8月6日、9日、そして15日と憲法を意識する日が続きます。
憲法は、基本的人権を「侵すことのできない永久の権利」として、絶対的に保障しています。
ただ、それは無制限というわけではなく、社会や他人の人権との関係で制約を受けることに
なります。
この制約を条文の中では、「公共の福祉」という表現を使っています。
財産権の保障に関する29条等(経済的自由権)は、「財産権の内容は、『公共の福祉』に
適合するやうに、法律でこれを定める。」と制約を明示し、
一方、表現の自由に関する21条等(精神的自由権)は、「…表現の自由は、これを保障する。」
とだけ規定しています。
この違いは、精神的自由が、民主主義の政治過程にとって不可欠な権利であることから、
経済的自由に比べて優越的な地位にあり、これを規制するには、より厳格な基準でなければ
ならない、と説明されます。(いわゆる「二重の基準」)
権利の性質や内容によって、保障される範囲や規制の強弱に差が生じるということ。
そんなことを意識しながら、株主の権利や種類株式について考えてみると、
・本来自由に譲渡できるはずの株式に、譲渡による取得につき会社の承認を必要とする定め
(いわゆる「譲渡制限の定め」)を設けるには、議決権の要件のほか人数の要件を課して
いること
・会社が一定の事由を条件に強敵的に株式を取得できる旨の定め(「取得条項付株式」)を
設けるには対象となる株主全員の同意が必要なこと
・適正な対価としての現金を株主に支払うことで、株主ではなくしてしまうこと
(いわゆる「キャッシュアウト」)
などが、納得しやすくなるような気がします。