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10月12日の日記 “愛のプロローグ”


 10月12日、その日は朝から何となく心が落ち着かず、仕事も手につかなかった。
 時計に時をたずねても、僕の心を無視して、しらけたように一定のリズムで時を
 刻み続けている。 子どもっぽい戯れで時の流れを変えてみようと思ったけど、
 自然の法則には勝てなかった。 普段は、ただ徒に過ぎゆく時なのに……

 12時30分、昼食を終えて後、襟のネクタイをはずしアスコット・タイに結び替える。
 その時から、何が起るかさっぱりわからない、そして未知数の秘め事を期待して
 僕のウイークエンドのフリータイムは始まった。
 S 駅までの切符を買い電車に乗り込んだ。
 T 駅からS駅までの1時間、そして タケルさまにTEL して後、めぐり合うまでの
 30分。 切ないほどに長い時間であった。 会える嬉しさと、どうなるであろうか
 と言う不安とが入り交じった複雑な胸。 車窓からの景色もはっきりとした記憶
 がないみたい。

 18 - 81 のスカイラインの重いドアを開けると、ドアの内には優しそうな兄貴が
 いた。 その人は タケルさま…。 初対面の2人の交わす会話は引きずった
 ような重苦しい表情をたたえて、少しずつ、少しずつ、言葉少なに……。
 コーヒーを飲み終えて 再び乗り込んだ、タケルさまの愛車は、どこへ行くとも
 なしにすべり出した感じだったけど、まさか、モーテルの門をくぐろうとは、全く
 予感、予知してなかった自分が、とてもみじめでした。
 初めての自分には、そこまでの過程、筋道を全く読み取れなかったのです。

 シャッターは下ろされました。
 モーテルで2人きりになるなんてのは、自分は初めてであったので、勝手が
 わからずに タケルさまには迷惑をかけたことと思います。 ごめんなさい。

 モーテルの門をくぐった瞬間から、自分の胸は高鳴り、肩は小刻みに震えを
 増し、もうどうしようもない、耐え難い心理でした。
 今から、ここで何時間か、2人きりの時間。2人きりの愛の時間となるのかと思う
 と興奮を押さえることができなかったのです。ビールもどんな味であったのか…。
 でも、いつもより何かしら違った甘い飲物、誘惑を待ちわびている 甘い危険な
 飲み物にさえ感じることができたのは、自分が何を待ち望んでいたから???
 お風呂に入ったらと言われても、照れとためらいの気持ちからどうしても先に入る
 ことができなかった。 今からして思ってみると、兄貴の服を、一枚一枚脱がせて
 あげて、そして身体を流してあげたかったなーって、悔やんでいます。
 2度目からは、お互いにそう  し合うことは、許されるべき行為でしょうか??ね! !
 自分は、風呂に入っている間、どういう仕草で愛されたら、また、愛をささげたら
 いいのかって思案してました。できるだけ兄貴に満足して欲しかったから……。
 もう、身体が火照ってどうしようもなかったです。

 風呂から上がってベッドに呼んでくれました。そして2冊の写真雑誌を見せてくれ
 ました。 視覚に弱い自分は 〝あーもうだめだ〟って思いました。 もうされるが
 ままになるしかなかったようです。 肩を一層こわばらせ、タケルさまの 肌のぬく
 もりへ そっと近づいていきました。

 兄貴はやさしく 背中を撫でるように 僕を寝かせてくれ、愛の交わりが、いま
 始まったのです。
 兄貴はやさしさと 強烈さとで、僕を酔わせてくれた。 燃え狂わせてくれた。
 どこまでもやさしい 兄貴の唇、舌、指、肢体。 すべてが、愛技の道具へと
 化して、充分に与えてくれた愛。 僕も 思いっきり愛を込めて、尽くした。
 もう、夢中だった。 何もかも忘れて…。
 にぎりしめあった 手から伝わってくる歓喜の喘ぎ、ピリリっとチョッピリ痛い
 あごひげの咽もとから響くは、官能の叫び……。
 兄貴を口に含むたびに、僕の熱い舌が兄貴の身体をはう度々にピクピクと
 下腹でリズムする官能のサンバ。 したたるバラの愛液……。
 愛をささげている自分には耐え切れない満足と、そして絶頂の倖せであった。
 僕の全身で奪い取った兄貴のあたたかい、そして、しょっぱい性液。
 なんとも言えない感激でした。のどを通り過ぎ胃の中でぐつぐつ煮えたぎって
 いるような、そんなどよめいた歓喜のエクスタシー……。  忘れない。

 兄貴も、僕を口に含んで愛撫してくれました。 全身にくまなく押し寄せてくる
 荒波にも似た、愛の潮…。 そんな兄貴の愛撫で達した僕の性液を、全部
 のみほしてくれてありがとう。 もう、この世の果てって感じで達しました。
 そしてもう、一生こうして居続けていたいと言う思いが、脳裏をうずめつくして
 いたのを、今もはっきりと憶えています。
 だから、離れるのが辛かった。 こうして肌と肌を寄せ合って眠りたかった。
 でも初めてだったし、時間的に制約があったので、そこまで言うことはできな
 かった。帰りの車も、本当は肩を寄せていたかったけど、やはりそこまでは
 できなかった。

 愛する人と、小さなアパートで2人だけの愛の暮しができたらなーっていつも
 思ってます。 所詮、許されぬ行為、禁じられた生き方なのだろうけど、夢を
 断ち切ることは、今の自分には、死ぬより苛酷な仕打ちなのです。
 お別れにいただいた、お小遣いありがとう。初信で大いに甘えちゃうって書い
 たけど、そこまでしていただかなくてよかったのに…。すみませんでした。

 S駅での別れ、とてもさびしかった。せつない、やるせない。帰るのがけだるい。
 しばらく帰りの切符を買うにも躊躇していました。電車を待つ間もポケッとして
 絶え間なく回想だけが 蜘蛛の糸のように、四方八方へたなびいているような
 感じでした。
 家へ帰って後も、興奮がさめやらず、深夜までラジオの響きが耳に入って来て
 眠れなかったのをおぼえてます。
 そして、今もなお、兄貴の笑顔、体温、体臭、それらが僕の全身に、伝わって
 くるようです。

 LSDに誘われたように陶酔の世界に浸りきっていた、ウィークエンド・イブニング
 21歳のある秋の日に訪れた、とても甘いウィークエンド・イブニング。ウィークエンド・ラブ。

 〝19XX.10.12〟という日は、僕の誕生日の次に大事な記念日として、僕だけの
 胸の宝の箱に残しておきます。 永遠に……。

 まだまだ感激のあまり、胸の底から伝わってくる情感を表現する言葉があふれて
 くるけど、しつこくなるので、一通りつづることができたからペンを置きます。

                       10月12日の日記〝愛のプロローグ〟終り

     タケル さまへ   愛を込めて……

                          Your brother    愛の館の狩人  累






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