やぶいの医療解説

栫井 雄一郎の解説

情報の共有

戦後民主主義は、「戦後民主主義に生まれ変わった」とか、「日本ほど自由な国はない」などとと言われながら、国民の間でもてはやされながら持続して来ました。
最近の米国の放出文書では、1941年8月14日のルーズベルト米国大統領とチャーチル英国首相の間で交わされた大西洋憲章で、戦後処理に関する二か国協定が結ばれて、そのなかで、国際連合構想だけでなく、日本憲法の序文や九条に関連する協定が結ばれたことが明らかになっています。
日本については、1945年9月2日の降伏文書だけでなく、1946年1月1日の天皇による人間宣言も、2月3日のマッカーサーのケーディス大佐らへの三原則指示による日本国憲法も、重要文書は当初英文で書かれたことが判明しています。
(「知ってはいけない」 矢部宏冶著 講談社新書  840円)

戦後民主主義を含む日本の戦後レジームは、日米の国民向けの表面的な広報周知と、その裏にあった実際の運用とがダブルスタンダードともいわれる二重の形で推進されましたが、そのこと自体、国民にほとんど知られていません。
現在の米国は、米国内での従来のダブルスタンダードを保持できなくなっており、それが格差や民族や医療福祉の問題として表出して混迷を深めています。

国民は、可能な限り正しい情報を知る権利があり、国民に流布する情報を誰かがどこかで操作するというような行為はできうる限り排除するべきです。

近年は、憲法改正の動きもありますが、憲法を改正するのなら、憲法制定過程などの憲法に関する正確な情報を国民の前に明らかにすることが最初に行うべき筋だと思います。

我が国には、良くも悪くも物事をあいまいにする傾向がありますが、理想としての戦後民主主義と、現実としての戦後の実際とは区別して理解しておく必要があります。

戦後民主主義からの脱却

物事には、通常アクセルとブレーキのように相反する装置が必要であり、両方を操作することでバランスが保たれ続けます。
精神分析では、自由連想法というアクセルと、行動化の禁止というブレーキの両方を使って治療を行います。

戦後民主主義は、「言論の自由」というアクセルだけが強調されて、それに対するブレーキが用意されていませんでしたので、民主主義としては稚拙なものになりましたが、国民にそういった意識が希薄でした。
欧米の民主主義では、義務や責任が平等や自由と同じように大切にされましたが、日本ではそういうことはありませんでした。

戦前の日本は、「侠気」のような江戸時代から続くアクセルとなる精神が強調される一方、「恥」のようなブレーキを国民が広く共有していました。
ひと昔前の日本人は、名誉を重んじて、恥になるような行為はやらないように心掛けていました。

戦後は、「言論の自由」だけを声高に叫ぶ戦後民主主義のせいか、恥を恥と思わない国民が増えておかしな事件が増えて来ました。
「平和と民主主義」という戦後民主主義の標語は、誰にでもわかりやすいものでしたが、この一方で社会の衰退に歯止めをかけるような何が共有されなかったことが、バブル後の長期経済衰退の一因でもあります。
公共性や協調性を重視するだけでは、「出る杭は打たれる」といような現象が広がり、全体の活力になりにくいです。
日本のあらゆる組織では、新たな成長の目を取り込むことが出来なくなり、大企業病が蔓延しました。

最近の情報化社会は、情報の共有というアクセルと、情報の管理というブレーキで成り立ちますが、より健全な情報化社会を目指すには、どういったバランスが国家にとって好ましいかということに関する国民の合意形成が必要です。

情報化社会に必要なアクセルは、情報を国民が正しく有効に使いこなせること、つまり、情報の共有のあり方が、国家の健全性を左右します。

私は、今の日本社会のブレーキ役として、情報の管理の中核にエントロピー増大の法則を取り入れることを提案しており、前回著作に「エントロピー体系理論・心理編」という副題をつけました。

