やぶいの医療解説

栫井 雄一郎の解説

ウォー・ギルト・インフォメーション・プログラム

War Guilt Information Program、略称:WGIP
「日本人を狂わせた洗脳工作」関野道夫著
「心理戦」(Psychological Warfare) ハロルド・ラスウェル1950
ストックホルム症候群
エディプス・コンプレックス

封建制度のような未成熟な社会では、支配するものと支配されるもの立場の差は歴然としていましたが、この構造は個人の発達の過程などで今も見られます。

戦後日本を支配したGHQの最高司令官であるマッカーサー将軍は、帰国後「日本は12歳の少年」という発言をしましたが、戦後の米国による対日政策は、まさに12歳の少年に対する指導と酷似しています。

戦後のGHQ支配は、1945年7月26日に米国・英国・中国による降伏勧告であるポツダム宣言に沿った形で始まりました。

ポツダム宣言そのものがどうであるかは二の次として、ポツダム宣言以外のものが否定されたという点だけ取り出しても、すでに洗脳工作が始まっていたといえます。

ポツダム宣言には、暗に原子力爆弾を使用することも書かれており、ここで正当化されています。
ポツダム宣言2の最後
「strike the final blows upon Japan」
訳:日本に最後の打撃を加える
3の最後「utter devastation of the Japanese homeland」
訳:日本本土の徹底的な破壊

WGIPは、硬軟両方を使い分ける(OWIホワイト・プロパガンダとOSSブラック・プロパガンダ)ことで成立していますが、この政策が終結したということは聞き及んでおらず、米国の古い公文書公開などで、米国による日本でのWGIPに関する新たな事実が次々に発見され続けています。

日本で広島長崎のピカドンが扱われる時には、WGIPを含めた冷静な分析は行われて来ませんでした。

捉われた集団が犯人を擁護することは、医学的にしばしばみられることであり、ストックホルム症候群と表現されます。

個人の発達段階では、親を中心とする大人に対して、自分では生きていけない子どもの振る舞いの中で大人という支配者に対する心理や行動として表現されますが、その事を象徴的に表現したのがS・フロイトのエディプスコンプレックスという概念です。

発想の出発点は、個人でも社会でもいいと思うのですが、このことだけでなく、心理的に見ると同じようなことが繰り返されており、そういった共通点の理論構成が理解できるようになるとものの見え方が違って来ます。

日本人は、WGIPなどで意図的に全体の意識をゆがめられてきましたが、現在の大勢もそこに追随する動きが目立っています。

一部の知識人は、戦後ずっと脱却を叫んでいます。

逆転移の世界

おおよそ世の中のすべての分野の専門家(専門職)は、対象となる事柄に対して、独自の理論や実践で対応します。
広義には、一般的にも自分や自分たちの価値観や言動が絶対視されることが多く、よく見ると同じようなことが起こっています。

対象となるものは、判断する側の基準で処理されますので、何であれ、同じような解釈が可能であり、医学的には逆転移という概念とその延長上で説明出来ます。
逆転移とは、医療においては治療者側の抱えているものが治療に影響を及ぼしていることを指しており、主に、治療者側の理想を押し付けたり、それを見透かされないように防衛することから成り立っており、そのほかに治療者側の気持ちが動きすぎて余計な行動化を起こす場合などがあります。

医療では、対象となる方の状態を十分に把握することが良質の治療の絶対条件です。
最近の日本では、三分間診療と言われる短時間の診察が主になっており、医師の専門分野がさらに細分化されて、個別の対応が難しくなっています。

人は、それぞれ独自の世界を持っており、その大部分を構成している転移と防衛機制という医学的な概念で理解するためには、本人が納得して身につける十分な時間が必要であり、その結果として「わかってもらえた」という感覚を持てることで安心できることがよくあります。

医師を含む専門家(専門職)は、どの分野に限らず個別の特徴をよく理解して適切な対応を心掛けることが本来の基本的な入り口なのです。

戦後話題となった民主主義とは、国民一人一人が尊重されるということが大前提で作られた制度です。

最近の騒がしい世の中では、変化のスピードの速さなどが話題になりますが、対象になるものを尊重したうえで、ゆっくりでもいいからしっかりと認知に徹したりした方が長期的にはうまく行くことが多いように感じています。

