浜松の家、現場監理。ついに足場がばらされた。


東側のファサード。焼杉板と白い掻き落としのツートンはモダンな印象ながら、この地方の民家特有のまっすぐな太い破風や、解体された醤油蔵の鬼瓦が再利用され、意匠のポイントとしている。


南側のファサードは、東側とはうってかわってクラシカル。正式なアプローチ、門からの眺め。下屋の瓦は以前の再現、位置も勾配も前のまま。大屋根は、茅葺きから瓦屋根と変えたが、この地域にあった瓦屋根の建物の写真などを参考に、ここにあるべき瓦屋根を考え、高さやディテールを決定している。

建築家の仕事は、とにかく今までにないもの、目新しいものを作ることのように思われているが、既にあるすべての建物をつぶさに観察し、そこにあるべき建物を考えることも、十二分に創造的な設計の仕事だと考える。シューベルトやマーラーなど多くの音楽家に影響を与えた19世紀ドイツの詩人、フリードリヒ•リュッケルトの言葉より。「すべての音楽は古臭くならない。しかし、新しい音楽はすぐに古臭くなる。」


座敷、中からの眺めは以前のままのはずですが、柱がまっすぐになり、新しい建具が入ることで、ピシっとした印象に。


座敷の床の間は完全再現。床柱、落掛、床框、床脇、お仏壇は、解体時にきれいにとりはずされ、一旦京都の作業場に行って修繕され、また元の同じ場所に戻ってきた。鴨居や長押、天井は、新材だが、以前と同じ寸法で再現されている。その過程で、若い大工さん達が多くのことを学び、継承してゆく。


西側の書院は、今回新しく付けられたものだが、違和感なく納まったのではと思う。書院障子は溜塗りの古建具、地袋には遠州綿紬に四君子の引手、となる予定。地袋は掘りごたつ式になっていて、脚を降ろして文机として使用できる。


以前は暗くジメジメしていた北側の部屋は、吹き抜けにし、天窓を開け、明るくモダンなLDKとしている。かつて茅葺きの屋根裏でひっそりとその重みをささえ続けていた立派な梁が、日の目を見て、新しい瓦屋根の荷重をしっかりと支えている。


出窓に設けたベンチ。歴史を感じる梁組の下、家族の集まる場所になってくれると思う。


玄関には以前と同じ大戸を使用。ガラガラと大きな音をたてて開け閉めしていたが、レールと底車を新調し、スムーズに開閉できる。


今日は京都から来た左官屋さんが三人で作業中。親方が土間を仕上げてくれている。


いつも茶室の壁を塗ってくれる腕利きの職人さんも浜松まできてくれた。


建築主様ご夫妻と、できあがりつつある家。