戦後レジームからの脱出

-戦後レジームは、日本のあらゆるあらゆる分野に深く根付いていますが、不思議なことに、正面から明快に解説している書物や報道に接したことがありません。

米国は、「米国に忠誠を誓う」という誓約をした多くの国から来た移民で成り立つ国であり、この背景があるからこそ現在のトランプ政権の米国第一主義も成立します。

日本の戦後民主主義は、こんな米国を理想の民主主義国家として崇め奉ることで成立していますので、戦後レジームの背景もしっかり検証する必要があります。

「ペンは剣よりも強し」という表現は、1839年の歴史劇「謀略」でエドワード・ブルワー=リットンが使用したものであり、強力な武力を持つ大英帝国が背景にあって初めてペンを強要することも可能でした。

戦後レジームでは、言葉とその印象だけが独り歩きしていますので、戦後レジームによる戦後民主主義によって洗脳された勘違いが広く国民の間で共有されています。

現実にペンがより強力な力を発揮するには、それに値する背景が必要であり、個人や国家がそれにふさわしい力をつける必要があるだけでなく、知識や技術の進歩も欠かせませんが、現実は、理想に遠く及ばない状況にあります。

韓国は、ある意味で日本の戦後レジームを超える米国崇拝社会になり、早々と米韓FTAを締結しただけでなく、銀行やサムソンなどの主要企業の株は過半数を超えて外資がにぎっているという現状があり、日本の今後ありうる道のひとつのモデルを示しているとも言えます。

日本国には、精神面で戦後レジームを脱出して、国民が納得するような情報の共有と管理を基本とする情報化時代にあった国家体制の構築が急務です。

新たな社会は、情報を含むあらゆる分野での進歩を活かしたうえで、及ばない部分などに対して謙虚になり、それぞれの持てる力を尊重したものでなければなりません。

安倍政権は、早期の憲法改正を目指しているようですが、戦後レジームの一環である最初に結論を決めて、それに向けて意見を集約するという手法であり、個人的には、戦後レジームからの脱出に何らかの国民が納得する合意を得られない限り、国家国民のためになる対応は難しいと思っています。

エントロピー体系理論から量子力学体系理論へ

「名人は名人を知る」という言葉がありますが、何事を通じても共通の基盤が見えて来ます。
まずは、名人が扱う何かについての知識や習熟が必然であり、その範囲内においてエントロピー体系理論が成立します。
この段階では、ものなどの対象物の存在は絶対的であり、その前提のもとで古典物理学のエントロピーの法則が成立します。
次の段階では、既存の存在を超えた不確定要素に対する対応が必要となり、ここでは量子力学の概念が役に立ちます。
情報化などの社会の進展は、従来では考えられなかった情報の収集や分析が可能となり、多変量に対する対応が求められるようになりますので、量子力学体系が必要になります。

戦後の日本は、護送船団方式による「日本株式会社」と言われた横並びの時代があり、会社によっては同期同学歴の方の同時昇進などの共同体機能集団を作り上げました。

この原因は、GHQ米軍支配下の批判も許されない状況で、理想の民主主義国家や家庭として敵国であった米国が礼讃されるという、急性アノミーによる 「ストックホルム症候群」 のなかに日本があり、滅私奉公の軍人精神を再利用した形で、「ウサギ小屋に住んで働き蜂のように会社のために自分を犠牲にする猛烈社員」に国民が調教されたことが大きいです。

