企業経営は仕組み化でうまくいく

名南経営コンサルティング 伊藤淳 公式ブログ

 
 ISOでの改訂内容を見てみると、リスクと機会という言葉が目につきます。
 今回の改訂で初めて、要求された項目となります。

 そもそも、今までのISOでは今の仕組みが確実に確立され、運用されて
 おれば、マネジメントシステムは展開されていると考えられます。

 しかしそれは今現在の仕組みはそうであっても、将来その仕組みを
 脅かす問題はないでしょうか?

 例えば、近々の問題として従業員の採用問題などがあります。
 いくらきちんと会社の仕組みをつくって、回していても社内の仕組みを担う
 従業員が高齢でのため退職を余儀なくされてしまっては、その役割は
 別の人が担うことになります。
 その役割を担う人を社内で用意できない場合、つまり社員の採用ができない
 場合には、誰かにしわ寄せが行き、結果、しっかりと運営されていたはずの
 社内のマネジメントシステムが破たんをきたす恐れがでてくるわけです。

 しかし、前もって、そのリスクを洗い出して、対応方法をそれなりに考えて
 おけば、いざとなった場合にも慌てることなく対処が取れることが考え
 られます。

 昨今のBCP構築や対応にも注目が集まるように、先のリスクを前もって
 対処を考えておくことが必要になってきてるように思います。

  今回のISO9001の改訂では、様々な改訂がなされていますが、その中で今度重要になると思われるヒューマンエラーを考えてみたいと思います。

 
  何かミスが発生したとき、われわれはその原因を探ろうとします。昔は、機械の精度も高くなかったのでそのミスの原因が機械の故障だったり、誤動作だったりしたこともあったのでしょうが、今は人のミスが圧倒的に多くなったのではないでしょうか?

 このヒューマンエラーが起こると原因を探ってみると「ついうっかり」「ぼんやりして」とかいう枕詞と併せて「見落とした」という結論になり、対策は「気合を入れてやる」とか「徹底する」という言葉で終了してしまうことが多いように思います。

 例えば見落としたという原因での対応を、もう少し制度的に改善を図るならば、「見落としても、他に発見できる機会を作ればよい」となりWチェックを行うという対応が考えられます。実際そのような対応をとる企業も多く見受けられます。

 ところが次の場合はどうでしょう?


  ある滑舌の悪い強権的な社長から指示を受けた社員が、「1」と「7」を聞き間違えて注文数を間違えたという話です。この会社が作成した再発防止処置では、「上司がその数値が正しいかどうかWチェックを行う」という対応でした。

これを見て、違和感を持つ人も多くいると思います。本来であれば社長の滑舌が悪く、聞き取れないのならば、ヒアリング書類を作って社長に確認してもらうとか、社長から書類で指示を出してもらえば解決するのです。ところがこの会社では、社長に聞き返すこと自体、一種のタブーとなっており、そこが不可侵領域になっていたのです。よってその本質的な原因を除いたところでの対応を作ることになり、本当の原因は改善されないままです。


    さらに問題は、この会社は再発防止対策といえばWチェックといったように、他の対応を考えることをせずに、自分の知っている範囲内ですべて帰結してしまおうと考えたのでした。こうなるとその担当者のヒューマンエラーが問題ではなく社内の風土、制度的な問題となってまいります。

特に前者の権力によって原因追及ができない場合等に関しては、会社のトップが改善をすべき問題です。社内にこのようなことがないか、わざと間違えて自分に指摘がなされるかの模擬訓練をしてみては、いかがでしょうか?

    先日、「信頼学の教室(中谷内一也著)」という書籍を読んでいると面白い言葉を見つけました。それは「心配総量有限仮説」という言葉で、説明によるとこれはわれわれが気に病むことのできる全体量に上限のようなものがあり、ある大きな心配事ができてそれに注意が向けられるとその分、他の事柄の心配は低下するというものだそうです。
 自身を振り返ってみても、今抱えている問題以上に大きな問題が発生すると最初に考えていた問題の影響が相対的に低くなったように感じることがあります。しかし、当初考えていた問題点は無くなってもおらず、その影響は低く感じるだけで確実に存在してるわけです。
 もし、このような事態に陥いれば、問題の重要性が薄れるため、問題解決をする意思が低くなる可能性があります。問題はほっておけばおくほど、大きくなる可能性があるため、気づいたとき手遅れということもあります。
 こういう落とし穴にはまらないように意識をしておきたいものです。
 
 
 
 

 

 


   

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