレ王の城に到着した。
「これが最後の別れになるやもしれぬな」
 慰労の念がこめられたオトゥール王からかけられた言葉を聞いたデクスターは、
「もとより承知の上です。そのために我が君はわたしのような者をお育てになられたのですから」
 と言っただけだった。

――#21――

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ipsilon at 19:15コメント(0) 

2019年03月26日

――悲 恋――

 イングランドを治する、クリフォーレ王の居城では、今宵も夜会が催されていた。
 ちらばる億千の星々に見守られながら、月に惹かれて集った近しい人たちの宴は、穏やかにつづいていた。
「前回にて『イリアス』の朗読は幕切れとなりましたが、さて、今宵はどういたしましょうか。ひきつづきホメロスでもお楽しみ頂けるでしょうから、今夜からは『オデユッセイア』でも朗読いたしますか?」
「今夜はいささか余興など、いかがでしょうか」
 トバイアスの質問に応えたのは、ノードゥス王女だった。
「お転婆だと笑われましょうが、わたくし、聞いているだけではつまらなくなってきたのです」
「珍しいこともあるものだ」
 クリフォーレ王は、未だにやってみたい事を一度も口にしたことのない王女を、興味深げに見やっていた。
 しかし王女はその視線にはまるで無頓着に、弾むように立ち上がって部屋の中央に躍りでた。臣下たちが拍手をもって迎えた。
「それでは失礼いたしまして」
 ノードゥス王女は小さく会釈をしたあと、雲雀のように歌いはじめた。

  太古より来る風よ
  何処なぞからきて
  何処ゆくか
  彼方へおもむく風よ
  
  風よお前は変わらでか
  あし原うって波立てて
  風よお前はいつの日か
  翳とどめんと振りむいて

  群なすひと草ゆらさんと
  踊らんばかりに渦巻けや
  あえなくひと草たおさんと
  踊れや踊れ渦巻けや

  いつか朽ちては
  去る前に
  いつか朽ちては
  去る前に

  だけどお前はつれない風
  昔と今と夢掃くように
  だけどお前は吹いて消え
  もはや踊りもままならに
 
  ひと草の蘆つき見よと
  その身起こすことならじ
  ひと草の蘆つき見よと
  お前よ風を待つだけに

  いつか朽ちては
  土還るだけ
  いつか朽ちては
  土還るだけ

 歌が終わったとたん、万雷の拍手が起こった。
「はじめて作ったものです。拙い詩ですが、皆さんが歌う呼び水にでもなればと思いまして」
 王女は晴やかにドレスの裾を翻して席に戻った。
「どうやら王女様には、詩作の才能があるようですな」
 トバイアスは彼女の吟じた詩にこめられた韻の響きを読みとっていた。それが一昼一夜に作られたものでないことにすぐに気づいた。そしてそれ以上に、彼女の胸裡にある哀しみをそれとなく感じとっていた。
「さてそれでは、王女様の期待に応えて、我こそはという方はいらっしゃいませんか。即興の歌を吟じてくださる方はおられませんか?」
 豪気の城主クリフォーレ王の臣下たちは、戸惑い顔で互いの表情を窺いあうばかりだった。しかし、一人の若い臣下が「それでは」と言って、進みでた。
 こうして、トバイアスの朗読からはじまった宴は、思いもよらぬ方向へと舵が切られたのである。夜会の第一歌はいつもノードゥス王女によって歌われ、それにつづいて、臣下たちが即興で詩吟や楽器の演奏を披露した。中には酷いものもあったが、貶す者はいなかった。ときには仮面をつけた二人が喜劇を演じ、ときには長々と独演される痛烈な諷刺が、聴衆を笑いの壺に投げこむこともあった。そうして夜が重なるにしたがい、王と臣下たちは武勇とは違う喜びや楽しみを文芸に見出していった。そんな中、クリフォーレ王と妃の心を殊に動かしたのは、意外にも悲恋の詩歌であった。若い臣下たちはその理由もわからず、ただ驚くばかりだったが、王と妃のなれそめを知る古老たちは、悲恋の歌に涙を飲むのだった。
 そうしたことが三カ月ほどつづいたある夜、ノードゥス王女がひとつの詩を吟じた。

  月も落ち、プレアデスも
  落ち、よるのしじまに
  時はすぎゆく
  けれどもわたしは一人眠っている

 歌い終えた彼女は、落ち着きなく席に戻り、頬を赤らめて俯いていた。華麗なドレスの袖から覗いたレースの襞が幽かに震えていた。そうしてそのあと、ゆっくりと上げられた美しい黒目がちな瞳が、潤みながら輝いているのを、トバイアスは見てとった。
 智謀の将は、王女が歌った詩が女流詩人サッポーの悲しい恋の歌であることを知っていた。そしてそのときトバイアスは、はたとノードゥス王女の気持ちに気づいたのだ。彼は思わず手を挙げて、しつらえられた台にのぼって歌った。
  
