2016年03月24日

弱虫時計と君だけの神様 ☆立ち読み☆

君だけの神様・1



薄暗い部屋に首のない紫色の背中の群れ。

遠藤泰夫が手繰り寄せることのできる最古の記憶は自分の家のものではなかった。

三十畳はあるだろうという、だだっ広い畳の部屋。真新しい畳ではないので、特有の爽快な香りは一切存在せず、鼻につく線香のような香りが煙を帯びて漂っているだけだ。

そこにびっしり詰まった大人の背中。大人たちは皆、同様に仕立てられた紫色のシャツを身に着けていた。彼らが一様に下を向き、手を合わせ拝んでいたため、一番後ろに座る泰夫からは首のない紫色の背中の群れに見えたのだ。

自分の体を確認すると、泰夫もまた一回り小さい同じものを着ていた。さらに耳には聞こえるか聞こえないかの音量の重低音がねっとりと絡み付いて、紫色の首のない背中とそれとが混ざり合い、最古の記憶は酷く不愉快で、最高に居心地の悪いものだった。

畳の先は一段高い板の間になっていて、おんぼろの壁を隠すためか奥の壁には厚手のふわふわした白いカーテンが掛かっている。

そこにこちらを向いて背筋を伸ばした中肉中背の男が胡坐をかいて座っていた。目玉だけをギョロギョロと動かし、首のない群れを観察している。男もまた麻でできた紫色のシャツとズボンを身につけていた。顔は満員電車内で探せば似た人間が一両に五、六人はいそうな、取り立てて特徴のない顔。しかし、首のない背中共の拝みは彼に対してのものなのだろうということはわかった。

泰夫だけが拝んでいなかったので、その男と目が合ってしまった。暫く目があうと、目を合わせた男が口の中で舌打ちをしたのがわかった。隣からドンッと肘うちをされる。見るとそれは泰夫の母親の仕業だった。母親は肘を打ちつけたのにも関わらず、こちらを一切見ずにやはり彼を拝み続けていた。
泰夫は“ああ、自分も同じようにしなければならないのだろうな”と思った。なぜ? とは一切考えなかった。ただ“自分も同じようにしなければならないのだろうな”ということだけはわかった。見よう見まねで泰夫も拝むフリをした。腹が減ったな、と思っていた。

板の間の男は泰夫が拝んだのを確認すると抑揚のない声で話し始めた。

「……過去は全て許そう。今、この瞬間、お前の罪は消え去った。今、この瞬間、私のこの声によりお前の過去の全ての罪が消え去った。お前の犯した罪は私が代わりに受け止めよう」

腹が減っているだけでなく、頭に物理的な重さを感じるほどの眠気もあった。ただ、眠くても寝てはならないのだろうということはわかっていた。皆がそうしているからだ。

「我が子よ。いまやお前の中には一変の穢れも存在しえない。これからは精進し、穢れなき魂でいなさい。穢れなき思想でいなさい。穢れなき身体でいなさい。心配はいらない。私が導こう!」

抑揚のなかった声が急にトーンアップする。眠気覚ましにはちょうどいいかもしれないと少し嬉しく思った。 

「さすれば死してもなお、その魂、思想、身体は生き続けるだろう! そして、我が導きどおり、再会の実、食せれば、その魂は! その思想は! その身体は! 復活することができるだろう! 疑うな! 信じるのだ! さすれば、朽ちることなく、病むことなく、永遠の安息がお前を包み、放すことはないだろう!」

板の間の男は目を見開き、声を荒げる。すると、部屋のあちこちからすすり泣くような声が聞こえてきた。

一拍おいて男は優しく「さあ、顔をあげてごらんなさい」と微笑んだ。

その声で紫色の背中にニョキニョキと首が生えてきた。ああ、自分もそうしなければならないのだな、と察し顔を上げた。

板の間の男はにこりと微笑んでいた。その笑顔はアスファルトにこびりついたチューインガムのように、べっとりと張り付けているように感じた。

「あなたたちにはもう何の罪もありません」

その声には慈愛が張り付いていた。

すすり泣く声は大きさを増し、まるで大合唱に様変わりしていた。

「大丈夫。私があなたたちを救います。必ず生まれ変わることができます。生まれ変わったあなたたちにはカルマなどないのです」

そう言うと男は胡坐をかいたまま、スーッと浮き上がった。泣き声の大合唱は歓声に変わった。白崎様、白崎様、白崎業行様、それが彼の名前なのだと初めて知った。

男は宙に浮いたまま両手をかざす。すると、そこから光の線が現れた。歓声は最高潮に達した。感動の涙に濡れた「白崎様」という声が古い家屋に割れんばかりに響き渡る。

泰夫にはその感性が五月蠅い蛙の合唱のようにしか聞こえず、相変わらず“お腹が空いたな”と思っていた。なにしろ、この屋敷に来てから泰夫は五日もろくな食事を取っていないのだ。ふと母親を見ると、彼女も「白崎様、私を許してくれてありがとうございます」と泣いていた。その表情を見ると一瞬悲しい気持ちになったが、すぐに母親もゲロゲロ言っている蛙に見えてきて、と嫌悪感に変わった。
皆、腹が減って、眠いくらいで、どうしてこんなことになってしまうのだろう?

泰夫、最古の疑問だった。白崎と名乗る男の後ろのふわふわのカーテンの隙間から飛び出るフォークリフトの先のような鉄の板に何の疑問も持たないのだろうか? 光線が手の平でなく、後ろのカーテンの穴から放たれているのがわからないのだろうか? そして、そんなことをする奴が本当のことを言っていると思うのだろうか? ましてや救ってくれると本気で信じているのだろうか? しかし、泰夫は、ああ、自分も同じようにしなければいけないのだろう、と「しらさきさま」と大声で泣いてみた。
暫くすると、カーテンの奥から数人のこれまた紫色の服を身に纏った男女が現れ、泣き崩れる皆に豪華な食事を持ってきた。いや、実際は決して豪華ではない。しかし、五日間の空腹のせいで、ただ単に十分な量である、というだけでそう見えたのだ。

なぜか、皆は彼らにも手を合わせていた。確かに泰夫から見ても不思議なことに食事を運んできた男女のほうが、もらっている誰よりも偉い存在に見えた。しかし、それが作為的なものだということにも気付いた。五歳の泰夫は、今ここに上下関係を成立させることを目的としてこの五日間の全てがあったのだということを、環境、状況、周りの人間の表情等から導き出したのだ。それでも泰夫も皆と同じように手を合わせ、泣いてお礼を言って食べた。正直、たいして美味くなかった。

この一連が遠藤泰夫、最古の記憶だ。

そして、泰夫には五歳にして人生の指針となる言葉ができていた。何かに躓いたり、迷ったりしたときにはいつでもその言葉を思い出し、実践した。

“自分も同じようにしなければならない”

指針となる言葉は最古の記憶内のそれだった。それは魔法のような言葉で、泰夫がまだ子供だったことも少なからず関係したのは確かではあるが、その魔法を頭の中で唱え、実践すると、不思議なほどスムーズにどんな困難な状況も乗り切ることが出来た。特に、泰夫が少年時代から青年期を過ごした特殊な環境ではその魔法の言葉の効果は顕著に現れた。たとえば多数の誰かたちが、個人を褒め称えているときは、同じようにそうすると聡明な子だね、なんて褒められた。たとえば、多数の誰かたちが一方的に誰かを攻撃しているときに同じようにすると、この子はすでに仲間だ、なんて抱きしめられた。

