世界シェアトップを走ってきたNokiaの携帯電話売り上げが急降下している。6月21日に発表された同社決算報告によると、2011年第2四半期(4-6月)の携帯電話出荷台数は8850万台で、前年同期比で20%の減少となった。同社は四半期ごとに1億台以上の端末を出荷してきたが、1億の大台を割るのは実に2007年第2四半期以来のこと。しかも同社のブランド力を牽引していたスマートフォンの売り上げでも一気に首位から落ちるという屈辱的な結果となっている。

Nokiaスマートフォンの出荷台数ダウンは、Symbian OS搭載端末が他OS搭載スマートフォンより魅力が無いと消費者が判断した現れともとれるが、製品数そのものが大幅に減った結果でもある。2008年はほぼ毎月1機種以上の新製品が投入されていたNokiaのスマートフォンは、今年2011年にはまだ実質2機種しか発売されていない。

しかもフルタッチ端末は、Nokia X7の一機種だけとなっている。多数のモデルを展開し、その中から消費者の好みの製品を選ばせるという製品ポートフォリオを展開してきた同社にとって、目新しい製品を揃えられない現状では消費者の目を向けさせることは難しいと言えよう。


一方、AppleのiPhoneは2007年の発売開始以来、順調にその数を伸ばしており、2011年第2四半期の販売数は2000万台を突破した。iPhoneの右肩上がりの成長は、もはやNokiaだけでなく他のメーカーでも止めることは難しい。

もちろんスマートフォンOSとしては、Androidが市場の過半数を奪いメジャーOSとなっていくだろうが、iPhone/iOSもAndroidに次ぐ勢力としてスマートフォン市場に絶対的な影響力を与えていくはずだ。iPhoneの仕様や機能、あるいはサービスなどは世界中の通信事業者にとっても無視できないものになっているからだ。


今後だが、NokiaはWindows Phone7にリソースを集中してスマートフォン戦略を大幅に転換するとしている。しかしSymbian端末の販売数減少を食い止めるだけの力をWindows Phoneが持つまでには、かなりの時間がかかるだろう。このことからもNokiaのスマートフォン販売数の減少は今後1年以上にわたって続くと予想される。結果としてスマートフォン業界におけるNokiaのプレゼンスは、さらに小さいものになってしまうだろう。

これに対しiPhoneは今年の夏の新製品発表はキャンセルされたものの、市場の噂どおりにこの秋冬に新製品が出てくるとなれば販売数は記録的なものになるだろう。なぜなら1年のうちで携帯電話の販売台数が最も多くなるのが秋冬のクリスマスシーズン、すなわち第4四半期だからだ。

しかも1年も新製品を待ち続けていたiPhone4ユーザーだけではなく、iPhone3GSを2年縛りで購入した消費者にとって、この冬の買い替えは絶妙なバランスとなるからだ。秋冬に発売がずれ込んだことにより、新iPhoneの争奪戦は今までよりも激しいものになることは明らかなのだ。一方で、Appleにとっても、この秋冬に新機種を投入できなければ、Android陣営に大きく水を開けられてしまう可能性もある。


そのAndroid陣営だが、やはり好調なのはSamsungだ。アナリストの予測では同社の今年第2四半期のスマートフォン出荷台数は2,000万台弱。Appleには追いつかないものの、Nokiaがここまで数を減らしたことでスマートフォンシェア2位の座に到達することは確実と見られている。同社は最新スマートフォン、Galaxy S IIが販売開始からすでに300万台を突破。この夏にはタブレット新製品も本格的に市場に投入するなど、その勢いはApple以上とも言ってよいだろう。
Galaxyシリーズが好調なSamsungはスマートフォン全体の売り上げもあがっている

またSamsungを追いかけるスマートフォンメーカーとして注目されているのがHTCだ。同社はほぼ毎月1機種のスマートフォン新製品を市場に投入しているが、そのほとんどがハイエンド製品なのである。この両社は、アメリカですでにLTEとCDMA2000に対応したスマートフォンを投入済でもある。LTEは今年になってからようやく世界中の通信事業者でサービスがはじまりつつあるが、この冬には両社からW-CDMA/LTE対応のスマートフォンがいよいよ登場すると見られている。

ディスプレイやCPU、搭載メモリーといった物理的なスペックではなく、最大100Mbpsにも達する超高速通信が可能なLTEスマートフォンを投入する両社は「次世代ネットワークに強いメーカー」としても評価をさらにあげることになるだろう。両社はまたAndroidだけではなくWidows Phone7も手がけており、1種類しかメジャースマートフォンOSの選択肢の無いNokiaよりも、既に優位な状況を構築できている。
ハイエンドスマートフォンメーカーとしての地位を確立したHTC

このように今年後半はAppleとSamsung、そしてHTCによるスマートフォン新製品が市場で大きく販売競争を繰り広げることになるだろう。LGやMotorola、Sony Ericssonはこのビッグ3に対抗するには力不足の感は否めない。スマートフォン業界では、今後は上位メーカーと下位メーカーの差が広がっていく可能性が高く、2番手群よりもHuaweiやZTEといった中国の新興勢が上位に食い込み、老舗メーカーのシェアをどんどん奪っていくだろう。

スマートフォンの勢力図は来年には大きく変化していることになりそうだ。

山根康宏
著者サイト「山根康宏WEBサイト」

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