日本航空が2010年1月経営破綻して、京セラ名誉会長稲盛和雄氏が再建のトップを担ったことは記憶に新しいところである。
 稲盛氏はご存知、京セラフィロソフィー、アメーバー経営で有名な名経営者である。就任要請があったとき、高齢であることが、ご本人の社長就任を躊躇させていた。

 日航における現在の地位は名誉会長であるが、社長就任以後、4年で経営はV字回復を果たした。
 先立てカンブリア宮殿に出演していたのを目にした。それまでお客さま目線に立たない日航が大嫌いであり、なるべく日本航空を使わないようにしていたと稲盛氏は語っていた。 経営再建にあたっては、アメーバ経営を導入し、社員との間で京セラフィロソフィーの勉強会を開催し、そして聖域無きリストラをを断行していった。この短期でのV字回復には多くの驚嘆の声が上がっている

 そしてこの9月、日航は日本最速のスピードで東証一部に再上場する。上場後の株式時価総額は6,000億円である。
 この日航の上場に先立つこと、2ケ月前、全日空が1,700億円の公募増資を発表していた。これに対し、日航に本来流れてくるべき資本がそれらにまわり、妨害しているとしたならば由々しき問題と稲盛名誉会長は、怒りの表情を隠していない。

 しかしこの株式発行の時間差などは、取るに足らない問題と考える。なぜなら市場がどちらを選択するかというだけのことであり、投資家の判断に任せる問題である。むしろ話題性から、日航の新規公開株は人気を呼ぶことは必至である。仮にそれが故意での妨害であっても、競争社会の許容範囲内であろう。

 一方で全日空が投げかけている問題に我々は耳を傾ける必要がある。それは自由競争という資本主義の根幹の問題だからである。
 経営破綻以後、日本航空は企業再生支援機構から3,500億円の公的資本注入を受け、また、5,000億円を超える債務免除を得てきた。その結果平成24年3月決算で1866億円の純利益を計上した。全日空の純利益は280億である事を考えれば、桁違いの収益力である。

 現在、全日空は日航に対する公的支援はやり過ぎだと批判する。全日空は日航が経営破綻した後も、自助努力で、楽ではない経営を続けてきている。十分すぎる支援を受けたライバルと価格競争をするのは公平ではない。。
 全日空にしてみれば、憤りの声を発するのも当然であろう。その声を受けて、国交省は日航に対し、羽田空港など混雑する空港に於いての離発着回数を見直すなど新たな措置も検討中であると言う。

 近代経済のルールである自由競争原理「神の見えざる手」により、適正な価格、適正な資源配分なされ、その結果社会全体の利益が達成されるというメカニズムは今も我々の社会に横たわっている。
 一方でそれにより引き起こされる様々な弊害の為に、国家の干渉がある。現代国家はつねにその調整役となる。

 日航・全日空問題はそんな基本の、そして難しい問題であることを再認識させられた。
 皆さんは、どちらを応援したいですか。