岩 崎 建 築 研 究 室 ・ 日 誌

〜京都で数寄屋を学び、建築設計を考える〜

岩崎建築研究室

白露

毎日散歩していても、いいなあと思える賀茂川、東京出張から帰った時はなおさら。

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桜の葉が色づき始め。

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デルタの松、

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その足元、白い花が咲いているのかと思ったら、

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白露に風の吹きしく秋の野は つらぬき留めぬ玉ぞ散りける(文屋朝康)

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飛び石を渡る友達を眺める。

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ススキとヨメナ。

マンションの茶室リフォーム完了

マンションの茶室リフォーム。今日が最終日。

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工事をするなら一緒に、とリビングのクロス張替えも今回工事に含まれました。汚れやすい壁はビニールクロスですが、天井は和紙クロスに。照明の明かりが柔らかく反射しくつろいだ雰囲気になりますが、施工はビニールと比べやはり難しいようです。

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キッチンの給水、排水の配管を、

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分岐して、

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水屋として使える小さめの流しを設置。

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茶室には釜蛭釘を設置。炉の中心を出して、

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流派による鈎の向きと、芯ズレ(八帖なら六分、六帖は五分、四畳半以下なら四分)を確認して設置。仕組みが分かれば難しいことではありませんが、お茶を知らない大工さんに、建築に詳しくないお茶人さんが直接お願いして、失敗した例をたくさん見てきました。釣り釜でどんなことをするのか、各流派での違いなどを学んだ上で、現場の状況に応じて耐荷重や施工方法を検討し、施工者に寸法や位置を指示し、確実な施工を実現するのが、お茶を学ぶ設計者の仕事。

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釜は炉の真ん中に。鎖は八帖用で長めですが、実際に掛けてみると所作に問題がなさそうでしたので、そのままに。「小上げ」してから「大上げ」をして、と動作確認。お茶のお稽古で先生に教えていただいたことを、仕事の場で活かせるのは、なんだか嬉しい。

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そうこうしている内に、クロス貼り終了。上手なクロス屋さんが綺麗に仕上げてくれました!

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一段上がった茶室に入りやすいように畳の台を製作。

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以下は大工さんの写真より。Kさんありがとうございました!

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床の間は襖一枚と置き床。襖には無双釘や花生釘も設置してあります。

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点前座は、六尺三寸×三尺一寸五分の京間サイズ。風炉先屏風もきちんとおさまり、ちゃんとした道具の配置でお稽古ができます。炉壇は、炭と電熱のスライド式炉壇。風炉と炉の入れ替えの畳は床下に収納できるようになっています。畳は建材畳にクッションのマットを入れたもので、座り心地も良く、軽いので、女性でも畳の入れ替えが容易です。

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置き床の框はケヤキ。隅部は雛留め。大工さんの活躍の場を設けるのも設計者の仕事。

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バルコニー側は一段床を下げ(というより、元の床の高さのままとし)、椅子が置けるように。小林一三の即庵も念頭にあったかと思いますが、建築主様からのご要望を元に設計をまとめ実際にできてみると、やはり良い。これからの茶室には、どうやって椅子座を取り込むかということをより考えていかなければならないと思います。


数寄屋大工や左官職人が腕を振るう本格的なお茶室の設計はやっていきたい仕事ではありますが、こうしたお稽古や生活に密着した「生きた」茶室を整えるお手伝いができるのは、やりがいを感じる嬉しいお仕事。建築主様には喜んでいただけた様で、ほっと一安心。また改めてお稽古の様子を伺いにお邪魔させていただくのを楽しみにしています。O様、今回はありがとうございました。





三日月

愛犬とともに夕暮れ散歩。虫の音が聞こえ、賀茂川沿いは随分涼しくなった。

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西の空に浮かぶ三日月。

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三日月ということは旧暦三日、旧暦八月が始まった。これから月は満ちてゆき十五夜を迎える。ちなみに9月9日は重陽の節句だが、旧暦九月九日は、まだ一月先。菊は盛りではないし、露もつかない。一方、十五夜はまもなく、ススキも穂を出し始めた。旧い暦を確認しながら自然を眺め、先人の季節感をきちんと共感したい。

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時々「あっちに行きたい」とか、「ちょっと休憩」と意思表示をする楓子。散歩は彼女との対話を楽しみながら。

