安倍首相は現在、70%超という高い支持率を誇っている。昨日、日銀短観による景況感は9ケ月ぶりに改善との報道があった。

 安倍首相には数年前の失敗は二度としないという強い意思が感じられ、政権が代わるや瞬時に円安株高を成し遂げ、巷から閉塞感を一掃した歴史上最高の首相として、今のところ位置づけられるのではないかと私は思う。総裁選を争った残り4氏並びに民主党首脳はさぞかし苦々しく思っていることであろう。

 アベノミクス効果(今のところ単なるアナウンス効果でしかない。)で、株は急騰し、時価会計主義を採用する大企業はこの3月決算で想定外の収益を発表することとなる。かくいう私も数年、塩漬けになっていた株が、日の目を見るようになり、塩抜けされ、そろそろ利食いかと考えている。まさに安倍首相様々である。

 さて、このアベノミクスの特色として挙げられている三本の矢の内、一本、二本の矢である金融政策、財政政策はケインズ経済学の説くところであり、どこの指導者もリフレイン対策としてはまず採用するところだ。特色は三本目の矢、成長戦略にある。レーガン、サッチャー、小泉首相は言葉こそ違うが、規制緩和、競争原理導入の「小さな政府」を唱えてきた。所謂、新自由主義経済である。しかし結果、格差社会を生んだという非難も一方にある。

 安倍首相の唱える成長戦略は、規制緩和推進という点ではこの範疇に入るが、「小さな政府」という言葉は使わない。「大胆な金融緩和をしても、下々には金は行き渡らない」という世間からの批判に対し、成長分野支援、TPP交渉参加で打開しようとしている。
  特筆すべきは、家計に金が行き届き、消費がアップするよう、「企業は賃金アップをして欲しい」と首相が率先して説いてまわったことである。当初、経済界は、「結果も出ないのに、あり得ない事」と難色を示していたものの、ローソン新浪社長の挙手に始まり、コンビニ業界、そして自動車業界が続々と手を挙げ始めた。この要望とそれに対する反応には私もビックリした。これは事の順序を大胆に無視した画期的な目論見である。通常は好景気に伴う売上増→残業時間の増大、or、雇用増で、労働者の家計は潤っていくという順序を踏む。しかし、それを待つには2、3年かかると言うことで、それを待てない安倍首相は、先に労働賃金を上げるよう企業に働きかけた。いわば財政政策効果を手を変えて民間に託した格好だ。(この政策も決してないわけではない。オランダのワッセナー合意がある。1982年)ただ安倍首相のこの目論見が、持続可能性を有するのかという疑問が投げかけられている。何故ならば、「賃金下落は、技術力、国際競争力から見て不相応に高水準となっていた賃金を適正な水準に戻したに過ぎず、生産性の向上、産業構造の転換を伴う経営改革に加えて、国際競争力を向上させる人材育成なくして日本企業が賃金を維持していくことは難しい(学習院大教授 宮川努氏 週間エコノミスト3.19号)。」と考えられているからである。また、強引な賃金の引き上げが雇用に与える影響も大きいと危惧する識者は多い。

 しかし勢いのある安倍再生ジャパンならきっと乗り越えてしまうことだろう、そんな期待を抱かせるのが今の安倍首相である。

 あまりに長すぎた円高、そしてデフレの継続。その反動は、景気循環から、3年は続くだろうと多くのエコノミストが言う。
 今、経済問題から、安倍首相から目が離せないのは事実だ。