関西木造住文化研究会が奥田左官工業の奥田信雄氏の現場見学会を開催するというので行ってきました。近所だったので雨の中を歩いて。奥田信雄氏は茶室などの数奇屋建築において、伝統的な左官工法「京壁」の復元やおくどさんの復元等に尽力をされている現代の名工。


色とりどり、さまざまなテクスチュアのサンプル。木枠にもきちんとした仕事がされていて、几帳面さが感じられます。


奥田信雄氏と言えば左官の鏝のコレクションでも有名。先日もテレビに出演されていました。今日は短い時間だったので鏝の話はあまりありませんでした。


塵廻りに打たれる布連。どうも特注品のようです。他所が一万円ならウチは一万二千円でしますが、その分、塵廻りで壁が透くことのないようなきちんとした仕事をします、とのこと。


配布された手書きの資料。誠実な人柄と熱意が感じられます。勉強会には佐藤ひろゆき氏も来られていましたが、お互い手のうちを隠さずオープンに議論される様は見ていて清々しかったです。大工でも設計でも、こんな風に情報交換して、よりよいものが作っていければよいのにと思います。

草庵の壁、荒壁仕上げで見ておくべき建物は?という質問には、「蓑庵」とのことでした。蓑庵は一度内部まで見せていただいたことがあるのですが、また見たいなあ。待庵については、あれは荒壁で、荒壁仕上げではない、とのこと。文化財だからといってよい仕事がされているわけではない、というのは、以前このブログでも書いたのですが、同様のことを仰られていました。

勉強会の後は、少し足を延ばして茶道資料館へ。「四季の画賛と待合のしつらえ」。一階の展示を見ていると、大宗匠が一人のご婦人を連れて入って来られ、ご案内されていました。会釈してご挨拶して、少し後ろからついて廻って、解説を拝聴(ラッキー!)。ちなみに大宗匠は今月の誕生日で89歳になられるそう。スタスタと歩かれ解説の声も張りがあって、そんなお歳には感じられませんでした。すごい。見学が終わったら、お茶席へ。いただいたお菓子は関東風の桜餅。お茶碗は檜垣青子の赤楽でした。檜垣青子は、楽焼師初代檜垣崇楽の長女、京都生まれ。京都洛西・桂窯。


茶道資料館の桜。あいにくの雨ですが、ちょうど満開になるかならないかの頃。週末までは持ちそうです。