2005年06月17日

会計監査不正発見に重点?ほんとうにそれでいいのでしょうか



5月31日日経夕刊によれば、日本公認会計士協会は2006年度から、企業経営者による不正を見抜くことに重点を置いた会計監査の手法を導入する、とのこと。これまで会計監査に不正発見の責任はないということが主張されてきていて私にはこれは正当な主張だと思われたのですが、

  2004年10月 西武鉄道
       10月 アソシエント・テクノロジー
       11月 メディア・リンクス
  2005年 4月 カネボウ
        5月 小田急

という具合に会計や監査をめぐる不祥事が連続しておきているので不正発見に重点を、ということを言わざるを得なくなったらしい。自然な改善に思われるかも知れないけれど、私にはどうも安易と思われます。なぜかというと経営陣が本気で意図的に隠蔽を企てたら発見はほとんど理論的・物理的に不可能であると私は思っているからです。ニヒリズムや会計監査人の不当な擁護ではありません。できないことをやらせることになると+の効果以上の−の弊害が生じるのです。

きっとほとんど不正手口の巧妙化を進めるだけの結果になるでしょう。

会計士協会以外の組織が「無理だ」と弁護する必要があるのではないかと思うのですが、経営陣が意図的に隠蔽を企てたら基本的に発見は不可能であるという認識をもっている人間がいかんせん少なすぎるのです。公然とそう主張している経営者は私の知る限りではただ一人です。できないことはできないといい経済事件の違法行為の取締り方からきちんと議論する必要があるのではないでしょうか。会計監査の制度自体がどこに由来するか考えてみると、経営者に違法行為があれば20年間もの間牢につながれる可能性のある国から来ているのですが、経済刑事事件に関する議論に不足はないのでしょうか。そうした部分を切り離して輸入しそれを改善することで何とかしても無理というものでしょう。百歩譲ってもまずは「経営陣の意図的な隠蔽工作と会計監査による不正発見の可能性」に関する現場レベルの調査・報告が待たれます。もちろんこれも不正発見を重要と考えるからこその意見であります。突飛なたとえのようですが日本全国誰も無理だと言えないまま、出来ないことを本気で目指した60年前を思い出します。本当はきちんと無理だと言っている人がいるはずなのですが、そうした意見が「流れ」や「雰囲気」だけで無視されていたりはしないでしょうね。

  「是非やれと言われれば、はじめの半年から一年は
   ずいぶん暴れてご覧にいれます。しかし、2年3年となっては
   まったく確信はもてません」(山本五十六)

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itobun at 08:07│Comments(9)TrackBack(2)日本を知る 社会制度・法 

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1. 会計士のお値段(その2)  [ ビジネス法務の部屋 ]   2005年06月04日 19:29
先日、会計士は普通に企業から「100点の仕事」を要求されるので、能力による報酬変
2. カネボウ最後の日  [ 株で生活したいブログ ]   2005年06月11日 12:32
 55年間株式市場の大企業として長く君臨したカネボウが10日をもって上場廃止となりました。 過去5年間の2000億円以上の粉飾決算が公表され、さらに何十年も前にさかのぼる粉飾決算の疑い・・・  まぁ、この会社は上場会社としての体をなしていないわけです

この記事へのコメント

1. Posted by toshi   2005年06月01日 23:00
こんばんわ。TBありがとうございます。こうさぎbunもお元気そうでなによりです。この不正発見会計の件、「会計士のお値段」の話題とピッタリはまりそうなんで、次回内部統制モノの記事のときにTBさせていただきますね。先日までいっしょに監査していた監査法人の代表社員の方も、本気で隠されたらわからない・・・とおっしゃってました。私の下衆な勘繰りですが、会計士さんのお値段は、おそらくこの「不正発見」をセットにすると、グンと跳ね上がるのではないか、と思います。でも、どんな調査をしたら、どの程度の不正が発見されるのか、検証自体が難しそうですね。あの人は「不正監査に強い」などと評判になると(つまり実力がつくと)クライアントがみんな逃げちゃうかもしれませんね。
2. Posted by 47th   2005年06月02日 04:47
最近、こちらで関わったある内部のコンプライアンス調査の件でforensic accounting(法廷会計?)という分野があることを知りました。内容は分からないのですが、ひょっとしたら、こうした「不正発見」の方法論というのも発達を始めているのかもしれません。
ただ、それでも、こういうのは「見つかったらもうけもの」の世界で、当事者が必死に隠そうとしたら、なかなか見つからないので・・・隠すよりも早めに開示した方がいいと思わせるインセンティブ設計を考える必要があるんでしょうね。
もっとも、本当に悪い奴は、通常人とは違うインセンティブ構造を持っているのが、更に問題なわけですが。。。
3. Posted by bun   2005年06月02日 10:47
47thさんご教唆ありがとうございます。

本当に面白い概念を教えていただきました。forensic accountingとは。いろいろなモヤモヤを晴らせそうな概念という感じがします。日本にはまだほとんど入ってきていないのではないでしょうか。勉強してみたいと思います。インセンティブ設計について全面的に賛成です。「見つかったらもうけもの」なのでやる方は「ほとんど見つからないからとりあえず必ずやっておく」ということになり私が見る経営者は多かれ少なかれ、また口で何を言っているかにかかわらず実際にやっていることを見ればほぼ全員そのような人間であります。

4. Posted by bun   2005年06月02日 10:49
違うインセンティブ構造についても全く同感です。私は通常人のインセンティブをもっていますがこれをもっているというだけで経営者の間では相当に浮いてしまうので経営者たちに接するときはこれを隠さなければならないのです。自分ではあまりやりたくないワルぶり方をしなければならない。しかも自分に有害な通常人を発見し阻害する術に長けていて(そんな芝居勉強するくらいなら法について学んだらと思うのですがそれだけはやらないのです 笑)実は笑ってしまうくらい水戸黄門の悪代官そのままなのですが今のユルい法がこうした人間を育ててしまっているとも言えるのではないかと思います。大きな悪事を働く真っ黒な人とは必ず最初は人並み以上に真っ白です。まず白さを褒められいろいろな権限をもたされたからこそその分大きな悪事を働くことができる。少しずつ白い人がグレーになり真っ黒になるのです。が、どこで線を引いて止めるべきか。
5. Posted by おおた葉一郎   2005年06月02日 11:15
bunさんこんにちは、
実際には、白と黒の二元論ではなく、「グレー」というのがありますよね。違法ではないものの・・・ということ
錬金術を使っているかどうかの見極め方の一つは、「経理出身者が主要役員にいるか」というのが一つの法則かなって思ってます。三菱自動車なんかですね。
「彼しか決算できない」というようなのが、一番あぶないですね。
6. Posted by bun   2005年06月02日 11:47
おおたさんいらっしゃい。そうですね。状況証拠の積み重ねで色を判定する方法があります。とある会社で大損失が出た銅の取引を思い出します。世界の銅の10%にも及ぶ取引が一人の人間によってなされていたと伺っています。
7. Posted by bun   2005年06月02日 11:54
社外取締役についてもおっしゃるような理由で会社の規模にかかわらず2人以上いないと会社側に不要な負担を強いるだけでほとんど意味がないと思います。
8. Posted by おおた葉一郎   2005年06月03日 12:02
bunさん。
10%ではなく5%だったと思います。
ミスター5%といって、その商社Sの社員をそのあと随分いじめてあげましたから・・
9. Posted by bun   2005年06月04日 07:23
おおたさんいらっしゃい。そうでした。私の記憶違いでした。失礼いたしました。

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