なんとも言えぬ読後感に浸れる本。決してポジティブなものではないです。

 主人公は東北の大地主で父が議員という裕福な家庭に生まれたものの、人に嫌われるのが怖く、幼少の頃から正直に物言いできず、ピエロさえ演じる孤独感漂う男。その鬱屈した感情が上京をきっかけに顕になり、荒廃していく、というストーリー。まんがだとサクっと読めて良いですね。

主人公は酒、タバコ、女、薬…と溺れていく訳ですが、読みながら「あぁこんなヤツ周りにいるな」と感じてしまうのは僕だけではないはず。主人公のクソっぷりには呆れ返るばかりですが、その位のリアリティはあって、たぶん全ての元凶は「孤独感」なんだと思う。孤独感故の寂しさ、甘え…みたいな。

 現代だと「うつ」という言葉で片付けてしまうのかはわかりませんが、そんな病気というレベルではなくて、感情を抑圧する環境だったり、過剰な自制心だったり余計な射幸心だったり、そんな気の持ちよう一つに人間の行動は操作されてしまうし、腐っていくんだなぁ、とフィクションながら思ってしまう一冊。

 映画化もされてます。