石狩川

2011年09月21日

NECが北海道にデータセンターを新設

NEC、札幌にデータセンターを新設 クラウドサービス提供環境を強化

NEC報道資料
標高、海岸線からの距離、地盤などを考慮しています。

札幌のどこなのかはもちろん公表できないのでしょうが、NECがデータセンターを札幌市内に新設するようです。新設するとなると、やはり札幌市郊外ということになるのでしょうか、おそらく東部、新札幌付近かな?

過去のデータセンターは単なる「コンピュータの置き場」だったわけですが、現在では巨大な施設産業となっています。ディーゼルエンジンの発電機、巨大な冷房施設。従来の静かな住宅地やビジネス街にひっそりと存在する都市型の「データセンター」とは性格が異なります。

評価したいのは、このように北海道、石狩川流域にデータセンターが分散して新設されることにより、北海道のIT産業、通信回線、人材が移動することによる、「石狩平野シリコンバレー」化です。

ただし、札幌市内であるということは「都市型データセンター」の性格は否めません。ヒートアイランド問題、大都市固有の交通障害、都市全体のシャットダウンに対する障害性があるのかどうか。この立地を選んだ理由にどこかメリットがあるのか、とても興味がありますね。


- Key Word -
北海道 データセンター クラウド 立地条件 石狩 石狩平野 石狩川 雪熱冷房

勝手に石狩平野をシリコンバレーにするプロジェクト

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2011年06月17日

目指せPUE1.0のデータセンター:廃熱利用の発電システム

発電鍋:たき火で湯沸かし&携帯充電

なべでお湯を沸かしながら、携帯電話の充電ができるという「かわいい装置」です。

TESニューエナジーより販売されています。熱電効果の一種で、私のようにコンピュータビジネスに関わっている人なら「ペルチェ素子」が有名です。ペルチェ素子の場合は全く逆で「電気で温度をくみ出す」方法です。熱電効果は可逆性があるものもあるようで、電流を流すと冷やす、暖めるができ、熱差があれば電力を生み出す方法があるようです。

木や紙が燃える温度、着火点はブラッドベリの小説でも有名になった「華氏451度」摂氏220度です。
実際には焚き火をすると、400度くらいになりますが、沸騰したお湯は100度、この熱差300度で携帯電話の充電ができるわけですね。

この発電鍋のアイディアはアウトドアライフを強いられいる皆様にとってはひとつのエポックメーキングですが、大々的なりよう方法を考えると、寒い戸外と暖かい室内との熱差や、温排水などをつかった発電システムに利用できないのかな。

とふと考えてしまいます。


北海道にデータセンターを誘致する勝手なプロジェクト<\a>

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2011年05月21日

石狩平野と Surachipt: データセンターの要件を満たす地形、災害

石狩平野中央部 Surachpt 地域は、海抜ゼロメートルの石狩川河口から約80Km、一番低い「砂川ヘリポート」がある西豊沼地区が標高21.5m ヘリポートの脇には計画最高水位25mに耐えられる石狩川堤防があり、その下に石狩川が流れています。

石狩平野全体は数万年の年月を重ねた洪積層で、明治の開拓民は泥炭に悩まされてきました。

砂礫が体積した地盤は良いとは言えませんが、直下型地震の原因となる、活断層は、対岸の樺戸断層が対岸の雨竜ー浦臼間にある程度です。もし、この地域にデータセンターの適地を探すとすれば、市内の国道12号線沿い高台、空知農業用水路(高台の稜線上にある)付近が良いでしょう。
小規模な地震は多いのですが、鋭い縦揺れより、遠くで発生した地震の影響が多いゆったりした横揺れが多いためデータセンターを設計するには耐震性より免震性を検討したほうが良いと思います。このあたりは建築の専門家と相談する必要がありそうです。

