中小企業の法務・組織再編はこう進める!

司法書士法人名南経営 岩本直也 公式ブログ

 解散前の一般財団法人は、必ず監事を置かなければならないことになっています(法人第170条第1項)。置かないという選択肢がないため、公示の必要性もなく監事を置く旨は登記事項とされていません(法人法第302条第2項参照)。

 
一方、解散した後の一般財団法人(清算一般財団法人)では、定款の定めにより、監事を置くことができ(法人法第208条第2項)、監事を置く旨を登記しなければなりません(法第310条第1項第4号)。この定款の定めを置かない場合には、既存の監事について任期満了により退任することになります(平成20年9月1日民商2351号民事局長通達)。ただ、この監事に関する登記については、職権抹消の対象とはされていないため、申請が必要とされています。

 
したがって、一般財団法人が清算一般財団法人となった場合、解散及び最初の清算人の登記とともに、「監事の退任登記」又は「監事を置く旨の登記」をしなければならないことになります。

 
このあたりについて詳細な解説がされた書籍を見たことがなく(単に私が勉強不足なだけだと思いますが…。)、法務省が公開している申請書の書式では、いずれの登記についても触れられていませんでした。

商業・法人登記の申請書様式

http://houmukyoku.moj.go.jp/homu/COMMERCE_11-1.html#anchor5-2-4

「監事の退任登記」
登録免許税:1万円(カ、清算手続中の監査役登記につき、登記研究364号)
添付書類:定款?

「監事を置く旨の登記」
登録免許税:3万円(ツ、その他の変更として)
添付書類:定款に監事を置く旨を決議した評議員会議事録(法人法第317条第2項)

 
なお、解散及び最初の清算人の登記のみを申請した場合に、登記が却下されるかと言えば、そこまでではないと個人的には考えています。「監事の退任登記」は、実体的には任期が満了しているため登記懈怠の問題、「監事を置く旨の登記」は、定款変更を行っていない場合は任務懈怠責任、定款変更をしている場合は登記懈怠の問題として処理されるのが、現在の登記実務に即していると思われます。

 たとえば、取締役が取締役を辞任することが記録された電子メールを会社宛に送信し、会社がそれを受信し、そのメールを印刷した書面(当該会社の代表取締役が原本に相違ない旨の奥書し、登記所に提出した印鑑を押印)をもって、取締役の退任登記が受け付けられるかと言えば、事案にもよると思いますが、おそらくNOだと思います。
 
私自身もこの印刷された書面を持参されて、登記のご依頼を受けるかと言えば、辞任届に署名と押印をもらってください、と「紙媒体」を案内するでしょう。

 この違いは…登記法が認めていないから?印鑑・サインというものに対する慣習に基づく信頼?

 
知らないうちに大前提としている考え方が、今後は変わっていくでしょう。

 

未来投資会議(第9回) 配布資料

http://www.kantei.go.jp/jp/singi/keizaisaisei/miraitoshikaigi/dai9/index.html

・法人設立時に利用者がオンライン・ワンストップで処理できるよう、民間クラウドサービスの活用も視野に、定款認証の面前確認や印鑑届出、外部連携API等の在り方を含め、あらゆる観点から官民一体で検討し本年度中に結論を得る。

・迅速かつ効率的な裁判の実現を図るため、諸外国の状況も踏まえ、裁判における手続保障等総合的な観点から、利用者目線で裁判に係る手続等のIT化を推進する方策について速やかに検討し、本年度中に結論を得る。

・ブロックチェーン技術について、本年度中を目処に、政府調達等の分野で実証を開始。サンドボックス制度の活用やスマートコントラクトによる効率化促進等に向けて、運用・ルール面から検討。革新的な電子行政の実現に向けた計画を、来年度を目途に策定する。

・起業家目線で政府の支援策をスピーディーに活用できるワンストップ申請システム(ベンチャー支援プラットフォーム)を、本年度から試行的に運用する。法人インフォメーションと連携した法人基本情報のワンスオンリー機能や、補助金等への展開について検討し、本年度中に方向性を得る。

参考:諸外国では、ブロックチェーンが不動産登記に導入されつつあるようです。

https://fintechonline.jp/archives/102307

 世の中に必要とされ続ける存在になるためにも、意識のうえでの改名が必要なのかもしれません。

今年の1月に取り上げた会社設立時の出資金の払込口座に関する通達が出ていました。

2017116日 どの口座を使えばいいのか(その2)

http://blog.livedoor.jp/iwamoto_naoya/archives/49295612.html

「株式会社の発起設立の登記の申請書に添付すべき会社法第34条第1項の規定による払込みがあったことを証する書面の一部として払込取扱機関における口座の預金通帳の写しを添付する場合における当該預金通帳の口座名義人の範囲について(通達)」
(平成29年3月17日付け 法務省民商第41号)

http://www.moj.go.jp/content/001220721.pdf


まとめると、

1.設立時取締役(設立時代表取締役を含む)名義の口座も可能

2.登記の申請書の添付書面の記載から、発起人及び設立時取締役の全員が日本国内に住所を有して
  いないことが明らかな場合、発起人及び設立時取締役以外の第三者名義の口座も可能

3.上記1.2.の場合、発起人※からその者への払込金の受領権限を委任したことを明らかにした
  書面も添付しなければならない。
  
※発起人のうち一人からの委任があれば足りる(「小川秀樹・相澤哲編著『通達準拠 会社法と
   商業登記』66頁以下」にも同様の記載があるようです。)。
  なお、
代理権限を委任したことを証する書面には、受任者を特定する情報の記載のみで、
  金融機関名や口座番号の記載までは不要と思われます(私見)。

このページのトップヘ