2013年01月07日

退職後の「競業避止義務」は、そう簡単ではありません。(-_-;)

今日、私の属している「フェニックス研究会」で労働裁判例について勉強しました。

「競業避止義務」についてです。
競業避止義務とは、勤務している会社や退職した会社と競業することで、その会社の利益を奪ってはいけないとの義務です。

例えば、会社を退職した後、ライバル会社に勤めるなどは競業避止義務違反としてして、いけない?

事はそう簡単ではないのですね。
日本国民には、憲法22条で「職業選択の自由」が保証されているからです。

退職した会社の顧客を奪えば、退職した会社の利益を奪うことですから、損害賠償の対象で不法行為責任になり、それはいけません。

しかし、基本的には、ライバル会社に就職しても構いません。
職業選択の自由が保証されているからです。

在職中は、労働契約法にもありますが、「信義に従い誠実に」職務を遂行することが要求されていますので、競業避止義務はしっかりと守って変なことはできません。
これは昨日のブロに書きました。

それでは退職後は?

退職後も競業避止義務を要求するには、退職者と明確な合意が必要です。
そしてそれが有効になるには、その合意事項は、次の4つの厳しい条件をクリアしていないといけません。

1)会社の正当な利益保護を目的にする
2)退職者の在職時の地位が会社の利益に影響する
3)就職を制限しかねないので、職種、期間、地域を限定する
4)就職を制限する代わりに相応の代償を用意する

かなり制限されるということです。

退職者が就職したら利益を侵害されること、在職した会社でそれだけの地位にあること、期間や地域をできるだけ限定して、職業選択の自由をなるべく侵さないこと、そして職業選択の自由を奪う見返りに、金銭的か何らかのものを用意すること。

これをしっかりと就業規則に入れておく。

そしてもっと重要なのは、ライバル会社などに就職されたらまずい人には、個別に退職後の契約をしっかりと締結することです。

その際には、期間、地域、代償措置の内容などを明確にします。

競業避止義務はかなり限定して考えなければいけません。(>_<)
就業規則などもよおーく考えて、作成しなければいけませんね。

iso_hiramatsu at 22:45コメント(0)トラックバック(0) 
労働法令 

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平松 徹
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