今後の日本は、国民の質をあげて行くことが望まれますが、そのためにまず必要なことは、ありのままの現実に真剣に向き合うことが基本だと思っています。

TPP 可決成立

トランプ米国大統領は、1月20日、太平洋連携協定(TPP)から離脱すると正式に表明し、同時に北米自由貿易協定(NAFTA)の再交渉も求め、米国第一を徹底し、保護主義的な政策を辞さない考えを表明しました。
日本政府は、それに先立ち、20日午前中に関係閣僚会議を開いて、協定事務局であるニュージーランド政府に高田稔久大使から、12か国中最初の通知国として、TPP正式参加の通知文書を手渡すことを決定しました。
状況の変化は、一瞬でも起こりますので、それに対応できないと滅亡にまで進展することについては歴史が雄弁に教えてくれます。

日本政府は、トランプ大統領就任という状況の変化についていけていないようにみえますが、昨年11月13日に書いた文書をとりあえずそのままにしておきます。
情けなさを通り越して、悲しくなってきました。

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TPP承認案と関連法案は、2016年(平成28年)10月14日、衆院TPP特別委員会で審議入りし、11月10日衆議院本会議で可決されました。

日本では、この国が民主主義社会であると信じている方が多数ですが、東京都の築地市場が豊洲に移転する問題で基本的なうそが発覚したように、本当のところは伏せられたまま全体の流れが作られることが多く、TPPもその例外ではなく、多くの方と話してみてもTPP法案に詳しい方はほとんどおらず、農業問題として取り上げたり、雰囲気だけをあおったり、今も政治家などがテレビなどでまとはずれなやり取りを繰り返しています。

現在東アジアで繰り広げられている政治経済的な最大の課題は、米国と中国という二大大国のどちらが主導権を取るかということであり、米国はTPP、中国はRCEP(東アジア地域包括的経済連帯)を推進しようとしています。

TPPにおける日本の位置は、極めて低く、そのことは、TPPの正文(国際条約を確定する正式な条約文)には日本語はなく、英語のほか、フランス語やスペイン語で書かれていることからもわかります。

米国政府には、すでに強力に国際社会を引っ張っていくだけの力はなく、そのために今回の米国大統領選挙混迷などがおこっており、次期トランプ大統領は、米国第一主義を掲げて保護主義の強化や為替などを大きく取り上げたり、ビジネスに徹した公平さを強調して同盟国を軽視するなど、国際共同路線を取らない可能性が高いと思われています。

現在米国政府に最も影響のある業界(ロビイスト)は、製薬業界であり、そのことだけから見てもTPPで最も影響を受けるのが医療分野であることがわかります。
(年間ロビー費 米製薬会社・医療業界5300億円
防衛・ミサイル業界1500億円 石油業界100億円)

具体的には、米国のバイオ新薬のデータ保護区間は12年だがTPPではバイオ新薬開発力で遅れるオーストラリヤなどの強い反対で8年になっており、製薬業界の要求に従ってこの問題が蒸し返されることが予想されます。

日本では、小泉改革以来、異常に高額な薬品が認可されるようになりましたが、この流れは米国の強い要求で入れられたTPPのISD条項により製薬会社が国家を訴えることが今よりはるかに容易に出来るようになり、高額な薬剤費が医療財源を食い尽くしますので、必然的に今のような医療体制は維持できなくなります。

国際企業は、TPPのISD条項だけで価値があり、裁判権が日本になくなることを考慮すると、米国企業にとっては日本政府より強い立場にたつことが出来るともいえます。

日本政府は、2015年(平成27年)11月に「TPP協定の全章概要」を発表しましたが、これには肝心の部分が触れられておらず、これを元にTPPを論じることはかえって混乱を招きます。

10月14日現在、国内手続きを完了させたTPP参加国はなく、10月審議予定だったベトナムも先送り方針です。
日本政府は、オバマ政権の要求に従って今回の国会でのTPP可決となりましたが、排他主義が世界を駆け巡る状況の中で、国際企業からの要求は水面下に隠れたまま政治が推進され、日米間でいうと、日米並行協議で導入されたアフラックという米国企業による全国の郵便局でのガン保険の独占販売などがあります。

トランプ新大統領は、TPPよりも日米並行協議や日米FTAのほうが利益が大きいと考えており、より自分の利益にどん欲なだけであって、国際関係に関心がないわけではありません。

