岩 崎 建 築 研 究 室 ・ 日 誌

〜京都で数寄屋を学び、建築設計を考える〜

岩崎建築研究室

隅切の障子

大阪の家、現場監理。


二階に上がると隅切の障子が嵌っていた。作業台のモミジの刳り貫きと相まって、雑然とした現場に、急に雰囲気が出た。


真ん中の二枚の障子を引き分けると、、、


松が見える!実際には障子の外にアルミサッシがあるので、それを開けたら、ですが。


お昼前頃から松の影が映る。


風に松葉が揺らめく。障子の桟は節有りの竹。この障子はもともと御影の茶室に嵌っていたものだった。


2013年5月、突然、見知らぬ不動産会社の方から連絡をいただき、取り壊す茶室があるのだが、もったいないので、使えるものを引き上げてもらえませんか、ということだった。写真は八帖の広間から庭越しに四帖半の茶室を見る。奥に少しだけ隅切の障子が見える。


取り壊す時は、お茶道具屋さんの建物だったが、四帖半はもともと某財閥家の邸宅にあった茶室を移築したものだったとか。


天井は籐網代。割った竹が卍に組まれた竿縁。


地板の上がった床の間も少しイレギュラー。どんな意図でこうしたのだろうかと考えるのは楽しい。障子を再利用するのに五年ほどかかってしまったが、よい形で使うことができたのでは、と思っている。出来上がった時には、不動産会社の方にも見ていただければ、と思う。


一階では欄間が入り、和室の造作が進む。


この欄間は、解体した以前のこちらの建物に使われていたもの。ちょっとの期間しか見ていない私ですら、これを見ると前の建物が偲ばれるので、ずっと見て来た建築主さんにとっては、感慨深いものがあるのでは、と思う。


外れて保管されていた床柱も現場に戻って来た。床の間が再現されるのが楽しみ。







雪の下鴨神社

朝の散歩。京都の朝の気温はマイナス3度。寒過ぎてパソコンが立ち上がらない。


長靴を履いて下鴨神社へ。白い糺の森。


雪が降っても太極拳。


白銀に朱が映える。


雪が降るなか、楼門を見る。


モノクロームの拝殿。


雪が積もって美しく見える屋根がある。


光琳の梅。


蕾の上に積もる雪。


御手洗社。


手水の柄杓につらら。


砂利敷きの地面は、井戸茶碗の高台廻りの梅花皮のよう。梅花皮(かいらぎ)は刀の柄等に使われた鮫皮。正式には「イバラエイ」(スタースティングレイ)。武士の刀のように、鮫皮の小物が、何か欲しいなあ。


詳細。自然の作る興味深いパターン。


松の雪。


大宗匠の献木。雪で廻りが白いとよく見える。


雪の泉川。


枝の雪。


雪笹と河合神社。


枝にはシロハラ。


糺の森。


水辺にもシロハラ。雪の白で鳥達がよく見える。






モズイソヒヨドリコゲラ

朝の散歩。いつものように糺の森をぬけ、高野川から赤の宮に水を汲みにゆく。


モズ(百舌鳥)様々な鳥(百の鳥)の鳴き声を真似た、複雑な囀りを行う。肉食で、昆虫やカエル、時にはツグミやヒヨドリなども食べるとか。ハンターの目つきは鋭い。


イソヒヨドリ。名前にヒヨドリと付きますが、ヒヨドリの仲間ではなく、ツグミの仲間。メスは地味ですが、オスは綺麗な瑠璃色。


白梅が咲いていた。寒いうちに咲き、古くから多くの人に愛された花。庭に是非欲しい花のひとつ。


糺の森のコゲラ。樹皮をしきりに突いて廻っていた。


クスノキの根とシジュウカラ。背の緑がきれい。



十日戎

大阪の家の現場監理の帰り、せっかくなので今宮戎へ。大阪の家では階段室にえべっさんをお祀りする予定。大阪のえべっさんはどんなものか、という視察。京都のえべっさんは以前勤めていた事務所の近くで、所長と何度か行きましたが、それとも、なんだか雰囲気が違いそう。


南海の今宮戎駅を降りると、すぐに屋台。


たくさんの提灯と屋台。


鳥居をくぐって、北向き一方通行。今日は11日の残り戎で人混みも少しまし。


今宮戎神社は、推古天皇の時代、聖徳太子が四天王寺を建立されたときに同地西方の鎮護としてお祀りされたのが始め、と歴史、由緒のある神社ですが、今日は「年の初めのえべっさん、商売繁盛で笹持ってこい!」がスピーカーから大音量でリピートされるという賑やかさ。


本殿を参拝したら、笹を貰って(笹はタダ)、お飾り(子宝?吉兆?)をつけてもらう。初めてでよくわからないので、と言うと、じゃあこれつけとけば大丈夫ですわ、というものをおじさんにつけてもらって、福娘から渡してもらう。最後に本殿裏の銅鑼を叩いて念を押して、お参りおしまい。


