岩 崎 建 築 研 究 室 ・ 日 誌

〜京都で数寄屋を学び、建築設計を考える〜

岩崎建築研究室

茶事にお招きいただいて

お客様から茶事にお招きいただいて、東京へ。お客様ご夫妻は既にお茶室を作られていたのですが、改造したいということで、私のブログを見ていただき、ご連絡をいただきました。実はまだ具体的に何か工事をする、という段にいたってはいないのですが、この度ご縁をいただき茶事にお招きいただくことに。名誉師範の先生も同席されるという席に、正客を賜り、緊張しながら東京へと向かいました。

今日のご亭主は奥様、客は先生、ご主人のご友人、ご主人、社中の方、と私の五人。お茶関係の本も出版されているという名誉師範の先生にお会いするのはとても緊張しましたが、優しそうな先生でほっとする。ご主人のご友人は初めての茶事。御陰で席中は和やかな雰囲気に。客組の妙。

待合の床の間はツユクサの画に「潤乾坤」。莨盆には八卦火入。「一滴潤乾坤」は景徳伝灯録より。一滴の水でこの宇宙乾(天)坤(地)を潤すことができる。禅では絶対的見地から、大小、長短、広狭の区別を超えて、一滴の水でも大海の水と同じであり、一粒の米でも万岳の大きさに匹敵するという。待合から露地に出て無言の迎付きの後、躙り口を開けて眼に飛び込んできたお軸は「地天泰」。私の名前の漢字の入ったお軸というのは、初めて見た!!調べてみると「地天泰(ちてんたい)」は易経六十四卦の第十一卦。天下泰平、万事順調の時。卦辞は「泰小往大来吉亨 (たいはしょうゆきだいきたる。きちにしてとおる。)」小人が去り君子が集まった状態。人間関係も和気あいあいと協力的で、万事がスムーズに運ぶ。しかし天下泰平の時は、いつの世も長くは続かない。謙虚な気持ちで現状維持を心がけ、現在の安泰の時をできるだけ永続きさせるようにしましょう、とのこと。こうした言葉があるということを知りませんでしたので、教えていただいたことに感謝ですし、こうした準備をしてくださったお気持ちが本当に嬉しい。続く懐石では、美味しい料理を和やかにいただきながら「学生時代はオーケストラでヴァイオリンを弾いていました」というお話をしていたら、炭手前の時に使われた香合はヴァイオリンの形!!また後座の花は正面の無双釘ではなく、床柱の花生釘に掛花入で。これは前回お伺いしたときにご相談して打たせていただいた釘。細やかなお心遣い、手厚いおもてなし。こうした茶事に正客としてお招きいただき本当に感激でした。Oさん本当に、ほんとうに、有り難うございました!


過分なお土産も頂戴し恐縮でした。素敵な古帛紗。いつか自分の茶室を持てた暁には、気合いをいれて道具組を考えご夫妻を是非お招きしたい(いつのことになるか、わかりませんが、、、)


茶室を知ろう

茶道資料館の夏季展講座「茶室を知ろう」に行ってきました。こども向けの講座で事前に往復はがきにて応募。応募者が多く、急遽午前の部、午後の部の二回開催になったのだとか。


茶道資料館夏季展「茶道具を知ろう、茶室を知ろう」お茶の先生からご案内いただいた。


講座「茶室を知ろう」。講師は、坐忘斎御家元の甥っ子さんだ。


次男が作った又隠の起こし絵図。茶道資料館の二階の又隠写しも見学でき、古い起こし絵図も見られて面白かった。


次男はわりと手先が器用で、ものを作るのが大好き。嬉々として作業していました。ただ、、、


扁額はなぜか「忍者」(まだ6才なので、漢字はちょっとむずかしい)


そして床の間の掛軸はなぜか「岩崎」。畳は緑で塗って、縁は黒。





大文字

今日は家内の実家で義母の快気祝。親族が集まって会食した後、自宅まで帰る途中で大文字の送り火を見る予定が、大雨。


行きに見た夕刻の大文字。準備が進んでいる。


ひどい雨だったので見に行くのはあきらめ、テレビで点火の様子を見る。


以前、天神さんで入手した短冊。手前の橋と柳の感じは三条白川のあたりの景色でしょうか。お店のおじさんは前川文嶺だと言っていましたが、まあ違うだろうなあ。私が購入できる程度の金額だったし(前川文嶺の掛軸はお茶の先生のところで見せていただいたことが。真如堂の襖絵も文嶺とその子孝嶺の作品)。それでもこうしたものが気軽に入手でき、家に飾り、年中行事とともに季節を楽しめるというのは、京都の素晴らしいところだと思います。

