社外取締役の制度について「社外」の条件(※)などは詳細は専門書にゆずるが、商法・商法特例法・証券取引法等に根拠のある監査で、会社従業員の目から見てぶっちゃけた話、名実ともに監査らしい監査がまともにされたなあと思ったことは一度もない。もっともこれで制度の有効・無効を検討するのは大変な乱暴で、もともと名古屋には比較的キャッシュリッチな会社が多く、資本の効率性を除けば(笑)、上記法令で問題とされているようなレベルでは経営に問題もないところが多いので、社外だろうが国外だろうが地球外だろうが、監査が入っても痛くもカユくもないというのが第一の理由である。

平穏時の消火器を眺めていざというときに使えるかどうかを論じるがごとしなのである。しかし自分が関わらなかった現場に関する見聞によれば、ここは通してはいかんだろうと思うところが通っている例も複数ある。社外取締役の監督機能に至ってはなおさらであり、期待されている機能を果たされていないと思う。どのように機能を奪われているかというと象徴的に言えば、1)社内取締役に懐柔されているか、2)懐柔すらされずにお客さん席に座らされているか、のどちらかであっていずれにせよ社内取締役たちに不都合なおイタをしないような有形無形の工夫がなされて法令を骨抜きにしている。「社外取締役出席時用取締役会」という名の三文芝居が延々と演じられ(しかもこんな芝居してもらえるなど気を遣ってもらえている方である)社外取締役を丁寧に全員お見送りした後にアジトの飲み屋で改めて本物の取締役会が行われるのが通例である。このように内部の人間が通牒してこのどちらかの扱いをすることに決めたらこれを切り崩すことは不可能であり、そこを切り崩すことを社外取締役に期待するのは酷に過ぎる。

では社外取締役がする監督は理想論で現実にはあり得ないかというとそうは思わない。参考にすべきではないかと思う事例を見たことが一度ある。ただし上記諸法令による監査ではなく「補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律」に関する経済産業省の立入検査(23条)だ。

方針を簡単に一言で言うと、通常時の書類についてはほとんど文句をつけないが実際にカネの交付がなされる段階に近づくとそこそこに集めた資料と担当者をざっと見て(ああここはアウトだ)と内部で決定したらその会社を徹底的に精査しまくる方法である。相手が「ああごめんなさい。私が悪うございました。もらうだけもらって適当なことして失敗というつもりでした。申請した補助金は丁重に辞退させていただきます」と頭を下げるまで徹底的に検査する。一応検査のやりすぎを咎める条文(24条不当干渉の禁止等)もあるがまず使ってこないのでほぼ100%勝つことになる。普段はほとんど関わっていなくても、すべき検査が必要十分なだけなされていたし絡むべきところにきちんと絡んでいたと思う。

こんな曖昧模糊とした書き方しかできなくて申し訳ない。(何言ってんだこいつ。大雑把なたとえばかりで具体的にピンとこないぞ。もっとはっきり書け)と思われる方は、今話題の旧通産省出身・村上世彰氏のさまざまな会社の経営陣への絡み方を想起していただきたい。私が見るところ村上氏の活動方針はいろいろ言われているがごくシンプルであり要は氏が通産官僚時代に身につけた会社の取締役への絡み方を武器にその武器を株主としての立場で行使しているのだ。でその通産省の検査の仕方とはこの会社はダメだこの取締役はダメだと事前に○×を決めたら相手がポッキリ折れるまでの戦略を全部組んでしまい後はその戦略に沿って機械的にやるそういうやり方なんである。「徹底的にやるぞ」とターゲットスコープにロックオンされた時点で相当な確率で云々・・・ということになる。

まとめよう。制度上言葉は同じ社外取締役であるが、アメリカと日本では相当な違いがある。基本的な点だけでも以下の2点が指摘できる。

1)日本ではアメリカのように取締役会のメンバーの過半数が社外取締役なのではなく、取締役会に設置される3つの委員会のメンバーの過半数が社外取締役でなければならないとされるに過ぎない。
2)アメリカの社外取締役は日本のそれに比べて相当に独立性の強い者が予定されているため一般に親会社の関係者・重要な取引先・親族等が社外取締役にはなれないが、日本ではなれる(商法188条2項7号の2・商法特例法21条の8第4項)

従って日本の社外取締役の機能の仕方は独自に模索されてしかるべきだが、○×を決めるのに重要な情報がきちんと社外取締役にわたることが担保されており、かつ、×と決めて是正すべく活動するために必要な権限が十分に与えられていればという条件の下で、上述した監督(検査)方法は日本の社外取締役の監督機能の具体的かつ理想的な機能の仕方として想定されてよいのではないかと思う。


(参考文献)落合誠一著
      「放送大学教材 商法」(ISBN4-595-2369-8 2004年4月20日第2刷)
      p68,p89

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(書き終わって)確かに一生懸命自分の知る限りで思うところを書いたのですが同時にやっぱ素人が慣れねえことするもんでねえべという気持ちもたくさんございます。忌憚のない厳しいご批判心よりお待ちしております。「その担保のしかたが問題なんじゃねえか」「社外取締役に官庁と同じ権限与えろってか」等々。だって素晴らしかったんだもん。