┣管弦楽のための作品
2010年04月07日
CONCERTO(栃本浩規)
いたる作品収録CD紹介第32弾♪
CONCERTO(2010年)
[TOKND-0911]
NHK交響楽団トランペット奏者の栃本浩規さんと、飛騨高山ヴィルトーゾオーケストラのみなさんの演奏で、私の「トランペットと管弦楽の為の協奏曲」(Op.100)と言う作品が収録されています。
他には、テレマンの協奏曲、Plog, Turrin. Clarke, Brandtの小品。
あと、ボーナストラックに私がオーケストラに編曲した、山下笛郎さんの「飛騨山娘」も収録されています。
私の協奏曲と「飛騨山娘」は、2009年3月の演奏会でのライブ録音。
今まで、私の作品が収録されているCDを30以上紹介して来ましたが、いずれも吹奏楽の作品、または管楽器の為のアンサンブル作品。そう言う意味で、協奏曲と言うスタイルを取っているものの、管弦楽の為の作品が収録されたこのCDは私にとって本当に特別なアルバム。
演奏も、コンサートマスターの荒井英治さんをはじめ、東京のオーケストラで活躍する名手ばかりを集めたドリームオーケストラ。こんな素晴らしい音楽家たちに、作品を演奏してもらえ、CDにして世に送り出してもらえた事に、本当に心から感謝しています。
CDのプログラムノートを補足する形で聴き所を紹介すると…
1楽章。
クラリネット(佐藤路世さん:都響)のソロに始まって、フルート(斉藤和志さん:東フィル)、オーボエ(松岡裕雅さん:日フィル)、バスーン(森純一さん:東フィル)のソロが受け継がれた後、独奏トランペットが登場し華やかにファンファーレを演奏します。独奏トランペットに負けじと要所要所で木管楽器のソロが活躍するのは私ならでは?(笑)特に序奏と第二主題のフルートソロは、私がフルートの為に書いたメロディーの中では「大仏と鹿」や「三角の山」と並ぶお気に入りのメロディーですが、和志さんも本番は会心の出来だったようで神懸かり的&鳥肌ものの素晴らしい演奏ですので、和志さんファンはもちろんのこと、フルートファンの方にも聴いて頂けると嬉しいです。ドラマチックかつロマンチックな独奏トランペットは、バックのC管で演奏しています。
2楽章。
独奏トランペットは、フリューゲルホルン(バック)に持ち替え、暖かい音色がとても素敵です。この楽章も木管楽器のソロがフリューゲルホルンのメロディーに応える形で活躍するのですが、ちょうど曲の真ん中では、独奏ヴァイオリンとのデュエットがあります。これは浩規さんと奥様でヴァイオリン奏者の三津子さんが「いつまでも、お互いを音楽家と尊敬し合えて、一緒にいるとお互いの笑顔が増える二人でありますように」と願って書いたのですが、実際には(第一ヴァイオリン二列目で演奏されていた)三津子さんと浩規さんの間にいらしたコンサートマスターの荒井英治さんが弾いていらっしゃいます。打ち上げの時に「まいったな〜」って感じでお話しされていました。(笑)
栃本夫妻の、ほのぼのした会話が聴こえて来そうな、暖かい演奏です。
3楽章。
独奏トランペットは、A管のピッコロトランペット(シルキー)に持ち替えます。栃本さんの得意なピッコロトランペットですが、実はフリューゲルから持ち替えて演奏するのは大変な事なんだそうです。そして、私も勘違いしていたのですが、バロック時代の(高次倍音を多用するスタイルで書かれた)トランペットのレパートリーを演奏する為に開発されたのが、ピッコロトランペットで実は現代の楽器です。一般的なトランペットより約1オクターブ高い倍音列を使用していて管の長さも約半分なのですが、あくまでも音色をバロックのスタイルを合わせるのが目的で、同じ高さの音ならば、普通のB管のトランペットで吹くのと同じくらい大変なんだそうです!そんな事を知らず、ガンガン高い音を書いてしまいましたが「ピッコロトランペットは高い音が出て当たり前!」とばかり、見事に演奏されています!バロック時代のナチュラルトランペットでは不可能なクロマチックなパッセージも4バルブの現代の楽器ならではの性能を活かして鮮やかに駆け抜けていますよ♪
もちろんオーケストラも大活躍。楽章のちょうど中間部に、独奏ピッコロトランペットの長いトリルのバックで、2本のホルンが超絶技巧を繰り広げますが、もう凄い凄い凄いです!!!その少し前にある本家フルートピッコロの可愛らしいソロも思わず笑顔になってしまう演奏です♪