  紫の髪に匂う清き優しきサッポーよ
  なれに語らんと思えど、はじらいの心われを留む

 彼は周囲の耳目を欺くために、長々と即興の詩を歌いながら、そのなかに、返歌を差しこんだのである。それに気づいたのはノードゥス王女その人だけだった。
 トバイアスにつづいて吟じられた悲恋の歌によって懐慕が湧いたのか、クリフォーレ王の手が妃の手に重ねられていた。そしてその傍らに置かれた椅子から、菫の髪飾りをつけた王女が立ち去ろうとしていた。
 トバイアスはいたたまれぬ気持ちでそれを見送った。彼女の気持ちに応えることも出来ず、それを慰めてやることも出来ない己にただ肩を落としたのだ。

――#20――

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ipsilon at 23:49コメント(0) 

2019年03月25日

――病 魔――

 一方でオトゥール王は、病床に臥せっては回復する年月を過ごしていた。
 病魔に憑りつかれるたび、老ブルック嬢は王の寝室に泊まりこんで介護にあたった。その心尽くしに満ちた手厚さは、戦争寡婦という苦悩の沼に沈まぬようにと心を砕いてくれた、トバイアスに報いる心情表現の発露であったが、王の病床に介添えすることが増えるにしたがって、彼女の胸のうちに微妙な変化をもたらしていた。
「先生はいつも同じことを言います。大丈夫ですと。ではなぜ、このように王はまた寝台に臥せることになるのですか」
 ブルック嬢の真剣な声には、わずかに怒りが混じっていた。
 侍医は困ったような顔をして、深い溜息をついた。
「わたしが説明できることは、余すことなくしているのです。しかし、そうですね……」
 そう言ってから、侍医は彼女の耳元で囁いた。
「ここではお話できないことがあるのです。お聞きになりたいなら、廊下に出てくれませんか」
 そのときはじめてブルック嬢は気づいた。王の病気が容易ならざるものであることに。そして侍医が廊下で彼女に説明したことは、それを証明したのだった。
「それは本当なのですか」
「私だけでなく、城中に控えている医師の見たては一致しています」
「それでは王はどうなるのですか」
「何とも言いようがありません。原因がわからない以上、どうなるとは言えませんし、手の施しようもないのです。わかるのは、次第に全身の筋肉が衰えてゆくということだけです」
「おお神よ! なんということでしょう」
 衝撃のあまりか、ブルック嬢の声は自然と甲高くなっていた。
「それで、王はそのことを知っておられるのですか」
「実は……いまだに話せていないのです」
 侍医は沈鬱な表情で俯いた。
「なぜ今まで黙っていらしたのですか」
「治癒する可能性に賭けていたのです。それに、ご病気になられた時、王の周囲は非常に騒がしく、お伝えしようと思うと、不思議と王は回復されたので、機会を失いましてね」
「諸侯の方々は、このことを知っているのですか」
「ですから、その時には王の周囲が騒がしく――」
「では知っているのは、先生たちだけだと仰るんですね」
 侍医はただ黙って幽かに首を縦に振った。
「お話しなければなりません、王にも諸侯にも。王にはわたしからお話しましょう。わたしにはわたしなりの伝えようがありますが、それでよう御座いますね? 諸侯には先生のほうからお伝え願えますでしょうか」
 七年に渡って隠し通してきた罪悪感と、誰よりも献身的に王に仕えてきたブルック嬢を知る侍医は、否とは言えなかった。
 その夜、オトゥール王の寝室には遅くまでランプの明りが灯っていた。
 寝台に横たわる王。その足下には丸くなって背中に頭を乗せているシアーシャがいた。そして寝台の傍らにはブルック嬢の姿があった。
「そうか、よく伝えてくれた。心労をかけたな」
 王は動揺すら見せずにそう言ったあと「そうか、そうか」と肯きながら、長くつづく老嬢の言葉に静かに耳を傾けていた。
 ブルック嬢はハンケチを握りしめ、必死に悲しみに堪えようとしたが、時折、目尻に膨らんだ涙が頬をつたうことを抑えきれなかった。
「お体が丈夫なうちに、思うようにしてください。王としての責務があるのは、この老婆にもわかっているつもりです。ですがどうかお願い致します。ご自分を粗末になされないよう、どうかお心にお留めくださいまし」
 懇切に繰り返される哀訴は、息子を思う母の愛情に似ていた。そしてオトゥール王も、その親心に似たブルック嬢から注がれる愛情を感じとっていた。もしもこうした話を、侍医や諸侯の口から耳にしていたなら、王はあくまでも王たろうとしたのかもしれない。だがオトゥール王はその慈愛に動かされたのである。
「ブルック嬢、もう心配せんでよい。予にもしも妃がいたなら、そちと同じことを言っただろう。予のことを面白がって男色であると噂する者もおるようだが、案外それは当たっているのかもしれぬ。予が最も愛してきたのは、そこにおる雄の鵞鳥であるからな。あのものが思い通りに生きる姿を、予は最も尊いと思ってきたのだ。予もこれからはそれに習おうと決めた」
「こんなときに御冗談を」
 ブルック嬢は笑っていいのか、叱っていいのか、泣いていいのか、喜んでいいのかわからない混沌の中で、涙を流していた。
 それからというもの、オトゥール王は、病床に伏せることを繰り返しながらも、執務の合間にシアーシャを連れて狩りを楽しむようになった。かつてはいかなる強弓も引き絞れる王だったが、いまや狩りにも不十分の力しか宿っていなかったが、それを補うかのようにシアーシャは悠々と飛翔し、紅鱒を捕えては、力ない王の手元へきて喜びを分かちあおうとするかのように、その手を嘴で突つくのだった。
 だが王は、いまだ安らぎに身を任せることはできなかった。
 クリフォーレ王が再侵攻する危急は当面ないという報を受けてはいたが、両国の平和に繋がる決定的な要因が欠けていることが、気がかりであったのだ。

