今回のISO9001の改訂では、様々な改訂がなされていますが、その中で今度重要になると思われるヒューマンエラーを考えてみたいと思います。

 
  何かミスが発生したとき、われわれはその原因を探ろうとします。昔は、機械の精度も高くなかったのでそのミスの原因が機械の故障だったり、誤動作だったりしたこともあったのでしょうが、今は人のミスが圧倒的に多くなったのではないでしょうか?

 このヒューマンエラーが起こると原因を探ってみると「ついうっかり」「ぼんやりして」とかいう枕詞と併せて「見落とした」という結論になり、対策は「気合を入れてやる」とか「徹底する」という言葉で終了してしまうことが多いように思います。

 例えば見落としたという原因での対応を、もう少し制度的に改善を図るならば、「見落としても、他に発見できる機会を作ればよい」となりWチェックを行うという対応が考えられます。実際そのような対応をとる企業も多く見受けられます。

 ところが次の場合はどうでしょう?


  ある滑舌の悪い強権的な社長から指示を受けた社員が、「1」と「7」を聞き間違えて注文数を間違えたという話です。この会社が作成した再発防止処置では、「上司がその数値が正しいかどうかWチェックを行う」という対応でした。

これを見て、違和感を持つ人も多くいると思います。本来であれば社長の滑舌が悪く、聞き取れないのならば、ヒアリング書類を作って社長に確認してもらうとか、社長から書類で指示を出してもらえば解決するのです。ところがこの会社では、社長に聞き返すこと自体、一種のタブーとなっており、そこが不可侵領域になっていたのです。よってその本質的な原因を除いたところでの対応を作ることになり、本当の原因は改善されないままです。


    さらに問題は、この会社は再発防止対策といえばWチェックといったように、他の対応を考えることをせずに、自分の知っている範囲内ですべて帰結してしまおうと考えたのでした。こうなるとその担当者のヒューマンエラーが問題ではなく社内の風土、制度的な問題となってまいります。

特に前者の権力によって原因追及ができない場合等に関しては、会社のトップが改善をすべき問題です。社内にこのようなことがないか、わざと間違えて自分に指摘がなされるかの模擬訓練をしてみては、いかがでしょうか?