世界全体の動きは、目先の利益に振り回されて、他者の排除や低次元の戦略に向かっており、日本国の現状も、国会の動きだけ見ていてもより次元の低い状況に移行しているように見えます。

情報の共有は、主権在民の民主主義国家であればまず守られなければいけないことですが、築地市場の豊洲移転にしても、東日本大震災以前の原発の「絶対安全」問題にしても、日本語の正文のないTPPにしても、国民の存在があまりにも軽視されすぎています。

質の高い国家や国際関係の構築には、出来るだけ正確な情報を幅広く共有することで質の高い市民の英知を結集できるようにすることが重要であり、それを阻む情報の管理は必要最低限に留める必要があります。


薬剤費高騰

日本の医療における実際の薬剤費は、小泉改革で高い薬が承認されるようになって以来、ここのところ高騰し続けており、それに伴っておかしなことが起こり続けています。
そもそも、国民には、以前「薬漬け、検査漬け」という言葉がはやったように、客観的で正しい情報が以前から流されていません。
厚生労働省のお役人さんたちなどは、上層部方針として医療費削減を厳命されているようで、細かい医療費削減に血まなこになっています。

日本の医療費増大の大きな原因の一つは、高額な新薬承認という現在の日本の医療政策にあります。
高額な新薬承認自体は、米国医療に追随するという日本の医療政策からするとやむをえない側面もありますが、問題なのはその実態を国民はおろか、マスコミもほとんど知らないことです。

ひとつの例として、昔から日本でパーキンソン病薬として使われていたメネシットという薬の一錠100mgを取り上げてみます。
(下記成分はほぼ同じです)
現在(平成28年・2016年4月)の一錠薬価は、以下の通りです。
メネシット配合錠100     34円30銭
ネオドパストン配合錠L100 34円30銭 
ドバコール配合錠L100   13円
カルコーパ配合錠L100   13円
パーキストン配合錠L100  13円
レプリントン配合錠L100   10円40銭

ちなみに4年前(平成24年・2012年4月)は、以下の通りです。
メネシット配合錠100     36円10銭
ネオドパストン配合錠L100 36円10銭 
ドバコール配合錠L100   14円20銭
カルコーパ配合錠L100   14円20銭
パーキストン配合錠L100  10円80銭
レプリントン錠100      10円80銭 

このように、日本の薬は、薬価改定のたびに少しずつ下げられて、最後は製造中止になります。

ところが、今回、ほぼ同じように使われる薬が、ゾニサミドという新しい名前で平成21年(2009年)3月発売されて、一錠1084円90銭で売られて、現在さらに高くなって1115円90銭となりましたが、この薬は、エクセグランとして一錠43円39銭6毛で売られていたものです。

つまり、小泉改革以降高薬価をつけられた薬の中には、さらに薬価があがっているものもあり、医療現場としても製造中止になった安い薬の代わりに高い薬を使わざるを得ない状況が出来上がっています。

各薬剤の薬価の差は、いろいろ理屈はつけられていますが、実際に国民にとって重要な要素については御想像にお任せします。

  


オレンジプラン

ここでいうオレンジプランとは、米国の対日長期戦略として日露戦争から太平洋戦争まで使用されたウオー・プラン・オレンジのことで、1904年の日露戦争勃発直後より米陸海軍統合会議により推進された戦略計画です。
米陸海軍統合会議は、仮想敵国を色名で呼び、日本にあてられた色はオレンジでした。
最近では、厚生労働省が別件でオレンジブランという用語を使い、ネットで見てもこれで埋め尽くされており、米国の対日長期戦略については見つけることが難しくなっています。
米国に都合の悪いことは、気になる記念日や用語などに新しい何かを上乗せして、もともと問題のある事項をわかりにくくする手法が世界中で使用されており、厚生労働省がそれに協力していることがわかります。

米国は、1898年のスペイン戦争勝利でフィリピンを併合して、植民地政策をしていた列強の仲間入りをし、この地を守る必要がありました。
フィリピンを脅かす仮想敵国は、1895年に日清戦争に勝利した日本であり、それは1905年の日露戦争の勝利で確信できるものになって、ウオー・プラン・オレンジ、つまりオレンジ戦略案が推進されました。