銀座での茶室相談会を終えて

8/27,28,29三日間で銀座のフラッグ・ギンザ・ギャラリーで開催した茶室建築展&相談会を無事終えることができました。コロナ感染拡大が収まりきらない状況でしたが、おかげさまで、三日間、各三組、延べ九組、19名の方にお越しいただきました。少し欲張って1日五組と設定しましたが、お話しを伺って、こちらのお話し、お茶もお出しするとなると1時間では少なく、間に片付け準備の時間も考えると、一日四組、あるいは三組が妥当かもしれなかったかもしれません。

ハウスメーカーで茶室付きの住宅を計画しているが不安を抱えられている方、マンションの一室にお茶ができるスペースを検討中の方、数寄屋工務店の方々、お茶のお稽古をされているプロダクトデザイナーの方、民家の納屋に茶室を計画されている方、ハウスメーカーで作った茶室と露地の相談に来られた方、民家の利用法の相談に来られた方、スライド式炉壇と大炉を検討されている方、などなど。お役に立てたかわかりませんが、道具を設え、香を焚き、掛け物を掛け、花を生け、菓子を出して、茶を点てる。私にとっては、茶事や茶会のような感じで、大変ではありましたが、亭主七割を実感するとても楽しい経験でした。また機会があれば、またこちらで、あるいは別の街で、こうした相談会をやっていきたいと考えています。

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最終日の様子。会期中に二回来て下さるお客様がいらっしゃったので、少しだけ室礼を変える。

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風炉先に使った小襖は表裏をひっくり返して。一面は唐紙、一面は裂地、と珍しいリバーシブル。以前より襖をリバーシルブにするのは考えていたのですが、古建具でそうしたものを見つけ、同じようなことを考える人は やっぱりいたんだなあと思ったり。特に茶室の場合は、その時の道具組によって、どちらかを選んだり、あるいは初座と後座で変えてみる、というのも面白いかも。茶室を一番大きな茶道具と考え、襖や引手、障子紙や腰張り、照明器具など、交換可能なものを、茶事の道具組に合わせて変えてゆく、というのも楽しいと思う。お茶を学ぶ建築設計者として、そうしたこともご提案していけたら、と考えています。

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掛軸は古指図。以前建築主さんにお招きいただいたお茶会で使われていたもので、お茶会が終わった時に「差し上げます」と頂戴したもの。詳細は不明ですが、図を見ながらあれこれ想像するのは楽しい。

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花入は斗栱の斗(ます)。縁あって入手したものに、孔をあけ、試験管を差し込んでいる。建築関係者らしい道具組ができればと考えて。

縁あって茶室の設計をさせていただくようになって15年ほど。炉を切るだけの簡単な工事も含めると、延べ40〜50件の茶室の設計監理に携わらせてきています。これまでに学んだこと、経験させていただいたことを、茶室が欲しいと思われる皆様のために、活かしていければ、と思います。今後も関東方面へはちょくちょく行くことになりそうですので、茶室についてご相談、ご質問がございましたら、メールでも電話でも、いつでもお気軽にご連絡ください。


展覧会の道具組

茶室建築展&相談会in銀座では、会場に点前台を持ち込んで、一服お点てします。その道具組、大した道具は持ち合わせていませんが、手持ちの道具を取り合わせれば、こうした思いで茶室の設計をしています、という表現の場になるのでは、と考えています。掛物を掛け、花を生け、香を焚き、菓子を用意し、茶を点てる。建築展&相談会ですが、その準備は茶事の準備のようで楽しい。

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生ける花を探しに「野の花司」へ。先日東京で仕事をした折に建築主のKさんより教えていただいた。情報ありがとうございます!

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会場のフラッグ・ギンザ・ギャラリー。短期間でも利用可能、費用もリーズナブル、丁寧に対応してくださり大変お世話になりました。O様ありがとうございました!

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点前台の様子。

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中板は奈良の古寺の門の板。中板にはわずか寸法が足りず、継接ぎになっていますが、それもそれなりの景色になったのでは。どこにどれをいくつで継ぐかなどは、詳細な図面を作成して、奈良の女性木工作家さんに製作していただいた。本来は建築主様の茶室のため製作したものだったのですが、事情で茶室計画が中止となってしまったので、私が譲り受けることに。

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風炉先屏風は、天袋の小襖を折矩に立てて並べて。仮のものなので裏でドラフティングテープで止めただけ、ですが。常日頃からこうした襖は探していて、気に入っていただけるお客様がいらっしゃれば設計に盛り込んでいきたいと考えています。この襖の引き手は桂離宮松琴亭二の間の天袋栄螺文七宝引手の写し。

