2008年02月
2008年02月15日
PETIT TRIANGLE

初演は大学時代の同級生、中村真美(一番左)さんと、そのお弟子さん二人の三人です。
初演のあと、クラリネットでTriangle(三角形)を作ってもらいました。
Petitと言う割に結構大きく見えますね。実はA管なのです。
この曲、当時3回生になって、ピカピカのA管を買った後輩たちのために書いたのですが、演奏の機会が特に無く、書いた本人もすっかり忘れていたのですが、私のホームページに掲載されている作品リストを見て、中村先生のお弟子さん(左から二番目の小柄な子)が、門下発表会で初演してみたいと申し出てくれたそうです。
中村先生から、電話で連絡を貰って、譜面を探して見つけたときは、とても懐かしかったです。
今は、色々な締め切りに追われて、演奏される予定の曲が出来ずに困っている状態なのですが、意外に昔に書いた曲で、演奏される機会が無い曲も結構あります。
そう言う曲が、長いときを経て、少しずつ演奏されるのは、やっぱり嬉しいですね♪
2008年02月05日
全日本吹奏楽コンクール2006 Vol.11

全日本吹奏楽コンクール2006 Vol.11(2006年)
[KICG-3325]
2006年10月28日、宇都宮市文化会館で開催された、2006年度(第54回)全日本吹奏楽コンクール全国大会のライブ録音盤で、静岡大学、福岡工業大学、立命館大学、福岡教育大学、神奈川大学、山形大学、金沢大学、文教大学、山口大学の演奏とともに、龍谷大学吹奏楽部が演奏してくれた「波の通り道」が収録されています。
今は、すっかり元気になってしまい、何故あの時、あれほど辛かったのだろう?と不思議にすら思うのですが、2006年の春以降、私の心はバランスを失っていました。
当時のメモを書き綴っていたノートを読み返すと、やはりその時の辛さがよみがえってきて、涙が溢れてきました…
**
夜通し、何度も大きな声を出して泣く。
一睡も出来ず、朝を向かえて、起きても涙が止まらない。
何度も不安に耐えきれず、友人たちに[*1]メールを書く。
父が心配して心療内科に追加の薬を貰いに行ってくれる。
**
(2006年5月23日の日記より)
[*1]実際には、メールを送った友人たちの名前が書いてありました。
私の身体の中で、何が起こっていたのだろう?
今思うと、不思議に思うくらいですが、この日の辛さは、それまでの人生で体験したことの無い感覚でした。
おそらく6月の初め頃、若林先生に
「もう、何も書けません…」
と、メールを送りました。
返事は、
「じゃあ、やめる?」
ひょっとしたら、
「元気出して、なんとか書いてよ。」
とか、暖かい励ましの言葉が返ってくるかと期待していたのでしょうね。
でも、突き放されました。
「もし、ここで書くことを諦めてしまったら、大切な仲間を失ってしまう…」
そんな恐怖感と、
「絶対、諦めずに書いてみせる。」
ちょっとした意地も、あったかもしれません。
「書きます。」
と、電話で伝える声は、どのように伝わったのでしょうか…
Clarinetの友人が、一枚の写真を送ってくれました。
以前、私が旅の報告をかねて、その友人に送った写真でした。
2002年9月のある日の、素敵な時間の記憶がよみがえってきました。
「素敵な思い出を忘れることなんて無理。だったら思い出を曲にしてしまえば良いのかも。」
そして、完成したのが「波の通り道」です。
この景色がどこなのかは、自分の心の中に留めておきたいので、内緒モードだったのですが、若林先生に漏らしてしまったため、学生にもバレてしまい…
全国大会を控えた、10月のある日、学生たちはバスをチャーターし、なんと、この風景を見に、出かけたのです!
この景色の前で、波の音を聴きながら、みんなで「波の通り道」を合唱?したとか。
中には音大生顔負けの実力を持った学生もいるけれど、ほとんどは、ごく普通の学生たち。
でも、7月に作品が出来てから、3ヶ月半、ほぼ毎日「波の通り道」に向き合い、練習してくれた彼らの演奏は、本当に素晴らしいものでした。
ただ32分音符が並んでいるだけなのに、まるで本当に波が引いて行くかのような自然なルバートは、もちろん若林先生の指揮が素晴らしいからだけれど、なによりバスで片道8時間かけて訪ねた「波の通り道」で聴き、見て、全身で感じた波の音とリズムが、55人の学生たちのアンサンブルを、支えてくれたようにも感じました。
もちろん、ライブ録音ですから、ちょっとしたキズもありますが、録音状態も良く、波が轟くような大太鼓の音や幻想的な「おりん」の響き、演奏が終わったあとの一瞬の静寂と熱狂的な拍手が臨場感たっぷりに収録されています。私の作品に興味を持って下さっている方達には、心から聴いて頂きたいと思う録音です。
特に1回生のときから、私の作品を毎年コンクールで演奏してくれて、私が龍谷大学に練習でお邪魔したときには、いつも笑顔で声をかけてくれた、とびきり可愛い二人のソロの掛け合いが、最初の方にあるのも嬉しいです。
いつまで発売されるか分かりませんが、私と龍谷大学の学生たちのかけがえの無い思い出が、この作品とともに、いつまでも輝き続けてくれるような気がして、本当に幸せに感じます。
Saxophoneの後輩から、
「心って、何なのでしょうね〜
でも、悲しいことがあって辛いと感じることが無かったら、
美しい音楽を聴いて感動することも無いと思います。」
とメッセージを貰いました。
その通りかもしれませんね。
と言う訳で購入は、
http://worldwindbandweb.com/brainmusic/7.1/KICG-3325/
からどうぞ〜♪
最後に…
気づく人は、ほとんどいないと思いますが、この曲で2回「紫陽花」が咲いてます。
1回目は優しく、2回目は力強く。
またいつか、このことについて話を出来ることがあればと思います。