泰夫が五歳のときに母親に連れられてきた最古の記憶の場所は東京都の本州唯一の村である桧原村にある「復活の光」と名乗る団体が管理する大きな一軒屋だった。その周囲にはまた大きな家々があり小さな集落になっている。その集落全てが復活の光の管理する物件で、そこに住むものはそこを“復活の光・東京支部”と呼んでいた。

復活の光とは、泰夫が五歳の当時には、まだ正式に宗教法人となってはいないものの、代表の白崎業行を神として崇める明らかに宗教色の強い団体であった。本部は山梨にあり、そして埼玉県北部、東京都桧原村と合計三つの集落を作り、管理、運営していた。どの集落でも、その敷地内に住むものは皆、皆紫色の服に身を包み、農業をしながら家畜を飼い、魚を釣り、小さな規模ながら出来る限り自給自足で生活していた。もちろん大規模な集落ではないので、生活の全てをその中で行えるわけではなく、必要最低限の電化製品や、食材などは買出しをし、そのお金や数少ない子供らが学校に通うための出費は復活の光本部からの仕送りで賄っていた。もちろん、それはそこで暮らすものたちのそれ以前の財産ではあるが。

東京支部もその例外ではなく、出来うる限り、自給自足で生活を営んでいた。これだけを聞けば、復活の光は全うな宗教団体と思える。しかし、世間は彼らを嘲笑のそして少々の恐怖の対象として捉えていた。復活の光がそういった奇異な目で見られた最たる点はその得意な格好でも、ましてやライフスタイルでもなかった。

それは入るための資格だ。

復活の光のホームページを開くと、トップページにこう書かれている。

「あなたは今現在死にたいですか? Yes or no」

そしてYesをクリックすると次はこう表記されるページに飛ばされる。

「しかし、それでも死にきれないですか? Yes or no」

そこで再度Yesをクリックすると、ようやくその概要が知れるページに辿り着くのだ。恐らく他の宗教団体ではこういった明らかな不の要素での勧誘は行われていないだろう。意味は同じでも「あなたは幸せになりたいですか?」といったようなニュアンスのものがほとんどのはずだ。しかし、復活の光は違った。“死にたいもの”であり、そして“死にきれないもの”でなければならないのだ。代表の白崎業行がなぜそういった理由で、そういった者たちを集めたのかはこの後、起こった大きな事件を経ても解明できなかったが、彼はともかくその理由で信者を募った。

例にもれず泰夫の母親も、死にたくても死にきれず桧原村へやってきた一人であった。

理由は泰夫の父親の浮気の果ての心中。

夫の愛人との心中がきっかけで泰夫と共に死のうと決意したが、橋の欄干に手をかけたときに“夫とその愛人と同じところにいくことになってしまう”と気づいたのだ。そして、死後の世界があると仮定するならば、夫は遺書どおり死後の世界で愛人と仲睦ましく生活しているはずだった。そこでも泰夫の母親は親一人子一人で生活しなければならない。つまり、死にたくても死にきれなかったのだ。

泰夫は五歳にして死にたくても死にきれない母親のその原因との子供として、死にたくても死にきれないものたちと共同生活を送ることとなった。集落の中の住人の数は決して多くはなかったが、入れ替わり立ち代りで常に五十人以上で暮らしていた。子供は泰夫を含め、数人しかいなかったため、そこの大人は皆、泰夫に対し優しかった。取れた野菜や、釣った魚を皆で調理しながら暮らしていくのも悪くなかった。なにより、母親のヒステリーが少しずつ治まっていったのが嬉しかった。さらに、母親に対しても周りの皆と同じように接すれば不思議なくらいその関係は良好なものになった。

幼稚園には通わなかったが、義務教育は受けなければならない。桧原村の小学校と中学校は同じ敷地内にあったので、東京支部の管理する唯一の自動車で集落の子供皆で通った。学校では授業中以外は教団の子供らで集まるか、一人で図書室に篭った。たくさんの本を読んだが、泰夫が一番多く手に取った本は辞書だった。一行読むたびに自分の脳みそにしわが増えていく感覚が気に入っていた。他の行為と比べて、というだけではあったが。

学校から帰ると、復活の光の教えを学んだ。それはチベットの神様の話を、コピー用紙をホッチキスで止めた簡易な教科書を用いて学ぶものだったり、明らかに手書きのものをコピーしただけのものを“真理”という教科として学ぶものであったりした。そして、手書きのものの大半は死んだらいけないだとか、そういった道徳的なものではなく、どうしたら一度死んで、まっさらな状態で復活できるか、といったおよそ常識とは思えないような話が図解で載っていた。中には座禅を組んだり、冬の川に入ったりするような肉体的な授業もあった。そして、月日を追うごとに肉体的な授業は増えていき、その全てが修行と呼ばれるようになった。さらに修行をこなしていくごとに少しずつ“位”があがるシステムが出来上がり、より宗教色が強くなっていった。

――まるでカルト教団みたいだ――

十二歳にして泰夫はそう感じていた。ちなみに“カルト”という言葉は辞書で得たしわの一本だ。そう、泰夫は幼少期からこのような環境で厳しい修行を強いられていたのにも関わらず全く洗脳、及びマインドコントロールされていなかったのだ。たとえば復活の光から逃げ出そうとしたものを粛清として、皆で折檻する場面においても“くだらない。どちらも頭が悪すぎる”と心から思っていた。もちろん“自分も同じようにしなければならない”という指針のもとで、その折檻に加わりながら。

自分でも、洗脳されていない理由がわからなかtt。宗教色が強くなる前から在籍していたことが要因だ、と言うには、周りの子供たちが完全にこのカルトの“信者”と化していたため無理があった。おそらく理由は何冊もの辞書を丸暗記するほど読んだことと、魔法の言葉の“せい”で全てをどこか俯瞰で見ていたからだろうと、自己分析し、少し悲しく思っていた。悲しい理由は、皆と同じでないからだ。
中学校を卒業すると、泰夫は集落から一切出ることなく過ごすことになった。その生活の中で主に行うことは自給自足と、泰夫より年若いものたちへの教育だった。

そして、泰夫が十七歳になったその日、復活の光は正式に新興宗教になった。

その頃には泰夫は“位”が集落で五本の指に入るほど高くなっていた。それは畳の部屋で板の間に座れるほど高い位であり、泰夫はいつも、自分を必死に拝む母親を見ながら「俺も早くコイツみたいに狂ってしまいたい」と羨ましく思っていた。

ある日、気付くと視界から色が消え去っていた。

右を見ても、左を見てもモノクロの世界しか広がっていなかったのだ。しかし、泰夫に落胆はなかった。

“よかった。もうすぐ狂える”

狂ってしまうのを心待ちにしながら十七歳を終えた。


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2016年03月21日

弱虫時計と君だけの神様 ☆立ち読み◆

第一章

弱虫時計・1
 
汗と煙草とアルコールの匂い。薄暗い箱の中に赤や青のチープなライト。

髪の毛を金髪に染めた俺は細身のジーンズで上半身は裸。

小さなライブハウス。客席にはそれなりの人数。

ベースが走り、ドラムが跳ねる。ステージの真ん中の俺はギターをうならせ、マイクに噛り付き、世の中に対する不満をぶちまける。時には酔っ払った客と大喧嘩。立ち入り禁止のライブハウスと同時に俺たちに勲章が増えていった。

ライブ後は打ち上げと称してナンパ。お持ち帰り。彼女にバレて平謝り。

しかし、こりもせずに繰り返す。

そう、ロックンロール!