つまり、太平洋戦争とは、米国がフィリピンを守るために計画した長期戦略の帰結点とみることができます。

米国の戦略は、世界中で同じ方式を取っており、オレンジプランのような重要な部分は徹底的に秘密にされます。

たとえば、戦後政策では、1945年7月26日に出されたポツダム宣言の内容は、一年もたたない1946年4月半ばまでには大きく修正されていますが、このことは指導層にある日本人も長年知りませんでした。

ワシントンSWINCCからのマッカーサー元師への指令
  (SWINCC:国務陸軍海軍協調委員会)
「天皇制に対する直接の加撃は、民主的要素を弱め、反対に共産主義並びに軍国主義の両極端を強化する。総司令官は、天皇の世望を広め、かつ人間化するすることを極秘裡に援助することを命令される。
以上のことは日本国民に感知されてはならない。」

日本国民は、多くのことを知らなかったり誤解したままでいます。

現状では、TPPによる一層の段差の発生が予測されます。



辺野古基地問題の深層

幅広い日本の報道に感じることですが、日本での報道は、恐ろしく誤ったり質の悪いものが多くあり、ほとんどの国民が、それ以外の報道が少ないためにそれを信じていることです。

辺野古基地問題では、内地(日本本土)と沖縄でこれほど一般の方のとらえ方が違う大きな理由の一つは報道内容そのものが違うためだと思います。

そもそも、普天間基地の移転問題は、世界規模での米軍の海外基地見直しに伴う一環であり、ドイツなどは米国の国内事情による移転ということで資金面では米国に任せました。
日本の報道では、普天間基地の移転問題そのものが政府の外交の成果だとか米国が普天間基地騒音問題配慮したからだというまとはずれなものがほとんどでした。

東アジアでは、フィリピンのスービック海軍基地から米軍が撤退して現在の南シナ海問題(東沙諸島や中沙諸島)が持ち上がりました。
日本の報道では、ピナトゥボ山大噴火に関係づけたものが大半ですが、実態は、米国大統領候補の共和党ドナルド・トランプ氏が言っているように、米国の債務超過に伴う駐留米軍費用削減に伴う政策です。

米軍と他国との二か国条約は、世界中でほとんど消滅しており、日米安保条約という二か国条約に伴う米軍の他国駐留は、世界的に見て現状では例外的なものです。
日米安保条約による米軍駐留が可能な最大の理由は、基地内のバーテンダー費用なども含めてほとんどすべてを日本政府が国民の税金から支払っているからであり、日本ほど米軍の費用を負担している国は世界中でほかにありません。

米国の対日政策は、現在当選が予想されるどなたが次期米国大統領になっても大きく変化することが予想されていますし、福岡高裁那覇支部が示した辺野古移設問題和解案を国と沖縄県が受け入れた背景を知る国民は、ほとんどいません。

米国は、基地が沖縄に集中すると弾道ミサイルで破壊される可能性が高くなることから、新国防戦略ではオーストラリアやハワイを含む広範囲に海兵隊を分散展開する計画をたてているだけではなく、次期クリントン政権で活躍するとみられているキャンベル前東アジア太平洋担当国務次官補が従来の辺野古移設計画は現状にそぐわないと難色を表明しているなど、すでに従来計画では推進できない状況にあります。

個人的な意見としては、現在のような辺野古基地問題迷走の責任の一端は、その後の民主党政権の誕生も含めて、国民にきちんとした情報を出さずにあまりにも国民をばかにした行き過ぎた衆寓政治を行った自公政権にもあると思います。

残念なことに、情報の管理は、現在も強化される傾向にあり、このまま公平で正確な情報の共有を軽視した手法を現政権が続けるようでは賢明な日本国民の支持は得られず、憲法改正に必要な自公政権の国会議席の三分の二獲得は不可能だと思います。




TPP法案 閣議決定

2016年(平成28年)3月8日、政府は、既定方針に従い、TPPの承認案と関連法案を閣議決定しました。
4月から国会審議される一括法案は、著作権保護期間を50年から70年に延長する著作権改正法など11法案が予定されています。
そのほかで医療に関して重要なのは、医薬品医療器械法で登録認証機関に外国の機関を加えるという米国が日本に長年要求し続けていたことが実現することであり、これにより一部の高額な医薬品や医療機器が高止まりしたまま推移する可能性が高くなります。
米国では、今年行われる大統領選挙に出馬しているほぼすべての候補が現在の法案に反対していますが、その根拠などについては日本の報道ではほとんど正確にわかりません。
米国という国家は、過去の自由貿易協定(FTA)では自国の国内法は改正しておらず、国内事情を最優先する動きは大統領選挙を控えてさらに強まっています。
米韓FTAでは、韓国は約60本の国内法改正をし、一度合意した協定内容をやり直しましたが、米国の国内法はほとんどそのままです。
TPPでは、現在12年となっている米国内の新薬開発データ保護期間を大筋合意の8年に改める必要があり、そのことひとつとっても米国議会の権限が従来より強力となったTPA(貿易優先事項と説明責任に関する法律)により、いったん与えた大統領への権限が取り上げられる可能性が高く、現在のTPPでは議会承認されません。