地震調査研究本部の資料によると、札幌南方の勇払原野、千歳、苫小牧方面により大きな断層があります。

内陸よりも、十勝沖のプレート断層の影響が大きく、今回の東日本震災を引き起こした三陸沖とほぼ同じ地域で昭和43年の十勝沖地震が発生しました。

日本海側では渡島半島沖から積丹半島、石狩浜をはさんで石狩厚田、石狩浜益、留萌、小平の沖合いに北海道が大陸に押し付けられて造られた「皺」である活断層が数多くあり、直接の大規模な震災にはなりませんが、小規模な津波が発生する可能性があります。奥尻島震災もこの周囲で発生した地震が原因です。ちなみに、秘境駅として有名な函館本線「張碓駅」は小樽、銭函海岸にあります。オロロン街道から手塩に向かう道は、崖から垂直に海岸に落ち込むリアス式の海岸です。かつて幻の国道と言われた国道231号線が今では整備されました。途中の雄冬港は「陸の孤島」と言われ、高倉健主演の映画「駅(Station)」の舞台として有名です。また太平洋沿岸の噴火湾から、苫小牧の浜をはさんで襟裳岬にかけての地形も険しく、黄金をばら撒くほど費用がかかった落石の多い通称「黄金国道」と呼ばれました。インラインスケートで北海道を一周した友人の話によると「徒歩通行禁止」で、仕方なくバスに乗らざるを得なかったと言っていました。この太平洋岸地域にも有名な「秘境駅」室蘭本線「小幌駅」があります。

Surachipt は最低でも標高20m、石狩川河口ゼロメートル地帯より80km上流にあり、海との間には緩やかに増毛山系があるため津波の影響はありません。Surachipt から、石狩川対岸を眺めると、山脈が地平線に消える様子が良く分かり、「地球の丸さ」を実感します。日本最長の直線国道12号線、日本二番目の直線線路函館本線が走ります。ちょっと高台に上ると北海道電力「奈井江」「砂川」の両発電所と今は休止中の「滝川」発電所の煙突が見られます。

石狩川は開拓期より暴れ川でした。今では日本で5番目の長さですが、明治初期は日本で3番目の長さがあったといいます。対岸の樺戸監獄(月形町)からよく囚人が冬の凍結した石狩川を越えて脱走したと言われますが、今は河川改修の影響で、流れが停滞することなく流れるため、今では氷結することはありません。小河川はよく氷結します。

最大の洪水は昭和37、38年の洪水で、この後、石狩川最後のチョークポイントだった砂川付近の歪曲部が開削されました。今でも対岸に袋地と呼ばれる飛び地があります。この開削以降、石狩川流域の洪水は下流部に移りました。

この後、石狩川の治水対策は進み、丁度札幌オリンピックの影響もあり、作りたての堤防は子供たちの格好のジャンプ練習場となりました。その後、昭和58年の下流の千歳川洪水の後、Surachipt の小河川は全て遊水地にマージされ、かつて壁のように聳え立っていた石狩川堤防は底が強化され、なだらかな法面を構成しています。おそらく、東武伊勢崎線から見るかぎり、利根川、渡良瀬川合流部、栗橋付近の堤防より作りは巨大です。残念ながら、スキージャンプの練習には不向きななだらかな造りになりました。

このあたりの情報は北海道開発局のページに詳しく公開されています。

日本地球惑星科学連合2010年大会の配布資料に北海道石狩平野の上部更新統~完新統の地質学的検討という資料が公開されています。主に石狩川下流部の地層についての具体的な科学的な解説です。

勝手に北海道 Surachipt データセンターを誘致しようと言う独善的なプロジェクト

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2011年05月20日

今想定できる最悪の状態

「地球の終焉」を予測したビデオをみたのですが。

1) 太陽系とか銀河系がドカンと爆発する。

2) 隕石とか彗星が地球にぶつかる

3) 火山が爆発して地球全体がダストで覆われる。

4) 地震や津波

5) 核兵器が爆発する

6) 地球規模のパンデミックで人口が減少する

まぁ、こんなところが上げられていました。

1) 太陽系の終わり

については数億年後のことで、もしその頃まで人類が生きていたら、ひょっとして他の惑星を見つけて移住しているのかもしれません。もっとも現代の技術でも予測可能なことです。

