岩 崎 建 築 研 究 室 ・ 日 誌

〜京都で数寄屋を学び、建築設計を考える〜

岩崎建築研究室

器具取り付け

大阪の家、現場監理。二日連続ですが、工事終盤はちょっとのことで、こうしておけばよかった、という場面も多いので。職人さんも手直しを言われるなら、できるだけ早い方がよいだろうし。また春休みで子供がうるさい家よりも、電車の中の方が、仕事がはかどったりする。


ベランダの木工事が進行中。図面通り、いっているようで、完成が楽しみ。


松の幹と、掻き落としの外壁に映る松葉の影。掻き落としのテクスチュアがなかなかよい感じ。


玄関の照明器具が取り付られた。


床板張りが進むベランダ。


クロス屋さんの糊付機。


明日には和紙クロス貼りが完了する予定。


二階和室は、大壁の和紙クロス貼りですが、床の間の一面だけは真壁風に納めている。


天井は竿縁天井で、一部萩の落天井。最近の和室と言えば、大壁クロス貼りに琉球畳、というのが定番ですが、もっと新旧織り交ぜた色々な和室があってもよいと思う。


一階和室の天井は無垢の竿縁天井。杢目が浮き上がって綺麗。


京式の葭障子もスタンバイOK。



完成見学会のお知らせ

2017年4月9日(日)13:30〜16:00
場所:大阪市阿倍野区
参加費:無料 予約制

完成見学会開催決定@大阪市阿倍野区
山本博工務店さんのHPはこちら

お申し込みはこちらから



お稽古十五年

お茶のお稽古、着物を着て研究会。少し早めにお稽古場に着いたので、行之行台子を出すところから手伝わせていただく。お稽古場の押入の中を見られるのは設計者にとっては貴重な体験。バラしてコンパクトになった台子や、長板、風炉先屏風が、整然と並ぶ。行之行台子の地板天板は桐。お稽古道具でもきちんと無垢で、地板は厚さ一寸ほどあり、ずっしりと重い。

行之行台子のお稽古をさせていただいたあと、先輩がお点前されるのをじっくり拝見して復習。お稽古場では、真之行台子も同時進行でされていたが、そちらを見ると混乱するので、行に集中して。台子のお点前は、複雑で大変だが、やる価値があると思うし、やはり、やらなきゃいけないと思う。

長い年月をかけて、詳細が決められてきたさまざまな点前の全体像を体系的に理解する、ということは、茶室について理解する上でも重要なことなのではと考えている。お茶室の設計をするには、お茶のお稽古をしなければ、と言われるが、平点前を少しした程度では、茶室のより深い部分は理解できないのでは、と思う。かといって、今の段階で何が理解できているのかというと甚だ心許ないが、それにしても、こうした稽古を積み重ねてゆくしか道はないのだと思う。

茶室の設計を依頼してくださる方は、お茶の先生や、ベテランのお茶人さんだったりするので、そうした方とより深い話ができると、茶室設計もより楽しい。また古式ゆかしい点前だから、歴史上の人物も同じようなことをしたのでは、と想像をするのも楽しい。正親町天皇に茶を献上した秀吉もおそらく同じような台子を使っていたのではと思うと、ちょっとわくわくする。着物を着て台子を前にお点前をしていると、これまでにどれだけの人たちが同様のことをしてきたのだろうか、と実体験に基づく想像はよりリアルだ。


お稽古の途中、水屋にて、社中の中でも特にきっちりお点前をされる先輩に、いつも持ち歩かれているお稽古メモをちらっと見せていただいた。各お点前の準備の仕方を中心に、小さなメモパッドに絵も含めびっしりとメモ書きされている。やっぱりこれをされている方の点前は安定感が違うような気がする。同様のものを自分なりに作成し、いつか、また次の世代に繋がっていけばいいなと思う。



28歳の四月にお茶のお稽古を開始したので、この三月のお稽古を終えて、丸十五年が経過したことになる。月3回、年36回、15年で540回。まだまだ道半ば、なんとなく千回を超えるあたりで、何か次のステップに進めるのでは、と感じている。このままのペースで行けば、還暦の頃。千利休も村野藤吾の六十過ぎてからの仕事がすごい。そんな偉人のような仕事はできませんが、その頃に、少しでも納得のいく仕事ができるよう、お稽古も仕事も、ひとつひとつ丁寧に頑張って行きたい。



