蔵主の愉快な暴言

さぁ、21世紀になりました。
IMGP1819
私の子供の頃の21世紀と言えば「鉄腕アトム」や「2001年宇宙の旅」、そう所謂「未来の世界」になってるはずでしたが、実際はあまり変わっていませんね。
しかし、パソコンや携帯電話等「007」ぐらいのちょっとした「未来」はやって来て、人々のコミュニケーション手段、そして生活も少しずつですが変わって参りましたね。
そんな中、創業明治元年(1948年)以来、ほぼ変わらぬ酒造りをしてきた当蔵はどうしたら良いのでしょうか?
相変わらず「変わらぬ」なのか? 流行に合わせて「変える」のか? いや、流行をつくる「最先端」をいくのか? そんな事を考えさせられる21世幕開けでした。
しかし、結局のところ、どんな酒が、そしてどんな蔵が出来たって人の好みは千差万別、ましてやそれに合わせる「肴」や飲む「温度」、さらには「シュチュエーション」に「体調」、そしてなにより「誰と飲むか」によって「酒の味」なんて大きく変わってしまうのですから・・・万人が旨いと思う「味」など考えれば考えるほど存在しないのです。
ではどんな「味」を造ればいいのか?
それは少なくとも「自分たちが旨いと思うもの」なのでは?
そんな「目指す旨さ」を確立するため、そしてブレずに貫くため、自分を奮い立たせるため、蔵主たるもの時には「暴言」や「毒」も吐かなければならないのです。
だから好き勝手に言いたい放題な訳ではないのです。本当です。本当なんです。
えっ? 酒に関係ない話も多いって? それは・・・・・・

平成13年(2001年) 正月
  

カテゴリー:愉快な暴言│投稿:2001年01月03日 07:50

日本酒とは?

磯蔵の考える「日本酒」とは?
いい酒というのは、環境に始まり、材料から醸造、流通、そして皆さんに飲んでいただく瞬間まで、たくさんの「人」に支えられてこそ初めて成り立ちます。
だから当蔵一番のこだわりは「人」です。
「酒造りは一期一会の積み重ね」をモットーにたくさんの人々とのかかわり合いの中で、日々成長していく酒を造っていきたいですね。
そうしてできあがった酒が、飲んでくれる人々のまた新しい交わりのきっかけになれたら最高です。
酒を飲むときだって一番旨い酒が飲めるのはいつもいい仲間と飲むときだったり…やっぱり一番重要なのは「人」で、その次が「場の雰囲気」だったり「料理」だったり…「酒」はそのつぎあたりではないですか?(笑) 
「酒は人ありき」。
人間と人間との潤滑油として存在するのが当蔵の考える理想の酒ですね。
IMG_5580
「日本酒は日本の文化」です。
しかし、かしこまって言うべき「文化」では無く、「日本人の喜怒哀楽と共に古くから日本人の生活に根ざした何気ないもの」と当蔵では考えます。

御存知のとおり昔から日本酒は米を原料に造られる醸造酒で、「純米」であるべき酒です。
しかし現在の日本酒はその過半数が醸造用アルコールの添加(以後、「アル添」)された酒になっています。世界基準で酒造りを考えても、主原料以外から精製されたアルコールの添加される酒はリキュール類に分類される事が多いでしょう。
では日本酒は日本酒でなくなってしまったのでしょうか? 
いいえ、アル添も日本文化なのです。
それは、日本酒の最高峰(?)と言われる「大吟醸」や更には「鑑評会出品酒」のそのほとんどが、「アル添」され造られている事からもわかるでしょう。
吟醸酒の「アル添」は「もろみの中の香りを引き出し味のキレをよくする」ために行われる製造技術であり、日本人の「旨いもの」を追求する探究心から生れた文化なのです。
では、そうでない「アル添」…それは単に「精製数量を増やす」ためや「価格を下げる」ために行われる「アル添」…これは非文化的行為でしょうか? 
いえいえ、これも戦後の食糧難、物品が足りないときに編み出された立派な文化なのです。 
何気なく飲める旨くて安い日本酒が造れる...これは蔵元にとって、そして財布の軽い日本酒ファンにとっても、とてもありがたい事じゃありませんか。

モノが溢れるこの時代、日本酒はオシャレにカッコヨク飲む時代になったと言います。
そしてドラマチックでない日本酒文化は「ヨッパライ」と共に隅へ追いやられ、昭和の急成長時代の「うかれた日本文化」とされつつあります。
そんな中、当蔵は原点の純米酒にこだわりつつ、吟醸酒、そして「ヨッパライ」のための酒も「何気なくも大切な日本人の日常」として真面目に造っていきます。

平成13年 春
  
カテゴリー:愉快な暴言│投稿:2001年04月01日 07:56

意味あるもの

調べてみれば、昔からあるものにはだいたい「意味」があります。
物事はただ「そのほうが良さそう」と言う事で決められてはいないのです。
例えば当蔵にしても
『笠をぐるりと並べた間のような盆地だから「笠間」と呼ばれる笠間市の、稲作が盛んで田圃だらけの「稲田」にて農家をしていましたが、御影石が採れる石が幾らでもある地域だから「磯」と名乗り、石を浸透してきた水「石透水」に着目、仕込水として酒造りを開始、磯の家には米蔵や酒蔵があるので屋号「磯蔵」と呼ばれ古くから稲作が盛んな稲田の里にあるから「稲里」を酒名に、地元の米を地元で酒にし、地元で飲んでいただく「本物の地酒」を目指し今日に至る・・・』
と言う訳です。
20120429-IMG_8416
しかし近年は、カッコ良ければ、楽しければ、美味しければ、安ければ、売れれば、儲かれば、そして皆がいいって言えばいいじゃないというような風潮があまりにも巷を席巻しているような気がします。
たしかにその通りだと思う事もありますが「物事」や「物づくり」、「製品」や「売り方」には「テーマ」や「プライド」そして「意味」があったほうが私好みです。
よって、当蔵はこれからも
地元の水と米を「酒は人ありき・・・人々の喜怒哀楽と共にある何気なくも大切な日常」をテーマに、たくさんの人々との関り合いの中、米を醸す醸造酒ならでは米の味と香りのする「ライスィ」な日本酒に仕上げて参ります。

平成13年 夏  
カテゴリー:愉快な暴言│投稿:2001年08月12日 08:39