時をさかのぼることおよそ17年前の1996年4月、日本でYahoo!JAPANがインターネットサービス提供を開始した。当時、日本橋箱崎町にあったソフトバンク本社ビル10Fの片隅に事業部として立ち上がり、サーファーと呼ばれる人たちが24時間体制でインターネットを逐一チェックし、新たなホームページをカテゴリーごとに分類してディレクトリデータベースに登録するという作業を手動で行っていた。

その当時ソフトバンクで働いていた筆者。サービス開始1か月の間、MA-1を着たジェリー・ヤン(米Yahoo!創業者、元CEO)と本社ビルエレベーターで何度も乗り合わせ挨拶をするなど、いまでは考えられないような環境であった。

室内にはコンパック(現在のヒューレット・パッカード)のブレードサーバーがポツンと置かれ、そのサーバーがYahoo!JAPANのすべてであり、そしてそのサーバーでも十分耐えられる程度のネットユーザーからのアクセス数であった。現在のように1日で19億もアクセスされる巨大ポータルに成長するとは、誰も予想していなかっただろう。



Yahoo!事業部では、ピリッとした緊張感の中でサーファーたちが黙々とネットサーフィンをしているため、なるべく邪魔をしないよう、こっそりと横切るのが常であったのも今となってはいい思い出だ。

また、当時は商用のプロバイダーサービスが開始された直後で、インターネットに接続するにしてもアナログモデムのわずか14.4Kbpsの接続が「高速インターネット」と謳われた時代だった。

その頃のHTMLでできる表現は限定されており、扱える画像サイズも小さく、ホームページといっても、画像少しにあとはテキストといったスタイルが多かった。そんな中、インターネットで行う広告として、いわゆるバナー広告が登場したのだ。

■インターネットテクノロジーの進化とともに歩んできたネット広告の歴史
このバナー広告の登場以降、ネット広告はインターネットのテクノロジーと共に進化していく。インフラがどんどん高速化され、扱えるデーター(画像や音声・動画)も高品質なものへと変わり、そしてHD画質といった高解像度動画までネット広告で扱えるようになった。

こうしたネット広告の仕組みの変遷を詳細に解説しているのがデジタルマーケティングラボ(DML)のコンテンツ「インターネット広告の歴史」だ。1996年に登場したバナー広告から始まり、新たに追加されていったインターネット広告の手法をわかりやすく理解できるようになっている。

■ネット広告の歴史は「広告手法追加」と「配信プラットフォーム進化」の歴史
このコンテンツを見て理解できるのは、インターネットの通信回線の高速化、そしてテクノロジーの進化による取扱データの種類および帯域の増加に伴い、インターネット広告で扱える広告手法が“追加されて来た”という部分だ。

たとえば初期に登場したバナー広告(純広告)だが、現在もネット広告の基本として存在しており、PVが稼げるサイトのトップページでは広告スペースとして用意されている。また、メールマガジンによる広告なども、いまだにポピュラーな広告手法として使われている。

たとえばPCやIT、ネットワークテクノロジーの場合、最新技術が登場すると古い技術に置き換わることがほとんどだ。枯れた技術は棄てられる運命にある。これがインターネット広告の場合は、既存の手法は残ったまま広告手法が新しく追加される形になるのだ。

■単なる全体向け広告から特定ユーザーに絞り込むターゲティングへ
本コンテンツからさらに理解できるのは、インターネット広告は、不特定多数に向けた広告配信から、インテリジェンス性を持って狙ったユーザーに向けて広告を配信するという、ターゲティング手法進化の歴史でもあるということだ。

たとえばバナーとメール配信という手法しかなかった時代が1996年から2002年頃まで続くが、この期間は「PVが多いサイト=広告閲覧数も多い」ということで、訪問者数の多いサイトにこぞって広告を打つという物量作戦的な広告が多かった。そのために広告を出した割には、あまりヒットしないということもかなりあった。

それが2002年に登場したリスティング広告の登場によって一変する。検索連動型のリスティング広告は、ネットユーザーが検索したキーワードを元に、関連性の高い広告を検索結果に表示するという画期的な方法だ。たとえばお米が欲しいと思って検索をしたユーザーには、お米のネット通販業者の広告を表示するといった具合に、ユーザーが求めている製品、その製品を提供する業者、をマッチングさせることが可能になった。



■ユーザーと広告配信をいかにマッチさせるか?
このリスティング広告の登場以降、インターネット広告は、製品(サービス)を求めるユーザーと、製品(サービス)を提供する広告主とをいかにマッチングさせるか? といった技術開発のほうへとシフトしていく。検索連動型だけでなく、特定サイトに置かれる広告も、そのサイトのコンテンツ内容に即した製品の広告が貼られるようになっていく。

たとえば自動車に関連する記事であれば、自動車関連の広告を表示させる。パソコンの機器関連の記事であれば、パソコン関連製品の広告を表示させるといった具合だ。こうしたマッチングにより、広告配信の精度が飛躍的に向上していく。