先代の大先生からいただいた、先生お手製の数寄屋袋もだいぶんくたびれてきた。そろそろ替え時なのかもしれない。

土壁と和紙クロス

大阪の家の現場監理。いよいよ完成までのカウントダウンが始まった感じ。


控えめな起くりの瓦屋根、ベタ万十の軒瓦、掻き落としの外壁。特に目新しいことはありませんが、きちんと丁寧に作る和の住宅がもっと建てられてもよいのでは、と思います。無粋なガラスの入った防火窓のアルミサッシはスダレで隠す予定。


和室の壁が塗られました。まだ乾き切っておらず、斑になっている。


古い床柱、落とし掛け、煤竹の無目が、きちんと再現された。


松と建物。来週から庭づくりが開始。


玄関上の横長窓。ちらりと入母屋の屋根が見える。


玄関入ったところ。トイレの建具も取り付けられた。


宝珠の刳り貫きには、結霜ガラス。


二階の和室には和紙クロスが貼られました。


窓からの光で、白い壁が輝き明るい。


階段の手摺にも透かしの欄間が入れられました。


視点の高さが変わる階段の移動中、目を楽しませる仕掛け。


大工さんがイペ材でベランダを制作中。


有平糖

お茶のお稽古、造園班。先日の大工班と同様、菓子器に干菓子二種盛りをしてもらう。セオリーを知らずに綺麗に盛りつけるというのは、やはり難しいことなのかも。今日は本も持参して、盛りつけの基本を勉強する。八寸と同じように、右向こう、左手前に盛りつけるのは、右手で取ることを考えると、取りやすい自然な配置。干菓子は、煎餅、落雁、州浜、有平糖など、色々な種類の干の中から、二種を選んで。今日用意したお菓子は紫野源水の松の翠と有平糖の早蕨。有平糖は、コンペイトウなどと同じで、南蛮菓子。ポルトガル語の砂糖アルフェロアが語源とも。松の翠が一個158円なのに対して、蕨の有平糖は一個なんと230円!手間がかかるにしても、ちょっと高いなあ。

お稽古では、一応標準的なお茶の量、お湯の量をお教えしている。お茶は茶杓で一杓半、お湯は適量、具体的には茶が1.5〜2g、お湯は70ccほどと言われるようです。今のはちょっとお茶が少なかったとか、お湯が多かったとか、言いますが、大事なのは、これからお茶をお出しするお客様が、どのようなお茶をいただきたいか、ということに気を配ること。歴史好きならご存知の石田三成の三献茶の逸話。秀吉が長浜城主だった頃、鷹狩りの途中である寺に訪れ、茶を所望すると、少年だった三成が、一服目は大きな茶碗にぬるめのお茶、二服目は普通の茶碗にやや熱めのお茶、三服目は小さな茶碗で熱いお茶を出し、秀吉は少年の気配りに感心し長浜城に連れて帰った、というお話。庭の手入れでも、同じだと思います。お客さんによって好みがあるでしょうから、それにあわせて、塩梅を変えるというのが大事なのだと思います。


お菓子を求めた紫野源水。江戸時代後期、文政八年(1825)創業の老舗和菓子「源水」の三男が生家で修行を積んだ後、昭和五十九年(1984)に創業したお店。ちなみにご実家の店「源水」は二条城近くにあるらしい。あまりメディアにはでませんが、美味しいらしい。こうしたお店がまだまだあるのが京都の和菓子文化の深いところ。一度そちらにも行ってみたい。


店内の蹲踞。


お茶は、北大路ビブレ近くの山本園に行ってみた。


お茶の看板と暖簾。


一般住宅の玄関先が店舗になっている。


完成見学会

もうすぐ完成する大阪の家。工務店さん主催の完成見学会の日程が決まりました。

2017年4月9日(日)13:30〜16:00
場所:大阪市阿倍野区
参加費:無料 予約制

完成見学会開催決定@大阪市阿倍野区
山本博工務店さんのHPはこちら

お申し込みはこちらから




以前の建物に使われていた欄間などを再利用しています。


隅切りの障子に松の影が映る。


古建具も多く使用しています。


床の間も再現。かつての床柱、床框、落とし掛け、天袋などを再利用しています。


見学日には、庭も完成している予定。是非お越し下さい。

柳緑花紅

お茶のお稽古大工班。一番若い大工さんが怪我をしてお休み。カッターナイフで手を切ってしまったようですが、大事を取って病院へ。大工さんの中には電動工具で指を落とす人も多いので、気をつけてほしい。お茶の点前の中にはリスク回避が考えられているものあるので、作業の参考にしてもらえればと思う。
 