2) 隕石衝突

これは、予測可能ですが、回避は今の技術でかなり不可能な惨事です。アリゾナ隕石坑 - wikipedia - はわずか5万年前、シベリアで隕石と思われる森林倒壊 -wikipedia- はわずか100年前、それでも私たちは生きています。

これらの惨事はある程度予測可能でアポフィス - wikipedia -は予測可能な大隕石で、今後100年以内に地球に数回大接近するだろうと予測されています。

地球に隕石衝突が起こった際のインパクトはこちらで計算することが出来ます。

Earth Impact Effects Program

3) 火山爆発

最近の火山爆発で日本で最大の大惨事となったのは明治時代の磐梯山の爆発でした。この爆発により会津磐梯山の形容が変わりました。今回の福島原発といい、磐梯山の爆発といい、あまり福島にはいいことはありません。それでも福島の人たちの粘り強さには感動します。
1991年のフィリピンのピナツボ山の爆発は覚えているでしょうか。地球の二酸化炭素濃度を高め温室効果という言葉はこの頃から使われ始めたのは偶然でしょうか。

しかし、火山爆発は比較的予測可能で、幸いピナツボ山では大きな人的被害は少なかったようです。

4) 地震・津波

地震は予測は未だに不可能ですが、直後に発生する津波は数十分以内であれ予測可能です。と言っても対応は「逃げる」のひとつしかありません。雷、火事、親父と並んで日本で一番恐れられている災害でしょう。

5) 核兵器爆発

完全な人災です。人間のやることなので被害者側は予測不可能なのですが、対策はあります。全て廃棄すればよいのです。

6) 地球規模のパンデミック

去年のインフルエンザ騒動のような事態がもっと悲惨な状況として発生します。過去の細菌病は次々と克服されてきましたが、将来、人類に予測できないパンデミックが発生する可能性はあるでしょう。

ただ、いくら交通が便利になった世の中とは言え、通信分野も便利になったため、惨事後の対応は予測可能です。対応方法が見つかるかどうかはその時点でなければ分からないかも知れません。

-記憶と記録-

1)を除けば、全て過去に人類が経験してきた地域規模、地球規模の惨事です。一見、データセンターの立地条件として「想定外」の「地震」がクローズアップされますが「想定できうる」自然災害はこれだけあるということです。

私たちの世代で作り出した、文化、文明を将来に残すためのアーカイブ「記録」があるという「記憶」は重要です。たとえシステムが動作しなくても「記録」が保管されている「記憶」があれば、アーカイブの復旧は可能なのです。

北海道石狩平野、石狩川流域は石炭産業で栄えたこともあり、Surachipt 周囲の大深度にこれらのアーカイブ「記録」を保存しておくスペースが用意されています。もっとも良好な保存状態を保つためには、高温高湿に耐える技術的な壁があることは否定できません。いつでも復旧可能なアーカイブをどこに作るかも、データセンターの立地条件の一つなのかもしれません。

石狩川流域にデータセンターを作る身勝手なプロジェクト

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2011年05月15日

北海道行政の「想定」はどれだけ信用できるのか

なんだか喧嘩を売っているようでいやな書き方になりそうですが

道政主導の北海道データセンター誘致という記事を書いてからなぜか絶妙なタイミングで「石狩データセンターの地震リスクについて」というさくらインターネットさんのブログに石狩データセンターの災害リスクに関する記事がアップされています。

