岩 崎 建 築 研 究 室 ・ 日 誌

〜京都で数寄屋を学び、建築設計を考える〜

岩崎建築研究室

津市の茶室

お茶室のリフォーム竣工写真

今年の夏に行った津市のお茶室のリフォーム。無事完成して、カメラマンの方に撮影していただいた写真が出来上がったので、ご紹介したいと思います(撮影:中氏一志氏)

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3m四方ほどの庭。右手が腰掛、左手が茶室。予算の都合で、造園屋さんに入ってもらうことはできませんでしたのでほぼ既存のままですが、建築主さんがネットで購入された水鉢を据えて。枝折戸を設けるスペースはありませんでしたが、石を動かして。飛び石にして、腰掛から蹲踞を使って席入りできるようにしています。

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既存のアルミサッシはそのままで、板庇をつけて、長さの違う二枚の簾(皮付葦)を下げて、躙口風の入り口を演出。アルミサッシの敷居の段差には松板を嵌め込んで、躙りやすいようにしています。

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躙口から席入りして見返すとこんな感じ。

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白黒にするとこんな感じ。

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躙口あたりから茶室を見る。漁師町出身の建築主さんにちなんで、天井は舟底天井。京都の作業場であらかじめ仮組をしているので、現場での工事はあっという間です。垂木は一寸五分×一寸二分、小舞は八分×六分、天井板は杉白太、幅の違う板をバラバラに並べる「屑張り」。適当に貼ってしまうと偏りで出来てしまうので、さも適当に貼ったかのように見えるように、仮組のときに、全体のバランスに注意しながら並べる順番を決定しています。

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障子は既存のままですが、障子紙は石垣張りで張り替え、これだけでも随分雰囲気が変わります。部屋の大きさは関東間の四畳半ですが、点前座には京間の丸畳を入れて、客畳には幅は京間の三尺一寸五分、長さは五尺五寸ほどの畳をいれています。やはり点前畳は京間サイズにすると道具の置き合わせが決まりますし、長さ五尺五寸の畳みは、亭主と客に適度な距離が出来て、和やかな雰囲気を創り出します。

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客からの目線。太鼓襖引違の茶道口の上の欄間には白竹。写真ではわかりにくいのですが、節の位置を調節して波を表しています。その向こう側、水屋の壁には壁掛エアコンがあり、夏場には冷風が吹き込みます。お点前の時には、左側の襖を開けて出入りしますが、右側の襖を開ければ、道庫のように使うことも出来て便利。

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茶道口あたりからの眺め。北山磨き丸太の桁からハトメでぶら下げた照明器具は、釣釜の鎖と干渉しないようにすこしズラして。釜蛭釘がちょうど垂木にくるように、垂木の割り付けを決める、というのも設計者の重要な仕事。

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せっかくなので、炉壇を入れたところも撮影。写真は左官屋さんに塗ってもらった本炉壇が入っていますが、床下にはコンセントを用意してあり、電熱の炉を使えるようにしています。

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再び躙口あたりからの眺め。腰紙は、点前座は西ノ内紙の一段貼り、客座は湊紙の二段張り。今回は遠方で経師屋さんにこれだけのために来ていただくのも勿体ないので、経師屋さんから、道具、糊などをお借りして、大工さんと二人で施工。

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白黒にするとこんな感じ。

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水屋。幅三尺の狭い水屋ですが、竹釘の位置、棚の高さなどは、建築主さんの持ってられる道具を確認させていただいて、微妙に調整し、使いやすい水屋になるよう注意を払っています。

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庭に面した縁側もリフォーム。左側の雪見障子、奥の物入の夏障子は古建具。古建具は良い材料が使ってあることも多いのですが、価格は新調することに比べると半額以下。設計や施工に少し手間がかかりますが、良材を使いながらコストダウンが図れます。床板も張り替え、床暖房も入れました。

竣工後は、お休みになるとご夫婦で、またご友人を招いてお茶を楽しまれているご様子。そうして楽しまれているお話をお聞きするのは設計者冥利に付きます。

なお今回のリフォームで使った工夫、アルミサッシをそのままに簾や板を使って躙口を演出する方法や、京間の畳を実状にあうように変則的に敷き詰める方法などは、例えばマンションのリフォームなどにも使えそうです。お茶室を持ちたい!と思われている皆様のお役にたてれば、と思っています。なにかございましたら、いつでもお気軽にご連絡ください。

茶室の撮影

津市のお茶室のリフォームが終了しましたので、早速カメラマンの方にお願いしてお茶室の撮影に行ってきました。カメラマンの方に車を出していただいて、一部残工事もあったので、大工さんとカメラマンさんと私の三人で。新名神ができたので随分と楽に行けます。

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あいにくの雨模様で、雨脚に注意しながら庭の撮影。雨粒が写らなければ問題はありませんし、庭は雨に濡れているほうが綺麗かもしれません。また茶室内についても、窓の多い明るい席なので、かえって曇りぐらいで直射日光が差し込まないほうが、コントラストがきつくならずによかったようです。それでも障子の紙の継ぎ目は白く飛んでしまいやすく、眼で見たように写すのは難しいようです。人の眼には自然に見えることでも、写真にしようとすると難しく、改めて人間の眼の不思議さを感じます。

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水屋の様子。巾が三尺しかありませんが、それでもコンパクトで使いやすい水屋になったように思います。