俺はロックに生きていくと心に決めていた……が、そんな日々も今はもう昔の話。

当時、一番なりたくなかったもの、それはサラリーマンだった。なぜなりたくなかったのだろうか? その明確な理由は思い出せない。もしかしたら理由なんてなかったのかもしれない。ただ当時の俺にはサラリーマンというものがどう見てもかっこ悪くしか見えなかったのは覚えている。

Q・今の俺の職業は何か?
A・ザ・サラリーマン。

来る日も来る日も上司の指示通りのエリアの会社にランダムで飛び込み、ヘコヘコと頭を下げているザ・サラリーマン。事務用品を買ってください、なんて名刺を渡すのもお手の物。もちろん大半は無碍にされるが、へこたれてなんていられない。逆に会社にいるときには、社員旅行にこんなプランはいかがですか? なんて頭を下げられ、無碍にたりするのだから、世の中はお互いさまなのだ。
昨日も一昨日も明日も明後日もそんなことの繰り返し。もちろん細かく言うと他にもたくさんあるが、まあ、ともかく繰り返しだということは間違いない。

月曜日から毎朝通勤電車に揺られ、金曜日。

仕事帰りに同僚と酒を飲み、上司や先輩、会社の愚痴をこぼす。それは金髪にしていた当時、世界で最も醜いと感じていた光景だった。向上心の欠片もない言い訳じみた無意味な愚痴では何も解決しないはずだし、なによりダサい。しかし、今では俺自身が世界で一番醜かったはずの光景の一部になっていて、あまつさえ、それが一番の楽しみになっている。さらに言ってしまえば醜いはずだったその行為が日々を乗り越えるためのカンフル剤にすらなっていて、明日もがんばろう! なんて思えるから不思議でならない。

……そうなのだ。
サラリーマンもなったらなったで、なかなかどうしてこれがそこまで最悪でなかったのだ。
時折、なんのために頑張っているのか? なんていつぞやの歌謡曲のような気持ちにならないわけではないが、最近、ようやくそれにも答えができた。家族のためさ。これまた歌謡曲のフレーズ通りで参るが、本心だからしかたない。

『京市、私ね……』

数ヶ月前のある日、俺の部屋で敦子が不安で泣きそうなのか、嬉しくて噴出してしまうのを我慢しているのか、まったく判別つきにくい顔で話し出し、すぐに言葉を止めた。嘘だろ? という気持ちも確かにあったが、思い当たる節がないわけではなかった。

『……できちゃったみたいなの』

俺は咄嗟に笑顔を作った。その笑顔は上手にできたとは言い難かったが、赤ちゃんは本当にできた。

『そっか。じゃあ結婚しよう』

おそらくは自然に言えたと思う。

ロックだの、自由だの、大人は汚いだの、そんなモラトリアムだとか言われるモノから足を洗ったのはそれきっかけだった。

正直、三十歳がすぐそこまで迫っていたし「年だな」なんて気持ちがなかったといったら嘘になる。安定を選んだ俺が、当時の仲間から“逃げだした”と見られていたのは感じていたし、自分自身でもその認識はあった。しかし、その後、ブームのようにほとんどの仲間が足を洗い出したのは、きっと似たり寄ったりの理由だったのだと思う。バンドってものは、上手くなればなるほど上に行けばいくほど、自分の限界を突きつけられ、才能の無さを思い知らされるシステムになっていて、好きだけで続けていけるほど時間はゆったりとは流れていなかった。

だからこそ、嬉しかったのか、悲しかったのか、どちらかわからないが、敦子の妊娠はある意味では俺を安心させてくれたのは事実だった。

革ジャンを脱ぎ捨てた俺はスーツを身にまとった。別に働くところはどこでもよかったのだが、敦子はスーツを着ている旦那を送り出す主婦に憧れていたようだったので、業務内容なんてものは気にせず、そこを一番意識して仕事を選んだ。

ニュースでは不況だとか言っているが選ばなければ仕事はいくらでもあった。なので、比較的あっさりと仕事は決まった。

長かった金髪も黒くして、耳の上でそろえた。美容室の鏡に映る自分が情けなく感じたが、今ではそんな自分にもすっかり慣れた。もちろん大会社ではないので安月給だ。社長の口癖は「どこかに景気のよい話はないのか?」なんてもの。結局は安定なんて言葉とは無縁だったが、今のところなんとか生きていけている。

若いころ、社会に溶け込めるはずなんてない、と思っていた俺は、意外にもすんなり、それはもうピタッとはまるように社会人になることに成功してしまった。実際はまだ働きはじめて一年も経たないのだが、本当にバンドマン時代が遥か過去のことに感じてしまう。

敦子の大きく張り出たおなかを撫でていると、この先、何があろうとも、どこかしらで働いて、休みは敦子と買い物でもしたり、子供と喧嘩したりと、そんな風に生きていくのだろうな、ということは容易に想像できた。こいつが生まれ、そして成長していくのと同時に俺は老け込んでいくのだろう。そんな悲しいことが微笑ましく思えるから不思議でならない。

夜七時。仕事帰り。踏み切りの事故の影響で電車は満員。

目の先二センチの距離には酔っ払ったおっさんのどアップ。ピタッとはまるように社会人になることに成功したのだが、満員電車だけは慣れることができなかった。他人と距離が明らかに近すぎる。にも関わらず、不潔感丸出しのおっさんや、死体でも家にあるのか? と疑いたくなるくらい必要以上に香水を振り掛けたおばさんなどが、なんの審査もなく乗り込めるのだから困ったものだ。もちろん可愛らしい学生や、綺麗なOLだったら良いかというと、それはそれでなんだか変な勘違いをされやしないかと不安になる……なんてことを考えていると最寄り駅であるJR福生駅に着いていた。

電車から一歩足を踏み出すと、外の冷気が体を包み込んだ。満員電車のむわっとした生温さよりはずっとマシだが家に着くまでには体は冷え切ってしまうだろう。そろそろスーツの上に羽織るコートが必要になってきそうだ。安いコートでも買おうか……なんだかこうやっておじさんになっていくのだな、と多少嫌な気分にはなったが、寒さには勝てないだろう。

改札を抜けると駅構内を抜けて吹く風にさらに体温を奪われる。実際のところどうかはわからないが、福生市は東京とはいっても西多摩という田舎に区分される僻地なので会社のある新宿から帰ってくると2、3度ほど体感温度が低い気がする。それでも天気予報では同じ“東京”で見るのでいつもどこか腑に落ちない。

福生駅からは歩いて十分ちょっとで自宅のアパートへたどり着く。本来ならば東口から出るのだが、今日は100円ショップで買い物をするために西口へ足を進めた。仕事がトラブったせいで疲れていたし、満員電車のおっさんの顔のアップでさらに体力を奪われていたので、できることなら買い物なんて明日にしてしまいたかったのだが、家には誰もいないので仕方がない。レンジでチンするご飯と紙皿を買うのだ。ちなみに紙皿は洗い物が苦手な俺の暮らしの知恵……というか極端な面倒くさがりの俺の最終手段だった。昔はそんなことなかったのだが、今はもう敦子がいないと身の回りのことを何一つまともにできなくなってしまっていた。