液状化のリスク

地盤調査及び詳細解析を大成建設様に実施いただき


これは、大成建設がまじめに調査した結果だと思います。民間企業は当たり前のようにビジネスに対するリスクを検討します。自分達の作り出したサービス、ビジネスに対する責任を果たそうとします。石狩平野に住む古老たちに言わせると「石狩?風ばっかし強くって、地盤の弱い泥炭だらけ土地だべ」を大成建設さんはまじめに取り組んでくれるでしょう。一般企業がポカをやってしまえば、メディアに焼き肉屋のユッケ事件のように叩かれるだけなのです。

しかし

■ 地震発生のリスク

地震調査研究推進本部(地震ハザードステーション※J-SHIS)により、「今後30年間 震度6弱以上の揺れに見舞われる確率」の分布図


※は原文ではなんと半角カナ文字!



■ 津波のリスク

北海道総務部危機対策局より、「津波シミュレーション及び被害想定調査業務(北海道日本海沿岸)報告書」


を引き合いに「想定されるリスク」を分析しています。しかしこれらの団体は行政が作ったもので、言い方は悪いのですが、「役所の天下り団体とその御用学者」の作ったシュミレーションでしかありません。所詮行政は国民、住民の税金で成り立っているわけですから、リスクがないのです。

今回の東日本大震災はもとより1993年の北海道南西沖地震の場合でも最大の全振幅は70cm程度※でありました。※下線は私

過去に発生した道内各地域の主な地震被害 道庁発表

十分危険じゃないですか。三陸沖でもこの程度の津波はしょっちゅうです。だから「想定外」の被害を甘く見て、多くの犠牲を生みました。もっとも石狩平野は堆積層で、シリコンバレーのような「地割れの谷」ではありません。石狩に危険な活断層は少なく、地震が少ないことは私も実感しています。近くには有珠岳程度の小さな火山があるだけで富士山みたいな現役の巨大な活火山はありません。石狩平野は散々河川改修を繰り返してきたので、大きな水害も少ないと思います。実際に道庁のこの資料には戦時中の大地震としては資料の少ない積丹半島沖地震が記述されており、北海道日本海沿岸から丹波地方まで数メートルの津波と数十名の死傷者がでています。道庁はこの事実を隠したいのでしょうか。

しかし行政が作った「想定」がいかに杜撰なものかは、私たちはこの春いやと言うほど聞かされました。さくらインターネットさんは、行政の「想定」を信用して「想定外」の事態に対処するつもりなのでしょうか。結局迷惑をこうむるのはユーザであり、地元なのです。もっともデータセンターが原発のようにリスクの高い設備ではないのは当たり前なのですが、21世紀のこれからの若い人たちの重要な文化とアーカイブを預かる責任感を、行政の「想定」に押し付けてはいないか、という気がします。

新篠津の泥炭地に筵だけの掘っ立て小屋で冬を過ごし、石狩浜益の浜でオロロン街道の「下から降る雪」を一冬の間でも是非経験してもらいたいものです。北海道の開拓農民たちはそんな環境で20世紀の夢の大地を拓きました。21世紀を切り開くのは私たちの世代の責任です。是非とも、さくらインターネットさんが「ご自分自身」でリスクを検討した回答をすべきだと思います。

私自身、さくらインターネットの10年来のユーザです。信頼される非常にしっかりした仕事をされています。石狩を選んだ目の付け所もすばらしいと思っています。2000年ころから「Surachipt はITビジネスに向いているのではないか」と思い続けた私からすると正直申し上げると「やられた」気分です。

しかし、この「石狩データセンターの地震リスクについて」という文書を読む限り、「内地」の業者が全く行政任せの立地検討をしたことを感じて残念に思います。

北海道を元気に、そして日本の産業構造の転換の原動力になってください。

期待しています。

勝手に北海道 Surachipt に石狩流域にデータセンターを作ろう

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2011年04月17日

データセンターに適した北海道、石狩川流域の気候

昨年、数十年ぶりに札幌市で「熱帯夜」が観測されたそうです。

札幌お天気ネットによると、札幌市の平均気温や緯度などは、カナダのトロント、バンクーバー、キエフなどに近いそうです。ただし、これらの街と全く異なる点は、冬季の降雪量です。

