歌会(かかい/うたかい)というものに興味を持っているけれど、いったいどういうものかよくわからなくて不安でなかなか参加に踏み出せません、という人に向けてこれから文章を書いていきます。よろしくお願いします。

 

1.歌会でなにをするか

 歌会でなにをするか。
 端的に言うと参加者の提出した短歌について、言葉を尽くして語り合います。
 では、ちょっと具体的にその流れを見ていきましょう。
 歌会は基本的に司会のひとがいて、その人が進行していきます。まず歌稿とか詠草一覧(注1)とか呼ばれる紙が配られまず。その紙には参加者から事前に集めた短歌がずらーっと書いてあります。ここで並んでいるのは短歌だけで作者が誰かはわかりません(注2)
 次に選歌の時間です。短歌を参加者に読む時間が与えられて、良いと思う短歌を選んでいきます。そのとき何首選ぶか、などはその歌会のやり方でまちまちです(注3)
 あとはその選歌をもとにして一首一首歌を評していきます。たくさん選が入った歌からやっていくというのが主流なようです。

 

2.歌の評はどのような感じか

 司会者に最初に評をふられた人は、その場で短歌を読みあげて評していきます。その評が終わるとまた司会者は別のひとに評を求めます。何人か評が終わったところで自由に意見のあるひとが喋っていく。一般的にはそのような流れです。
 評は一首あたり少なくとも10分くらいは使うと思います。盛り上がれば一首に20分以上使うことも。ここら辺は歌の数と歌会の時間で司会の人が調整します(注4)
 では、評でどういうことを言うべきか。
 実は明確な決まりごとはありません。

 

3.なぜ歌会に参加することを勧めるのか〈前〉

 ぼくがなぜ歌会に参加することを人に勧めるのか、というとこの辺がひとつ目の理由です。どういうことかというと、歌の評の仕方というのは非常に説明しにくいということ。
 なんとなくある程度のルールはあるのだけれどちゃんと明言されていないルールのようなものが短歌にはたくさんあります。そのあたり本で補ってもいいのだけれど、本だとかえって基本的なことへの言及がなかったりします、それがあたりまえ過ぎて。
 加えて、評の仕方は本当に人それぞれです。長く続いている歌会だとその歌会にも評の仕方の色が出てきます。この辺の空気を活字にするのが、とにもかくにも難しい。
 というわけで、歌会に思い切って参加しちゃうのがいちばん早いし、わかりやすいのです。

 

4.はじめての人はなにを言えばいいのか

とはいえ、歌会に参加して、まったくの無言では帰らせてはくれないでしょう。たぶん話をふられるタイミングがあると思います。じゃあ、はじめて参加した歌会でなにを言えばいいのか。
 ぼくはとにかく何でもいいから一生懸命話せばそれでいいと思います。伝わる伝わらないは一旦おいて、グダグダでもとにかく何か喋ることをお勧めします。明瞭に語ることだけがすべてではないので。
 何も言葉が出ないなら「この歌が好きだと思いました」くらいでもいいと思います。歌の意味がわからないときは素直に「わかりませんでした」と言っても構わないです(というか意味がわからない歌も実際にたくさんあります)。
 強いて言うと、理由をちゃんと言うことが大事だと思います。「好きな理由」とか「わからない理由」とかをちゃんと説明できれば、それで立派な評です。
 とはいえ、最初から上手にできるひとはいないのでとりあえず気楽にいきましょう。「歌会はじめてです」と言えば、みんなちゃんとフォローしてくれます。

 

5.自分の歌が評されているときはどうするか

当然、自分の歌が評される場面もあります。そのときにどんな感じでいればいいかで少し悩むかもしれません。
 基本的に、自分の歌が評されているときには黙っていればいいかと思います。司会のひともその点は配慮して、そーっとしておいてくれるので安心してください。
 なので、自分の歌に対する意見を集中して聞きましょう。とても勉強になります。

 

6.歌会のおわりかたはどんな感じか

 すべての歌を取り扱ったあとには「解題」に移ります。「解題」では歌の作者が誰だったかを発表していきます。作者発表の際には一言求められることが多いです。自分の出した歌のちょっとした説明だったり、その日の歌会の感想だったりを話すのが一般的かと思いますが、何も言わない人は何もいいません。
 これにて歌会はおしまいです。

 

7.歌会のあとはどうするか

 歌会のあとには懇親会とか称して飲みに行くパターンが多いです。時間と財布に余裕があるなら参加してみましょう。
 コミュニケーションが苦手という人もあまり気にしなくて大丈夫です。短歌をやっている人でコミュニケーションが得意な人は珍しいです。みんなコミュニケーションが苦手なのです。だから気楽にいきましょう。
 困ったらとりあえず、その日の歌稿のなかでいちばん好きだった歌の作者にそのことを伝えにいけばいいと思います。
 集まっているのは短歌のひとたちなので短歌の話をすることも多いですが、別に短歌と関係のない話もたくさんします。要するに飲み会です。
 家に帰るまでが歌会です。飲み過ぎずに楽しい気持ちで帰りましょう。

 