そしてボーナストラックの「飛騨山娘」は、栃本さんの母校である岐阜県立斐太高等学校の音楽の先生をしていた山下笛郎さんが、飛騨出身の詩人である吉村比呂詩さんの詩に曲をつけた歌曲。飛騨で愛されている歌曲で1番から3番まであります。なので、1,3番はほぼ原曲通り、2番に相当する部分は、ややテンポを速めた3拍子に編奏したアレンジです。オリジナルが素敵な歌ですからね。これもオーケストラの魅力が存分に味わえる素敵な演奏です。
「吹奏楽しか聴いた事が無い」と言う人も、ぜひ聴いてみて下さいね♪
購入は、
http://bit.ly/9aJ9j7
(↑アマゾンのサイトです)からどうぞ〜♪
CONCERTO(2010年)
[TOKND-0911]
NHK交響楽団トランペット奏者の栃本浩規さんと、飛騨高山ヴィルトーゾオーケストラのみなさんの演奏で、私の「トランペットと管弦楽の為の協奏曲」(Op.100)と言う作品が収録されています。
他には、テレマンの協奏曲、Plog, Turrin. Clarke, Brandtの小品。
あと、ボーナストラックに私がオーケストラに編曲した、山下笛郎さんの「飛騨山娘」も収録されています。
私の協奏曲と「飛騨山娘」は、2009年3月の演奏会でのライブ録音。
今まで、私の作品が収録されているCDを30以上紹介して来ましたが、いずれも吹奏楽の作品、または管楽器の為のアンサンブル作品。そう言う意味で、協奏曲と言うスタイルを取っているものの、管弦楽の為の作品が収録されたこのCDは私にとって本当に特別なアルバム。
演奏も、コンサートマスターの荒井英治さんをはじめ、東京のオーケストラで活躍する名手ばかりを集めたドリームオーケストラ。こんな素晴らしい音楽家たちに、作品を演奏してもらえ、CDにして世に送り出してもらえた事に、本当に心から感謝しています。
CDのプログラムノートを補足する形で聴き所を紹介すると…
1楽章。
クラリネット(佐藤路世さん:都響)のソロに始まって、フルート(斉藤和志さん:東フィル)、オーボエ(松岡裕雅さん:日フィル)、バスーン(森純一さん:東フィル)のソロが受け継がれた後、独奏トランペットが登場し華やかにファンファーレを演奏します。独奏トランペットに負けじと要所要所で木管楽器のソロが活躍するのは私ならでは?(笑)特に序奏と第二主題のフルートソロは、私がフルートの為に書いたメロディーの中では「大仏と鹿」や「三角の山」と並ぶお気に入りのメロディーですが、和志さんも本番は会心の出来だったようで神懸かり的&鳥肌ものの素晴らしい演奏ですので、和志さんファンはもちろんのこと、フルートファンの方にも聴いて頂けると嬉しいです。ドラマチックかつロマンチックな独奏トランペットは、バックのC管で演奏しています。
2楽章。
独奏トランペットは、フリューゲルホルン(バック)に持ち替え、暖かい音色がとても素敵です。この楽章も木管楽器のソロがフリューゲルホルンのメロディーに応える形で活躍するのですが、ちょうど曲の真ん中では、独奏ヴァイオリンとのデュエットがあります。これは浩規さんと奥様でヴァイオリン奏者の三津子さんが「いつまでも、お互いを音楽家と尊敬し合えて、一緒にいるとお互いの笑顔が増える二人でありますように」と願って書いたのですが、実際には(第一ヴァイオリン二列目で演奏されていた)三津子さんと浩規さんの間にいらしたコンサートマスターの荒井英治さんが弾いていらっしゃいます。打ち上げの時に「まいったな〜」って感じでお話しされていました。(笑)
栃本夫妻の、ほのぼのした会話が聴こえて来そうな、暖かい演奏です。
3楽章。
独奏トランペットは、A管のピッコロトランペット(シルキー)に持ち替えます。栃本さんの得意なピッコロトランペットですが、実はフリューゲルから持ち替えて演奏するのは大変な事なんだそうです。そして、私も勘違いしていたのですが、バロック時代の(高次倍音を多用するスタイルで書かれた)トランペットのレパートリーを演奏する為に開発されたのが、ピッコロトランペットで実は現代の楽器です。一般的なトランペットより約1オクターブ高い倍音列を使用していて管の長さも約半分なのですが、あくまでも音色をバロックのスタイルを合わせるのが目的で、同じ高さの音ならば、普通のB管のトランペットで吹くのと同じくらい大変なんだそうです!そんな事を知らず、ガンガン高い音を書いてしまいましたが「ピッコロトランペットは高い音が出て当たり前!」とばかり、見事に演奏されています!バロック時代のナチュラルトランペットでは不可能なクロマチックなパッセージも4バルブの現代の楽器ならではの性能を活かして鮮やかに駆け抜けていますよ♪