神社廻りは派手な屋台だらけ。大阪の人はせーいっぱい値切って買うそうですが、関西人でない私とっては文化が違い、ちょっと外国にでも来たような気分、、、

枠と壁

大阪の家の現場監理。


今日の現場は大工さん二人。枠取付と壁下地のボード張りが進められている。大分部屋の様子が分かるようになってきた。


建築主さんにも現場に来ていただき、細々としたことを確認。大工さんからもいくつか質問を受けて打合せ。

火鉢生活

昨年から計画を進めていた仕事場の火鉢計画。諸々の道具がとりあえず揃い、いよいよ使い始めてみました。


黒檀の角火鉢に京鉄瓶。仕事場の傍らに置いて、暖を取りながら、炭の扱いを鍛錬しようという試み。火箸はまだ適当なものを購入していなくて、とりあえず炭点前用の道具の火箸を使う。

まずは炭の着火。茶室や水屋の設計をしていて、どこで炭を熾すか、がいつも問題になる。最近はIHコンロも多いし、ガスコンロは基本的にSiセンサー設置が義務化されて、途中で火が弱まってしまう。ボンベを使うカセットコンロは爆発の可能性があると聞くし、とりあえず、これまでは、私の通うお稽古場でも使っている一口のガスコンロをお薦めしてきた。


今回、ウチでは使い勝手の確認も兼ねて、七輪本舗の着火コンロを購入してみた。固形燃料を七輪にセットして着火すれば、12分ほどで確実に火が点く。ずっと見張っていなくてもよいし、うっかり忘れていても安全。点火すれば勝手に着火してくれるので、これはとても便利。

夏の家族旅行の時に使ったバーベキュー用の炭が残っていたので、とりあえずそれを使ってみたら、臭い臭い。念のため一酸化炭素警報器を設置したのですが、これがやたら鳴る。やむをえず窓を全開にして、とりあえず鉄瓶の湯を沸かしてお茶を飲んでみるが、部屋が臭い(笑)。しかたがないので、残りの炭を消し壺にとって、気を取り直して、茶事の残りの菊炭を使ってみると、全然違う。練り香の香り方も違うし、松風の聴こえ方も違うかも。やっぱり使う炭を選ぶことが大事、ということを、身をもって知りました。お茶の味もいつもよりまろやか?これで汲み水を使えば完璧だ。


炭手前の時に、練り香をどこに入れたらよいのか、いつも迷うのですが、火鉢でいろいろ試してみて、ここだという感覚を身につけたい。線香花火のように赤く燃える練り香が見える。


窓の外にはメジロ。ガスファンヒータではなく、火鉢にして換気をすると、窓の結露も抑えられる。


夢は、こんなふうに猫と一緒に火鉢にあたることですが、家族が猫アレルギーなので、これは叶わぬ夢(泣)。写真は「作家の猫」より室生犀星と愛猫ジイノ。今後は金網を買って、餅や干物を炙って、熱燗を飲むのが楽しみ。火の元、換気に注意して、火鉢ライフを楽しみたい。



初釜とヒカゲノカズラ

お茶のお稽古の初稽古(初釜)。毎年初釜は良い天気ですが、今日はちょっと曇り気味。大工さんに車で拾ってもらいお稽古場へ。寄付にはヒカゲノカズラが飾られていた。社中の先輩(造園屋さん)が用意してくださったようだ。長く立派なものを実見できて嬉しい。天照大神が天の岩戸に隠れられた時、アメノウズメノミコトが舞に用いた「たすき」は天の香具山の「ヒカゲノカズラ」であったとも。万葉集にも「かずらかげ」や「日蔭草」として名が出てくる。

見まく欲り 思ひしなへに かづらかげ かぐはし君を 相見つるかも(大伴家持)
(お逢いしたいと思っていたら、ちょうどその折しも、蘰(かづら)をつけた素晴らしいお姿のあなたさまにお逢いすることができ光栄です。)

その緑色に輝く不変の生命力は古くから神聖なものとされ、大嘗祭、新嘗祭には冠の笄(こうがい)の左右に垂らし、現在でも様々な神事に使われているそうです。

三笠宮が逝去されたからか、紹鴎棚もなく、島台もなしで、華やかさを押さえたような道具組。お茶碗は弘入の赤。私は熊川(こもがい)で美味しい濃茶をいただいた。重心の低いずっしりとした茶碗。茶杓の名は「十八公(じゅうはっこう)」「松」の字を分解すると、「十」「八」「公」となる ところから、松の別名。「じゅうはっこうのよそほひ、千秋の緑をなして」(謡、高砂より)。全体的に派手さはありませんでしたが、それでもいつもの通り、貴重なお道具をたくさん拝見し眼福。お食事も、白味噌のお雑煮(家内は京都生まれ京都育ちなのにおすましを作る)を始め、美味しくいただき、楽しい初釜でした。

