2005年03月08日

日韓問題はプロレス

 竹島問題やある名誉教授の寄稿問題など、最近日韓問題や反日感情をネタにした記事が韓国メディアにあふれかえっている。竹島問題に関しては、ご丁寧に対抗意識むき出しの日本メディアもある。
 結論からいうと、どれもこれもバカバカしい。それらの問題が直接生活の安定を脅かすことはないのに、気分的・感情的な問題でエネルギーを浪費しているからだ。まるで悪役レスラーに本気で怒って物を投げる観客のように。一連の問題で怒ったりけなしたりしている連中は、みんな当事者ではなくて「観客」なのだ。

 小学生のころ、上田馬之助やザ・シークが本当に憎かった。いやなマニア(笑)になる前は、プロレスはテレビのブラウン管を通してのみ接することができる娯楽だったが、そのころ悪役として一世を風靡していた馬之助やシークは憎悪の対象であり、彼らが猪木やファンクスに倒されるとスカッとサワヤカ、豪快な音を立ててゲップが出たときのように気分爽快であった。

 中学生になって小遣いが増え、東スポや専門誌を買いあさるようになる頃には、上田やシークの役どころや仕事の内容がだんだんと分かり始めてくる。あのころはプロレスが八百長と言われるとカッとなるような熱いファンだったが、それでも悪役レスラーに対する視線は優しいものに変わっていった。彼らはリングを降りると誠実な人柄だったり凄腕の経営者だったりして、リング上のラフファイトは殺傷行為じゃないことを悟っていく。彼らの凶暴さに驚くことはあっても憎しみや嫌悪感を持つことはなくなっていた。

 さらにオタク度が深まり、プロレスというのはどうやら対戦相手との信頼関係がないと成立しないことが分かってくる。上田馬之助やシークは、対戦相手の猪木やファンクスと憎しみ合っているわけではなく、技を出して受けて、2人(または4人)で客を興奮させることを目的とした役割分担なのだと。
 はぐれ国際軍団がヒールとして新日のリングで活躍していたころはかなりの憎まれようだったが、そのころ私はラッシャー木村の誠実で不器用な人柄に惹かれつつあった時期で、「苦労人のラッシャーが一生懸命仕事してるのに、最近の新日ファンはそんなことも分からずに野次ばっか飛ばしやがって、何も知らないのにふざけんな!」と新日ファンに怒りをぶつけていた。自分がガキの頃にシークを憎んでいたことなどすっかり忘れて。しかも国際軍団は客を怒らせるのが仕事だというのに、だ(笑)
 結局私も新日に踊らされた観客の一人だったのだが、事情を知らずに熱くなってネガティブな感情を注ぎ込む行為に嫌悪感を覚えたのも、あのときが最初だった。

 いま日韓(特に韓国)でヒートしている問題は、99%以上の人間にとって生活を脅かす問題ではない。オピニオンにしても安全地帯で心を焦がしてヤイノヤイノ言っている御仁が大部分なのだ。竹島が日本領であっても韓国領であっても、我々の何%が食うに困るのか?身の危険にされされるのか? 観念とイメージだけで興奮する反日も、断片的な知識で韓国通を気取り相手を見下すことに余念がない嫌韓も、日本と韓国が断交・交戦状態に入って戦死者でも出ないかぎり、観客たちは政治のリングにはのぼれない。

 猪木と国際軍団は(使用人と従業員間の人間関係はあったとしても)憎しみ合ってはいなかった。日本と北朝鮮の関係はナアナアじゃ済まない可能性大だが、同じ米軍の庇護の下にある日韓の政治問題は、どんなに勇ましい言葉が踊っても「ヤオじゃねえの?」という疑いが晴れない。反日ゴロにしろ嫌韓厨にしろ、政治ショーに真面目に反応してる熱い観客にしか見えないのだ。おのおのが払う税金を木戸銭代わりにして。
 
 しかし、そういうどす黒い感情が本当に暴力と化すことも時々ある。
 政治家や外交官など当事者は覚悟の上だからいいだろうが、歯止めの効かない黒いベクトルは直接関係ない者の心身を貫き、不幸にする。
 ラッシャー木村の自宅に新日ファンが物を投げて、飼い犬をノイローゼ死させたようにだ。あたしゃそういう被害だけはかんべんだよ。

iron_picking41 at 00:55│Comments(2)TrackBack(1)韓国もろもろ 

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1. 嫌韓に対する素朴な疑問と海賊のこと  [ キョウの出来事 ]   2005年03月16日 23:41
参考:韓国のプロレスとか、それ以外とかさん 私は人の意見に流されやすいということ

この記事へのコメント

1. Posted by ぴえぴえ   2005年04月24日 16:51
はじめまして。さかのぼってのコメントになりまして、すみません。
>そういうどす黒い感情が本当に暴力と化すことも時々ある。
ここのところが、日本にいる限り判断できないのが、困りものです。
私は恐れているのは、反日感情を持つ若い世代が無知から錯誤へと昇華すること(戦争の前段階に必ず現れる現象)ですが、今がその段階にあるようではなくて、少しほっとしました。

韓国は心の針のブレが大きいということも書かれていて、私は「多くの人間は更年期ほどに過剰」という理解でしたので、これからはこちらにしようと思います。
ただしその分、ギアの入り方が違うと思うので、温かな目でかつ冷静に見ていらっしゃる方の意見というのは、とても重要と思います。
これからもご苦労がおありでしょうが、がんばってください。
私も万博開催地に住んでいますので、こんな時期にきてくれた方には、気分よく帰国できるよう、尽くそうと思います。
2. Posted by iron_picking   2005年04月25日 01:24
>ぴえぴえさん
はじめまして。過去ログまで読んでくださって、ありがとうございます。

私が言った「どす黒い感情が暴力と化す」というのは、例えば飲み屋で酔っぱらいにケンかを売られるとか、電車の中で悪口を言われるとか、表現の暴力の次元の話でしたので、なぜか恐縮してます(笑)
中国では破壊活動もあったみたいですが、今の韓国ではシラフでそこまでする雰囲気はないようです。

ただ、韓国は日本を超大国と考えている人が多く、日本の行動一つ一つに敏感な人が多いので、今回の問題も日本人から見ると過敏反応なのですが、韓国人的には「大国の脅威」と受け取っているみたいです。
そういう韓国の世論を聞くたびに「そんなに日本って大国か?」と考えてしまいますが(笑)

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