日本の現状は、終戦によって確立した戦後レジームからも脱出できない状況であり、袋小路にはまり込んで、経済を含む多くの指標から見て地盤沈下が続いています。

幸運にも、日本には多くの先駆者がいます。
小室直樹は、戦後レジームを日本デモクラシーと表現し、エントロピー体系理論をアノミー概念を使って、たとえば「戦後日本における全面的急性アノミー」というような表現をしています。
参考文献: 「危機の構造」 小室直樹著 中公文庫 より
複合アノミー:規範が断片としてのみ存在し、対称的に存在すべき規範が失われることで錯綜する。
原子アノミー:規範が粉末化された結果、過激派組織のような機構信仰を生む。
小室直樹がアノミー概念を使って複雑化して説明していたことも、エントロピーの法則を社会に応用することで説明可能です。
小室直樹は、さらに科学的社会分析は相互連関分析でなければならないとして、戦後レジームを含む近代デモクラシーの特徴が制度を天然現象のように見ずに、人間によって作られた人為の所産とみなしたことであるとしています。
量子力学体系は、すでに小室直樹も指摘しているように、不確定や不完全なものも取り入れる必要性、即ち不確定性原理や不完全性定理に対応出来る必要から必然的に生まれるものです。

「自分」を生きてみよう 

このたび、 『 「自分」を生きてみよう 』 第二版が完成して、現在配布中です。
エントロピー体系理論・心理編という副題をつけてみました。
初版のあと、次をどうするかが課題でしたが、第二版も自分が書きたいことをつぎ足して、初版の一部の書き直しもしてみました。

最初のほうが参考になる方
・この本を読むことで心が穏やかになります。
一つ一つ自分のできることを着実にやっていきたいと思います。
 (20代男性・米国在住)
・いいことがいっぱい書いてある。自分のためにも、仕事にも役に立つ。(50代女性・緩和医療訪問看護師)

こういった方は、いわゆる陽性転移が成立していますので、読んでいただいても効果が期待出来ますし、読みやすくてわかりやすいと言っていただくことが多いです。

真ん中の症例が参考になる方
御自分で臨床をやっている医師など専門的な方には参考になるようで、特に日常短時間の診察しかされていない方に好評です。
企業などで人事管理で悩んだことのある方にも参考になると言っていただけています。

最後のほうが参考になる方
エントロピー体系理論は、心理や個人に限らず、組織や概念を考える上で参考になるものであり、そこを理解してくださる方には大変参考になると言っていただけます。

この本を読んでいただけない方は、今のままでいいとか、御自分には精神的な問題はないと思っておられる方を中心に(この本ではエントロピー増大の法則に流されると表現)、多くおられます。
本の内容は、私が書きたいことを書きたいように書いているので、感想は、読む人によって大きく違いますが、
どなたがどのような感想を持つかはとても参考になります。

通常の方は、その人が信じている視点から読まれますので、それなりの感想が出て来ます。

エントロピー体系理論は、人や社会が信じている価値観を超えたエントロピーの法則という現代物理学が絶対的な真理として認めている原理から全体を構築し直そうとする試みであり、情報過多の社会に適応した手法だと自負しています。
(参考)フレデリック・ソディー(ノーベル物理学受賞・1956年没)
エントロピーの法則は、最終的に、政治システムの盛衰、国家の自由ないし束縛、商業を産業の動き、富と貧困の発生、人類への物理的貢献のいっさいを支配する。
  糸川英夫(航空宇宙実務者)
私は、ここ10年ぐらい、「エントロピーの法則を人間社会に持ち込んでみたらということを考え続けて来た。「エントロピーの法則」(祥伝社)には、ズバリ「新しい世界観」というサブタイトルがある。

あらゆる情報があふれる情報過多の現代では、何らかの感情や評価を基盤として全体を制御することは不適切であり、出来るだけ普遍的なものから再構築し直す必要があります。

『 「自分」を生きてみよう 』 第二版を読んでみたい方には、送料とも無料で配布していますが、きちんと読んでいただけることが条件です。
以上、よろしくお願い申し上げます。

飛び降り強要の背景

マスコミ報道の経過
2012年4月、埼玉県草加市の中学校で、生徒が校舎二階からの飛び降りを強要されて、腰(腰椎)の圧迫骨折の大けがによる損害賠償事件が発生しました。
一審の埼玉地方裁判所は、2017年4月に614万円の賠償を命じましたが、その後東京高等裁判所で二審が行われて、1185万円の支払いを命じる判決が、2018年3月28日に行われました。