■アドテク時代の到来そして現在へ
2008年頃には、広告配信の手法ありきといった考え方から、広告を出したい相手をターゲットしてロックオンする手法へと、ネット広告の考え方が大きく変化する。

広告を打つべき相手がいる(かもしれない)Web空間に無差別にチラシをばらまくような広告は、ヒット率が低く無駄が多かった。これが、その商品やサービスを求めているユーザーが集まるWeb空間をユーザーの行動から分析し、そこに適切な広告を配信することで、広告のヒット率を向上させ無駄を少なくする方法が編み出されることとなる。

この時代より、インターネット広告は、手法としての「バナー広告」といった部分は、そのまま変化していないが、バナーをどこに配置するか? といった部分の精度を高める時代に突入する。

広告を打つ相手が見えなかった時代から、ターゲティングの技術が急速に進化した結果、広告を打つ相手をピックアップしてマッチする広告を配信する仕組みへ完全に切り替わったと言っていいだろう。

そこで登場してきたのがアドネットワーク広告だ。広告を打つ側は、「ターゲットは、○×△」「キーワードは□○×△」といった部分を指定するだけで済む。広告を配信する側は、複数のネットワーク(広告配信先)から適切な媒体を選び、そこに広告を配置する。

特定のメディアに広告をするのではなく、配信するメディアもマッチングしてくれるといった仕組みが用意されるようになった。このおかげで、広告主は意識せずに適切な相手に広告を打つことが可能になった。広告を置く媒体側も、特定の製品の広告は表示させたくなければ、そのジャンルを配信対象から外すといったことも可能になった。

広告を打つ側、打つ場所を提供する側、双方に都合のいい仕組み(プラットフォーム)がアドネットワークということになる。



以上のようにアドネットワーク広告へと広告配信の仕組みが進化したことで、さらにインターネット広告の可能性が広がった。だが、インターネットがすべてつながっているとはいえ、そのネットワーク上すべてに広告配信ができるわけではない。

■アドネットワークを統合するDSPへ、そして配信手法に動画広告が登場
広告代理店が複数存在し、ポータルサイトも複数存在しているわけで、当然のことながらアドネットワークやアドエクスチェンジもひとつだけではない。そこで複数のネットワークをまとめることができるDSP(Demand-Side Platform)という統合プラットフォームが登場した。

このように広告配信のプラットフォームが整ってきたわけだが、広告の手法としてはバナー広告だったり、クリックすると紹介ページがポップアップするポップアップ広告といった古くから存在している手法が使われたり、Webサイトを開くと、まずFlashを使った広告が再生されるといった広告が使われていた。



ネットの帯域も十分ある、そして広告のターゲットとする相手を選ぶ精度も向上、といった良い環境なのに、打つ広告はバナーやFlashアニメといった従来通りの手法となると、興味を持ってもらうせっかくのチャンスを活かせないことも出てくる。そこでもっと訴求できる広告はないだろうかと考えられたのが、最近よく見かけるようになった「動画広告」である。

動画サイトのプリロール広告だけでなく、従来のバナー枠で、マウスを広告の上に乗せると、再生画面が出てきて動画が再生される等インタラクティブな仕組みと合わせて配信される動画広告も最近はよく見かける。



テレビではおなじみ、または映画館の本編上映前に流れるCMなど、映像はまさに「百聞は一見に如かず」で、言葉で説明するより実際の動画にして見せてしまうことは、何よりの説得力を持つ。また、文章だと何百文字も必要になってしまう説明を、わずか数十秒の動画で伝えることだってできるだろう。そして、現在のインフラは動画広告の圧倒的なメリットを生かせるようになっているのだ。

■最新のインターネット広告で注目されるDMP
インターネット広告が歩んできた17年間の重みがビッグデーターとして蓄積され、その活用を模索している中で登場してきたのが、DMP(Data Management Platform)だ。長期間積み重ねてきたビッグデーターや自社サイトのログデーターといった貴重な情報を一元管理し分析、最終的に広告配信などのアクションプランの最適化を実現するプラットフォームとして注目されている。

DMPも「オープンDMP」と「プライベートDMP」の2種類が存在する。前者はサイト訪問ユーザーのデモグラ情報や、興味関心・嗜好性などを外部のオーディエンスデーターとシンク(データーエクスチェンジ)させることができ、後者はオープンDMPの領域に加え、企業独自のマーケティングデーター(購買情報、ユーザープロファイル、各種プロモーションの結果等)を集約し、外部のオーディエンス情報とシンクさせて構築される。



このようにインターネット広告が歩んできた歴史と最新のトレンドを詳しくチェックできる本コンテンツは、デジタルマーケティングに関わる人には必見と言える。また、本連載でいままで紹介してきた項目とも密接に関係しているので、ぜひチェックしていただきたい。

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インターネット広告の歴史|デジタルマーケティングラボ(DML)
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