札幌の累積降雪量は5~6m(20ft) 程度です。このような大都市で大量に雪が降る街はかなり稀有です。

石狩湾から吹き込んだ雪は手稲山を超え、石狩川を遡って、 Surachipt 近辺で最大の降雪を生み出します。もっとも、雪質は極端なパウダースノーなので、実際には「降った量」ほどの「積雪」にはなりません。道央自動車道で50Km制限が掛かっているのに並行する国道12号線では60Km制限でトラックが走る風景は奇妙なものです。さらにその横でJR特急が吹雪の中で120Km運転をしています。こうした吹雪は道や小川や家の裏などに大きな雪だまりをつくり、実際に積もった量は2月の終わりでも2m程度です。残りはほとんど良質な「雪塊」として地面で固まります。6月まで、増毛山系の山には雪が見られます。

よく高校時代に「度胸試し」で校舎からダイブしましたが、すっぽり腰まで漬かるほどの柔らく締まった雪質です。また、大雪の後の踏み固められていないスキー場での腰まで漬かっての深雪滑降はとても楽しいものでした。

よく7月の始め頃、那覇で28度、東京22度、北見で32度などというおかしな気温のときがありますが、道東方面はフェーン現象で大陸型の気候であるため、異常に夏場は暑くなる場合があります。しかしそれも瞬間的です。7月の始まりくらいなら、普通の家庭では朝夕にストーブが欠かせません。

したがって、北海道でデータセンターを設置する場合は、夏場の数週間と昼間の数時間を乗り切るだけの冷房設備があれば、自然冷房のPUE値の低い設備が出来ます。プールの監視員をしたことがありますが、 Surachipt での夏場の水温は20度程度です。20度を切っていれば、赤旗が立って遊水禁止になります。

逆に冬場の「冷えすぎ」が怖いくらいです。

石狩川流域にデータセンターを作る勝手なプロジェクト

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2011年03月19日

道政主導の北海道データセンター誘致

悪意を感じる不快な文章になるかもしれません。ご容赦ください。

東日本大震災で一番ショックだったのは、名取川の堤防を越えて畑を多い、ビニールハウスをなぎ倒す津波の映像でした。北海道出身の私にとっては、93年の北海道南西沖地震に襲われた奥尻島の悲惨な映像を思い出します。また83年の日本海中部地震では地震よりも津波によって秋田を中心に100名余りの命が失われました。日本海には巨大地震を引き起こすプレートは存在しませんが、日本列島がアジア大陸に押し付けられる「シワ」が数多くあります。この映像を見てショックを受けたのは私だけではないでしょう。石狩浜のデータセンターを建築する決定をしたさくらインターネットさんはもっとショックだったと想像します。私にとっても「日本のIT産業」が全て押し流されるようなショックでした。

道庁の北海道のデータセンター立地環境についてという資料には、確かに「過去に津波、高潮の災害」があったか、という記述はあります。彼らはこのレポートをまとめる上で奥尻島の悲惨な映像を覚えていたのでしょうか。

石狩湾口/苫東ありきの誘致計画

道が洞爺湖サミットで注目を浴びた環境問題にまじめに取り組んだひとつのアイディアとして「北海道にデータセンターを」という取り組みは非常に評価しています。行政が真面目に取り組んだひとつのよい結果です。しかし、システムエンジニアとしての経験として、「石狩湾口」が注目されはじめたのは、道の、あるいは日本政府の政治的な意図を感じざるを得ません。奥尻島津波の映像を記憶している身としては「何故あんなところにデータセンターを誘致するのか」という不吉なものを予感していました。

