司法書士伊藤充宏の徒然草

豊橋市の司法書士伊藤充宏です。徒然なるままに心にうつろひゆくよしなし事を書きと留めていきたいと思っています。

2012年08月

尖閣・竹島と日本のあるべき姿

  香港の愛国者が尖閣諸島に上陸した。彼らの日本へ来る資金は寄付で賄い、強制送還される飛行機代は中国政府が出すという。政府承認の上での仕業なのであろう。


 先立て、テレビ解説者が戦争に発展することも覚悟して対処する必要があると言っていた。
 しかし日本は世界で唯一不戦の誓いをしている国家である。戦争の覚悟など微塵たりとも持ってはならないものである。
 粛々と降りかかる火の粉を祓い、粛々と国連の場で決着をつけていくのが21世紀国家の正しい姿である。

 マスコミや一部の識者は弱腰だのと言うけれど、兎に角、日本は緊張関係に発展するようなことは粛々と避け、21世紀のあるべき日本の道を行く。それはけっして、指をくわえて不法侵略を認めると言うことではなく、降りかかる火の粉は防衛の範囲内で実力を行使し排除する。100回押し寄せてきたら、100回「ハイハイ」とお約束のように押し返す。決して同じ土俵で戦わず、高次の次元で対応する。平和憲法の下ではそれしかなく、またそれでよい。そして世界に貢献し、世界の尊敬を集めていく。これがクールジャパンの正しい姿である。

  ただそうは言うものの、漁業権では話し合いの付いている竹島と異なり、尖閣列島はちょっと前まで石油埋蔵量はイラク並みの70億バレルと言われていた。現在は大分トーンダウンしてきたが、それでも豊富な地下資源があることに相違ない。採掘にかかれば中国は黙ってはいないだろう。このままでは絵に描いた餅である。何とかしなければならない問題ではある。

日航と全日空

 日本航空が2010年1月経営破綻して、京セラ名誉会長稲盛和雄氏が再建のトップを担ったことは記憶に新しいところである。
 稲盛氏はご存知、京セラフィロソフィー、アメーバー経営で有名な名経営者である。就任要請があったとき、高齢であることが、ご本人の社長就任を躊躇させていた。

 日航における現在の地位は名誉会長であるが、社長就任以後、4年で経営はV字回復を果たした。
 先立てカンブリア宮殿に出演していたのを目にした。それまでお客さま目線に立たない日航が大嫌いであり、なるべく日本航空を使わないようにしていたと稲盛氏は語っていた。 経営再建にあたっては、アメーバ経営を導入し、社員との間で京セラフィロソフィーの勉強会を開催し、そして聖域無きリストラをを断行していった。この短期でのV字回復には多くの驚嘆の声が上がっている

 そしてこの9月、日航は日本最速のスピードで東証一部に再上場する。上場後の株式時価総額は6,000億円である。
 この日航の上場に先立つこと、2ケ月前、全日空が1,700億円の公募増資を発表していた。これに対し、日航に本来流れてくるべき資本がそれらにまわり、妨害しているとしたならば由々しき問題と稲盛名誉会長は、怒りの表情を隠していない。

 しかしこの株式発行の時間差などは、取るに足らない問題と考える。なぜなら市場がどちらを選択するかというだけのことであり、投資家の判断に任せる問題である。むしろ話題性から、日航の新規公開株は人気を呼ぶことは必至である。仮にそれが故意での妨害であっても、競争社会の許容範囲内であろう。

 一方で全日空が投げかけている問題に我々は耳を傾ける必要がある。それは自由競争という資本主義の根幹の問題だからである。
 経営破綻以後、日本航空は企業再生支援機構から3,500億円の公的資本注入を受け、また、5,000億円を超える債務免除を得てきた。その結果平成24年3月決算で1866億円の純利益を計上した。全日空の純利益は280億である事を考えれば、桁違いの収益力である。

 現在、全日空は日航に対する公的支援はやり過ぎだと批判する。全日空は日航が経営破綻した後も、自助努力で、楽ではない経営を続けてきている。十分すぎる支援を受けたライバルと価格競争をするのは公平ではない。。
 全日空にしてみれば、憤りの声を発するのも当然であろう。その声を受けて、国交省は日航に対し、羽田空港など混雑する空港に於いての離発着回数を見直すなど新たな措置も検討中であると言う。

 近代経済のルールである自由競争原理「神の見えざる手」により、適正な価格、適正な資源配分なされ、その結果社会全体の利益が達成されるというメカニズムは今も我々の社会に横たわっている。
 一方でそれにより引き起こされる様々な弊害の為に、国家の干渉がある。現代国家はつねにその調整役となる。