もちろんオーケストラも大活躍。楽章のちょうど中間部に、独奏ピッコロトランペットの長いトリルのバックで、2本のホルンが超絶技巧を繰り広げますが、もう凄い凄い凄いです!!!その少し前にある本家フルートピッコロの可愛らしいソロも思わず笑顔になってしまう演奏です♪
そしてボーナストラックの「飛騨山娘」は、栃本さんの母校である岐阜県立斐太高等学校の音楽の先生をしていた山下笛郎さんが、飛騨出身の詩人である吉村比呂詩さんの詩に曲をつけた歌曲。飛騨で愛されている歌曲で1番から3番まであります。なので、1,3番はほぼ原曲通り、2番に相当する部分は、ややテンポを速めた3拍子に編奏したアレンジです。オリジナルが素敵な歌ですからね。これもオーケストラの魅力が存分に味わえる素敵な演奏です。
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2010年01月27日
With Tender Wind and You
いたる作品楽譜情報第4弾♪
「With Tender Wind and You」
ISBN 978-90-431-3035-6
クラリネットオーケストラのための「優しい風と君と」が、私の吹奏楽作品を数多く出版してくれている、デハスケ社から出版されています。
購入は、デハスケ社のホームページ。
http://www.dehaske.com/
または、日本の代理店からどうぞ。
「With Tender Wind and You」
ISBN 978-90-431-3035-6
クラリネットオーケストラのための「優しい風と君と」が、私の吹奏楽作品を数多く出版してくれている、デハスケ社から出版されています。
購入は、デハスケ社のホームページ。
http://www.dehaske.com/
または、日本の代理店からどうぞ。
2009年10月07日
「たなばた」Brass Band
いたる作品楽譜情報第2弾♪
「たなばた」Brass Band
[DHP 0920450]
「たなばた」と言う通称(副題)でおなじみ、"The Seventh Night of July"の金管バンド版の譜面が発売になりました。
スイスのアレンジャー、Marc Jeanbourquin氏の編曲によるものです。
オリジナルではAlto Saxophoneが演奏する織姫のソロは、Flugel Hornに置き換わっています。金管バンドへの編曲以来は、これまでも時々あったのですが、さすがBrass Bandのことを知り尽くしているアレンジャーのてによるものだけあって、私にはとても思いつかない素晴らしいアイディアがぎっしりの、素敵な編曲です。
購入は、
こちらからどうぞ〜♪
最初に、地域と言語を選択するページが開いた時は「モナコ以外」「英語」を選び、右上の検索窓に「Itaru」と入力して虫眼鏡ボタンを押すと、私の関連する商品が表示されます。
「たなばた」Brass Band
[DHP 0920450]
「たなばた」と言う通称(副題)でおなじみ、"The Seventh Night of July"の金管バンド版の譜面が発売になりました。
スイスのアレンジャー、Marc Jeanbourquin氏の編曲によるものです。
オリジナルではAlto Saxophoneが演奏する織姫のソロは、Flugel Hornに置き換わっています。金管バンドへの編曲以来は、これまでも時々あったのですが、さすがBrass Bandのことを知り尽くしているアレンジャーのてによるものだけあって、私にはとても思いつかない素晴らしいアイディアがぎっしりの、素敵な編曲です。
購入は、
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2009年04月17日
トランペット協奏曲
2006年に初演された「トロンボーンと吹奏楽のための協奏曲」
2007年に初演された「ちびクラと吹奏楽のためのちっちゃな協奏曲」
2008年に初演された「ユーフォニアム協奏曲」
作者の気まぐれで、「吹奏楽のための」が、ついたりつかなかったりしていますが(笑)これらは、すべて独奏楽器と吹奏楽のための協奏曲。
そして、2009年3月29日に、4曲目の協奏曲が初演されました。
「トランペットと管弦楽のための協奏曲」
そう、バックは吹奏楽ではなく、弦楽器の入ったオーケストラです。
学生時代に、習作的な管弦楽作品を書いた事はあります。
歌謡曲や民謡などをオーケストラにアレンジする仕事をした事もあります。