この中学校がある周辺では、現在も空き巣などの窃盗犯罪が多発する治安の乱れがあり、生活保護の方が車を乗り回すなどの法令の無力化が草加市の中でも最も顕著に見られます。

この地区では、灯篭などの電球がすべて抜き取られるなどの被害が多発していますので、そういったお祭り行為なども自粛せざるを得ない状況です。

住民には、何となく草加市の現状が伝わっていますので、あきらめる気分が強く、結果として、埼玉県草加市は埼玉県の中でも最も犯罪の多い地区となっています。

草加市のおれおれ詐欺被害は、埼玉県でも飛びぬけています。 
平成29年草加市の実数
振り込め詐欺発生件数  88件
被害総額      2億2300万円

もちろん、草加市民であることに大きな誇りや自信を持っている住民も多いのですが、そういった方の大半は、お話ししてもほとんど何もご存じありません。

草加市では、このほかにも、政治家の不正蓄財や汚職に限らず、大きないじめ事件や、草加市職員の抗議の焼身自殺というようなはでな事件もありましたので、表ざたのなったら大事件になったことでしょう。

エントロピー増大の法則は、草加市のように前向きな思想や理念がない閉鎖的な空間で全体が拡散し続けて不都合なことが増え続けることを教えてくれます。

草加市の現状は、行政などが臭いものにはふたをするという方針で一貫していることもあって、今回の高裁判決も知らない市民が大半です。



草加市立病院 不正請求 腹腔鏡手術

報道された内容
2月16日(金) 病院側による発表
高元俊彦病院事業管理者が、子宮がんの腹腔鏡手術で2012年から69件の不正請求があったと発表。
これについては、NHKのニュースでも報道されたので、多くの市民の知るところとなりました。
3月23日(金)
医療法による立ち入り検査が、埼玉県医療整備課と草加保健所により行われました。
今後は、有識者からなる第三者委員会を立ち上げて、安全管理体制を検証することが求められています。
このことは、取り上げない新聞などもありました。

69件は、58人に対する子宮体がん手術と、11人に対する子宮頸がん手術で、22件は、腹腔鏡手術への保険適用自体が認められていない進行性の子宮体がんの患者さんであり、このなかですでに死亡されたのは2名です。

院内では、病理医が院内にいないことや術者が常勤医でないことで以前より問題となっており、問題が表面化したのは、昨年9月に退職した医師の告発によります。

昨年4月に就任した新病院長は、さまざまな問題の実態を知り、任期を待たず昨年12月で自己都合退職しました。

今回の不正請求は、振替請求と言われるやり方ですが、法的には当然のことながら認められていません。

問題となった患者さんは、子宮筋腫として腹腔鏡を行ったために不正請求の対象になっている69件の中には含まれていませんが、手術前の画像からも肉腫(がんの一種)と思われ、その後死亡されましたが、摘出の際に腹腔内に摘出したがん細胞をこぼしてきた可能性も指摘されています。

現在、第三者委員会の構成員は、副市長や草加市部長などの関係者が取りざたされていますので、最初から収束させることを重視して行われるものと思われます。
エントロピー体系理論を使って説明すると、草加市立病院の不祥事は、エントロピーが増大して、より散漫になったことによる当然の結果です。
今後は、すでにそうなっているように、エントロピーがますます増大しますので、このままうやむやになると予想されています。

なぜそのようなことが起こるかについては、私は元草加市の産業医でもありましたし、地元の医療関係者として了解可能ですが、差しさわりがありますので、公表はここまででお許しください。




