先日新モデルが登場したASUSTeKのスレートPC「Eee Slate B121」。この“スレートPC”と聞いてピンとくる人は、かなりのPC通であると言えるだろう。現在のiPadやAndroidタブレット人気に対してWindows 7がサクサク動くスレートPCは登場時にはそれなりに話題になったが、以降はフェードアウトしていくような感じで1年が経過してしまった。Windows 8が登場することでMetro UIというタッチ操作が可能になりスレートPCが盛り返してくるのかといったことや新しいiPadやAndroidタブレットに対抗していけるのかといった点でかなり不安が残る。そこでスレートPCに対して現状で気になる点を考えてみたいと思う。

マイクロソフトはWindowsが動作するノートPCにタッチパネル液晶とスタイラスペンを搭載した製品をTabletPCと呼び、Windows XP時代からTablet Editionを用意して展開してきた経緯がある。そのためキーボードを持たずにタッチ液晶とペン操作のタブレットPCをTabletPCと区別する必要が出てきた。以前は“Windowsピュアタブレット”などと呼ばれていたが2010年のCESでTabletPCと明確に区別するために“SlatePC”(スレートPC)、日本語だと“石板パソコン”という何とも奇妙なネーミングになった。

さて、今回発売されたASUSの「Eee Slate B121」はWindows 8の最低要件である解像度1024×768ドット表示以上の解像度1280×800ドットなのでWindows 8のインストールは可能だ。しかし、本来搭載されるであろうWindows 8のSlatePC版であるWindows 8 Tabletでは最低でも1366×768ドット以上の解像度が必要となり残念ながら使えないということになる。唯一動きそうなのがONKYOのスレートPC「TW3A-A31C77H」で数あるスレートPCの中で解像度が1366×768ドット表示だ(図1)。

図1■ONKYOのスレートPC「TW3A-A31C77H」はIntel Core i7-2677M(1.8GHz)を搭載、11.6インチのマルチタッチ対応液晶パネルの解像度は1366×768ドット


■Windos 8の最低解像度は1024×768ドット、Tablet向けは1366×768ドットが必須

実際に触れたわけではないので詳細は不明だが資料を見る限り「Eee Slate B121」は、プラットフォームをArrandaleからSandyBridge世代に変更した程度で超低電圧版Core i5-470UM(1.33GHz)の搭載といったスペック的な部分は、前モデルとなる「Eee Slate EP121」とそれほど変わっていないように見える。感圧式の液晶やワコムの「Wacom feel IT technologies」を搭載した快適な操作性といった点で前モデルの評価はかなり高かった。それを踏襲していることを考えれば、商品的には堅実なモデルであると言える。Windows 7で使っている分では、かなりサクサク動くと思われるのでWindows 8 Tabletじゃなくてもかまわないという人なら買っておくのもいいかもしれない。

いっぽうのONKYOのスレートPC「TW3A-A31C77H」は、解像度が1366×768とWindows 8 Tabletの最低要件を満たす。Metro UIと呼ばれるタッチパネル向けのUIが利用できる。また、タッチパネル向けの新たな機能も使えるはずだ。TW3A-A31C77Hを押さえておけば、将来Windows 8 Tabletが出てきたときにアップデートして使うことができると思われる。ただ新しいiPadの2048×1536ドット表示のRetinaディスプレイはユーザーの評価が非常に高い点を考えると、TW3A-A31C77Hの1366×768ドット表示では物足りなさを感じるかもしれない。

そして最も気になるのが価格的な競争力があるかどうかといったところだ。現状で新しいiPadの値段は64GバイトにWiFi+4Gモデルで7万円弱だ。Androidタブレットであるレノボの「ThinkPad Tablet」は、WiFi+3Gモデルで6万円ちょっと、いっぽうの「Eee Slate B121」は9万9千800円、ONKYOの「TW3A-A31C77H」は11万9千800円で、Windowsが動くPCであることを考慮しても、かなり高いと言わざるを得ない。iPadやAndroidタブレットと同じ価格帯でAtomやAMD Fusion APU搭載のスレートPCもあるがWindowsの動作がもっさりしていてiPadやAndroidタブレットのサクサク感と比べると不利だ。

■同じWindows PCといった点でUltrabookという強力なライバルも

さらに言えば、値段と性能的にIntelの提唱するUltrabookが、ぴったりと競合するはずなのでお互いを食い合ってしまう可能性もある(スレートPCより安いモデルもある)。Ultrabookは薄型でキーボード付き、スレートPCはキーボードレスという違いはあるのだが、PC同士なのでスペックで直接比較できてしまう。正直言うとASUSのZENBOOKやデルのXPS 13、HPのFolio 13-1000やHP ENVY14 SPECTREのほうが、スレートPCよりはるかに魅力的だと個人的には思ってしまう。

■結局はWindows 8待ちか?

現状では「Windowsが動くマシンでなおかつタブレット機能が必要だ」と言うかなり限定された条件でない限り、新しいiPadやAndroidタブレット、そしてUltrabookに人が流れて行くのは当然だと言えるだろう。結局はWindows 8の出来次第でスレートPCの魅力も大きく変化する。現状のスレートPCのマイナーなイメージを打ち破るほどWindows 8がすばらしく魅力のあるOSとして出てくることを大いに期待したい。

Eee Slate B121製品情報
ASUS

TW3A-A31C77H製品情報
ONKYO

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