tera  昨年の夏、TBS系サンデーモーニングでお馴染みの寺島実郎氏(日本総合研究所理事長)の講演を聞く機会があった。寺島氏は論説鋭く、語り口ソフトなことから私の好きな評論家の一人である。
  寺島氏は多摩大学の学長もされていて、そこの学生に「中国なんて行かなくてよい。日本よりも国土が狭く、資源の乏しい東南アジアの小国が、何故に日本よりも一人当たりのGDPが高いのか、その小国シンガポールを見に行ってこい。」と常々学生に言っているそうである。そういえば、SMAPのCMで有名になったあの絶壁プールを屋上に持つホテルはたしかシンガポールだったなと思うと、急にあのホテルに泊まりながら、シンガポールを見に行きたくなった。そこで正月に行ってきた。


 2015年1月2日、チャギ空港に着き、ガイドの出迎えを受けた。
 シンガポールの町は綺麗である。特段、パリのように町並みが美しいと言うわけではないが、ゴミ一つ落ちていないという表現が大げさでないくらいに綺麗である。空港からホテルに行くまでの道路は綺麗marinabeyに芝生が刈り込まれ、それがどこまでも続いていた。
 ガイドの車に揺られ、しばらくすると宿泊ホテル、マリーナベイサンズが見えてきた。遠くのぞむ外観は想像を超えて美しく、そして壮大であった。
  しかし中に入ったら、意外と殺風景で、メインフロアの外側ガラスが汚れていた。それをガイドに告げたら、今は雨期で毎日のようにスコールがある。そこまでは手が届かないのでしょうとのことであった。
 
 物価は高い。日本以上かもしれない。ホテルや有名レストランで食すと、想像以上の請求書が来た。タクシーも初乗りはやすいが、17時を過ぎると別料金がかかる。最初それに慣れず、ずいぶん戸惑った。

 ガイドにコンドミニアム(日本で言うマンション)のモデルハウスに連れて行ってもらった。
 別にマンション投資をしたいわけではない、一人当たりGDPが日本より高いシンガポール市民の生活感を知りたかったのである。
 そこの販売員からたくさんの情報を仕入れた。セキュリティがしっかりしていて、プール、テニスコート、スポーツジムが完備しており、日本と異なり、全ての附帯施設使用料込みで、管理料が2.8万円。勿論部屋の大きさにより異なる。日本のリゾートマンションに較べたらかなり安い。ただし部屋のお値段は約65㎡でkondomini1億8000万円であった。最上階のペントハウスは部屋面積100㎡を超し、3億円に手が届く価格である。東京でもそんなにはしない。買うのは平均的なシンガポール人ではなく、外国企業若しくはお金持ちであった。
  驚いたのは価格ばかりでない。所有権の内容に驚いた。
  買ったコンドミニアムは99年後、シンガポール政府が強制的に没収するという。確かに99年後、買った当時の豪華絢爛な建物は美観、品質をそのままにして存在し得ず、無価値に近いものかも知れない。美観を大切にするシンガポール政府はスラムを作るわけにはいかないのであろう。私はガイドに聞いた。「土地の共有持分価格は戻ってくるのでしょう?」「0です。」土地は国家のものだと言う。没収には何の保障もない。「えーっそれじゃあ中国と一緒じゃない。土地使用権ですか?」「そうです」。シンガポールは自由経済国家だが、土地は個人の私有を認めていないのである。

 シンガポールは「明るい北朝鮮」と呼ばれる一面がある。長期にわたり一党独裁であり、国会は一院制。首相の報酬は最近減額を決定したとしても未だ世界一の高額(年間1億3000万円。因みに日本の首相は2500万円。オバマ大統領は3300万円)である。外国人による麻薬密輸入者には死刑が用意されている。かなりの強権国家である。そういえばトラックの荷台に、奴隷のように運ばれる多数のインド人労働者を見た。人権意識の希薄な国家なのであろう。

 シンガポールが繁栄する理由の一つとして、よく法人税が19%、相続税0%が挙げられる。
 これにより外国より富裕者を移住させ、貧乏人を整理(ホームレスがいない。いれば警察が保護し、親戚縁者を集めて面倒を見させ、公団住宅で管理する。)して、見栄えの良い美しい安全な町を作り上げていくという国策を感じた。
 ただ、相続税が0、法人税率がずば抜けて低い国家であるなら、税収が乏しいはずであるが、そうなら何故にしてこんなに道路を綺麗に維持出来るのか、素朴な疑問がわいてきた。
 ガイドが言うには、「日本のETCは高速道路にしか無い。シンガポールは一般道の至るところにあり、車の所有者は絶えず一般道で通行料を払っている。だから道路の美化を保てるのです。」と答えた。ナイトサファリで一緒になった単身赴任で来ている大手ゼネコンの社員が言っていた。「日本はカローラ一台200万円もあれば持てるでしょう。しかし、シンガポールは加えてそれを保持する許可が必要。それが債権化され、市場で売られている。それを買わないと車を所持てきない。それはカローラクラスで1500万円ぐらい、ベンツだともっとする。だからシンガポールで自家用車を持つと言うことはステータスなのです。」と教えてくれた。

 狭い国土で、資源を持たない国家が、民に富を与え、街の美観を保ち、生活しやすい都市を維持するために、強権を発動しつつ様々な施策を講じていることを実感した。
 
 片道7時間のフライトで、帰りは深夜便の辛い部分がある旅行であった。しかし、色々なことが勉強できた。
 シンガポールは確かにお金持ちには住みやすい国であるようだ。

 最後に,マリーナベイサンズ屋上にある絶壁プールの情報をお知らせ
しよう。pool
1.プールの水は完全に水。だから、私が行った1月は雨期で、午後4時         頃利用したら、水温が低く、とても泳げるものではなかった。すぐに、ジャグジーに直行。こちらはその反動で満員。
2.マリーナベイサンズ宿泊客以外は、プールは利用できないが、見物は できる。見物料は一人1500円ぐらい。
3.宿泊客以外、プールを利用できないから、更衣室はない。即ち部屋から水着で、部屋にあるバスローブを着用して、直行する。私はバスローブを着て行く事を聞いてはいたが、エレベーターを乗り換える為、フロアをバスローブ姿でうろちょろする事をためらい、服を着ていった。
 更衣室はどこかと従業員に聞いたら、あそこの階段を下りたところだと指さされ、そこへ行ったら、ない。トイレしかない。英語の聞き間違いかと思い、もう一度他の従業員に聞いたら同じ場所を指す。即ち、トイレで着替えをするのである。つまり、宿泊客以外の人間もトイレで着替えれば、泳ぐ事は可能のようである。
4.最後に、絶壁プールの向こう側、どうなっているかって?

  ひ・み・つ