 お軸代わりに紹介したのは色紙「柳緑花紅」。ネットで画像検索すると寺山修司の色紙が見つかったので、その画像を。天井桟敷の劇作家が北宋の詩人、蘇軾の詩を色紙に書くというのも面白い。今日のお菓子は甘春堂の花ごろもと吉祥豆(すはま)の二種。菓子器に二種の菓子をどう盛るか、三人にやってもらう。その後、私が今まで習って来たお菓子二種の盛りつけのセオリーをお教えする。必ずこうしなきゃいけない、というわけではありませんが、セオリーを知った上で、どうするか、が問題。

 盆略点前も大体できるようになってきたので、今日は特に姿勢などについて。礼の姿勢。盆を持って歩く姿勢。お点前中の姿勢。左手で何かをしている時の右手の様子などなど。ちょっとしたことで、見え方が随分と変わる。また美しい姿勢は理にかなって自然。美しい姿勢、美しい所作は、美しい仕事に繋がってゆくと思う。


お菓子を求めた甘春堂。以前勤めていた事務所のすぐ近く、懐かしいエリア。


甘春堂さんは慶応元年(1865)創業。入り口の傘立てには傘が一杯。団体さんが来ているようです。


二階では和菓子教室が開催中。東山と嵯峨野で毎日開催。一度和菓子作りも体験したい。


店内には四帖半下座床の茶室もありますが、今は荷物置き。



桐蔭席

Iさんにお誘いいただき、桐蔭席のお茶会へ。桐蔭席は以前から一度入ってみたかった茶室。又、今回の席主は宗哲さんと蘇山さんご姉妹。以前勤めていた事務所の時にご縁があったので、こうした席に参加させていただくのはとても嬉しい。Iさん連日有り難うございます!


桐蔭席は、昭和五年(1930)淡々斎宗匠の指導により造営された茶事のための施設。瑞鳥鳳凰が宿る桐。千里万里を天翔る前に、鳳凰がその力を養うのが桐樹の蔭。


桐蔭席、門。


鬼瓦は京風海津。軒瓦は鎌軒。破風は面皮。


袖壁は木賊張り。


木賊張り詳細。


軒裏は竹。樋は青竹。樋受けは木製。


石畳の様子。

玄関入った三帖が受付。台目巾の廊下を渡った先の七帖が寄り付き。玄関は桐、廊下は瓢箪の唐紙なのに対し、寄付内部の襖は無地の鳥の子。華やかにお迎えして、寄り付きは落ち着いた雰囲気、というバランスが良い。寄付の床の間は松の地板の踏み込み床。床柱の花生釘は無双釘。一般に無双釘は、床の間正面壁の中央、中釘に使われますが、花生釘も、使わないときに仕舞えるとスッキリしてよいのかも。床脇の袖壁には八角の下地窓。下が吹き放しで、壁留めはコブシ、中央内側に折れ釘が打ってあったけど、何に使うんだろ。全体的にあっさりした意匠の中で、床脇の無目のシミ竹が、密かなアクセント。浸み竹は、竹林全体が老齢期に入った時に現れると言う、非常に珍しい竹。庭側の一間半四枚引違の障子を開けると縁側で、ここが腰掛待合になっている。出て左端は丸竹の詰め打ちで、裏千家今日庵の待合と同じ意匠。岡田孝男著「京の茶室」によれば「丸竹を並べて斜めに切ったところは正客の座、呉板六枚張りの腰掛けは次客以下の座」となっている。

濃茶席は四帖半台目。あいにくの雨で、露地は使えず、建物の中を通って、給仕口から入室。茶道口前は畳敷きだが、給仕口前は板張り。茶室内部の壁は引き摺り壁。床の間には玄々斎の「子能継父業」。席主は当代宗哲さん。実の子孫が語る歴代にまつわるエピソードは楽しい。床柱は赤松皮付、相手柱は櫟。中柱は桜の皮付き。釣り棚には十二代宗哲の棗、御母様の作品が優しく席を見守る。小間据えに置かれた手桶の水指は初代のもの!三百年以上経っているとは思えないほど美しい仕上がり、深い漆黒。内部はヒビひとつなかったとか。素晴らしい仕事、正に眼福。正客をIさんがされたので、次客に座らせていただき、K業躰先生の練られた濃茶を一燈手作りの茶碗でいただくという贅沢。色紙窓を背景に、中柱越しに見る十徳姿はカッコいい。さすがに濃茶も美味しかった。