――#19――
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ipsilon at 20:47コメント(0) 

2019年03月23日

――絆――

「それで我が君の具合はどうなのだ?」
 隻腕の族長デクスターが、蛇影じゃえい使いのオーブリーに訊ねた。
「心配ありません。侍医の話しによれば、重度の過労による麻痺症状ゆえ、数日、あるいは一週間もゆっくり休まれれば、回復するだろうとのこと。それに、王には手厳しい介護人がついておりますから、寝床を抜けだして執務もあいならんでしょう」
「智謀の将もまさか、老ブルック嬢がこのような役を果たすとは、見抜けなかったであろうな」
 デクスターは、王のかわりに執務机に座って、片腕で器用に事務をとりながら言った。
「世の中わからぬことばかりだという、王からの教えは間違っていないことが多い」
「卿のような特別な力をもった者でも、そういうものですか?」
 執務机の傍らに立ったオーブリーは、物珍しそうに辺りの品々を眺めながら訊いた。
「だいいち、卿のあだ名の意味すら私はよく知らない」
「これには妙な曰くがありましてね。かつての主君を亡くした場所に、トバイアス卿を導き、結果そのことがクリフォーレ王の本陣を探り当てることになったことに、由来するらしいのです。一見すると、凶兆に見えるものを吉兆に変える、勘のようなものが働く男だということらしいのです。それがし自身、そんな勘が働くとは思っていないのですがね」
「あだ名の由来はそこにあったか。あの頃の私は、ただもうがむしゃらに王の身を守ることしか考えておらなかったから、周囲で起こっていたことなど、まったく眼中になかった。それに私には卿が思っているような特別な力などありはせぬよ。言うなれば、卿が勘の働く男だと見られることを、迷惑に思っているのと似たようなものだ」
「そんなものですか」
「何しろ私は女が苦手でな。余人の多くは、親衛隊出身の者は、この世ならざる者の声を聞くなどと、まことしやかな噂を信じているようだが、女心さえわからず苦労しているのだよ。女人というのは、なにかこう、生きることをより強く生きているであろうことはわかるし、そういう意味では、がむしゃらなのかもしれないが、私の知っているがむしゃらとはどうも違うようなのだ。我が君が妃をめとろうとしない気持ちがわかるというものだ」
 オーブリーは理解できるようで、やはりよく解らないような不思議な感覚で、デクスターの弁を耳にしていた。彼には妻がいたからかもしれない。
「ともあれ私としては、老嬢と卿がいることで、いささかは安心して執務がとれることは確かだよ」
 デクスターは書類に落としていた視線をあげてそう言った。
「それにしても、ここは案外と賑やかですな」
 桟敷の下からは、寛大なる巨漢ネッドの手ほどきをうけながら、武術の修錬に励んでいる、エイダンの熱っぽい声とともに、それを応援しているのか、シアーシャが啼きたてているのが聞こえる。
「あの鵞鳥はまだ紅鱒を持ち帰ってくるのですか?」
「いまも毎日だ」
「確かに、世の中わからぬことばかりのようですな。さて、そろそろ某は、心の読めぬ人たちのところへ足を運ぶことにしましょう」
「苦労は多かろうが、宜しく頼みます」
 戦禍がさって三年の月日が流れ、人びとは表面上は平穏を取りもどしていた。だがまだ目に見えない傷を抱えて苦しんでいるものは多かった。
 そして、そうした人びとのことで、また別の場所で悩む男がいた。智謀のトバイアスであった。
 クリフォーレ王の治する国、イングランドに赴任してから、彼を最も苦悩させたのは、傷痍病者や戦争寡婦と孤児に対する彼の王の不配慮だった。クリフォーレ王の施策は、ほとんどといってよいくらい、その方面に注がれていなかったのである。施策の矛先は、アイルランドに対する遺恨を起点として、その政治力は再侵攻に必要な武器防具の製造、物資穀物などの増産、集積に注がれ、農夫や商人はもちろんのこと、町人や職人たちといったあらゆる階層の人々を、なかば強制的に協力させることに向けられていたのだ。