エントロピー体系理論入門

人の一生は、生命力にみなぎって多くのことを吸収する前半と、何かと衰えて行く後半にわけることが出来ます。
同じように、組織も栄枯盛衰を繰り返していきます。
宇宙でも、ビッグバンをいわれる始まりから前半部分と、やがて縮小する後半にわかれます。
生物学者のアルフレッド・ロトカ(80ページ)は、使用可能なエネルギーが豊富に存在するしているときにはエネルギーを最大限に利用する生物が有利だが、余裕のない環境になると、エネルギーをより少なく無駄なく使うものが生き延びると主張しています。
後半は、勢いのある前半部分と違って違う発想や取り組み方が必要です。
私は、戦後日本の後半戦を支える方針として、エントロピー増大に対応する方針を明確にするエントロピー体系理論を提唱します。


戦後の日本は、戦後レジームと言われるGHQなどが作ったルールに従って運営されて来ましたが、いまだに新たな方針を見いだせないことがバブル崩壊後の低迷を招いています。
エントロピー増大の法則は、人間や社会の在り方にも多大な影響を与えていることについては過去にも多くの先人が指摘されています。
人々は、エントロピー増大の法則という概念がない時代からそれに対応するやり方を編み出して来ましたし、東洋でいうとインド哲学の「あるがまま」というような概念で発展して来ましたし、西洋では、精神分析における「行動化の禁止」が直接的でわかりやすい表現です。

スペースの関係などで、現代物理学が絶対的な真理としているのは、この法則だけだ。(8ページ)と断言している
 エントロピーの法則 (副題:21世紀文明観の基礎) 祥伝社刊
から、何人かの先達の言葉をご紹介します。

アルバート・アインシュタイン(23ページ)
エントロピーは、すべての科学にとって第一の法則である。
糸川秀夫(表紙)
私は、ワシントンの書店で、この本の書名に息をのんだ。
サブタイトルにずばり「新しい世界観」とあるではないか。
フレデリック・ソディー(27ページ)
熱力学の法則は、最終的に、政治システムの盛衰・国家の自由・産業の動き・貧富の発生・人類への物理的貢献の一切を支配する。

私は、どんくさい人間なので、人間の心を中心にした具体的な各論に取り組む一方、総論としてのエントロピー増大の法則の実践と対応に取り組んで、各論と総論は結びつくことを利用して、双方を自分なりに進化させて」来ました。
きちんと読んでいただける方限定で、
「自分」を生きてみよう 副題:心の整理と再統合
を差し上げます。

新しい日本の形(エントロピー体系理論)

日本は、戦後軍部支配からGHQ(米国)支配となり、両者の比較から新体制は国民の支持を受けました。
社会は、戦後73年目を迎えて大きく変化しており、米国にも以前のような力はなくなりましたが、日本はいまだに戦後レジームを引きずっています。
代表的なものの一つは、昭和21年(1946年)5月3日に施行された日本国憲法ですが、昭和20年(1945年)8月10日に通告されたポツダム宣言にそったものであり、日本がけっして連合国側に歯向かわないことを盛り込んだ憲法9条だけでなく、多くの戦後レジームの源泉がこの時期から生き残っています。
日本国憲法前文では、個人の尊厳を掲げており、結果として個人主義の名のもとに利己的な行為が容認されて、エコノミックアニマルといわれるぐらいに精神文化が崩壊しました。
1991年のバブル崩壊後は、その経済も低迷しています。
日本には、戦後レジームに変わる目標があるのでしょうか?
新しい目標は、科学的裏付けが必要であり、しかも日本の特性を活かしたものでなければならないと私は思います。
私は、現在の科学で最も確実と思われることを重視するべきであり、エントロピー増大の法則ともいわれる熱力学の第2法則を基盤とした見識を重視すべきだと思って来ました。
エントロピー増大の法則は、物理学では変わらない真実とされており、孤立系にある物体が秩序ある状態から無秩序に向かって行く傾向を量として表しています。
通常の人間の活動も、エントロピー増大の法則にそって、無駄な発想や気分や行動が増えて行き、それに対応するために抑圧否認などの防衛機制を働かせていますが、その事はほどんど理解されていません。
自然科学で今出来ることは、破壊であり、建設ではありません。
たとえば、細菌から身を守るには、薬により病原菌を破壊して死滅させるだけで、積極的な対応は薬だけでは困難です。
今の機械文明は、石炭・石油などの資源を消費することで成り立っています。
私は、そういったエントロピー増大の法則に対応するには、「空」(くう)を中心とする東洋の英知が役に立つと思っています。
般若心経では、色即是空のあとに、空即是色と続きますが、これは、色即是空でエントロピー増大を抑え込んで、空即是色で新たな建設行為を促しています。
違う言い方をすると、エントロピー増大を抑え込むことに重点を置いた場合は、評価よりも、現状の認知を重視して、行動や結果に結びつけることになります。
戦後レジームに代わる新しい日本の指針は、既存の西洋や東洋の枠を超えて、相互に癒合する体系を構築する必要がありますが、すでに日本ではこれに関連した多くの発言や行動がありますので、いくつかあげておきます。