薄茶席は、広間で。八尺床、床柱は太めの絞り丸太。床框は杉面皮丸太ツラ付きに溜漆塗り。床脇には銅鑼が吊るされ、脇壁中央に撥が吊るされる。隣室との間には、淡々斎筆瓢絵の板欄間。襖の引手も瓢箪になっている。点前座勝手側は風炉先屏風が置かれる半間が壁、残りの一間半が四枚引違の襖。こちらの席主は蘇山さん。お道具は、歴代蘇山のもの、歴代宗哲のもの、お仲間の千家十職のもの、そしてご自身で作られたもの。作り手の家には作品は多くないと言いながらも、由緒ある家に伝わる道具は、それぞれにストーリがあり、席主の優しい人柄の溢れる素晴らしい席でした。

大覚寺望雲亭

いつも一緒に仕事をしている造園屋さんは、大覚寺の御用達。寺内の松の手入れをメインにされているのですが、来年戊戌開封法会を迎えるにあたって、大沢池の畔の茶室、望雲亭の露地を整備されました。今後その茶室と露地をどのように使ってゆくか検討中とのことで、この度、特別に見学させていただくことになりました。


この度整備された露地。大沢池の畔、素晴らしいロケーションの腰掛待合。


腰掛待合からの眺め。右手、手前に八帖の広間、奥に二帖向切の小間がある。


八帖の広間からも池越しに心経宝塔が見えるという絵の様な眺め。


奥の広間に何気なく置いてあるテーブルと椅子は有栖宮家で使用されていたもの、というのが、さすが門跡寺院。


使いやすい位置に、広い水屋があり、


小間は二帖枡床、点前座は少し隠れるようなかたちの向切り。天井は舟底。襖を外せば、相伴席の二帖とあわせ、客座四帖になり、十人ほどは入りそう。池側は三枚引きの障子になっていて、


そこからの眺め。枝を伸ばしているのはモミジ。新緑の頃も、紅葉の頃も、綺麗だろうなあ。


内露地から石段を降りると、、


舟に乗れる!露地を整備中に見学させてもらった時、せっかく池もあり、舟もあるなら、舟着場を作ったら?、と軽い気持ちで言ったのですが、それがこうして実現し、今日特別に舟に乗れるとは!Iさん有り難うございます。


舟からの眺め。今日は天気も良く、眺めも最高!


舟から見る心経宝塔も最高。


動き始めた舟。しばしの舟遊びに出発!


池から見上げる茶室と露地も良い感じ。


池には水鳥。オオバンの群れ。


屋形舟の軒裏に映る水面のゆらめき。


時代劇で良く出てくる護摩堂。


望雲亭を遠くに見る。かつては庭湖館という建物が建っていたとか。大沢池は中国の洞庭湖を模して作られた日本最古の人口池。こうした歴史のある池での舟遊びは贅沢だ。


菊ヶ島は、華道の嵯峨 御流の始まりの島。嵯峨上皇が島に生えた菊の花をとり瓶に活けたことに由来するとこのこと。


蓮の花が咲く頃も綺麗そうです。


舟は後ろの二人で押し進め、


前方の一人が方向を決める。


堤にはサクラ。花見の季節もいいだろうなあ。


水面に映る太陽。月の頃には、水に映る月を見ながらお酒が飲めたら最高。


望雲亭に戻ってきました。一周約15分。貸し切りなら休憩しながらゆっくり廻ることも可能。


舟着場に到着。


四方仏の蹲踞の灯籠。きちんとした茶事も可能。小間で濃茶、広間で薄茶、舟でお弁当、もいいですし、小間で濃茶の後に舟で薄茶、というのも楽しそう。設備が整っていて、広さも十分なので、いろんな楽しみ方ができそうです。


露地のアセビ。


泉仙さんの鉄鉢料理をいただきました。過分なご接待をいただき恐縮でした。


こんなところにも三浦照明さん。


藤井厚二設計の勅封心経殿。大正十四年(1925)法隆寺の夢殿を模して再建。殿内には、嵯峨天皇をはじめ、後光厳、後花園、後奈良、正親町、光格天皇の勅封心経が奉安されていて、来年平成三十年が、六十年に一度の開封の年。



















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岩崎建築研究室
岩崎 泰

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