「予の施策に不満を抱くべからず。憎きアイルランドを攻め滅ぼし、彼の地にある豊穣な品々を手にすれば、我らの辞書から、貧窮という文字は消え失せるのだ!」という標語スローガンのもとに、すべてが運ばれていたのだ。
 しかしトバイアスは、そうした問題への対策をクリフォーレ王に進言して、一つ一つ突き崩していった。アイルランドの軍事的実状を包み隠さず提示して見せ、過剰に集められた武器防具を解体し、生活の資材として放出して分配させ、金融や資産の物量にあった不均衡を正常化させ、人びとの多様な思想や価値観を認める教育をゆきわたらせていった。そして、傷痍病者や戦争寡婦と孤児に対して、手厚い保護を施していったのだ。遺恨と猜疑に駆られた人びとに理解を芽吹かせることは容易ではなかったし、クリフォーレ王の猛反発を受けなかった事例など一つとしてなかったが、それでも懇切丁寧に王やその臣下や民人を説き伏せていった。時には不足している品々をアイルランから運び込んでまで、イングランド王とその民人のために尽くしたのである。そうした措置は、敵に情けを受けることを潔しとしない心情を欺くため、わざわざ遠い海路を通してイングランドに運び込んだのである。
 そのようにして、三年の月日が過ぎたとき、クリフォーレ王をしてこう言わせたのである。
「トバイアスという男、なかなか賢いようである。智謀の将というのは、戦上手なだけでは無いようだな」と。
 そしてなによりも、クリフォーレ王を喜ばせたのは、酒宴の席で朗読された、ホメロスの叙事詩『イリアス』だったのである。もとより気性激しく、豪気な王である。そのあり余る戦意の杯を満たす酒として、ホメロスの叙事詩が役立ったのである。これはもちろん、トバイアスにとっても存外の出来事だったが、それに気づいた彼は、まるでホメロスその人のように、ときに轟々と燃える焔のような情熱を滾らせ、ときに目に涙を湛え、悲哀を溢れさせながら、歌ったのだ。
 万感の思いを込めて歌われた第六歌――、きらめく兜のヘクトルと、その妻アンドマケが、乳飲み子である息子アステュアナクスを挟んで、それとは知らず交わされる、永遠の別れの場面で、クリフォーレ王は目に涙を浮かべたのである。
 ――この人にしても人の親なのだ。
 トバイアスは深い感慨にうたれた。
「わたしは生まれてはじめて父の涙を見ました。鬼のような顔しか見せたことのない父がわたしは嫌いでしかたないのです。けれども今宵、少しだけ父に心を許せた気がしたのです。父はわたしが知っている安らぎとは無縁にある可哀想な人なのだと思えたのです」
 そうトバイアスに囁きかけたのは、いつも酒宴の席にいた、クリフォーレ王の一人娘、ノードゥス王女であった。王の妻は気の強さでは夫の人後に落ちない性質であったが、柔和な乳母に育てられた王女にはどこか穏やかさがあった。しかし、そうは言ってみたものの、ノードゥス王女は己が心情を人に語ることに慣れていないのか、かすかに頬を赤く染めてそう囁いたのだった。
 ともあれトバイアスは、そのとき、王女の胸に兆した、憐れみと赦しの感情を目にし、耳にしたのであった。
 ――遺恨強き王とその妃。そして二人のあいだに生れた娘。まだ時間はかかろうが、同じ血の流れる親子であれば、いつかクリフォーレ王の胸にも赦しと憐れみは生まれる。
 トバイアスはその夜、心奥からそう信じることができた。
 故国を離れてから、すでに七年の歳月が流れ去っていた。

――#18――

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