=その1=
http://blog.livedoor.jp/iwamoto_naoya/archives/51154441.html

 では、具体的な事例に当てはめてみます.。

 時価1000万円、簿価500万円の財産を甲社に対し現物出資して、甲社から100株の株式(1株あたりの時価10万円)の発行を受けた場合、①②③をいくらとすればよいのか。

 

 ①「払込金額」…会社法199条1項2号

 ②「現物出資財産の価額」…会社法199条1項3号

 ③「払込み又は給付を受けた財産の額」…会社法445条1項、会社計算規則13条の資本金

  等増加限度額

 
①は、金銭出資か現物出資かに関係なく、単に数字として1株当たり何円で株式を発行するかを定めるものです。
 
甲社は、自らの財務状況や資金調達の必要性等を考慮して、自由に決定することができます。
 
もっとも、この払込金額は当該株式の時価と比較して有利発行になるか否かの基準になり、それ以上に中小企業においては税法上の評価も十分検討したうえで決定されることになります。
 
この事例では、時価と同額の1株あたり10万円とします。

 ②は、例えば払込金額が1株当たり10万円としている場合に現物出資財産を1000万円に設定すれば1000万円の金銭が払い込まれた場合と同様に、100株が発行されることになります。時価や簿価に拘束されることなく、現物出資者との交渉で甲社の裁量で自由に決定することができます。ただし、①と同様に、税法上の制約は受けるでしょう。

 
この現物出資財産の価額が500万円を超える場合、検査役の調査が必要になります(会社法207条)。たとえば、検査役の調査を省略するために、現物出資財産の価額を500万円として定めたとします。すると、時価1000万円の財産を出資して、500万円分の甲社株式(現物出資財産の価額500万円÷①の1株あたり10万円=50株(1株あたりの時価10万円))しかもらえないため経済合理性がなく、この条件では現物出資者は現れないと思います。
 そこで、①の払込金額を1株あたり5万円とし、100株(1株あたりの時価10万円)を発行するか、②の現物出資財産の価額を時価と同じ1000万円とするか、を甲社は選択できることになります。
 
前者は時価1株あたり10万円の株式を払込金額1株あたり5万円で発行するため、有利発行の規制を受けることになります。一方、後者は有利発行の問題はないが、検査役の調査が必要になります。また、給付期日に現物出資財産の時価が下落し、1000万円に著しく不足する場合には価額填補責任(会社法212条)が生じます。
 
甲社は、これらの論点を含めたて現物出資財産の価額を決定することになります。

 
③は、甲社に裁量の余地はなく、会計慣行や会社計算規則によって算定される額です。
 
多くの場合(企業結合会計基準等においてパーチェス法が適用される場面又は企業結合会計基準等の適用がない現物出資)、現物出資財産の「給付期日」における「時価」によって算定されることになります。

 

つづく