人間の建設 新潮文庫 岡潔さんの発言
いま日本がすべきことは、からだを動かさず、じっと座りこんで、目を開いて何もしないことだと思うのです。これができるのは、いざとなったら神風特攻隊のごとく死ねる日本民族だけです。

実際、今年の大河ドラマは西郷どんですが、明治6年の政変のときに大久保利通が有馬の湯にこもったのも、エントロピー増大に対応する大久保なりの上記の実践と思われます。

将棋羽生名誉七冠の記者会見より
40代になったら足し算ではなく無駄なことは考えないという境地に至った(ことで再び勝てるようなった)
https://www.youtube.com/watch?v=y_OZKQVPAYY
(一番最後の発言です)

この文は、藤井聡太四段と大橋貴満四段の王位戦を見ながら書いていますが、藤井聡太四段は無駄なことをたくさん考えて時間を消費して負けてしまいましたが、エントロピー増大にどこまで対応できているかの実例は毎日体験することが可能です。

なお、私なりに具体的に一般の方にお役立つようにエントロピー体系理論について書き、一般システム理論と精神分析で厚みをつけたものとして、
「自分」を生きてみよう 副題:心の整理と再統合 朝日新聞社
がありますが、一般販売までは至っていません。

戦後レジームからの脱却

戦後の米軍(GHQ)による日本の思想統制は、個人の文書も開封して検閲するほどの徹底したものでした。
現在の日本国憲法は、そういった時期の昭和21年(1946年)に作られたものであり、憲法9条は、ポツダム宣言に沿って日本が絶対に米国などに武力を向けることのないようにということで作られたものなので、現在の政府が容認している集団的自衛権などが現在の憲法で容認されていないことは明らかです。
日本では、戦後「平和と民主主義」が叫ばれて、それにそって、各種の組織や思想が広く育成されました。

参考までに現在与党である「公明党綱領」から一部ご紹介
「戦争と革命の世紀」といわれた二十世紀は、「国家の時代」「イデオロギーの時代」でした。
戦争は国家の、革命は社会主義イデオロギーの属性でしたが、今日までの歴史の教訓は、個人あっての人間あっての国家であり、イデオロギーであるのに、それが「国家のため」あるいは「イデオロギーのため」の個人や人間であるという“主客転倒”され、一切の目的であるベき人間自身が手段にされ犠牲にされました。
人間自身の幸福な生存こそが目的価値であり、「国家」であれ「イデオロギー」であれ「資本」であれ、人間を超えた何らかの外部価値や権威の絶対化により人間が“手段化”されてはなりません。
いかなる主義・主張であれ、機構や制度、科学や経済であれ、それらはすべて人間に奉仕すベきです。
これが〈生命・生活・生存〉を柱とする公明党の人間主義=中道主義の本質です。

現在は、憲法改正の話が持ち上がっていますが、こういった戦後レジームに対して国民が納得出来る情報提供と合意形成による解消を目指さない限り、憲法改正に関する国民的合意は、困難だと思われます。

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