敦子と一緒に住み始めて半年、俺はまた一人暮らしに戻っていた。いや、何もワイシャツの口紅が見つかったわけでも、香水の匂いを怪しまれたわけでもない。そもそも浮気なんてしていない。ただ単に、出産が近づいた敦子が名古屋の実家に一時帰っているだけだ。彼女の両親たっての希望で敦子は実家で出産することとなったのだ。仕事を始めたばかりだったこともあり、大きな休みを申請することも気が引けたので、立ち会うことは諦めた。もちろん、生まれてくる子供にすぐに会いたいな、なんてことは人並みには思ったし、敦子を心配な気持ちがないわけではない。ただ、立会い出産に対して、一人っ子の敦子を大切に育ててきた彼女の両親の頼みを断るほどの拘りはなかった。敦子自身は多少淋しそうではあったが。

ホームの階段を降り始めたとき、スーツの内ポケットが震えた。携帯電話を取り出し、確認すると“京市ぃ、淋しいよぉ!”なんて涙の絵文字をふんだんにあしらったメールがちょうど入ってきていた。俺の仕事が終わり、駅に着く時間を見計らってのメールだろう。

“俺も会いたい。でもちょっと我慢だ!”なんてメールを作りながら、ホームの階段を下り、100円ショップに向おうと思った瞬間だった。

悪寒が走った。

視線だ……誰かに見られているような気がした。いや、そんな生易しいものじゃない。鳥肌が立つほどの鋭い視線を感じたのだ。慌ててその方向へ振り向くが、その先にはホームの出口に隣接している交番があるだけだった。別に警察官が俺を訝しげな目で見ていたわけでもなく、かといって他に誰かがいたわけでもなかった。

視線を感じた先には掲示板があった。

溜息が漏れた。

視線の正体に気付くと心底情けなくなった。何しろ、よくある逃亡犯や、行方不明者の顔写真付きの張り紙の顔の視線を感じてビビッていただけだったのだから。

……疲れきっているのかもしれない。

ただ、慌てて振り向いた手前、目の前の警察官には怪しく映るかもしれないと、そのまま何気なく交番に近寄り、その張り紙が張ってある掲示板をじっくり見ることにした。見覚えのある顔が! という表情を浮かべ、迫真の演技で無駄な時間を作り出す。まったく一秒でも早く家に帰ってスーツを脱ぎたいというのに……そういえばこんなものじっくりと見たことなかった。看板には凶悪犯逃亡中だの、おばあちゃんが帰ってきていませんだの、そんな張り紙が写真付きで安っぽい紙に印刷されている。挙句、大きさや写真の載せ方が単一過ぎて、本当に探す気なんてないんじゃないかと疑ってしまう。正直、電柱なんかによく張ってある迷い犬の張り紙のほうがよっぽど印象に残る気がした。雑な仕事してやがるくせに一時不停止や、10キロオーバーなんてものは丁寧すぎるほど取り締まったりしているから評判が悪くなるんだよ、警察は! なんて無責任なことを考えながら、一番右側にある行方不明の写真に目を向けた。

その瞬間だった。

あまりの衝撃で心臓が本当に一瞬止まった。もしかしたら昔の不良ギャグ漫画みたいに目だってびょーんと飛び出してしまっているかもしれない。先ほど感じた鳥肌が立つほどの視線の本当の正体はこれだった。

行方不明者の張り紙に見覚えがある顔があったのだ。今回は演技じゃない。これが演技だとしたらハリウッドスターにだってなれる。写真の下に記載してある名前を確認する。そして、もう一度顔写真に目を向ける。間違いない。

 ……梢だ。
 
福生市内にある七福神を祭った神社。熊川神社。

二月の深夜で、しかも綿のような雪がハラハラと舞っている。

厚手の衣服で隠れていない頬だけがピリピリと寒さを訴えてきていた。何を話していいかわからない俺はポケットに手を突っ込んで、梢と二人、

その細い石畳の道をゆっくりと歩く。雪が降り始めてからまだ誰も歩いていない石畳は歩くたびにシャクシャクと小気味のいい音を立てた。


真っ赤な鳥居をくぐり、境内の前まで来ると自然と足が止まった。

振り返ると、真っ赤な鳥居に四角く切り取れた世界にハラハラと舞う雪と銀色に輝く石畳、その上にはまっすぐ並んだ俺と梢の足跡だけが描かれていた。

「梢、見てごらん」

「すごく綺麗だね」

梢が俺を見上げて言う。そんなことはないのだが、なぜだか久しぶりに目が合ったような気がした。すると、すぐに梢が俯いた。

「……あのね、深津さん」

梢が何を言いたいかはわかっていた。ただ、俺も一応男なので、梢に言わせるくらいなら自分で言ったほうがいいだろうと思い、次の言葉を待たずに抱き寄せた。

「俺は梢が好きだ。なぁ、よかったら付き合ってくれないか?」

150cmあるかないかの梢は俺の胸に顔を当てて頷いた。

「なぁ?」と俺は声をかける。「なあに?」と梢は顔を上げた。

そして初めて梢とキスをした。

唇を離すと、梢はニンマリと笑い「超嬉しいぃぃ」なんて言いながら体内から這い出ようとする幸福感を押さえ込むように体をグニグニと動かす。俺のキスで喜ぶ梢が心の底から愛しいと感じた。

「ねぇ、深津さん。もう一回好きって言って!」

「さっき言ったし、なんか恥ずかしいから嫌だよ」

「駄目。超駄目。言ってくんなきゃ別れる」

「もう? 早くない? 付き合ってまだ三分くらいだぞ?」

「なら早く言いなさい!」

 観念した俺はもう一度梢を抱きしめてから「大好きだよ」と言った。もっと気の利いたことを言いたかったが、この言葉だけで全てが詰まっていると思った……なんて言い訳かな? なにしろ抱きしめたのは顔を見ながら言うのが恥ずかしかったからなのだ。梢はまた体を捻らせながら「くぅ〜、幸せだぁー!」と胸に顔を埋めてきた。たまらなくなった俺は無理やり顔を上げさせ、もう一度キスをした。

七つも年の離れた梢。まさかこんなに梢が愛しくなるとは。

目が合うと梢は照れくささを隠すように、慌てて鳥居に切り取られた世界を指差した。

「なんだかさ、雪のせいだろうけど、世界が光っているように見えるね。もしかしたら、お二人さんおめでとー、って誰かがライトアップしてくれているのかも、なんてね。えへへ」

見上げて笑う梢の口の中に綿のような雪が入ると「冷たいっ」とさらに大きな声で笑った。雪は梢の黒髪にも薄っすらとかかり、その笑顔もキラキラ輝く世界の一部のようで俺の胸は最高潮に高鳴っていた。

記憶が夏の雨のように唐突に蘇ってきた。いや、蘇ってきたというよりも、まるで自分自身が一気に過去に吹っ飛ばされたような感覚に近い。鮮明に雪の冷たさや、境内の匂いを感じたのだ。梢の暖かい感触までもが、たった今まで腕の中にあったかのような錯覚に陥ってしまうほどだった。

……何で俺は梢をあんな目に合わせてしまったのだろうか? 五年前の最低でクズで馬鹿野郎な自分を思い出すと、意識もせずに大きなため息をついてしまう。その吐息を契機に呼吸を忘れていたことに気がついた。一時停止していた心臓もようやく動き始め、その反動で起こった体内の酸素不足を取り戻すかのごとく、鼓動は激しさを増していく。しかし、それでも失った分の酸素を取り戻すにはまだまだ時間が掛かるようで、激しい呼吸も、胸が張り裂けるほどの鼓動も収まる気配がなかった。なんとか落ち着こうと目を閉じるが、最悪なことに俺はまたしても過去へと吹っ飛ばされてしまう。目を閉じたせいか、吹っ飛ばされた過去はまたもや暗い夜だった。

