最近の商業・法人登記を取り巻く環境は、とても変化が激しいです。
さらに会社法の改正も進んでいます。

「会社法制(企業統治等関係)の見直しに関する中間試案」(平成30年2月14日)の取りまとめ
http://www.moj.go.jp/shingi1/shingi04900348.html

登記関係は、次の3つです。
1.株式会社の代表者の住所が記載された登記事項証明書
2.支店の所在地における登記の廃止
3.新株予約権に関する登記

※中間試案は、3.1.2の順ですが、中小企業に影響しそうな順に1つずつ紹介していきます。

1.株式会社の代表者の住所が記載された登記事項証明書
【概要】
(1)代表者の住所は、登記事項(会社法911条3項14号、23号ハ)からは削除しない。

(2)ただ、登記事項証明書の記載事項(商業登記規則30条)からは原則除外する。
(3)例外的に当該住所の確認について、法律上の利害関係を有する者に限り、当該住所が記載
   された登記事項証明書の交付請求ができる。

(4)インターネットを利用して取得するいわゆる登記情報も同様の当該住所を除くなど、所要
   の措置を講ずるように検討する。

【コメント】
 株式会社の代表者以外にも個人の住所が登記事項になっているものはいくつかあります。これはどう整理されるのでしょうか。
 ・会社の支配人の住所(商業登記法44条2項1号)
 ・有限会社の取締役及び監査役の住所(整備法43条1項)
 ・合名会社の社員の住所(会社法912条5号)、
  社員が法人の場合の職務執行者の住所(会社法912条7号)
 ・合資会社の社員の住所(会社法913条5号)、
  代表社員が法人の場合の職務執行者の住所(会社法913条9号)
 ・合同会社の代表社員の住所(会社法914条7号)

 そもそも代表者の住所をどこで登記しているかしっかり認識していない会社がそれなりにある気がします。今後、登記懈怠が増えないように、特に任期満了による改選登記の際は、今まで以上に住所を確認する意識が必要になりそうです。



【中間試案】
 
登記簿に記載されている事項(株式会社の代表取締役又は代表執行役の住所を除く。)が記載された登記事項証明書については、何人も、その交付を請求することができるものとし、当該住所が記載された登記事項証明書については、当該住所の確認について利害関係を有する者に限り、その交付を請求することができるものとする。
(注)インターネットを利用して登記情報を取得する場合における当該住所の取扱いについても所要の措置を講ずることを検討するものとする。

【法務省による補足説明】
 
試案第3の5において、登記簿に記載されている事項(株式会社の代表取締役又は代表執行役(以下「代表者」という。)の住所を除く。)が記載された登記事項証明書については、何人も、その交付を請求することができるものとし、当該住所が記載された登記事項証明書については、当該住所の確認について利害関係を有する者に限り、その交付を請求することができるものとしている。

 
現行法においては、代表者の住所が登記事項とされ(会社法第911条第3項第14号、第23号ハ)、何人も当該住所が記載された登記事項証明書の交付を請求できることとされている(商業登記法第10条第1項)。部会においては、個人情報保護の観点から、当該住所を登記事項から削除し、又はその閲覧を制限することが妥当ではないかという指摘がされている。

 
もっとも、代表者の住所については、(ⅰ)代表者を特定するための情報として重要であること、(ⅱ)民事訴訟法上の裁判管轄の決定及び送達の場面において、法人に営業所がないときは重要な役割を果たすこと(同法第4条第4項、第103条第1項)などの意義が認められる。

 
そこで、試案第3の5においては、代表者の住所は登記事項としつつも、当該住所が記載された登記事項証明書の交付を一定程度制限するため、登記簿に記載されている事項(代表者の住所を除く。)が記載された登記事項証明書については、何人も、その交付を請求することができるものとするが、当該住所が記載された登記事項証明書については、当該住所の確認について「利害関係」を有する者に限り、その交付を請求することができるものとしている。そして、「利害関係」とは、登記簿の附属書類の閲覧について利害関係を有する者がその閲覧を請求することができるものとする登記簿の附属書類の閲覧の制度(商業登記法第11条の2)と同様に、事実上の利害関係では足りず、法律上の利害関係を有することが必要であると考えられる。もっとも、具体的にいかなる範囲で「利害関係」が認められるかについては、代表者のプライバシーの保護の要請と代表者の住所が記載された登記事項証明書の交付を受ける必要性を考慮して総合的に検討すべきであり、例えば、株式会社の債権者がその債権を行使するに際して当該住所を確認する必要がある場合においては、「利害関係」を認めることができると考えられるが、なお検討する必要がある。

 なお、代表者の住所を含む登記情報については、インターネットを利用して取得することができることとされている。しかし、試案第3の5のような規律の見直しをする場合には、インターネット上で取得することができる登記情報から当該住所についての情報を除くなど、所要の措置を講ずることについて検討する必要が生ずる。そのため、試案第3の5の(注)においては、これについて検討するものとしている。