2019年07月21日

「北陸代理戦争」「マタギ」@シネマヴェーラ渋谷

こんばんわ

今日は歩いた。何でこんなに歩いているのか。ご飯も菓子パン1つ。ストイックでしょう。

今日は選挙デーなのに、先週期日前投票を済ませているので、渋谷で映画を観てきました。

シネマヴェーラ渋谷の「伊藤雄之助vs西村晃 怪優対決」で「北陸代理戦争」と「マタギ」というこういう企画じゃないと絶対に観られない2本。方や東映実録やくざ映画、方や文部省特選の独立プロ製作。共通するのは西村晃さんが出演していること(伊藤雄之助さんは出演していません)。あとはどっちも寒そうな絵でした。




「北陸代理戦争」は1977年の作品。監督は深作欣二。音楽は津島利章。脚本は笠原和夫ではなくて、高田宏治。笠原和夫を除くほぼ「仁義なき戦い」のスタッフ・キャストが福井県を舞台に暴れまわる話。

この映画がファンの間で「伝説」となっているのは、この映画が公開後に主人公のモデルになった人が射殺される事件が起きてしまったことで、深作監督もこれ以降実録路線から撤退します。最後の実録ものですね。

冒頭から西村晃さんの頭だけのアップから始まり、度肝を抜かれます。首から下は雪に埋めるという拷問ですね。西村晃さんは「仁義なき戦い」における金子信夫さんの役をのびのびと演じています。主演は松方弘樹さんですが、ハナ肇さんが実質主役のような全編に渡って出ずっぱりでした。女優陣は野川由美子さんと高橋洋子さん。どちらも気が強くて一本気な目力強めの女性でした。

今この映画を観ると笑いもあるエンターテイメントなのですが(私は上映中、ニヤニヤが止まらないくらい面白かった。リアリティーを無視した過剰な演技がこの題材にはしっくりくるのですよ。)、当時はまだ現在進行中の新しい記憶であって、記憶を蒸し返されて侮辱されたと感じる人も少なからずいたのでしょう。最近の放火事件も些細なことで放火に至るのは理解出来ません。想像力の欠如は深刻ですね。

「マタギ」は公開当時(1982年)から話題で、やっと観られました。私は当時、旭川にいました。「南極物語」とか「典子は、今」の文部省特選映画を無料で、集団で観つつ、「スター・ウォーズ ジェダイの復讐」やら「プロジェクトA」とか「地中海殺人事件」「007/ユア・アイズ・オンリー」あたりを観ていた時代です。音楽は「ザ・ベストテン」かYMOだし、テレビは「俺たちひょうきん族」でした。兄が買った「ビックリハウス」を読んでいました。

「怒りの孤島」もそうでしたが、この時代の文部省特選映画は結構エグい。小学生が熊やウサギの皮を剥ぐところを観させられるのは、トラウマになると思う。犬が熊と戦うのも辛いかも。そういえば私も「南極物語」で犬が南極に置き去りになって、バタバタ死ぬのを観るのは辛かった。

秋田の人はこの世界に共感出来るでしょう。フォークシンガーの友川かずきさんが出演していて、嬉しかった。伴淳三郎さんは「顔見せパンダ」っぽかった。

西村晃さんファンは出ずっぱりで大満足でしょう。雪山をさ迷う辺りはプチ「八甲田山」を観ている気分でした。

人生のピークを過ぎた老人がラストバウト(熊)に挑むという設定は最近のクリント・イーストウッドの出演作品(「グラン・トリノ」「運び屋」)に繋がって胸アツでした。当時の西村晃さんはまだ60代だから今の80代のイーストウッドとは違うだろうが。

伊藤雄之助さんの出演映画も観たいので、もう一回シネマヴェーラ渋谷に行こうと思います。


iskw946 at 18:30│ 映画