実家のすぐ近くにある川沿いの南公園に入る短いトンネルを俺と梢は手を繋いで歩いている。トンネル内のオレンジ色の街灯に照らされた梢はまるで昔の映画の登場人物のようで綺麗だった。
おそらく付き合いだして一週間かそこらの場面だろう。この公園を突っ切るのが俺の家から彼女の家までの近道だった。

「なぁ、梢。見てみな」トンネルを抜けてすぐ俺は夜空を指差した。背の小さな梢はその先を見上げる。

「わぁ! すごーい。プラネタリウムみたい」

星空を模したはずのプラネタリウムを綺麗な星空の代名詞に選ぶ梢のふざけた感性が可愛らしくて仕方がなかった。まあ、言われてみれば確かに街灯の類の一切ないこの公園から見上げる夜空はプラネタリウムさながらだ。俺も梢に合わせて十分ふざけた感性になってしまっているようだ。それが理由になるかはわからないが俺は繋いだ手に力を込めた。

梢はなぜか恥ずかしそうな顔をして言った。

「あのさ、たった今からさ、深津さんのこと“京ちゃん”って呼んでいいかな?」

いつでも天真爛漫な梢が照れるポイントは、いつでも俺をドギマギとさせた。世間一般で“心”なんて言われている部位を、裁縫セットの針置きのように待ち針でチクチクと突かれているようだ。明確な理由もなく嬉しくなった俺は何が何でもたった今、梢とキスがしなければ気がすまなくなった。

「なぁ、梢。ヤバいよ? 今、この瞬間俺たちがキスをしないときっと飢餓で苦しむ子供が増えてしまうような気がするんだ」

「はぁ? 何それ? 素直にキスしたいって言えばいいでしょ?」

「いや、違うんだよ。俺がしたいわけじゃなくてさ、病気の子供を増やすわけにはいかないと思うだけだよ」

必死で笑顔を噛み殺しているのか、梢は不自然なほど口を一文字に結んでいる。そして、無理やり呆れた顔を作った。

「もう、京ちゃんは照れ屋だなぁ。まあ私としても飢餓で苦しむ子供たちをこれ以上この地球上に増やすわけにはいかないとは思うのよね」

俺たちは夜空と冷たい風しかない公園の真ん中で立ち止まりキスをした。

唇を離して顔を確認するとさっきまでの表情が嘘のようにまた照れた顔に戻っている。当然のように力いっぱい抱きしめてしまう。

「俺の夢はね、バンドで成功して、素敵な歌でお金持ちになって、梢を毎日エステに通わせてスリムにすることなんだ」

すると梢は腕の中で「ひっどーい! 私が太っているみたいじゃん。一体私のどこが太っているっていうのよぉ! エステなんて必要ないの!」と言って、自らのわき腹を摘むと「……うーん。やっぱりお願いしようかなぁ」なんてクルクルと表情を変えて話す。俺の心はハリネズミのように無数の待ち針が突き刺さる。

どうしても抱きしめた手を離すことが出来なかったので二十分の帰り道を二時間も掛けてしまった。二月の夜だというのに。

耐え切れず俺はそこで目を開いた。なんとか呼吸は通常にこなせるようになっていたが、鼓動は収まる気配がなく、今にも胸をぶち破って心臓が目の前に飛び出してきそうだ。

……なぁ? 何があったんだよ梢? 行方不明? 失踪? なんだそりゃ?

疑問符だらけの俺に、さらに追い討ちをかけるが如く過去の自分への後悔が酸素の代わりに血液に乗って毛細血管の隅々にまで行き渡り体中を満たす。後悔を伴う黒い疑問符が頭上に飛び出しているような感覚……それがまた重たいのだ。

俺のせいなのか? 俺が馬鹿だったからそんなことになっちまったのか? 俺が君を傷つけたから?

「いや、まさかな。もう五年も前の話だ。関係があるわけない」

希望的観測を口に出して打ち消そうと試みるが、疑問符は黒くて重いまま俺の頭の上から離れることはなかった。そりゃそうだ。だからって俺が良い事をしたわけじゃないのだから。

続きはこちらから。

http://sid-and-nyancy.jimdo.com/novel/


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2016年03月20日

弱虫時計と君だけの神様 ☆立ち読み 

イントロダクション

海の底のように深く暗い夜だった。

漆黒の海を漂う深海魚たちに光が差さないように、その女には希望がなかった。

締め切られたアパートの一室で電気もつけず視線を泳がせている。

小さな息遣いと自らの鼓動の音のみが頭の中に響く。

静けさは体積を持って重たく体に圧し掛かり、海草のようにただゆらゆらと立っているだけで精一杯だった。

どれくらい静寂が続いただろうか。

力なく立ち尽くしている女を痩身の男が後ろから抱きしめた。

「……君が裁かれる必要などどこにもない……君は悪くないのだから」

女はその手のひらをそっと握り返した。

「もう何も言わなくていい。辛いことや悲しいことなんてもう二度と考えなくていい。どんな決断も、君に関わる全ての決断を僕がしてあげるから。たとえばこんなのはどうだい?」

空気の入り込む隙間すら許さぬように男にきつく抱きしめられた。

「……全ては他の誰かが悪いのさ」

全身にナメクジが這ったような悪寒が走った。言葉にではない。耳元で囁かれた、およそまともとは思えない提案を簡単に受け入れそうになってしまう自分を空恐ろしく感じたのだ。
暗闇の中でもポタリと雫が畳に黒く染みこんでいくのが見えた。それを確認して初めて自分が泣いていることを自覚した。雫となって落ちる涙の波紋で感情が激しく揺さぶられる。

「……私……もう嫌だ。人間でいることに疲れた。何も考えたくない。貝殻とか、プラスチックとか、ネックレスのチェーンとかそんなただの物でいたい」

掠れた声でそれだけ言うと、大声で泣きわめいた。男が支えていなければ床をのた打ち回っていただろう。

「大丈夫」男が頬を寄せて囁いた。

「僕なら君をそんな物体のまま幸せにしてあげられる。そもそも、君は全く悪くないのだから。こうなってしまった原因はなんだろう? いつから人生が狂ってしまった? いったい誰が悪いの? いや、考えなくていい。ただ、少しだけ話して。君に全く罪がないことを念頭において過去を振り返ってごらん」

その言葉を聞くと全身の骨を抜かれたようにスルリと男の腕の中から抜け落ち、女は畳の上に崩れ落ちた。

「……あの人が悪いの。あんなに好きだったのに……それなのに私のことを捨てるから……ゴミみたいに捨てるから」

涙に濡れた声は震えている。悲しかったわけではない。全ての事柄の要因を外に作ったことに対する罪悪感で声が震えたのだ。

それが女にとっての最後の罪悪感となった。

女は先ほどの男の提案を受け入れた。全てを誰かの、時代の、外側のせいにして自らの半生を語りだした。それは悲しかったけれど、とても心地の良い時間だった。

話し終えると、またきつく抱きしめられた。

「僕が君を守ってあげる。だから大丈夫」

止め処無く頬を伝う涙をベロリと舐めあげられる。流れる涙の理由はすでに見当がつかなくなっていた。

「愛しているよ……葵さん。僕が君を愛しているから大丈夫。そういえば、悪い奴には罰を受けてもらわなければならないね。心配いらない。その必要があるかないかも僕が決めてあげるから。どちらにせよ簡単なことだ。そいつと同じにすればいいだけなんだ」