米国では、大統領選挙と同時に下院議員選挙も行われますので、議会の壁は厚く、日本が参議院選挙後にTPPを国会審議しても十分に間に合う状況です。

個人的には、国家の主権者は国民ですので、TPPの承認は参議院選挙後が望ましいと思っています。

T(trade)
P(priorities)・・・従来はpromotion
A(and accountability act)・・・従来はauthority act

国民皆保険制度崩壊

現在日本で行われている国民皆保険制度は、1958年(昭和33年)12月に国会成立した国民健康保険法による世界的に見てもあまり例がない単一支払い医療制度(シングルペイヤー)であり、しかも日本ほどうまくいっている国はありません。
この根拠は、現在の日本国憲法にあり、憲法25条で世界でも珍しい国民の生存権をはっきりと保証しているからです。
現在の改憲問題は、社会制度全体の大幅な見直しも含まれ、それに伴って国民皆保険制度も変質することが予想されます。

たとえば、日本の薬は、薬価審議会などの国家的な規制により、比較的安く保たれていました。
厚生省やNHKなどは、一時薬漬けなどという表現で大騒ぎしましたが、あれは制度が違う同じ表現のものを同じ用語というだけで比較したでたらめな報道であり、実態は大きく違い、一例をあげると、米国では、入院で使われる薬剤費は入院費の中に含まれて薬剤費として表現されませんが、日本では薬剤費とされるという具合に、内容が違うのです。
日本では、小泉改革などの一連の1989年に確立したワシントンコンセンサスに従った政策が始まってからは、今までと比較すると異常に高い薬が承認されるようになりました。
イレッサという薬は、2002年に承認されて、一錠7216円という高い薬価がつき、最近でも日本で世界の売り上げの半分を占めています。
http://www.gaiki.net/yakugai/gef/lib/11805gef_a.html

最近では、日本でも一錠80171、30円のC型慢性肝炎治療薬「ハーボニー配合錠」などが承認されるようになりましたが、日本と国家が薬価を決められない米国で高額で販売されている同じ薬がそれ以外のほとんどの国でははるかに安い価格で購入できます。
つまり、日本の薬価は、民営化や規制緩和という掛け声のもとに従来のように薬価審議会などで低く抑えることができにくくなっており、米国で高値がついた薬には、ほぼ日本のみが追随しているのですが、その流れは、1985年のMOSS協議(市場志向型分野別協議)に始まり、それに続く日米構造協議や日米規制改革競争政策イニシアチブで促進され、TPPにおける知的財産分野の医薬品のデータ保護期間などに関連してきます。

報道されないのでほとんど知られていませんが、日本の医療費増加の大部分は、高い新薬と医療技術の進歩なのです。
日本では、高額療養費制度を採用していますので、高い新薬などは、確実に社会保障費に負担をかけます。
製薬会社の側からみた場合は、日本で高薬価が認められると政府補助のもとでの大量の販売が期待できますので、有望な市場になります。
日本の医療福祉は、現在の自民党政府が医療などの社会保障費を減らす方針であることや、諸外国比べて異常に高い新薬はますます高くなる傾向にあることからもわかるように、民間巨大資本が支配する米国型(政府機能の大幅な縮小・民営化)に誘導されており、必然的に金銭的に追い詰められていきます。

国民皆保険崩壊のもう一つのストーリーは、混合診療導入により国民皆保険の範囲がどんどん縮小することで実質的に国民皆保険制度が形骸化することであり、すでに歯科医療では多数の国民が利用しているインプラントなどに保険がきかないなど、保険外の高額医療が増えており、韓国のように医療特区で一気にこの流れが促進する可能性があります。

