カラフルな模様が目に広がる。赤、ピンク、白 緑。ファンタスティックな感じではなく、機械的で規則的な羅列が永遠につづいている。
悪い夢?、夢。ゆめ。ユメ。yume、e、e、e、e、e・・・・・・
何か違う。
体を動かそうとする、動かない。
夢じゃない。
全身にまとわりつく不快感が呼吸を阻む。
真夏の閉め切った部屋のなかにいるのに全く汗が出ない。そんな感じ。
動け、動け、夢じゃない。
頭が粘り付いたように離れない。
動いてほしい、全身に信号を送る。
腕をおもいっきり床に押し当てる、べたっとした頭が少しづつ床と離れる。
合わせるようにカラフルな模様が変化する。
夢じゃない。
規則的なカラフルさは視界から消えた。さっきまで見ていたのは会社から支給されたマットレスだった。
マットレスがあんなふうに見えるなんて。油と埃で頬がザラザラしている。
ああ、ちくしょう・・
あたりを見回す、一瞬視界にユウ君の姿が目にはいる。焦点全くあわない。
やられた。
「ふざけんなよ」
ユウ君はニヤニヤしながら私を見ている。
彼の足元に向かってもう一度、懇願するように言った。
「ふざけんなよ」
「サルビア」というリーガルドラッグを吸引した。あまりのまずさに唾をはきだした所までは覚えている。そこからの記憶が一切ない。