岡崎の家の建築主さんが、お茶室を使ってはじめの茶事(席披き)をされるというので、お手伝いにいかせていただきました。


茶室は四帖出炉上台目切の小間と八帖の広間、その間に水屋がある構成。今回は八帖を使いませんので、控えの間として使用。水屋自体はさほど広くはありませんので、水屋脇にこうした部屋があるととても重宝します。ただ、例えば薄茶で八帖も使う、となるとこうした使い方は出来ず、水屋だけではちょっと狭いかも。


水屋の様子。炭にどこでどうやって火をつけるか、というのがちょっとした問題でした。私も莨盆の炭の準備などをさせていただいたので実際経験をしてみると、皆さんが丸炉を欲しがられる理由がようやく実感として分かってきたように思います。今回は、懐石は出張茶懐石専門店のお弁当でしたので、随分と楽でしたが、実際に懐石も作って、となると、やはり台所はすぐ近くでないと大変です。また、水屋の使い方は亭主によって様々。やはり事前にたくさん打合せをすることが重要だと改めて感じました。


点前座の様子。後座で簾の巻き上げを担当しましたが、風炉先窓の簾を忘れました、、、。お客さんからは見えづらい位置にあるので、さほど気にならなかったと思いますが、設計者だからこそ忘れずに気づくべきところでの痛恨のミス、、、。


躙口の様子。


蹲踞廻りの様子。だいぶん馴染んできました。


洛中のお屋敷から譲り受けた真黒の沓脱石は、打ち水をするとこの質感。石好きには堪らないご馳走です。露地の打ち水は、客が露地を使う度にするので結構忙しい。以前見た茶事のビデオでは、業躾先生がシャッ、シャッと格好よくされていたので真似てみましたが、お客さんが席中にいるときには、結構音が聞こえてしまっていたかも。如雨露のほうがよかったかな?。また、濃茶あたりの半東の仕事は、露地の仕事に簾の巻き上げ、口拭きのお運びに、続き薄の莨盆の炭の準備、二椀目三椀目のお茶碗の運び出しと、とても慌ただしく、できるだけ静かにすることを心掛けてはいましたが、バタバタとうるさかったかも。反省。


トイレの大津磨きの壁も健在。中立ちのときにはお客さんも使われますので、黒のジントギの流しと共に、楽しんでいただけたのではと思います。

準備の時はバタバタとしていてすっかり写真を撮るのを忘れていましたが、初座の軸が掛った床の間も席入り前に少しだけ拝見させていただきました。お軸は久松真一の「随所作主」。これがかかることを想定して、久松真一記念館の茶室を見学したり、茶室の設計を進めてきましたので、実際に掛った様子を拝見できたときには感慨深いものがありました。久松真一記念館の茶室の床の間の入隅の塗り回しの感じを写し、久松先生のあの自由闊達な独特な字にあうのは「あて丸太」かなと、探した床柱も、うまく呼応してくれたように感じました。拭き漆にした霧島杉の地板も、栗の稲木を使った蹴込板も、さりげなく床荘りを盛り上げてくれたように感じます。またお点前される亭主を想像して選んだコブシの中柱も、よいものがみつかったこともあってバッチリだったと思います。薄茶では席に入れていただき、実際にお点前をするご亭主を拝見させていただき、中柱越しに様になったお姿を見て、設計をしたものとして、ほっと一安心でした。

帰りのバスの中では、実際経験してみて気がついた問題点を整理して、現在計画中の茶室での茶事を想定して、計画案が妥当か、問題がないかを検討。現場でのリアルな経験こそが、最良の設計の糧。