国家がどのような方向で進むかは、国家の置かれた立場や伝統などによって違いますが、東アジアの歴史では、家族や先祖を大切にするいわゆる家族主義レジームがあり、そのうえで医療では日本を含んで国民皆保険制度を取り入れた経緯があり、それは、現在の米国を中心とする新自由主義経済成長第一主義とは明らかな一線があるはずです。

とりあえず、資料のみをいくつかあげさせてください。

安倍内閣の「財政健全化計画」
社会保障の削減のため、さらなる70〜74歳の医療費自己負担引き上げ、介護報酬削減、年金の実質削減、生活保護削減、収入のない高齢者の保険料を減らす制度の縮小、訪問介護や通所介護の適用範囲の縮小などが実施または計画されています。

「地域医療構想策定ガイドライン(GL)等に関する検討会」
          ( 厚生労働省・遠藤久夫座長)
2025年の全国の入院ベッド数を一割削減する計画など

国家戦略特区=2013年12月国家戦略特区法国会成立
https://www.kantei.go.jp/jp/singi/tiiki/kokusentoc/index.html

受け皿として整備されているのが民間大型資本です。
日本ヘルスケア投資法人
http://nippon-healthcare.co.jp/
ヘルスケア&メディカル投資法人
http://hcm3455.co.jp/

日本と同じように国民皆保険制度をとっていた韓国の場合は、大規模医療特区ができて、ヘルスケアリートという形で民間資本が医療福祉に参入し、そのあとに米国系民間保険会社が参入しています。

戦後民主主義

大部分の日本人は、現在何となく平凡に暮らしています。
実は、戦前もそうでした。

日本は、戦後民主主義国家に生まれ変わったといいますが、恐ろしいことに、その内容を知る国民はほとんどおらず、洗脳のために与えられた内容のみが独り歩きしています。

ポツダム宣言(1945年・昭和20年・7月26日)
6条 我等は、無責任なる軍国主義が世界より駆逐せらるるに至るまでは、平和・安全及び正義の新秩序が生じ得ざることを主張するものなるをもって日本国国民を欺瞞しこれをして世界征服の擧(きょ)にいづるの過誤を犯さしめたるものの権力及び勢力は永久に除去せられざるべからず
(現代語訳:我々は、無責任な軍国主義が世界から駆逐されるまでは、平和、安全、および正義という新秩序が生じえないことを主張し、この理由で、日本国民を欺き、世界征服の挙に出るような過ちを犯させた者の権力および勢力は、永久に除かれなければならない。)
7条 右のごとき新秩序が建設せられかつ日本国の戦争遂行能力が破砕せられたることを確証あるにいたるまでは連合国の指定すべき日本国領域内の諸地点は吾等のここに指示する基本的目的の達成を確保するため占領せられべし。
(現代語訳:右のような新秩序が建設され、かつ、日本国の戦争遂行能力が粉砕されたことの確証があるまでは、連合国の指定する日本国領域内の諸地点は、われわれのここに指示する基本的目的の達成を確保するために占拠される。)

その後GHQの下書きによりまとめられた現在の日本国憲法は、1946年(昭和21年)11月3日には公布されていますので、既定方針の非軍事化政策にそって永久平和を憲法でうたうことになりました。

平和安全法制関連2法は、2015年(平成27年)9月19日に成立し、同30日に公布されましたが、それに先立つ6月4日の衆議院憲法審査会では自民党推薦を含む参考人の憲法学者三人全員がそろって安全保障関連法案を「違憲」と批判しました。

ポツダム宣言では、日本の戦争能力をそぐことにしつこく触れており、進駐軍支配直後の日本の産業は、機械の破壊などを含めて徹底的に産業力をそがれ、独自の貿易なども事実上禁止されたので、戦前も貿易で成り立っていた日本の食糧事情は一気に悪化して、戦後の食糧難につながります。

1945年9月22日 降伏後におけるアメリカの初期対日方針
一切の商品の輸出入、外国為替および金融取引にたいしては統制を実施する。
9月24日 経済一般指令 7、輸入および輸出
連合国司令部の事前の承認なしには、日本政府はいっさいの輸出入の許可をしてはならない。

戦後の日本の食糧難は、1945年8月15日〜1947年8月15日までのアメリカ総司令部(SCAP/GHQ)による全面的直接的貿易管理により、それまでのように外国から食料を輸入することも出来なくなったためにおこった現象であり、GHQの政策により必然的に作られたものです。