 日航・全日空問題はそんな基本の、そして難しい問題であることを再認識させられた。
 皆さんは、どちらを応援したいですか。

種類株

zackerbarg 本来株式は、株主平等原則の理念の下、全ての株式において議決権、配当の内容は同一であります。これを普通株式と呼びます、しかし平成13年商法改正以降、定款の規定を設ければ、普通株式とは異なった種類株式を発行することができるようになりました。 

  種類株式には様々なものがあります。 

 優先株式と呼ばれる種類株式は、株主総会で議決権を行使できない代わりに、優先的に配当金を取得したり、また、残余財産の分配を受けたりすることができます。
 現在、日本で優先株式を上場しているのは、お茶の伊藤園だけであります。伊藤園は普通株式も上場しており、その配当の差異は、普通株式の1.25倍、普通株式に対し配当のない時でも1株につき15円を支払うというものであります。  
 株式投資をしている人は、株主総会における議決権行使などにはあまり興味が無く、その関心は殆どキャピタルゲイン、インカムゲインにあります。当然、株価は普通株式を上回ると考えられるのですが、現実は優先株式1,212円、普通株式1,492円(平成24年8月7日現在)と逆転しているのです。 面白い現象ですよね。この理由は色々と考えられているのですが、比較対照する上場優先株が無いこと、また現在の上場優先株が東証株価指数に採用されていないなどが主な理由として挙げられています。 

 また黄金株と呼ばれる種類株式は、それが1株あるだけで株主総会決議を否決できます。しかし黄金株は、会社支配のルールをゆがめるものとして、また株主利益を損なうものとして批判が多く、東京証券取引場は当初認めておらず、黄金株を発行するためには、上場廃止を選択せざるを得ませんでした。
 しかし平成17年、一定の条件付きで認めるようになり、それに伴い、国際石油開発株式会社は日本で唯一、黄金株を発行している上場会社となりました。この会社は国策会社でもあり、黄金株を採用して、当然と言えば当然でしょうか。 
 米国ニューヨーク証券取引場では今のところ黄金株を有する会社の上場を認めていませんが、ナスダックは認めています。
 先般上場したフェースブックのCEOザッカーバーク氏は普通株式の10倍の議決権を有する種類株式をもち、上場後の経営権を確保にしております。 
 また、東京電力は政府から7月31日、一兆円の出資を受けましたが、その際、議決権のある株式と議決権のない株式の2種類を発行し、その2種類の株式は相互に転換ができるようになっています。東電の再建が順調に進まない場合は、議決権なき株式を議決権ある株式に転換して、政府の関与を強めていこうという計画であります。

円高と海外移転

 日本がリーマンショック以降円高にあえいで、もうかれこれ4年にならんとする。
 経済筋が言う「円安の足音が聞こえてくる」という話は随所で聞くが、米国自体、経済の復調が見えず、QE3をちらつかされれば、どうやらそうやすやすと円安には向かいそうもないようだ。これだけの円高の持続は日本経済をただただ痛め続けるだけである。

 議会証言でコナンドラム(注①)と言ったグリーンスパン(元FRB議長)に睨まれて以来、日本政府は為替介入を控えてきたが、耐えきれず菅政権以降、たびだび為替介入をした。しかし、一時の鎮痛剤でしかなかった。

 円高のため、多くの中小企業が工場を海外へ移転し、それを計画する後続組もまだたくさん控えている。しかし8/3の日経新聞を読んでビックリした。「誘致から利益争奪戦に」と言う記事である。

 新興国は先進国に対し税の特典を与える代わり、自国への企業誘致をすすめてきた。しかし、インドネシアはダイハツに対して、本国に支払う特許使用料、原材料代を経費として認めないという態度を取り出し、それが日本企業全体で大騒ぎになっている、という内容であった。
 この税制は先進国の税制である。それに倣ったのだろうが、ある日突然の課税は、アメリカ独立戦争の原因にもなったように、法治国家では許されるものではない。
 この報道は、情報収集力も、企業体力もない中小企業の工場海外移転計画を今後躊躇させることとなる。まー、その分日本の雇用は確保されると言えばそれまでなのだが。

 為替で一人いじめられっ子になっている日本。
 世界になんと言われようと、どんどん為替介入して、日本の産業空洞化に歯止めをかけて欲しいという声が経済界のみならず巷に渦巻いているのは知っているはずだ。   .....何とかしてくださいよ、白川日銀総裁!!

注① コナンドラム(connundrum)・・・・・・謎
グリーンスパンは2003年、米議会証言で、金融引き締めをしたのにも拘わらず、米長期国債の金利が低下している現象をコナンドラムと表現した。日本と中国が為替介入によってよって得たドル資金を米国債購入にまわし、長期金利が上昇しなかったことをさして言う。米に住宅バブルが生じた遠因とされる。
タグクラウド
QRコード
QRコード
  • ライブドアブログ