最後のくじ引きでは、竹の風炉先が当たった。先生からは「教える時に使えるといいので、岩崎君にあたるといいなと思っていたのよ」と仰っていただき、その籤を引けたことを嬉しく思い、今年一年もお稽古を頑張ろうと思うのでした。


ロウバイと甍。

お稽古場で月刊淡交を受け取り、ざっと眼を通すと、建築家と棟梁の連載が始まっていた。一年かけて色々な茶室を廻るらしい。楽しみ。一回目は待庵でしたが、気になったのは待庵の床框について。

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(建築家)床框がほんの少し高い気がします。
(棟梁)そうですね。よく感じてくださいました。この床框は二寸五分(75ミリ)、一般に見られるものより二分(6ミリ)高いのです。私たちの世界は五厘(1.5ミリ)の差で勝負しています。二分、つまりこの6ミリに、私は待庵の品格を感じるのです。
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私が待庵に行った時に感じたのは、床框の高さよりも、床柱の細さでした。ちなみに岡田孝男著「京の茶室」には名席の各寸法が書かれているので、以前まとめたことがあるのですが、床框の寸法(成×見込、カッコ内は床柱の径)については次の通り。

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金地院八窓席(三帖台目) 真塗り 2.65×1.45(赤松   2.5)
建仁寺東陽坊(二帖台目) 丸面取 2.80×1.40(松    3.0)
如庵(三帖半)      真塗り 2.50×1.35(アララギ 3.0)
淀看席(三帖)    杉丸太面付 2.50×1.40(杉    2.3-2.6)
待庵(二帖)        桐  2.40×1.30(杉    2.2)
閑隠席(三帖)   杉丸太エクボ 2.50×1.40(赤松   3.0)
不審庵(三帖台目) 杉丸太エクボ 2.50×1.38(赤松   2.8)
又隠(四畳半)      杉丸太 2.50×1.50(あて   3.0)
燕庵(三帖台目)     真塗り 2.70×不明(杉ナグリ 3.2)
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私が実測したわけではないので、これらの真偽も確かではありませんが、これまで仕事をしてきて、小間の床框の成は、二寸五分が標準だと思っていました。待庵の二寸四分はどちらかといえば、低い。しかも棟梁が言っている話が本当であれば、一般に見られるものの床框は二寸三分で、それはどの名席よりも低いことになってしまう。例えば、燕庵であれば、真塗りですし、それこそ二分ほど高く、格式の高さを感じる、と言えそうですが、、、


これまで、特に茶室に関する本を読んできて感じるのは、「書籍に書いてあるから正しいとは限らない」ということ。結局、自分で現場に行って、測って、感じて、そして作って、実際に使ってみないと分からない。今の私には、框の高さの五厘の差は、正直わからない。実測と創作、実践を重ねて、感覚を磨いていかなければならない、と思う年初めでした。

建具枠と新古品建具

大阪の家、今年最初の現場監理。


現場にも正月飾り。


現場では建具枠の取り付けが進む。掃き出し窓の内障子の枠が取り付けられた。


外部は既製品のアルミサッシ。内側には古建具の紙張障子を入れる。建具枠は杉。今回も京間サイズの古建具を使用しますが、アルミサッシをそれにあわせて特注サイズで作ると割高なので、一番近い寸法の規格品を使用して、枠部分で調整をしている。


障子より少し大きいサッシ、外から見ると枠が見えますが、それほど気にならないし、


締めてしまえば、ほとんど気にならない。


しかも内側から見ると、サッシの建具枠が細く見えて、すっきりした。開閉の使い勝手も問題なし。メーカーの想定した標準納まりより良いかも。
住宅を作るにあたって、出来るだけ作り手の温もりのあるものを使いたいと思いますが、すべてをそうしたものにするのは、なかなか難しい。どうしても少なからずメーカーの既製品、規格品を使用することになりますが、そうした場合でも、どのように使うべきかを、設計者はよくよく考えなければならないと思う。


内側に入れる紙張障子は古建具。といっても、角の延びている建て込み前の「新古品」。


現場で、この延びた角の切り、微調整をする。昔は京間システムで間口が大体決まっていたし、内法も五七で決まっていた。そこで建具屋さんは、注文があってから建具を作るだけではなく、今で言う既製品のようなものを作っていたようだ。京都の古建具屋さんでは、時々そうした新古品を見かける。


大壁の洋間にあうよう、大きめの枡目の障子。下は摺上げになっていて、庭が見える。ここから見える庭をどのようにするか、造園屋さんと一緒に仕事をするのが楽しみ。日常生活の中で、ふと眼をやると、季節の移り変わりや、天気の様、鳥や虫の様子が見える、そんな窓と庭を作っていきたい。


間仕切りの建具枠も進んでいる。こちらも杉。ハウスメーカーや建て売りの住宅に見られるような、建具とセットになった張り物の枠とは、やはり違う。


現場で加工をする大工さん。まだまだ工事は続く。
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岩崎建築研究室
岩崎 泰

住宅,茶室,店舗の設計等について
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