口づけを受け入れた女は瞳を閉じることもなく涙を流しながら薄い笑みを浮かべた。その表情からは嫌悪感も快楽も喜びも悲しみも読み取れなかった。全ての要因を外側に作った女の視線は空を彷徨い、もはや何も映らない。

足元に転がる包丁の突き刺さった男の死体すらも。


続きはこちらから。

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ise_vicious at 23:46|PermalinkComments(0)

2016年03月01日

こっち向いて! たっけー☆☆  立ち読み

こっち向いて! たっけー☆☆


プロローグ・「特殊生命体・遊流迦羅」


日本という国の成り立ちには神道という宗教が多分に影響を与えたという。

その結果、唯一神を持つ諸外国とは違い、万物に神が宿り、八百万の神がいる国となったのだ。古事記の時代から、脈々と受け継がれていったそんな信仰は、いつしか文化とまで呼べるほど、日本人の心に根付いた。

さらに無生物にさえ神が宿るという考え方は、現代日本の物を大切にするという国民性を育んだ。それを証拠に、たとえば自然現象を具現化したり、生活品を象った妖怪などがファニーに描かれたりするのも日本ならではだろう。

……そして、根付いた文化は、ある日、突然、唐突に、ダーウィンだのなんだのが言っていた進化論を根底から覆し、生命というものの定義をぶち壊した。

文字通り生命の概念が崩れ去ったのは、極最近、2000年前後のことだ。

なんと大型のヌイグルミのような“生命体らしきもの”が日本各地に同時多発的に発生したのだ。

それらは自らを“遊流迦羅(ゆるきゃら)”と名乗った。

遊流迦羅は姿かたちも千差万別でおおよその共通項すら存在しなかったが、強いてあげるならば、遊流迦羅は、地域や企業、イベントなど人の思いが集まる場所に発生するということだった。

このことから遊流迦羅は、人の思いの集合体が実体を、さらには意思を持ったものと推察されており、特殊生命体として学者はその生態を大別している。とどのつまり、それは、どこにも大別できないことを意味しているとも言える。

そもそも生命とはなにか、ということはなかなか定義し難い問題ではある。病原菌や、周囲を巻き込み燃え広がる炎、学習し変化するコンピューターウィルスさえ、生物学者の間でもそれが生命かどうかの議論が尽きないという。

しかし、遊流迦羅の存在は、そういった議論の外の話だ。無機物に神を見出すこの国でしか起こりえない現象に違いないだろう。

遊流迦羅は数年経つと、市民権を得るようになり、日本語をしゃべり、テレビタレントのように振る舞うものもいれば、地域社会へ参加をし、その発展のためにひと肌脱ぐものまで千差万別、まさに八百万の生態を持った。

海外からは、未だに人が入った着ぐるみだと思われているが、おそらく海外でも物に神を見る文化が根付けば数千年の時を経て、同じように特殊生命体、遊流迦羅が誕生するはずだ。

ああ、申し訳ない。

自己紹介がまだだった。

私の名前は裕次郎。年齢は35歳。売れない作家だ。作家業で足りない分の生活費は他の仕事で賄っているのだがそれは今はどうでもよい話だ。

私は東京都下の福生市という米軍基地のある小さな町で育った。

福生市にも特殊生命体・遊流迦羅は一人? 一匹? まあいい。ともかく一種、存在している。
 
名は“たっけー☆☆”といい、☆の部分は読まない。

福生市で60年以上の歴史を誇る七夕まつりの竹飾りの妖精だとのことだ。

その姿は遊流迦羅の中でも特異で、なんと緑色の筍のような形をしているのだ。
 
身長は2m近いが、手足は人間のそれと比べると非常に短い。その短い両手には、短冊がついていて、ハイタッチをすると願いが叶うと言われている。ちなみに遊流迦羅の性別については、未だ議論があるが、彼は男性である。
 
色々と突っ込みどころは満載ではあるが、たっけー☆☆は地域に根差し、発展のために尽力するタイプの遊流迦羅で、福生市ではなかなかの人気物なのだ。
 
今日、私が、久しぶりに福生市に帰ってきたのは、数年ぶりに七夕まつりに参加するため……そして、たっけー☆☆と再会するためだった。
 
JR福生駅を降りると、例年になく盛り上がっているのか、日中にも関わらず、まっすぐ歩くことも困難なほどの人出があった。
 
老若男女の賑わうお祭り会場の人並みをかき分けながら歩いた。
 
懐かしさが胸にこみ上げた。
 
祭りの様子も当時と比べれば、的屋が減り、街の店の出店が目立ち、原風景ともいうべき子供の頃の七夕まつりとは厳密に言うと違うのだが、変わらない賑わいと特有の匂い、そして、気温の高さと、よく晴れた空に、否が応でも当時の記憶を呼び起こされた。


ふと瞼の裏にある少年の姿が浮かんだ。
 
途端に視界が湿り気を帯びる。
 
私は人ごみの中にも関わらず涙を流してしまいそうになってしまった。
 
しばらくこの街に帰ってこなかったのには理由があった。
 
あの日の彼の行動の背中を押した私の判断が正しかったのか、それとも間違っていたのか、その答えを知ることが恐ろしかったのだ。
 
もしも、判断が間違っていたとしたら、私はこの先どう生きて良いかわからなくなってしまう。正直なところ、今でも、時折、あの日、彼を諌められなかったことを後悔してしまうことがある。
しかし、答えをこれ以上先延ばしにしてしまうことは不可能だった。
 
後悔の念が私の精神を崩壊させてしまう……そんなことは彼も望んでいないはずだ。
 
結局、私はここに積極的に答えを出しにきたわけではなかった。ただ、逃げるのを辞めただけに過ぎなかった。
 
空いている屋台を見つけ、フランクフルトを購入し、かじりながら屋台の間を歩くと、福生市役所が見えてきた。
 
小さな人だかりできている。
 
遠目からでもわかった。
 
緑色の筒状のシルエット。
 
人だかりの中心には人気者のたっけー☆☆がいた。

思わず食べかけのフランクフルトを落としてしまった。慌てて拾おうとするが、人ごみに流され、フランクフルトはすぐに見えなくなった。
 
フランクフルトを拾うことを諦めても、立ち上がることができなかった。
 
……たっけー☆☆の前で、泣き顔を晒すわけにはいかない。

「たっけー。俺は、今、それなりに幸せだよ。お金はないけど、約束通り、大切な“あいつ”に淋しい思いをさせていないよ。まあ、不満は山ほどあるけど、良いこともそれなりに起きるんだ」
 
気付くと私は独り言を言っていた。
 
アスファルトに涙の粒が落ちた。
 
そのとき、幸運にも夕立がやってきた。
 
周囲の人たちが、雨をやり過ごすため、道の端の軒下に避難していった。
 
気付くと大通りには私一人となっていた。
 
森に木を隠すように、涙を雨に隠せたことで、なんとか立ち上がることができた。

――真実を怖がってはいけない――
 
覚悟を決め、大通りの先に目をやると、雨の中、たっけー☆☆が一人こちらを見ていた。そして、目が合うと、彼は言った。

「雨に濡れてしまうから、どこかに避難したほうがいいたっけー」
 
呑気な声を聞いた私は、夕立に隠れてまた涙を流した。

しかし、表情までは隠せなかった。

「悲しいことがあったっけー? でも大丈夫! ハイタッチして、元気になるたっけー! 君の悲しみが消えるように願い事をするたっけー!」
 
雨の中、たっけー☆☆は笑顔で私に向かってゆっくりと歩いてきてくれた。
 
私の記憶の中に存在している彼ではないはずなのに、その優しさだけは変わっていなかった。
 
一年間彼と共に過ごしたが、たっけー☆☆の記憶の中には私は存在しない。それだけは紛れもない事実だった。しかし、私の中で、彼は、まるで、ドーナツの穴のように、存在しないことで、大きな存在感を示していた。
「……でもね、たっけー。本当は君とずっと一緒にいたかったよ」
 