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水指は京都亀岡の現代作家、明主航さん(1990-)の作品。京都東福寺のカホギャラリーさんで展覧会をされた時に購入。蓋を合わせて水指にしているのですが、もうちょっと蓋はなんとかしなきゃ。茶碗は刷毛目。「水辺の茶室」の建築主さんより茶室完成時に頂いたもの。茶杓は越沢宗見(1886-1970)銘「清涼」、こちらは「伏見の離れ」の建築主さんより頂いたもの。棗は本来指物師ですが、塗師もしたという七代利斎(1770-1855)松尾流家元の花王。一応私が名古屋出身ということで。

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花入は天神さんで入手した籠。自宅で日常的に使用しているもので、落としは生けやすいようにペットボトルを加工したもの。展覧会では目が近くペットボトルがよく見えてしまっていたので、ちゃんとしたものを用意しないといけないと反省。

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掛物は、オットー・ワグナーのウィーン郵便貯金局の図面。関谷正昭(1942-2002)撮影によるポートフォリオ。掛軸のようなプロポーションなので、普段自分の仕事場にかけて楽しんでいる。私の建築の師匠と関谷さんが仲良く、ウィーンに撮影に行く時に、当時大学院生のアルバイトだったにもかかわらず同行させていただき、大変貴重な経験をさせていただいた。そんな思い出話とともに。

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扁額は水車の古材で大綱宗彦(1772-1860)「めでたくかしく」。一休さんはその字が特に好きなのですが、その生き様にもどこか惹かれます。「にくげなしこのしゃれこうべあなかしこ めでたくかしくこれよりはなし」こうした禅の言葉は、説明を受けてわかった様な気になっても、いざ人に説明しようとすると全然理解できていないことに気がつきます。炉辺において折に触れてその意味を考えて行きたいと、いつか作る自分の茶室の扁額にする予定。

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写真パネル。四年前、神戸で展覧会をした時に作成したものを転用。その後にも、いくつも茶室の仕事をさせていただいた。よりよく次の仕事につなげるためにも、これまでにさせていただいた仕事を省みなければならない。

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お菓子は、亀末廣の絹のしずく。ここから暖簾分けしたお店がたくさんある老舗中の老舗ですが、デパートなどには出店せず。手を広げすぎず、目の前の仕事に誠実に向き合う、そんな風に設計の仕事もやっていきたい、と考えています。












茶室建築展&相談会の設営

茶室建築展&相談会in銀座。設営までの様子を自分のための記録として。

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点前台は普段私がベッドとして使用している。朝起きて布団を畳んで、解体する。接合部はベッド組み立て用の金具が使われていて、電動ドライバーがあれば素人でも簡単に組み立て解体ができる、ということを、設計者自ら体験することは重要。

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積み込みを考えながら門先に搬出。二階から階段を下ろす時には息子たちが手伝ってくれた。ありがとう!

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レンタカーを借りていざ出発。京都東インター目指して、山科にて。目的地まで451km。

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途中休憩のSAにて。借りたのはスズキエブリィ。今回荷物がちょうど収まる適度なサイズだった。

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新東名は走りやすい!

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予定時刻ぴったりにギャラリーに到着。会期中は車を使わないので、豊洲の駐車場に停めておく。

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会場に戻って設営開始。点前台の組み立てもだいぶ慣れてきた。

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二時間ほどで設営終了。タイムスケジュールもほぼほぼ想定通り。長い期間かけて、これを使うならあれも使おう、とか、あれをするならこれがいるな、とか、これはここに置いてあれはここに飾って、など、と考えるのは、茶事と同じ、設計の仕事も同じ。

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宿泊は、会場から徒歩五分のホテルにて。





茶室建築展&相談会のご案内

20210813


予約状況


8/27(金)、8/28(土)、8/29(日)東京・銀座のフラッグ ギンザ ギャラリーにて「茶室建築展&相談会」を開催いたします。いつかは茶室を、という方から、具体的な茶室の計画のある方まで、茶室について相談してみたい、という方は、この機会にぜひご参加ください。

京都・下鴨を拠点に、約40件の茶室を手がけてきた岩崎建築研究室。これまでに手がけた茶室や住宅、店舗の写真や図面、模型を展示。会場には一帖中板の点前台を設置し、薄茶を差し上げます。裏千家茶道歴約20年の一級建築士、岩崎宗泰が茶室のご相談に応じます。

