(1) 吸収合併契約(法第58条、施行規則第35条)
(2) 吸収合併契約の総社員の同意(法第58条の2第1項)
(3) 吸収合併の都道府県知事の認可(法第58条の2第4項)
(4) 債権者保護手続(法第58条の4第1項)
(5) 吸収合併の効力の発生(法第58条の6)
株式会社の合併手続との違い(認可を除く)
1.債権者保護手続の時期
医療法人:
「(3)の認可の通知のあった日から2週間以内に、その債権者に対し、異議があれば一定の期間(2月を下ることができない。)内に述べるべき旨を公告し、かつ、判明している債権者に対しては、各別にこれを催告しなければならない。」(法第58条の4第1項)
株式会社:
「公告・催告の開始時期については制限がない。早期に債権者異議申述手続を完了させるか、効力発生日に近づけて手続を開始するか任意である。」(論点解説 商業登記法コンメンタール283頁)
2.債権者保護手続の公告方法
医療法人:
「…異議があれば一定の期間(2月を下ることができない。)内に述べるべき旨を公告し、」
株式会社:
「…次に掲げる事項を官報に公告し、」(会社法第789条第2項等)
3.債権者保護手続の異議申述期間
医療法人:
「…異議があれば一定の期間(2月を下ることができない。)内に述べるべき旨を公告し、」
株式会社:
「…第四号の期間は、1箇月を下ることができない。」(会社法第789条第2項等)
4.吸収合併の効力の発生
医療法人:
「吸収合併存続医療法人が、その主たる事務所の所在地において政令で定めるところにより合併の登記をすることによって、その効力を生ずる。」(法第58条の6)。
株式会社:
「吸収合併存続株式会社は、効力発生日に、吸収合併消滅会社の権利義務を承継する。」(会社法第750条第1項)
1.3.4について
株式会社の合併手続き以上に、スケジュールの起案・管理が大切になります。
2.について
医療法人は、合併公告を当該医療法人が定款に定める公告方法で行うことになります。
なお、医療法人の公告方法は、登記事項ではありません。
そのため、合併による変更登記の添付書類として「公告をしたことを証する書面」として、登記官の視点からは当該医療法人の公告方法が何であるか登記事項から明らかではないため、定款も添付することになるように思われます。
この点、登記の通達(平成28年9月1日法務省民商第132号)からは明らかではなく、書籍等でも触れられておらず、定かではありません。ただ、都道府県知事への認可申請に各医療法人の定款も添付書類となっているため、実際には認可書に綴じ込まれているでしょうから、あまり問題になることはないでしょう。