私だけが知っていた。なぜ彼が人々の願いを叶えるハイタッチをしているのかを。どうして、こんなにも優しいのかを。そして、人知れず、彼が世界を救ったことを……そのために支払った代償のことを。
 
遠ざけていた記憶がたっけー☆☆が近づいてくるごとに、夕立に乗って押し寄せてくる。
 
私には抗うことができなかった。
 
恒吉豊竹(つねよしゆたけ)との思い出を振り返ることを。
 
そして、その幸せな記憶と、後悔を切り離すこともできなかった。

「たっけー……待たせたね。ようやく会いに来たよ」
 
そう。あれは二十数年前の旧暦の七夕の夜だった。




第一話・「ヒーローになれますように」
 
27年前、私はまだ8歳の少年で、恒吉豊竹は一つ年下の7歳の少年だった。

一応、私のほうがお兄さんなので、彼は私のことを裕次郎君と呼び、私は親しみを込めて“たっけー”と呼んでいた。
 
それは8月の息苦しくなるほどの暑い夜だった。
 


続きはこちからから。
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ise_vicious at 22:30|PermalinkComments(0)

2016年02月27日

メメ&モリ ☆立ち読み☆

メメ&モリ・裕次郎


切れかかった蛍光灯がチカチカと何の変哲もない階段を絵柄の変わらないパラパラ漫画のように無機質で無意味な世界に変えていた。

違う。蛍光灯のせいではない。

思えばあの日から私の世界に意味などなかった。

十四階建てのマンションを一歩一歩踏みしめるように登った。

今は十一階。

一段登るごとに未練の有無や、他の手段を考える余地があるがどうかを自分自身に問いかけるが、答えは変わらなかった。

ここまで段の数だけ自問自答を繰り返してきたので、今では繰り返し同じ質問に同じ答えを返しているだけとなっていた。結局、この階段を上りきっても答えは変わらないだろう。
痛みだけがあった。

この数ヶ月、裸で茨の森を走りぬけたかのように、日々痛めつけられ、瘡蓋が追いつかないほどの数の深い傷を心に負った。

正直なところ“楽になりたい”という思いが全くないわけではない。悔しいけれど、むしろ大部分をそういった感情が占めているだろう。それでも、この行動には“愛情という明確な意思があるのだ”と声を大にして言いたい。できるだけ多くの人に聞いてほしい。頭と心の両方で決断しているのにも拘らず未練たらしい問い掛けを続けているのは、私の意思によるものではなく、ただ単に生物としての本能がそうさせているに過ぎないのだ。
そして、たった今、十二階を越えたことで本能すら乗り越えた。ここで廊下に進まない自分の行動が彼の不在を強烈に印象付けたのだ。

問い掛けをやめた私は速度を緩めることなく屋上へと足を進める。

私の人生の意味を取り戻すには、もうこれしかないのだ。

「……別にまた会えるだなんて思っていないわ。でもね、こうするしか他に方法はないの」

体の内側へ向けて囁くつもりが気付くと吐息と共に漏れ出していた。

「私は……意味のある死を選ぶわ」

居住フロアを過ぎ、屋上へ出る扉へ続く最後の階段まで辿り着いた。最後のときを迎えるが故、本心が染み出しているのか、それとも未だに自分自身を奮い立たせているのか、自分でも判断し難かった。だけど、もうそんな判断をする必要もない。屋上へと繋がる扉は簡単に開かれてしまったのだから。
そこには彼がいなくなる前となんら変わらない光景が広がっていた。象の形をした青色の滑り台。二匹のキリンが並んだ黄色のブランコ。茶色のティラノサウルスのオブジェ。寂れたデパートの屋上のレベルをさらに落としたような公園。

ミチオはこの屋上の公園が気に入ってこのマンションに即決したのだ。

――ねえ、メメ。メメが卒業したらさ、ここで一緒に暮らそう!

耳の奥から二年前に聞いたミチオの声が聞こえてきた。

どうして記憶というものは自分の所有物なのに、こうも勝手に蘇ってしまうのだろうか? 思い出したいときに思い出したいだけ思い出せるシステムでないのが無性に悔しかった。しかも、思い出してしまった記憶は次の記憶を呼び起こし続け、決まって私を押しつぶすのだ。

――腹減ったからなんか作ってくれよ、ってメメは料理下手だったよなぁ。

――やっぱりメメがいないと俺は駄目だ。ずっと側にいてね。

――ねえメメ? 仕事がさ、少し落ち着いたら結婚しよう!

ほらみろ。もう制御不能だ。

ミチオとの五年間の映像と音と匂いが鉄砲水のように轟音を伴って押し寄せてくる。どうせまた私は流され、思い出の奥底に沈んでいくのだ。

ミチオとはアルバイト先の先輩と後輩として出会った。年の差は五歳。当時はミチオのことがすごく大人に見えていた。一緒にバイトを始めた凛子と“誰それが素敵”なんて話をしているときだったと思う。

「そういえばミチオさんって、メメがシフトに入っていると必ずいるよね?」

なんて言い出したのだ。それがきっかけで意識し始めたような気がする。

そして、バイトを始めて三ヶ月が過ぎた頃、唐突に映画に誘われた。

「あのさ、映画のチケットが二枚あるんだけど一緒に行かない? ただし、これは映画が目的ではなくて、デートが目的だってことをはっきり言っておく。ちなみにこの映画はまったく俺の趣味じゃないから別に見なくてもいい。なんだったら映画じゃなくて遊園地とか、ショッピングでもいいんだ」
あまりの誘い文句に呆気にとられている私を尻目にミチオはさらに続けた。

「それと、君のことがすごく気になっているのも付け加えておくね」

 私は恥ずかしかったのと同時に可笑しくて顔を真っ赤にしながら笑ってしまった。

「もう一つ“ちなみ”があるんだけど、実はその帰りにキスを狙っているから」

「それは駄目です」笑い声を押し殺してなんとか声を出すことができた。

「でも雰囲気が盛り上がったらいいでしょ?」

彼はいつでも飄々としていて動じない人だった。

「そんなこと初めに言われて雰囲気が盛り上がるわけないでしょ!」

大きな声で返したが、結局、そんなデートの誘いに乗ってしまった。実は少し気になっていた映画だった……ううん、ミチオには今でも内緒にしているけれど、私もとっくにミチオのことが気になっていたのだ。

 デート当日、映画を見ながらワンワン泣いていたのはミチオだけだった。それは私が泣いていなかったという意味の“だけ”ではなく、映画館の中でミチオしか泣いていなかったという本当の意味での“だけ”だ。