8.どうやって参加するのか

 まずは地元でどんな歌会が開かれているのかインターネットで調べてみましょう。
 最近はブログやツイッターなどで告知してひとを集めていることが多いです。そういった歌会は初心者歓迎を謳っていることが多いのでオススメです。参加条件も特にありません。いちばん敷居が低いと思います。

 学生であれば学生短歌会の歌会もあります。学生短歌会はその大学に所属していなくても参加できることが多いです。ぼくも北海道大学短歌会所属ですが、北海道大学の学生ではありません。
 あとは結社の歌会というのもありますが、いまのところ僕は参加したことがないので割愛します。

 

9.自由詠、題詠、テーマ詠とはなにか

 歌会の要項を見ると「詠草」のところに「自由詠一首」とか「題詠~~」とか書いてあると思います。その説明をちょっとしましょう。
「自由詠」とは文字通り自由につくってオッケーです。説明おわり。
「題詠」の場合は基本的に「詠み込み必須」のことが多いです。「詠み込み必須」とは「題詠の言葉を必ず短歌の中に入れなくちゃいけない」というやつです。題詠「足」なら歌の中に「足」という語を入れなくちゃいけません。「足」が入っていればいいので「充足感」とかいう語でも大丈夫です。
 対して「テーマ詠」は詠み込みが必須ではありません。テーマがそれなら大丈夫です。テーマ詠「足」なら「靴の中が痛いなー」みたいな歌でもオッケーです。
「題詠」と「テーマ詠」はちょっと曖昧で、混同して使っている人もいます。
というわけなので、とにかくわからないことがあれば、とりあえずは問い合わせてみるのがいちばんだと思います。困ったら相談。そのときには歌会が初めてであるという旨も伝えておくといいでしょう。色々と丁寧に教えてくれると思います。

 

10.なぜ歌会に参加することを勧めるのか〈後〉

 じゃあ、なぜぼくはこんなにも歌会に参加することをひとに勧めるのか。
 ぼくが思うに、歌会というのは短歌というコミュニティの入り口であって、そして言葉に対する興味が少しでもあれば、短歌というコミュニティに居続けることを許されるからです。人は所属するコミュニティがあれば死ににくい。短歌は所属のハードルがそんなに高くないと思います。
 だからぼくは、なんかどうしようもなくなっちゃった人にぷらーっと歌会にきてほしいなー、とよく思います。とりあえずなんでもいいから一首つくってとりあえず参加してくれたら嬉しい。あとはそこでどんな人に出会うか。それは運なので保証できませんが、まぁ、いい出会いが待っていると思います。

 
11.どんな歌会があるのか 

ということで、ぼくがよく参加している歌会についてちょっとだけお話します。
 北海道の学生の方はぼくが所属している「北海道大学短歌会」というものがあります。学生であれば参加可能です。高校生も参加しています。実は社会人もいます。
 北海道にいるけれど学生じゃない方は「らっこ歌会」というのがあります。参加条件は特にありません。ぼくがはじめて参加したのがこのらっこ歌会でした。
 加えて、個人的に「石井は生きている歌会」というのを津々浦々で不定期に開催しています。次回の開催は広島と岡山です。こちらもよろしくお願いします。
 どの歌会も初心者歓迎です。歌会でお会いしましょう。
<2018年2月25日追記>
 埼玉に引っ越しました。現在は東京都北区北赤羽にて「北赤羽歌会」というものを毎月開催しています(概ね20日前後あたりの平日に開催。月の半ばくらいにツイッターで募集。ツイッター@is_hi_iで情報ばらまきます)。「石井は生きている歌会」は引き続き不定期に開催しています。

 
12.10月13日追記
どんな歌会があるのかインターネットで調べてみましょう」と言ったのだけれど、実際に調べてみると誰でも気楽に参加できるような歌会というのはなかなか少ないようです。
 学生短歌会はどこもわりと敷居が低いと思うのですが、学生でなかったりある程度の年齢を越えてしまうと、参加の可否が怪しいですし、参加が可能だとしてもちょっと気後れするところがあるかなー、と思います。
 すると結社の歌会に参加するのが無難ですが、これについてはかなり環境が閉じています。ネット上に簡単な開催要項は示されていますが、場所と開催日くらいのシンプルなもので詳細がよくわかりません。よって、歌会に参加するには一度こちらから問い合わせをしてみる必要があります。ぼくなんかが思うにそのハードルが結構高いような気がするのだけれど、もう仕方がないです。勇気を出して問い合わせてみましょう。
 それでも駄目なひとはぼくにでも相談してください。歌会に参加できるように
可能な限り取次しますので。

 
  


(注1) 「詠草」はようするには短歌のことです。歌会で短歌を集めるときに使う言葉です。むしろそのときくらいしか使わない言葉のような気がします。なんだろう。
(注2)「無記名式」といいます。「記名式」といって作者の名前を記して、歌の作者が誰かわかった状態で歌会をする場合もありますが、ぼくはまだその形式に遭遇したことがないです。
(注3) 歌の数にもよりますが、3首くらい選ぶのがベーシックかと思います。ちなみにぼくの所属する北海道大学短歌会では特選・並選・逆選の3種類の選び方をしますが、これはわりと珍しいやり方だそうです。
(注4) ちなみに歌の数は6首~16首くらい、時間は2時間~4時間くらいがよくありそうな感じかな、と思います。