でも、協奏曲と言うスタイルではあるものの、自分の書いた本格的な管弦楽作品が音になるのは初めてでした。
トランペットの独奏は、NHK交響楽団の栃本浩規さん。
管弦楽は、飛騨高山ヴィルトーゾオーケストラ。
このオーケストラ、飛騨高山出身の栃本さんと、東京フィルハーモニー管弦楽団のファゴット奏者、森純一さんが中心となり、東京のオーケストラで活躍する仲間を集めて立ち上げたオーケストラで、年に一度、早春に飛騨高山で演奏会を行っています。
「オーケストラ日本代表」と言う言葉が相応しい素晴らしいメンバーのオーケストラです。
1楽章はC管、2楽章はフリューゲルホルン、3楽章ではピッコロトランペットと、3種類のトランペットを持ち替えて、それぞれの楽器の特徴を生かした、表情豊かな演奏をして下さりました。なんと言ってもお得意のピッコロトランペットでは、華麗な、でもどこか可憐な表情も持つ私の作品に込められた想いを、会場いっぱいのお客様に伝えてくれました。
オーケストラも伴奏にとどまらず、指揮者がいないとは思えないほどの正確なアンサンブルで、弦楽器はもちろん、管楽器の皆さんが、それぞれ魅力的な歌を聴かせて下さり、とても幸せな時間を過ごす事が出来ました。
なにより、たくさんのオーケストラのメンバーに「素敵な曲ですね」と、声をかけて頂けた事が最高に嬉しかったです。
記念すべき、豪華初演メンバーは以下の皆さん。(スコアの上から、敬称略)
小池 郁江(Piccolo)
斎藤 和志(Flute)
松岡 裕雅(1st Oboet)
杉原 由希子(2nd Oboe)
佐藤 路世(1st Clarinet)
三倉 麻実(2nd Clarinet)
森 純一(1st Bassoon)
向後 崇雄(2nd Bassoon)
今井 仁志(1st Horn)
和田 博史(2nd Horn)
栃本 浩規(Solo Trumpet)
久保 昌一(Timpani & Triangle)
荒井 英治(Concert Master : 1st Violin)
泉原 隆志(1st Violin)
栃本 三津子(1st Violin)
宇根 京子(1st Violin)
中谷 郁子(1st Violin)
松本 蘭(1st Violin)
奥田 雅代(2nd Violin)
戸上 眞里(2nd Violin)
関戸 美樹(2nd Violin)
小池 彩織(2nd Violin)
早川 紗綾香(2nd Violin)
朴 梨恵(2nd Violin)
須田 祥子(Viola)
大島 亮(Viola)
三好 紅(Viola)
金 孝珍(Viola)
織田 百合名(Viola)
金木 博幸(Violoncello)
村井 将(Violoncello)
植木 昭雄(Violoncello)
北口 大輔(Violoncello)
黒木 岩寿(Contrabass)
小笠原 茅乃(Contrabass)
稻川 永示(Contrabass)
作曲の機会を与えて下さった栃本さんにはもちろん、演奏を形作って行く上で、様々な助言を下さったコンサートマスターの荒井英治さんには、心より感謝申し上げます。
オーケストラと言っても、コンパクトな2管編成ですし、また再演の機会があると良いな〜♪
2008年04月15日
飛騨山娘
3月16日、飛騨高山ヴィルトーゾオーケストラの演奏会で、私が編曲した「飛騨山娘」と言う作品をアンコールで演奏して頂きました。
2006年に初演して頂き、昨年、そして今年と、3回の演奏会で、いつも演奏会の最後に演奏して頂いています。
原曲は、戦後、飛騨地方で音楽の教員をしていた山下笛朗さんと言う方が作曲された、素朴で美しい歌曲で、高山に暮らす人たちの間で愛されている作品だけに、オーケストラでこの作品が演奏されると言うのは、とても特別なことのようです。
それにしても、このオーケストラ!
東京のオーケストラで活躍する名手ばかりを集めた、豪華なオーケストラで、凄くうまいですよ!!!
演奏会後のレセプションで、東京フィルの首席奏者も務める、フルート奏者の斉藤和志さんと♪
2006年に初演して頂き、昨年、そして今年と、3回の演奏会で、いつも演奏会の最後に演奏して頂いています。
原曲は、戦後、飛騨地方で音楽の教員をしていた山下笛朗さんと言う方が作曲された、素朴で美しい歌曲で、高山に暮らす人たちの間で愛されている作品だけに、オーケストラでこの作品が演奏されると言うのは、とても特別なことのようです。
それにしても、このオーケストラ!