状況が変化したのは、1947年3月3日に米国財務陸軍司法3省によって「対日本およびドイツ通商統制の緩和」が発表された以降であり、アジアの反共拠点として日本を再編する政策転換が行われて、8月15日に対日経済封鎖が緩和された以降ですので、それ以前に作られた現在の日本国憲法が平和安全法制関連2法で示されたような軍事行動を容認しているわけがないのです。

私たちは、正確な情報を歴史を含めて共有することから考察を進める必要があります。

ハーボニー配合錠

日本の医療福祉は、小泉改革直前より大きく変わってきていますが、大部分の日本国民はそのことを自覚していません。
お薬の場合は、最近はコンビニなどでも売られるようになっており、規制緩和とか既得権の解消といったスローガンにそった改革という見方もできますが、私が使う薬の大部分は一錠10円前後で、それも薬価改定のたびに細かく引き下げられます。
大変に困ることは、効果にも信頼を持っていたそういった薬が製造中止になり、やもなく高い新薬などに変更せざるを得なくなり、そのほうが医療的にも不都合なことがあることです。
薬は、一錠6円前後になると成分などに関係なく製造や販売の正統な利益は出ないようで、そういった薬でも10銭とか20銭というような単位で細かく引き下げられて製造中止に追い込まれます。

話しは変わりますが、最近米国では、一錠日本円で10万円ぐらいする薬が出てきました。
ソバルディというC型肝炎の薬は、2014年8月にアメリカ保健福祉省に保険適応薬として承認され、一錠1000ドルで、1クール(一回に続ける治療期間)12週のこの薬代が84000ドルかかることが公表されました。
参考:「沈みゆく大国アメリカ」集英社新書 160ぺージ 720円
米国の薬は、高い値段がつけられるようになっており、新薬一種類を一年間使うと日本円で1000万円以上の薬代になります。
(2012年承認薬12種のうち11種。 同上 62ページ)
なぜそのように高い薬が出現するかというと、米国では、医療はサービス業であり、日本の憲法25条で保障されているような公共ではなく、保険処方薬改定や保健薬の薬価決定に民間保険会社や製薬会社が関わってくるからです。

では、日本では、どうなっているのでしょうか?
残念ながら、日本でも同じように高い薬が承認される傾向が出てきています。
イレッサという薬は、薬価未収載薬として一錠10000円前後で売られていましたが、2002年に薬価に収載され、そのときの薬価は7216、10円です。
2014年5月30日に薬価収載されたサムスカという薬は、一錠(30ミリグラム)3952,10円であり、最高で一日120ミリグラムまで投与でき、それを一生飲み続けることになります。

ハーボニー配合錠は、2015年8月31日に薬価収載され、一錠80171、30円の薬価になり84日間投与されます。
28錠包装薬価 80171,30×28 = 224万4796,4円
一人の患者さんの一時期のこの薬代  673万4389,2円
この薬を販売する会社は、新しく米国の薬品会社が作ったギリアド・サイエンシズ株式会社(千代田区・丸の内1−9−2)で、日本ではほぼ薬価で医療現場に販売されます。

日本では、保険で高い薬を投薬できますし、高額医療費は国の負担となりますので、現状でも社会福祉財源にとって負担になっていますが、このままでは高い薬や高価な医療器械の普及で日本の医療福祉は財政的に行き詰まってしまいます。

日本の医療福祉でも、いろいろな格差社会が広がっており、長年日本の医療現場に安い薬を提供してきた「ニチハン薬品株式会社」は、2015年11月30日に廃業することになりました。

米国の民間保険会社や製薬会社は、日本の保険処方薬改定や保健薬の薬価決定に米国関係者を参加させるように要求してきています。

TPPの成立では、製薬会社が損害を被った場合には国家を訴えることができるISD条項があり、現状のように高い薬価を認めていると、今後も高薬価をつけないとTPP違反になりますので、日本の医療福祉予算はますます大変な状況になることが予測されます。

日本の場合は、公費で薬剤費を支払うので、米国の製薬会社からすると日本の保険財政が続く限り国民皆保険による現在の制度を続けることが望ましいことになりますが、このままではその他の社会保障費はさらに徹底的に削減されることになりますし、いずれ日本の現在の健康保険制度自体が危機的な状況になり、存続できなくなる可能性があります。







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