映画が終わるとラーメン屋に入った。

ミチオはもうちょっとお洒落なところがいい、と言っていたが、店の前で嗅いだとんこつラーメンの匂いを私が振り切ることができなかったのだ。

席に座るとミチオはメニューを指差しながらこんなことを言い出した。

「ここに激辛十倍ラーメンってのがあるんだけど、今まで完食した人がいないんだって。てことでさ、これを完食したらキスしていい? いや、本当はもうちょっとお洒落な場所で食事して、帰りに――なんて考えていたんだけど、映画で泣いちゃって、しかもラーメン屋だしさ……ちょっとね、ってことで、いいかな?」
もちろん了承しなかったけれど、ミチオはなぜかその気になって激辛ラーメンに挑戦し始めた。しかし、五分ほど過ぎたころ、箸を丼のふちに置き、

「やっぱさ、こんなことでキスを賭けるのはよくないよね。ごめんね」

真顔で謝罪してきた。

私はその変化に驚いた。無理やり食べて――約束だから――なんて、帰りにキスを迫ってくるものだと思っていたのだ。私もどこかで“キスくらいはいいかな”と軽く覚悟はしていたので、その純な言葉に逆にドキリとさせられてしまった……が、次の言葉を聞いてすぐにそれを後悔した。

「……だってさ、辛くてこれ食べられないんだもん」

ラーメン屋を出るとミチオはコンビニでアズキバーを買い、冷たさと甘さで真っ赤な舌を癒しながら駅へと歩いた。

私もしばらくはその隣を我慢して歩いていたが、途中で何もかもが可笑しくなってしまい吹き出してしまった。一度噴出してしまったらもう笑いが止まらなくなった。そして、仕舞いには歩くこともままならず駅前ロータリーのベンチに腰掛けて笑いが治まるのを待つはめになってしまった。

ミチオも隣に座り「大丈夫?」なんて声をかけてくれたが、アズキバーをペロペロしながら言うので逆効果。治まりかけたものもぶり返してしまう。しかも、そんなことを繰り返しているとミチオが急に、

「結婚を前提に付き合おう!」

なんて言ってくるものだから、お腹がよじれ切れるかと思って、

「わかったから、もう笑わせないで」

と、すんなり了承してしまった。

了承するやいなや、ミチオは笑っている私にキスをした。

そして、唇を離すとすぐに「いてて」とアズキバーを舐めた。

一瞬、何が起きたかわからなかった。唇にアズキバーの味がほんのり残っていたことで、キスをしたんだ、と実感することができた。

きょとんとしている私にミチオがもう一度キスをした。

目を合わせた私たちは二人で大笑いをした。

可笑しくて、楽しくて、とても幸せだった。

しかし、そんなアズキバーを見るたびに思い出す、情けなくも愛らしい思い出も今では涙の源泉でしかなくなっている。

記憶と共に溢れる涙を拭うこともせず西日で照らされたオレンジ色の屋上を横切った。
よく歌謡曲なんかで“涙も枯れ果てた”なんて言うけれど、それは嘘だ。毎日毎日、朝も晩も泣いているのに枯れるどころか、まるで摂取した水分が全て涙に変わるかのように涙は枯れることはなかった。

相も変わらず溢れ出してくる涙と記憶。その記憶は一番思い出したくないことも鮮明に思い出させる。やはり私に決定権はない。

その日は昨年で一番の猛暑日だった。

大学の講義を終えた私はスーパーで食材を買い、彼の部屋で、以前、二人で行ったベトナム料理屋で食べた蒸し鶏の味を再現するべくキッチンで格闘しながら彼の帰りを待っていた。料理に熱中しすぎたせいか、気付くと二十一時を過ぎていた。携帯電話を確認したがメールは入っていなかった。二十時には帰ってくるって言っていたのになぁ、と多少不安になったが、まさかあんなことになっているだなんて思いもしなかった。
料理がひと段落したこともあり、一息入れようとリビングに向ったとき、テーブルの上に置いた携帯電話が鳴った。やっと連絡がきた、なんて思いながら手に取るがディスプレイに表示されていた名前はミチオではなく、凛子だった。

『メメ? テレビ見ている?』

凛子の声は携帯電話のボリューム機能の設定を間違えてしまったのかというくらい大きかった。普段冷静な凛子がここまで狼狽しているのはただ事ではない、と心細くなりつつテレビをつけた。

映し出された画面はニュース番組だった。

『テレビつけた? そう、ニュースでいいの! あの……違うといいんだけど』

凛子の声はボリュームのツマミを絞るように小さくなっていった。眺めているニュース番組の映像に既視感を覚えた。私やミチオが通学、通勤に使っている駅だ。

どうやら事件があったらしい。それも殺人事件のようだ。しかし、途中から見始めたこともあり内容が頭に入ってくる前にそのニュースは次のニュースへと移ってしまった。

『ねぇ。メメ、どう?』

電話口で凛子が漠然な問いかけをしてきた。

「どうって、えっと私たちの駅だったね。何かあったの?」

『……まったくあんたは……パソコンあるわよね?』

デスクトップパソコンの前に行き、起動させインターネットに接続した。トップページのニュースには私たちの街の名前はなかったので、大きなニュースではないようだ。

“○○市”“殺人事件”“○月○日”と打ち込み、検索をかける。いくつかサイトが出てきたので、映像ニュースがついているページを開き、再生した。


――今朝、東京都○○市にて殺人事件発生。被害者は同市に住む矢内美智雄さん。目撃者の証言によると電車内で二人が言い合いをしていたが、しばらくするともみ合いになり電車を降りたとのこと。また、多くの目撃者が先に手を出したのは矢内さんだったと――

床からゴツンと物音がしたので、見ると手に持っていたはずの携帯電話が落ちていた。空っぽの手のひらを見て、ようやく携帯電話を落としたことに気付いた。


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ise_vicious at 22:30|PermalinkComments(0)

2015年12月30日

いつもこうだ、、、

昨日、仕事納めて長期休暇に入った瞬間、急性胃腸炎で嘔吐と下痢と発熱だよ、、、


解熱剤欲しいし、水分補給したいけど、薬局行く元気もない、、、
立つこともままならない>_<


おい、神様、いるんなら聞いてくれ。
これが貴様の望む結末か?
あんまりじゃないか!
便にもはや色がなく、ジンジャーエールみたいなんだぞ!
おしっこじゃなく、うんちがジンジャーエールなんて初めてだよ。。

、、、面白い言葉も出てこない、

ゲーして、うがいして、寝る>_<

神様、経口補水液とブァファリンを幼気な僕にください。
もしくは看病してくれる素敵な彼女を、、


はあ、薬局行こう、、、
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猫なんて役に立たないし>_<

ise_vicious at 10:49|PermalinkComments(1)

2015年10月10日

HP作ります!

作家活動を本格再開するにあたって、wixというもので、久しぶりにHPを作成してみます!

制作期間は明日1日!

1日でどこまでできるか、こうご期待!

ise_vicious at 02:03|PermalinkComments(0)

2015年10月09日

カレー屋さんが家の目の前にできた!

ので、買いに来た!
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ise_vicious at 20:18|PermalinkComments(0)

2015年10月08日

ブログ再会!

作家活動再開と共にブログを再会いたします。

報告としては、初の長編小説「弱虫時計と君だけの神様」と福生市のゆるきゃら、たっけーの小説の出版が決まりました!

このブログではその裏側等の販促活動の裏話でも話せればと思います!

一緒に楽しんでください!!!!


ise_vicious at 23:01|PermalinkComments(0)

2014年08月16日

キャットタワーを新調!

にゃんしーは気に入ってくれたようです!image

ise_vicious at 01:56|PermalinkComments(0)