道都札幌の外港としては既に小樽港があり、特に石狩湾工に港を作る必要性はありませんでした。しかし港を作ってもフェリー航路さえない港である以上、工業団地を作って産業を誘致せざるを得ません。何しろ同様な苫小牧東部工業地区は1970年代に開発されたにも関わらず、企業誘致に大失敗しました。漁業と農業が主流のバラバラな町村を線で括った石狩市という平成の大合併によって生まれた「大都市」にふさわしい産業を誘致する必要があります。合併したばかりの小さな町村を先導してまとめるには、道の力が必要です。

またこの資料が全て「工業団地」を調査している点に通信IT業界からみるとすばらしいほどの素人さを感じます。通信IT産業は三次産業で、特に工業団地に作る必然性は全くありません。事実、金融機関などのデータを処理する「事務処理センター」などは普通の住宅地の真ん中にあります。別に港に近いから、原料の搬入、製品の搬出に便利だという必要性もありません。情報IT産業の「製品」は細い信号ケーブルで「搬入」され「送出」できます。

札幌の大都市化

経済の論理なので仕方がないのですが、北海道の産業リソースは札幌に集中してきました。冬季オリンピックではやっと100万都市になった札幌はこの40年でほぼ倍増しています。周辺都市も合わせた「札幌圏」を考えると300万誓い人口密度で、北海道の住民の半分が「札幌」に住んでいると言ういびつな構造です。その札幌市のすぐ隣に一次産業が中心の「町村」が札幌の隣にあるのが不快だったのでしょうか。

明治以降の開拓の歴史から、北海道の212の市町村はそれぞれ具体的な特徴がありました。明治政府主導で作られた入植者が作った町、財閥をはじめ民間資本が開発した町。自らの意思で新天地を求めた失業士族や貧しい農家の三男坊たちが切り開いた町などです。札幌は明治政府によって開発された以上、中央の意向を伺う目で「支店経済、政治都市」として成功しました。平成合併では屯田兵村と没落士族村は当然仲が悪く失敗し、民間人が開拓した村から発展した町村合併はおおむねうまく行ったようです。また、集落がまとまって移住した新十津川町のような結束が強く独立を選んだ町村もあります。

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さくらインターネットさんが北海道に新しい産業を持ち込んでくれたことは幸いなことです。今回の大震災を経験に、北海道では当たり前の「三尺以上の地上基礎がある建物」泥炭を掘り起こして深い基礎打つ、必ず3F以上にディスクストレージをおく事、石狩川の大改修で明治以降に埋め立てられた土地を調査し通路の液状化対策などを検討していただければ幸いです。また、さくらインターネットさんの誘致に成功した以上、道は石狩湾口の防潮対策をしっかりお願いします。北海道に新しいビジネスをもたらしたさくらインターネットさんの今後の動きに期待してます。

Surachipt Datastream

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2010年10月14日

地方に分散化を始める日本のパブリッククラウド

Yahoo! JAPANが福島県に外気空調型データセンター、2012年春竣工

福島、白河で PUE 1.2 の自然外気を利用したデータセンターを構築ということだそうです。


先日、あるITコンサルタント会社のシステム担当の方とお話したのですが、

「札幌から特急40分ってのは、都心から成田へ行くより近いんだよね」という話で盛り上がりました。彼の親戚は隣町の滝川にいるので、よくこのあたりに来たことがあり、中空知地区にはかなり詳しいようです。

白河は関八州と奥羽を分ける地帯。バックには只見川系の豊富な水力が利用できる土地です。冬の金曜の夜、篭城体制に入ったら、月曜の朝には駐車場に止まっていた車が全て埋まっていたという「逸話」を後輩に聞いたことがあります。

また、仲通りは夏は暑いけれど低い山と稲作地帯で、ヒートアイランドとは無縁なので、良い環境かもしれません。


-keywork-

プライベートクラウド、データセンター、雪冷熱、PUE。省電力。グリーンIDC

勝手に Surachipt Datastream を作ろう

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