川遊び

日曜日、友人家族と川遊びへ。


最寄りの出町柳駅から30分ほどでこんな川へ。普段は都市生活をしながら、すぐに自然の中に行けるのも、京都の素敵なところ。


一人っ子の男の子と、ウチの兄弟。三兄弟って大変そう。


いい鞍馬石。本場の本物。飛び石に使いたい。造園市場には鞍馬石のニセものや着色したものがたくさん出回っていますが、本物の色の綺麗なこと。花は野にあるように、石は川にあるように。


川魚も捕まえました。水中メガネで中を覗いて網を使えば簡単に捕まえられる。いつも賀茂川で捕まえるカワムツとも違う。もしかしてアユ?


涼しげな川の流れ。


石の表面を流れ落ちる水。


大きな石の上に乗ったり、


川で泳いだり。たっぷり遊びました。





奥村土牛の画集

下鴨神社の古本市(8/11-16)で、奥村土牛の画集を買った。


「茶室」(1963/74歳)私にとって土牛と言えば、やっぱりこれ。大徳寺真珠庵の茶室「庭玉軒」を描いたもの。日本画家が茶室そのものを画題に選んだもの、というのは珍しいのではないでしょうか(他にあれば教えてください)。曲がりの赤松の中柱に、色紙窓と風炉先窓。色紙窓の下の障子には下地窓の影が映り、上の窓は開けられて連子の竹とあふち貫越しに塀の瓦が見える。色紙窓の中鴨居と、袖壁の横木との緊張感のある隙間。よくよく検討された視点の高さと位置。袖壁の裏には釣棚がありますが、利休型のチラ見せ方式ではなく、武家流の雲雀棚でこちらから下段も見えないのは、この絵としてはスッキリしてよかったのかも。袖壁の土肌の表情も素晴らしい。モンドリアンのコンポジションとの共通点を指摘する人もいるようですが、それよりもこうした日本的な美のバランスは、かなの書であったり、料理の盛り付けだったり、庭園の石組みであったり、茶道具の割り付けだったり、色々なものを見てその感覚を養わなければ、新しく作ることはできないように思う。


「城」(1955/66歳)西洋的な透視図法ではなく、各視点の寄せ集めのようになっていて、全体として静的にならず、絵の各所を眺めると見る者も実物を前にウロウロ歩いているような感じがする。


「門」(1967/78歳)。姫路城「は」の門。城でも、神社でも、寺院でも、門や鳥居をくぐる度に変わる景色、そのシーンの展開というのは、日本建築の素晴らしさのひとつだと思う。現代の建築で、こうしたシーン展開が熟慮されているものは少ないように感じる。

できることなら、絵になるような、風景になるような、建物を設計したい。そんな時、画家の描いた建物というのは、参考になるかも知れない。


「醍醐」(1972/83歳)小林古径の七回忌に薬師寺に参詣、翌日立ち寄った醍醐寺の桜。薄い色を百回重ねたという桜の花びら、幹の質感、白漆喰の風合い、是非実際に土牛の筆の跡をこの眼で見てみたい。

茶室完成

神奈川の茶室。いよいよ今日で完成です。


床の間の壁が一部まだ乾ききっていませんが、ほぼ完成した茶室。


照明を消すと、障子が明るく輝き、壁は暗く沈む。


床の間の様子。掛軸を掛けると、これまでとは違ってみえる。


千家桐、からかみ風襖紙の襖。


紺色の襖。腰張りの湊紙と相まって、ぐっと落ち着きがでる。


裏は赤口の鳥の子紙なので、ひっくり返すと印象ががらりと変わる。四枚引違の場合、真ん中二枚は主となる部屋側に入るので、写真のように嵌めると、奥にメインの部屋があるかのようにも感じられる。


こちらの引手も真鍮の古いもの。


茶道口になる引違の襖も、表はからかみ風ですが、


ひっくり返すと無地の鳥の子。茶事で、初座は無地とし、後座でひっくり返してからかみにするというのも、面白いかも。お客さん、気がつくかな。建具や欄間、ペンダントの照明器具などは簡単に入れ替えができるので、茶事の趣向によって、いろいろ取り替えたら趣向の世界に広がりが出て面白いのに、と思う。


