中小企業の法務のポイント

司法書士法人名南経営 岩本直也 公式ブログ

2018年10月

法務省

会社法制(企業統治等関係)の見直しに関する要綱案(仮案)について

http://www.moj.go.jp/shingi1/shingi04900381.html

 

(2) 株式会社の代表者の住所が記載された登記事項証明書

(補足説明)

株式会社の代表者の住所が記載された登記事項証明書に関する規律の見直しについては,当部会における議論,パブリックコメントに寄せられた意見,登記所における対応可能性等を踏まえ,

(ⅰ)基本的には,株式会社の代表者の住所を登記事項証明書に記載する現行の商業登記法の規律は見直さないものとするが,例外的に,株式会社の代表者が特定の法律に規定する被害者であり,再被害を受けるおそれがある場合において,当該代表者から申出があったときは,当該代表者の住所を登記事項証明書に記載しないものとし,

(ⅱ)電気通信回線による登記情報の提供に関する法律に基づく登記情報の提供においては,代表者の住所に関する情報を一律に提供しないものとする。

 なお,上記のような株式会社の代表者の住所が記載された登記事項証明書等に関する規律の見直しについては,会社法及び会社法に基づく法務省令の改正を伴わず,関係法律に基づく法務省令の改正によって対応することが想定されるため,附帯決議として取りまとめるものとしたい。


ということで、今のところの整理は、

 1.登記事項証明書には記載されたまま

 2.一定の条件のもと当該代表者からの申出により、記載しないことができる

 3.インターネットによる登記情報提供サービスの場合、一律に提供されない

 

 

20180310

会社法制(企業統治等関係)の見直しに関する中間試案(案)=登記関係その1

http://blog.livedoor.jp/iwamoto_naoya/archives/51666917.html

【遺産の一部分割】

 共同相続人は、民法908条(遺産分割の禁止)の規定により被相続人が遺言で禁じた場合を除き、いつでも、遺産の全部又は一部を協議により分割することができます(改正法907条1項)。

 遺産分割について、共同相続人間に協議が調わないとき又は協議をすることができないときには、各共同相続人は、その全部又は一部の分割を家庭裁判所に請求することができます(改正法907条2項)。

 

現行法では、一部分割の明文規定はありませんが、共同相続人の協議で遺産の一部分割を行うことはできます。

遺産分割審判(大阪高決昭和46年12月7日)における一部分割の要件は、

(1)遺産の一部を他の部分とは分離して分割することに合理的な理由があること(必要性)

かつ

(2)遺産の一部分割をすることによって遺産全体についての具体的相続分と民法906条の基準に照らした適正公平な分割が不可能とならないこと(許容性)です。

 

改正法では、(1)の必要性は不要になるようです。

改正法907条2項ただし書

「遺産の一部を分割することにより他の相続人の利益を害するおそれがある場合におけるその分割については,この限りでない。」

 

 

【遺産分割前の財産処分と遺産の範囲】

 遺産分割前に遺産に属する財産が処分された場合であっても、共同相続人は、その全員の同意(処分者は除く。)により、処分された財産が遺産分割時に遺産として存在するものとみなすことができます(改正法906条の2)。

 

要件

(1)処分財産が相続開始時に被相続人の遺産に属していたこと

(2)処分財産を共同相続人の一人又は数人が処分したこと

(3)処分者以外の共同相続人全員が、処分財産を遺産分割の対象に含めることに同意していること

民法には、「住所」に関する規定(民法22条~)はありますが、「住居」という用語は登場しません。

 

住所:生活の本拠である場所(民法22条)
住居:人が居住したり日常生活を営んでいる家屋等の場所をいうのが一般であるが、画一的な意味を与えることは困難である(法律学小辞典)。

 

刑法には、住居侵入罪(刑法130条)があり、客体としての住居には、ホテルや旅館の客室のように、一時的でもある程度継続的に利用している場合には、利用者の住居に含まれるという考え方がされています(条解 刑法(弘文堂))。

  

平成30年10月12日付の官報

https://kanpou.npb.go.jp/20181012/20181012h07366/20181012h073660000f.html

 

公証人法施行規則の一部を改正する省令(平成30年法務省令第26号)が公布され、施行期日は平成30年11月30日(金)です。

 

公証人は、定款の認証を行う場合には、嘱託人に、次に掲げる事項を申告させるものとする。

(1)法人の成立の時にその実質的支配者となるべき者の氏名、「住居」及び生年月日

(2)実質的支配者となるべき者が暴力団員又は国際テロリストに該当するか否か

 

住所ではなく「住居」となっていたことが、気になったきっかけでした。

 

実務に与える影響が、意外に大きい気がします。

詳細は今後明らかになってくると思いますので、情報収集に努めます。

【法務省】

平成30年度の休眠会社等の整理作業(みなし解散)について

http://www.moj.go.jp/MINJI/minji06_00083.html

 

「平成30年10月11日に,12年以上登記がされていない株式会社,5年以上登記がされていない一般社団法人又は一般財団法人について,法律の規定に基づき,法務大臣の公告を行い,管轄登記所から通知書の発送を行いました。」

 

【官報】
平成30年10月11日

https://kanpou.npb.go.jp/20181011/20181011h07365/20181011h073650010f.html

 

平成18年5月1日施行の会社法で、株式会社の取締役・監査役の任期を10年にすることが認められました、それから早12年。

これらの会社も、変更登記を1度も行っていない場合、休眠会社の整理作業の対象になってきます。


なお、一般社団法人・一般財団法人の理事・監事の任期は2年(監事の任期は原則4年、定款で2年とすることができます。)ですので、整理対象は5年以上変更登記を行っていない法人となります。


 

株式会社、一般社団・財団法人の変更登記を忘れていませんか。
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【夫婦間での居住用不動産の遺贈・贈与】

『婚姻期間が20年以上の夫婦』の一方である被相続人が、他の一方に対し、『居住用建物又はその敷地』について『遺贈又は贈与』※をしたときには、

当該被相続人は、その遺贈又は贈与について民法903条1項の規定(特別受益者の相続分)を適用しない旨の意思を表示したものと推定されます(改正法903条4項)。

※「相続させる旨の遺言」があった場合にも、上記が適用又は類推適用できることになるでしょう。


配偶者の長年にわたる貢献に報いるとともに、老後の生活保障の目的で行われることが多く、遺贈や贈与の趣旨を尊重した遺産の分割が可能になります。

 

改正法施行日前になされた遺贈又は贈与については適用されません(改正法附則4条)。


【遺産分割前の預貯金】

各共同相続人は、『遺産である預貯金債権』※のうち『相続開始の時の債権額』の3分の1に当該共同相続人の法定相続分を乗じた額(同一の金融機関に複数の口座を有している場合には、標準的な当面の必要生計費、平均的な葬式の費用の額その他の事情を勘案して金融機関ごとに法務省令で定める額を限度とする。)について、

単独でその権利を行使することができます。この場合、当該権利の行使をした預貯金債権については、当該共同相続人が遺産の一部の分割によりこれを取得したものとみなされます(改正法909条の2)。

※預貯金債権が、遺贈又は贈与されている場合には、遺産に属しないことになりますので、上記は適用されません。


 生活費や葬儀費用の支払い、相続債務の弁済などの資金需要がある場合にも、遺産分割が終了するまでの間は、被相続人の預貯金の払い戻しができない、という問題点が解消されます。

改正法施行日前に開始した相続であっても、改正法施行日以降であれば、上記の預貯金債権の行使が可能です(改正法附則5条1項)。

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