東京のオーケストラで活躍する名手ばかりを集めた、豪華なオーケストラで、凄くうまいですよ!!!
演奏会後のレセプションで、東京フィルの首席奏者も務める、フルート奏者の斉藤和志さんと♪
2007年03月15日
私の好きな女の子
と言うタイトルの、クラリネットオーケストラの為の作品があります。1999年に作曲、そして初演されました。
タイトルがタイトルだけに、結構注目を集めましたが、初演のプログラムノートも少しばかり話題になりました。
こちらでご紹介しましょう。
**
君と初めて会ったとき
君は一番前の席で
小さなクラリネットを持って
大きな目をくるくるさせながら
僕の話を聞いていたよね
君はこの小さなクラリネットが
大好きだと言っていたよね
僕が作った新しい曲では
この小さなクラリネットが大活躍するよ
君がフルートと音を合わせるのに苦労していた
高い「ミ」よりもっと高い音も出てくるよ
コンクールの会場で
小さな手を大きく振って
元気な声で僕の名前を呼んでくれたよね
あのとき君がうんうん言いながら運んでいた
バスクラリネットよりもずっと大きくて低い音の出る
コントラバスクラリネットって言う楽器も登場するよ
君のいた学校にはなかったけれども
アルトクラリネットって言う楽器もあって
僕の作った曲はどの楽器にもいっぱいメロディーがあるんだ
先輩のクラリネットの音は優しい風のようで
私の音は遊園地みたい
そんなことを君は言っていたっけ?
でもクラリネットって
楽しい音や悲しい音
そしてとっても優しい音
本当に色々な音が出せるんだよ
だから僕も広い緑の原っぱを吹き抜けていく優しい風
遊園地で楽しそうに回るメリーゴーランド
そして君とあった時のこと
色々な場面を思い浮かべながら
この曲を作ったんだ!
今日はこの曲を
君と同じようにクラリネットが大好きで
毎日一生懸命この楽器を勉強している
お兄さんやお姉さん達が演奏してくれるよ
素敵な演奏がきっと君のところまで届きますように!
**
1996年。当時、大学院をなんとか修了し「たなばた」「おおみそか」と2曲の吹奏楽作品が出版されてはいたものの、作曲だけで食べて行くにはほど遠く、主にピアノのバイトに精を出していて(ピアノを弾くのも好きだったので)作曲することへの情熱も失いつつありました。
でもそんな時、ふとしたことで、私の「たなばた」を演奏すると言う中学校の吹奏楽部の指導に出向くことになりました。そしてそこで出会ったのが、このプログラムノートに登場する「小さなクラリネットを持った女の子」でした。
本当に可愛くてエスクラが大好きで、そして私の作品を愛してくれていることが、素直に伝わってきて、嬉しかったです。と言うか、自分の曲をあれだけ「大好き!」と言われたことがそれまでなかったので、ちょっと信じられないくらいの幸福感に包まれて、作曲に対して自信を失いかけていた自分にとって、心強い存在でした。
そして、彼女が大好きだったエスクラ!実は私、高校時代、吹奏楽部に所属していたものの、私の学校にはエスクラは無く、高校時代に書いた「たなばた」と言う曲のエスクラは、かなりぞんざいな扱いだったりします。音大に入って多少その存在は認識したものの、ひとつの楽器としては大して注目していませんでした。
でも、彼女に出会ってからは私もエスクラと言う楽器に興味を持つようになりました。当時彼女は中2でしたが、エスクラがとても上手で彼女のチャーミングな音色、何より目を輝かせて生き生きとエスクラを演奏する姿に心から惹かれました。
そんな彼女に元気を貰えたこともあって、私はまたポツポツと作品を書くようになりました。
そして1998年、私は奈良県吹奏楽連盟の委嘱で新作を書くことになりました。しかも初演は大阪市音楽団!自分の作品が大舞台でしかもプロのバンドで演奏して貰える!もちろん嬉しかったです。
その時にふと思い浮かんだのが、あのエスクラの女の子です。出来れば初演を聴きに来て貰いたい!