襖と躙り口の様子。


照明器具と釜蛭釘。


赤松皮付の床柱に打たれた花生釘。一般にダイキャストのものが出回っていますが、やっぱり安っぽい。茶味のある掛花入などをかけるなら、きちんとした釘を使いたい。


炉縁が納まるかも確認。


畳は拝見に出すところなど、畳の目が重要になる箇所はきちんと丸目になるようお願いしています。


畳の入れ替え方をお伝えする棟梁。風炉と炉で入れ替えをしないといけませんので、手鈎を用意して、その使い方をお教えします。


腰紙は今回も、大工さんと二人で。大工さんは糊を塗る役、私は壁に張る役。


あて丸太とのとりあいの部分は腰紙も「ひかりつけ」が必要。遠方の仕事では、このためだけに経師屋さんに来てもらうのは申し訳ないから、と始めた腰紙張りですが、設計者が職人の気持ちを知る良い機会になっています。

下地窓からの光で照らされる紺色の襖。


躙り口と連子窓。



建築主様と初めてお会いしたのが、昨年の十月。順調に計画が進み、それから一年経たずで茶室の完成となりました。今年一月には床柱等の茶室の材料や蹲踞など庭の材料を見に京都に来ていただき、案がまとまり工事契約をしたのが六月、そこから京都の作業場で準備が進み、現場着工が七月十九日、そして竣工が八月九日。ご依頼いただいきこのような機会を与えていただいた建築主様に感謝するとともに、きっちりと工程通りに、素晴らしい仕事をしてくれた職人さんたちにも本当に感謝です。これからこの茶室を使って、存分にお茶を楽しんでいただければと思います。

京都から職人を呼んで茶室を作るなんて!と思われる方も多いと思いますが、計画内容によっては京都の作業場でほとんどの仕事を終えることができ、現場での工事は短期間で済ませることができます。また茶室に慣れていない大工さんにお願いすると、見積もりは高く出て(京都から職人さんに来てもらうより高い場合も!)なおかつ出来上がりが覚束ない、ということでは、残念な結果になりかねません。
 幸い今一緒に仕事をしてくれている職人さん達は、親方たちが皆、四十代で同世代、遠方の仕事でも全然大丈夫。ちなみに大工の棟梁は大学時代インカレにも出場したというウィンドサーファー。今回の仕事では、前泊して江ノ島で久しぶり海に出ていたとか。遠方の仕事はその地域の色々な文化に触れられる良い機会ですし、ご依頼があれば、全国どこでも、職人さんたちと一緒に出かけていければと考えています。
職人さんたちも、自身の腕を全国の皆さんのために発揮し、喜んでもらえればこんな嬉しいことはないのではと思います。もし茶室を、と考えられている方がいらっしゃいましたら、まずはお気軽にご連絡ください。











お茶の先生に来ていただく

神奈川の茶室。今日と明日の作業で工事終了の予定。今日は建築主さんのお茶の先生に現場に来ていただき、床柱に打つ花生釘の高さを見ていただく。


壁がまだ乾ききっておらず、斑のある状態ですが、お昼頃に先生が来られるので、建具を入れ、畳をいれてもらいます。


大工さんが作業してくれている間に、花を探しに海へ。が、見渡せば花も紅葉もなかりけり。


台風が近づいていて、波が高い、風が強い。やむを得ず、道端で朝顔や水引などを摘む。


戻ると襖が入れられていた。からかみ風襖紙に古引手。


床の間の様子。中釘が三尺七寸なので、一寸上がりの三尺八寸と、さらにちょっと上げて三尺九寸の二カ所に印を付けておいた。


先生がいらっしゃったら、花を入れた花器をあてがって、高さの具合を見ていただく。


あてがってみると、ちょっとの差の違いがよくわかる。三尺八寸に決定していただき、早速下穴を開けてもらう。

私自身、お茶のお稽古を通じて、先生から、先生と弟子とはどういうものか、ということについて、色々と教えていただいた。古臭い考え、という部分もあるかもしれないが、時代を超えて大事にしていかなければいけないこともあるように思う。お茶室を造る、という時には、やはり先生あってのお茶なのだから、先生にもできるだけ関わりを持っていただければと考えている。


まだ壁が乾ききっていないので、釘は仮留め。先生が持参してくださった籠の花器もかけてみる。いい感じ!


