
種類株式には様々なものがあります。
優先株式と呼ばれる種類株式は、株主総会で議決権を行使できない代わりに、優先的に配当金を取得したり、また、残余財産の分配を受けたりすることができます。
現在、日本で優先株式を上場しているのは、お茶の伊藤園だけであります。伊藤園は普通株式も上場しており、その配当の差異は、普通株式の1.25倍、普通株式に対し配当のない時でも1株につき15円を支払うというものであります。
株式投資をしている人は、株主総会における議決権行使などにはあまり興味が無く、その関心は殆どキャピタルゲイン、インカムゲインにあります。当然、株価は普通株式を上回ると考えられるのですが、現実は優先株式1,212円、普通株式1,492円(平成24年8月7日現在)と逆転しているのです。 面白い現象ですよね。この理由は色々と考えられているのですが、比較対照する上場優先株が無いこと、また現在の上場優先株が東証株価指数に採用されていないなどが主な理由として挙げられています。
また黄金株と呼ばれる種類株式は、それが1株あるだけで株主総会決議を否決できます。しかし黄金株は、会社支配のルールをゆがめるものとして、また株主利益を損なうものとして批判が多く、東京証券取引場は当初認めておらず、黄金株を発行するためには、上場廃止を選択せざるを得ませんでした。
しかし平成17年、一定の条件付きで認めるようになり、それに伴い、国際石油開発株式会社は日本で唯一、黄金株を発行している上場会社となりました。この会社は国策会社でもあり、黄金株を採用して、当然と言えば当然でしょうか。
米国ニューヨーク証券取引場では今のところ黄金株を有する会社の上場を認めていませんが、ナスダックは認めています。
先般上場したフェースブックのCEOザッカーバーク氏は普通株式の10倍の議決権を有する種類株式をもち、上場後の経営権を確保にしております。
また、東京電力は政府から7月31日、一兆円の出資を受けましたが、その際、議決権のある株式と議決権のない株式の2種類を発行し、その2種類の株式は相互に転換ができるようになっています。東電の再建が順調に進まない場合は、議決権なき株式を議決権ある株式に転換して、政府の関与を強めていこうという計画であります。