私は、彼女の出身中学校の先生に連絡を取りました。「あの子はどうしていますか?どちらの高校に進学されましたか?新作の初演を聴きに来て貰いたいのですが連絡は取れますか?」
返って来た言葉は…信じられないものでした…
急性の血液疾患で中3の時に亡くなった、と…僅か15年の生涯…
私、泣きました。今でもあの時の事を思い出すと涙が浮かびます…。それまで親しい人の死を経験したことが無かった訳でも無いのに、「あの子に二度と会えないの?」「もう二度とあの子のエスクラを聴けないの?」「もう二度とあの子に私の新しい曲を吹いて貰えないの?」そう思うと悲しみが止まりませんでした…
もう、作曲を続けても仕方が無いような気すらしました…
でもそんな落ち込んだ私に、母校である大阪音楽大学Clarinet科教授の本田先生が「クラオケの新作を書いてくれない?」と頼んでくれました。その時に書いたのが、「私の好きな女の子」と言う曲です。
エスクラの魅力を私に教えてくれたあの子。
作曲を続ける私の心の支えとなってくれたあの子。
彼女に「ありがとう」の気持を込めて書きました。そして今度は彼女が私に伝えてくれたように、私がエスクラの魅力をみんなに伝えたいと思いました。そしていつか、エスクラと吹奏楽の為の協奏曲を書いてみたいと思っていました。そして書いたのが、18日に東京芸術劇場で開催される、第10回「響宴」で初演して頂く「ちびクラと吹奏楽の為のちっちゃな協奏曲」と言う作品です。
初演でエスクラのソロを引き受けてくれた、小谷口直子さんから、私のエスクラ観を知りたい、と尋ねられましたが、私のエスクラ観は、その彼女の人生です。小さな身体で、可愛くてチャーミングで、でもとても素直で何事にも前向きで、とにかく健気で…
小谷口さんが練習のときにエスクラを持って「可愛いでしょう!」と私に楽器を持たせてくれたことがあったのですが、そのとき小谷口さんと彼女のイメージが重なって、少し胸が熱くなったことがあります。
今でも元気にしていれば今年で25歳になっていたのかと思うと、なんともやりきれない気持もありますが、今でも私の心の支えとなっている子で、私の曲の中で生き続けてくれている。そんな気がします。
小谷口さんは、このブログでも何度か紹介していますが、第71回日本音楽コンクールのクラリネット部門で優勝し、2003年4月に京都市交響楽団に入団。そして2006年4月からは首席クラリネット奏者を務める、日本を代表する若手クラリネット奏者です。もちろん私も、京響の定期演奏会で何度も素敵な演奏(首席になってからはA管B管が中心でEs管を聴く機会は少なくなりましたが)を聴かせてもらい、大ファンでもあるので、今回、私の新作を演奏してもらえることになり、とても嬉しく、光栄に思っています。小谷口さん曰く「エスクラの弱点を集中攻撃してくる、酒井さんの曲じゃなかったら二度と吹きたくない超難曲」らしいですが、並クラに比べてはるかにコントロールの難しいエスクラに、京響の激務もこなしながら、真正面から向き合ってくれています。
バックを務めるのは、これまた私が大変お世話になっている龍谷大学吹奏楽部。指揮はもちろん、若林義人先生です。
こんな素敵なメンバーでの初演。本当に夢のようです。私って幸せかもしれません。
「素敵な演奏がきっと君のところまで届きますように!」
きっと、届くような気がしています。
写真は、「ちびクラの魅力をみんなに伝えるプロジェクト」に大きく貢献してくれた、龍谷大学吹奏楽部の名ちびクラ奏者(2002年春から2006年春まで在籍)入谷真由子さんと。彼女も1回生の時から「三角の山」「森の贈り物」「七五三」と、コンクールで私の難しい?エスクラのパートを見事に演奏してくれましたが、なんと言っても「七五三」のチャーミングなソロがとても印象的です。もちろん、「私の好きな女の子」の一人。(笑)
タイトルがタイトルだけに、結構注目を集めましたが、初演のプログラムノートも少しばかり話題になりました。
こちらでご紹介しましょう。
**
君と初めて会ったとき
君は一番前の席で
小さなクラリネットを持って
大きな目をくるくるさせながら
僕の話を聞いていたよね
君はこの小さなクラリネットが
大好きだと言っていたよね
僕が作った新しい曲では
この小さなクラリネットが大活躍するよ
君がフルートと音を合わせるのに苦労していた
高い「ミ」よりもっと高い音も出てくるよ
コンクールの会場で
小さな手を大きく振って
元気な声で僕の名前を呼んでくれたよね
あのとき君がうんうん言いながら運んでいた
バスクラリネットよりもずっと大きくて低い音の出る
コントラバスクラリネットって言う楽器も登場するよ
君のいた学校にはなかったけれども
アルトクラリネットって言う楽器もあって
僕の作った曲はどの楽器にもいっぱいメロディーがあるんだ
先輩のクラリネットの音は優しい風のようで
私の音は遊園地みたい
そんなことを君は言っていたっけ?