室内は空調が効いていて花の持ちがよい。


大工さんは細々とした残工事。躙口の丸打掛も取り付けてくれた。落ちないように留め具の足の先を開いてもらった。


既存障子との隙間。関東間八畳と京間四帖半の差。


既成ダウンライトの下面に和紙を張った。大工さんにお願いして四隅に小さなスペーサーを付けてもらい、少し透かして和紙を張ると、こぼれた光で天井が照らされ、うづくりの様子がよくわかる。


先生が来られるまでに、完成した露地に水を打つ。


枝折戸と四つ目垣。


枝折戸の足下には、さりげなく真黒。濡らすとなまめかしい表情になるが、今日は暑く、打ち水をしても、石自体が熱せられているのですぐに乾いてしまう。まさに焼け石に水。


蹲踞廻り。シュンラン、タマリュウ、ムラサキシキブ、そしてモミジ。


濡れ縁の横、塵穴の脇にはセンリョウ。塵穴に景色を添え、濡れ縁の足下をさりげなく隠す。


飛び石の様子。


水が打たれた白川の沓脱石。京都の石材屋さんが、納品先を気にしていたほどの優品。茶事に来られたお客さんには、しっかりと味わってほしい。


延べ石の傍らにはヤブコウジ。


手前はアセビ。奥、袖垣の前にはヒトツバタゴ。


露地の見返し。露地は見るだけの庭ではなく、実際にその中を通って茶室にいたるための空間。小さなスペースですが、用と美を兼ね備えた密度の濃い空間。


濡れ縁から躙り口を見る。


古い雨戸の板を利用した躙り口。枠材は新材ですが、赤杉だと違和感なく馴染む。


連子の竹を打つ巻頭。一本一本鍛冶屋さんが、釘の頭を叩いて延ばしくるっと巻いて作っている。取付に際して、若い大工さんと相談して、向きを決めて、すべて揃えて打ってもらった。






露地左官工事終了

神奈川の茶室、今日で、露地工事と左官工事が終了の予定。


夜行バスで朝現場に到着しましたが、露地はもうほとんど出来てる!暑い中おつかれさまです。


濡れて、なまめかしい真黒の景石。


建仁寺垣と四つ目垣。


打ち水をした露地。


玄関脇に蹲踞が据えられました。


沓脱石は白川。


水鉢も白川。形状から少し高めに据えられましたが、使い勝手に問題はなさそう。右が手燭石、左が手桶石、は裏千家流。


古瓦を使った塵穴と蹲踞廻り。


沓脱石と延石、飛び石。限られたスペースなので、寸法の配分が難しい。


草履を持参して、茶事での動きを確認する。


アルミサッシの敷居部分には、


蓋をして、躙り入りやすくします。


茶室内部では、左官屋さんが最後の仕上げ。


下地窓を透過した陰影を、本聚楽の美しい土肌が受け止める。


京都の聚楽土を使った本聚楽。メーカーの造った既調合の材料でなく、一から材料を調合して、作り上げる。事前にサンプルを造り、建築主さんに確認してもらい、ご意見ご感想を元に、さらにサンプルを造り、納得していただいた上で、仕上げ。最上の腕があるだけでなく、建築主様のために、を第一に考えた、最高のものづくり。


丸太廻りをどう納めるか、が茶室の壁を塗る左官屋さんの腕の見せ所。


出隅もポイント。漆喰は全国に上手な職人さんがたくさんいると思いますが、茶室の土壁の、いわゆる「撫でもの」は、やっぱり京都の職人さんが一番なのでは。


茶室の土壁が美しいのは、長い年月に渡り試行錯誤が繰り返された上に、現代の職人もそれらに追いつき追い越そうという「思い」があるからだと思う。


塗り上がった床の間。「荒壁に掛物面白し」。掛軸を掛けるのが楽しみ。


月曜日には、畳が入り、障子が入る予定。



profile
岩崎建築研究室
岩崎 泰

住宅,茶室,店舗の設計等について
ご質問,ご相談がございましたら
まずは、電話やメール にて
お気軽にご連絡ください。
TEL 075-724-2354
iwasaki1201@syd.odn.ne.jp
Archives
  • ライブドアブログ