場所 フラッグ ギンザ ギャラリー(東京都中央区銀座1-22-8) 

日時 2021/08/27(金)、8/28(土)、8/29(日)の三日間

一席目 11:00〜12:00
二席目 12:30〜13:30
三席目 14:00〜15:00
四席目 15:30〜16:30
五席目 17:00〜18:00

三日間 合計15席 事前予約制

一席 1〜3名まで

薄茶と干菓子(+茶室相談) 料金1,000円

2021/08/12時点の予約状況を添付いたしましたので、ご確認の上ご予約ください。

お問い合わせ、ご予約のお申し込みは、岩崎建築研究室 岩崎まで。
メール iwasakiarch@maia.eonet.ne.jp
電 話 090-6734-8125

陶芸家の茶会

建築主のIさんにお誘いいただき陶芸家先生の茶会に参加させていただく。素晴らしいお茶室だから、とお聞きして期待に胸を膨らませて。

こぢんまりとした玄関は、天井が網代。パンダジが置かれ、柱は錆丸太、期待が膨らむ。寄付きは八帖の広間。棚には素敵な作品が飾られ、畳の上には更紗が敷かれ、中央にはソバン。廊下を挟んで北側が露地。

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廊下側L字に腰掛待合、コンパクトな良い大きさの露地。四つ目垣も枝折戸もないが、茶事をするなら、焼杭二本に竹を渡すなど簡単な結界があったほうが良いかも。写真では見えないが、腰掛待合の屋根と茶室の屋根に渡す形でよしずがかけられていた。日差しの調整や、ちょっとした雨よけにもなり、よしずがかけられるような屋根の配置を考えるというのも手かもしれない。蹲踞は伽藍に中心をずらした穴が開けられたもの、灯篭は竿を抜いて低く据えられている。植木は槇と梅。

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茶室、躙口ではなく、3枚引きの貴人口。今日は夏越の祓えの趣向で、軒先に真菰が下げられている。出雲大社には「真菰の神事」というのがあり、
「出雲の森より御手洗井までの道中には立砂が盛られ、神職によって青々とした真菰(まこも)が敷かれ、大御幣を奉持した國造が進まれます。
古来より、出雲地方にはこの踏み歩かれた真菰をいただくと、無病息災をはじめ五穀豊穣の御蔭を賜る信仰があります。」とのこと(出雲大社のHPより)
真菰には古来「病気を癒すもの」「邪気を払うもの」「浄化するもの」という意味があるようだ。茶室の落天井には、真菰か、蒲葉か、蒲芯を使うことが多いが、蒲も因幡の白兎では傷を癒すものとして出てくる。真行草の草というだけでなく、茶室における真菰や蒲の天井には、浄化、邪気払い、治癒という意味も込められているのかもしれない。

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間取りは三帖台目(平三帖)で表千家の不審庵と同じ。茶道口は廻り茶道口で、台目の場合は、道庫のように使えて便利。扁額は不審庵と同じ位置に、裏千家の扁額が掛かる。給仕口も不審庵と同じ位置に。床前、正客に座ると水屋の奥までよく見える。壁は竹小舞を編んだもの、貫跡がくっきりと出ている。貫は跡が出ることを意識して意匠的に配置されているよう。床の間の奥の壁には貫跡なし。こちらは最初からか、塗り直したかは不明。
掛け込み天井、間垂木は小舞より若干細いものが使われ、「小舞は五分、間垂木は三分五厘」のセオリー通り。茶道口の角柄も裏目分ほど延びており、近現代の数寄屋大工に伝わるルールが忠実に守られているように思う。

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中柱は材不明。引き竹はシミ竹。中柱側が元で節四つも教科書通り。柱は当てサビ丸太。

正客に座らせていただき、点前座を眺めると、ご亭主の姿のカッコイイこと。平三帖の距離感、空間のバランスは、やはり実際に茶室の中でお茶を体験しなければわからないように思う。蝉の声、通り雨が銅板屋根を叩く音、蛙の鳴き声、竹林を風が渡る音、茶筅を振る音、そして松風。茶室に座ると色々な音がいつもより敏感に感じられるのはなぜだろう。その時の一期一会の出会いと共に深く印象に刻み込まれる。

最後に点前座に座らせていただき、ご亭主に一服点てさせていただいた。きちんと作られたお茶室は、やっぱりいい。こうしたレベルの茶室を作っていければ、と改めて思う。この度はこのような機会をいただき、N先生、Iさん、ありがとうございました!











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