でもクラリネットって
楽しい音や悲しい音
そしてとっても優しい音
本当に色々な音が出せるんだよ
だから僕も広い緑の原っぱを吹き抜けていく優しい風
遊園地で楽しそうに回るメリーゴーランド
そして君とあった時のこと
色々な場面を思い浮かべながら
この曲を作ったんだ!
今日はこの曲を
君と同じようにクラリネットが大好きで
毎日一生懸命この楽器を勉強している
お兄さんやお姉さん達が演奏してくれるよ
素敵な演奏がきっと君のところまで届きますように!
**
1996年。当時、大学院をなんとか修了し「たなばた」「おおみそか」と2曲の吹奏楽作品が出版されてはいたものの、作曲だけで食べて行くにはほど遠く、主にピアノのバイトに精を出していて(ピアノを弾くのも好きだったので)作曲することへの情熱も失いつつありました。
でもそんな時、ふとしたことで、私の「たなばた」を演奏すると言う中学校の吹奏楽部の指導に出向くことになりました。そしてそこで出会ったのが、このプログラムノートに登場する「小さなクラリネットを持った女の子」でした。
本当に可愛くてエスクラが大好きで、そして私の作品を愛してくれていることが、素直に伝わってきて、嬉しかったです。と言うか、自分の曲をあれだけ「大好き!」と言われたことがそれまでなかったので、ちょっと信じられないくらいの幸福感に包まれて、作曲に対して自信を失いかけていた自分にとって、心強い存在でした。
そして、彼女が大好きだったエスクラ!実は私、高校時代、吹奏楽部に所属していたものの、私の学校にはエスクラは無く、高校時代に書いた「たなばた」と言う曲のエスクラは、かなりぞんざいな扱いだったりします。音大に入って多少その存在は認識したものの、ひとつの楽器としては大して注目していませんでした。
でも、彼女に出会ってからは私もエスクラと言う楽器に興味を持つようになりました。当時彼女は中2でしたが、エスクラがとても上手で彼女のチャーミングな音色、何より目を輝かせて生き生きとエスクラを演奏する姿に心から惹かれました。
そんな彼女に元気を貰えたこともあって、私はまたポツポツと作品を書くようになりました。
そして1998年、私は奈良県吹奏楽連盟の委嘱で新作を書くことになりました。しかも初演は大阪市音楽団!自分の作品が大舞台でしかもプロのバンドで演奏して貰える!もちろん嬉しかったです。
その時にふと思い浮かんだのが、あのエスクラの女の子です。出来れば初演を聴きに来て貰いたい!
私は、彼女の出身中学校の先生に連絡を取りました。「あの子はどうしていますか?どちらの高校に進学されましたか?新作の初演を聴きに来て貰いたいのですが連絡は取れますか?」
返って来た言葉は…信じられないものでした…
急性の血液疾患で中3の時に亡くなった、と…僅か15年の生涯…
私、泣きました。今でもあの時の事を思い出すと涙が浮かびます…。それまで親しい人の死を経験したことが無かった訳でも無いのに、「あの子に二度と会えないの?」「もう二度とあの子のエスクラを聴けないの?」「もう二度とあの子に私の新しい曲を吹いて貰えないの?」そう思うと悲しみが止まりませんでした…
もう、作曲を続けても仕方が無いような気すらしました…
でもそんな落ち込んだ私に、母校である大阪音楽大学Clarinet科教授の本田先生が「クラオケの新作を書いてくれない?」と頼んでくれました。その時に書いたのが、「私の好きな女の子」と言う曲です。
エスクラの魅力を私に教えてくれたあの子。
作曲を続ける私の心の支えとなってくれたあの子。
彼女に「ありがとう」の気持を込めて書きました。そして今度は彼女が私に伝えてくれたように、私がエスクラの魅力をみんなに伝えたいと思いました。そしていつか、エスクラと吹奏楽の為の協奏曲を書いてみたいと思っていました。そして書いたのが、18日に東京芸術劇場で開催される、第10回「響宴」で初演して頂く「ちびクラと吹奏楽の為のちっちゃな協奏曲」と言う作品です。
初演でエスクラのソロを引き受けてくれた、小谷口直子さんから、私のエスクラ観を知りたい、と尋ねられましたが、私のエスクラ観は、その彼女の人生です。小さな身体で、可愛くてチャーミングで、でもとても素直で何事にも前向きで、とにかく健気で…
小谷口さんが練習のときにエスクラを持って「可愛いでしょう!」と私に楽器を持たせてくれたことがあったのですが、そのとき小谷口さんと彼女のイメージが重なって、少し胸が熱くなったことがあります。
