2018年11月04日

解雇はできるか? 18.11.4

「LINE wizball 労働法相談」https://wizball.io/qna/57
で次のような相談がありました。


新卒で入って勤続6年目の社員ですが、向上心・協調性は皆無、残業したくないと言って定時までに終わらせるために手を抜くことが常態化しています。会社は残業が多い業種で彼が手を抜いた分、誰かが残業しています。このままでは他の若い社員に悪影響を及ぼします。勤続年数の割りに期待水準に達していないことや新入社員への悪影響を懸念して解雇できると思いますか?


次のように回答しました。


会社としては、確かに放っておけないですね。
しかし、簡単に解雇はできません。

解雇が認められるには、「解雇事由に合理性がある」こと「社会通念上相当であること」の二点を満たすことが必要です。


今回の場合でいいますと、この社員さんの解雇の合理的事由が、就業規則に「普通解雇」に該当する事由として明確な規定されていることが、まず必要です。

「向上心・協調性は皆無、残業したくないと言って定時までに終わらせるために手を抜くことが常態化しています。会社は残業が多い業種で彼が手を抜いた分、誰かが残業しています。」 → これは解雇できる事由に一般的には該当します。


就業規則に、これに類する記述はあるでしょうか。
就業規則は、就業についてのルールですから、そのルールを守って従業員として仕事をし、それに対する対価として、初めて賃金を受け取ることになります。


そして「社会通念上相当」であることがもう一つの条件として必要です。


この社員さんが「向上心・協調性は皆無、そして残業しなくて他の人が大きな迷惑をこうむっている。」ことが事実として、それに対して会社としてどのように対策を考え実行したでしょうか。

改善するように指導し、あるいは教育したでしょうか。
その指導、教育などを実行することなく、解雇はできません。


しかし考えるに、この社員さんがそのような業務不良をずっと続けているのには、何か原因があるのではないでしょうか。

その原因について直属の上司の方も含め会社としてどのように分析し、検討し、対策をとったでしょうか。

「適切な指導、注意、監督」が必要ですし、懲戒処分、配置転換なども検討し、実行に移していく改善に向けての取り組みが必要です。
それが実行されていれば「社会通念上相当」となります。

その社員さんの人生も大切です。
周りの方たちともうまくいっていないようですので、その社員さんにとっても不幸ですね。


コミュニケーション、教育指導などできることをしてあげて、それでもだめなら、解雇もやむなしと思います。

もちろん解雇予告手当など法的に必要な処置も必要であることは言うまでもありません。


またご相談ください。



iso_hiramatsu at 15:22コメント(0) 
労働相談 | 労務管理

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プロフィール

平松 徹
株式会社ソフィア
代表取締役

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社会保険労務士として
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行政書士として
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