Palmのスマートフォン「Palm Pre」


6月に北米で発売されたPalmのスマートフォン「Palm Pre」がヨーロッパでも発売開始となった。Palm Preは同社が開発してきた「Palm webOS」を搭載した次世代スマートフォンと言える製品だ。iPhone、Android、BlackBerry、Windows Moible、そしてNokiaのS60などライバルが多いスマートフォン市場でPalmはシェアを回復できるだろうか?

Palmが先日発表した2010会計年度第1四半期(2009年6-8月期)の決算報告によると、同社のスマートフォン販売台数は82万3000台だった。この内訳は公表されていないがほぼ全てがPalm Preだったと見られている。1ヶ月あたりの平均は27万台程度、このペースが年間続けば約300万台に達するわけだ。これはiPhone 3GSが発売から3日間で100万台を売り上げた数から見ると物足りない数字であるが、従来のPalm OSやWindows Mobileとは別の全く新しいOSを搭載した新製品であったことを考えると十分検討していると判断してもよいだろう。

最近のスマートフォンはフルタッチ+WEB+マルチメディア+SNS対応がトレンドであり、文字入力を多用するユーザー向けにはQWERTYキー搭載端末も多数販売されている。Palm Preはこのいずれの機能をも満たす製品だけに、販売国が広がれば販売台数も増えることが期待される。但し初代のPalm Pilot---まだPDAであり電話機能はなかった--- が世の中に出てきたころとは違い、今はライバル製品が多数市場では販売されている。新製品の投入の遅れはそのまま販売台数や市場シェアの下落に結びついてしまう。iPhoneが世界各国で同時発売されたことと比べると、Palm Preがヨーロッパに出るまでにかかった4ヶ月というリードタイムは長すぎたようにも感じられる。

各国で販売好調なiPhone以外を見ても、Androidはすでに複数メーカーから新製品が登場している。BlackBerryもこの冬登場のモデルが数機種が噂されている。Nokiaはフルタッチに対応したS60スマートフォンラインナップを着々と増やしているだけではなく、Linux OSベースのmaemoプラットフォーム対応端末をまもなく投入予定だ。Micorosoftは10月6日にWindows Mobile 6.5を発表、30機種前後が続々と登場する予定だという。

このようにスマートフォンだけでも数十機種の新製品ラッシュとなる、いわば「戦場」に飛び込むPalm Preの売りはどこにあるのだろうか。次世代のスマートフォンOSと呼ばれるPalm webOSはガジェット好きなユーザーには目玉となるだろうが、一般コンシューマー層にとっては「何ができるか」がそれよりも重要だ。日常的に利用する機能面ではPalm Preも他のスマートフォンも大きな差は無い。また価格はヨーロッパの通信事業者、O2はドイツで24ヶ月契約時にPalm Preを1ユーロで販売。これも他社のスマートフォンと大差ないのだ。
ヨーロッパではO2がPalm Preを販売する


すなわち機能での圧倒的な差別化や価格での競争力が無いとなると、何らかの「Palmならでは」の特徴が無くては販売競争に生き残っていくのは厳しそうである。ましてや英国ではO2はiPhoneも販売しており、同じ事業者の販売店内にライバル製品が存在している格好になってしまった。

Palmといえば一世を風靡した「使いやすいスマートフォン」であり、今でも根強いファンが多数存在している。「元祖スマートフォン」でもあり、Palmならではの使いやすいユーザーインターフェースを搭載している。これだけ各社がスマートフォンをリリースする今の時代であるからこそ、機能だけではなくユーザビリティーの面での優位性をアピールすることも必要となるだろう。

またPalmはPreより小型でQWERTYキーボードを画面下に搭載したPalm Eosを年内に発売する予定だ。これも北米販売開始後は海外市場に速やかに投入するべきだろう。「まずはアメリカ、次にヨーロッパ」などと時期をずらして販売国を拡大できるのはAppleだからできることであり、PalmがAppleのビジネス手法を後追いしたところで同じ成功の道を歩むことは難しい。PalmのライバルはiPhoneではなく全スマートフォンであり、シェアを上げるためにはひたすら拡販しユーザー数を増やすことで製品の良さを世界中に認知させることが必要だろう。
早急に販売先を増やすことも必要だ


山根康宏
著者サイト「山根康宏WEBサイト」

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