今でも元気にしていれば今年で25歳になっていたのかと思うと、なんともやりきれない気持もありますが、今でも私の心の支えとなっている子で、私の曲の中で生き続けてくれている。そんな気がします。
小谷口さんは、このブログでも何度か紹介していますが、第71回日本音楽コンクールのクラリネット部門で優勝し、2003年4月に京都市交響楽団に入団。そして2006年4月からは首席クラリネット奏者を務める、日本を代表する若手クラリネット奏者です。もちろん私も、京響の定期演奏会で何度も素敵な演奏(首席になってからはA管B管が中心でEs管を聴く機会は少なくなりましたが)を聴かせてもらい、大ファンでもあるので、今回、私の新作を演奏してもらえることになり、とても嬉しく、光栄に思っています。小谷口さん曰く「エスクラの弱点を集中攻撃してくる、酒井さんの曲じゃなかったら二度と吹きたくない超難曲」らしいですが、並クラに比べてはるかにコントロールの難しいエスクラに、京響の激務もこなしながら、真正面から向き合ってくれています。
バックを務めるのは、これまた私が大変お世話になっている龍谷大学吹奏楽部。指揮はもちろん、若林義人先生です。
こんな素敵なメンバーでの初演。本当に夢のようです。私って幸せかもしれません。
「素敵な演奏がきっと君のところまで届きますように!」
きっと、届くような気がしています。
写真は、「ちびクラの魅力をみんなに伝えるプロジェクト」に大きく貢献してくれた、龍谷大学吹奏楽部の名ちびクラ奏者(2002年春から2006年春まで在籍)入谷真由子さんと。彼女も1回生の時から「三角の山」「森の贈り物」「七五三」と、コンクールで私の難しい?エスクラのパートを見事に演奏してくれましたが、なんと言っても「七五三」のチャーミングなソロがとても印象的です。もちろん、「私の好きな女の子」の一人。(笑)
2005年06月26日
いもむしの夢
6月12日、京都コンサートホール(大ホール)で、第6回「日本フルートフェスティバルin京都」と言う、フルート吹きのお祭りがありまして、フルートオーケストラのための新作、「いもむしの夢」を初演していただきました。
指揮は、関谷弘志さんで、フルートオーケストラは大学生や高校生ら、約70人ほど。
実行委員会のメンバーは、私から譜面が送られてきたとき、奇抜なタイトルに面食らった方もいらしたようですが、「酒井さんらしいタイトルや!」と心強い支持も得られ、タイトルの変更を迫られることもなく、無事に初演を迎えることが出来ました。(^^;
作曲したのは、昨年の暮れなのですが、初めてのフルートオーケストラのためのオリジナル作品で、指定されていた約10分という時間をどの様に構成しようか、相当悩んでおりました。何となく、前半がゆっくりで、後半が速くて楽しい曲が良いなあと思っていたのですが、それだけでは10分には足りない…
そんなときは、散歩に出かけたりするのですが、(ちなみに車に乗ると、運転に集中してしまうので、作品の構想を練るのには不向きです…)そのときに、どこかの家から聞こえてきたのが、中田喜直さんが作曲した子供のためのピアノ曲「いもむしとちょうちょう」でした。「そう言えば、妹がこの曲好きで、良く弾いていたな〜」とノスタルジーに浸っていたとき、ふとひらめきました。これだ!続きを読む
指揮は、関谷弘志さんで、フルートオーケストラは大学生や高校生ら、約70人ほど。
実行委員会のメンバーは、私から譜面が送られてきたとき、奇抜なタイトルに面食らった方もいらしたようですが、「酒井さんらしいタイトルや!」と心強い支持も得られ、タイトルの変更を迫られることもなく、無事に初演を迎えることが出来ました。(^^;
作曲したのは、昨年の暮れなのですが、初めてのフルートオーケストラのためのオリジナル作品で、指定されていた約10分という時間をどの様に構成しようか、相当悩んでおりました。何となく、前半がゆっくりで、後半が速くて楽しい曲が良いなあと思っていたのですが、それだけでは10分には足りない…
そんなときは、散歩に出かけたりするのですが、(ちなみに車に乗ると、運転に集中してしまうので、作品の構想を練るのには不向きです…)そのときに、どこかの家から聞こえてきたのが、中田喜直さんが作曲した子供のためのピアノ曲「いもむしとちょうちょう」でした。「そう言えば、妹がこの曲好きで、良く弾いていたな〜」とノスタルジーに浸っていたとき、ふとひらめきました。これだ!続きを読む