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撮影終了後は、建築主さんが色々とご準備してくださっていたので(お気遣い有り難うございました)、お留守の建築主さんに代わって未熟ながら私のお点前で、カメラマンさんと大工さんにお薄をお出しいたしました。長板二つ置き薄茶。実際に水屋や茶道口、点前座を使ってお点前をさせていただくと、設計をしたお茶室が本当にこれでよかったのか、という確認にもなります。今回のリフォームでは、関東間の四畳半の中に、点前座や客座には京間の畳を敷き込み、残りの寸法で通い畳としたのですが、実際に茶道口から席入りし、足の運びを確認しても、やはりこれでよかったと実感。客畳に座られた二人のお客さんとの距離感もほどよく、良い席になったのではないかなと思います。また写真が出来上がり次第、このブログでもご紹介したいと思います。

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帰り道、お肉の朝日屋さんへ。建築主さんお勧めのお店で、工事中にも一度寄りましたが、これでしばらく津にも来れないので、お土産に松坂牛の刺身肉を買いました(うまかった!)カメラマンさんも大工さんも、ご家族へのお土産として購入。帰りの車の中では、肉の味付けは、塩こしょうか、わさびがいいか、ニンニクを擂り下ろすか、一緒に飲むお酒は、やっぱり最初はビールか、純米吟醸の日本酒か、焼酎か、どれがいいかなあ、なんて話ながら(笑)。

腰紙張り

津市出張二日目。大工さんと一緒に建築主さんのところに泊めていただきましたが、朝早く目が覚めたので、近くを散歩。歩いて十五分ほどで海に行けます。

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伊勢湾に流れ込む志登茂川(しともがわ)の河口。

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水面に反射する太陽の光。二倍眩しいし、二倍熱い。

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砂浜を歩いて、流木を探したり、石を眺めたり、砂を触ったり。
「天正十八年秀吉の小田原陣に同道した利休が織部と二人で由比ケ浜を馬で通りかかった際に「この塩浜の景色を茶に応用できれば面白いと思うが、何かおもいつくことはないか」と尋ねる。それに対して織部は「これといって思いつきませんが」と答えた。そこで利休は「この浜辺に浪が打ち寄せる風情を風炉の灰に写してみてはいかがであろう」といったので、織部は思いも及ばない利休の発想に大いに驚いたという」(茶湯古事談)

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散歩の途中で見つけたひまわり。写真中央に見える小さな白い丸はお月さん。ひまわりはもちろん太陽の方を向いています。

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現場に戻ると腰掛待合に朝日が差し込んでいました。

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腰掛待合の土壁の表情。室内よりも少し藁すさが多め。

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今日の仕事は大工さんと二人で腰紙張り。本来は経師屋さんの仕事ですが、遠方なのでわざわざ来てもらうのも大変なので、大工さんとやってみましょうか、ということに。二人ですると言っても、採寸、裁断を大工さんにしてもらって、、、

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糊付けも大工さんにしてもらって、、、

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それを受け取って、私は貼るだけ(笑)。しかも大工さんにレーザーを据えてもらって、赤いラインに沿って貼れば素人の私でも綺麗に貼れます。糊の付いた紙を受け取るときは、左手、右手と確かめながら。天目台の扱いを思い出して、丁寧に扱うということはこういうことかと納得。

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腰紙の継ぎ目は、経師屋さんの話だと四分、本などでは三分ほどと書いてあったような記憶があります。三分で割り付けて裁断しても、糊をつけるとどうも伸びるらしく、継ぎ目が三分五厘ほどになります。割り付けの仕方も、実際にやってみて理屈がわかりました。実際に体験してみてはじめてわかることということが確実にあり、図面を描くとき、設計をするときの参考になります。

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経師屋さんにお借りした竹へらと大工さんのはけ。竹へらで隅を押さえ、はけのそばでトントン叩いて紙を土壁に馴染ませます。いつもは経師屋さんの仕事を後ろからみるだけですが、一度やってみたかったんですよね、トントンするの。材料も糊も道具もプロと同じものですから、素人の私でも、結構綺麗に貼れたと思います。

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貼り上がりがこれ。奉書紙一段貼り、高さ九寸。レーザーを使っていますから、紙の上端がビシっと水平になっています。

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点前座の横の壁には電熱炉用のコンセント。コードを出しながら腰紙を貼るこの箇所が難関でしたが無事終了。コンセントも白、紙も白なので、それほど目立たないと思います。

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こちらはプロの仕事。障子の石垣張りの継ぎ目。「茶話指月集」によると、障子紙の継ぎ目は一分では細く、一分半では太いと利休が言ったとか。現代では実際には、写真のように一分と五厘の間。五厘だと細く、一分だと太い、といったところ。

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こちらは茶道口の太鼓襖。茶室側は塵落としで、、、

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水屋側は一段上で、塵受け。同じ升目なら片方は塵落としでもう一方は塵受け、一段ずらすなら両方とも塵落としにできるのに、と思っていましたが、一段ずらして塵受けにすると、実際に開け閉めするときの手の高さがおおきくずれないのだとか。なるほど。

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広縁に新しく設けた物入れ、建具には夏障子の古建具を使用。襖と入れ替えて使う建具なので見込みが薄く、三枚引きにするのには都合が良かった。三枚引きにすると巾の三分の二が開くので、物の出し入れが容易。季節外の建具や畳、絨毯などを仕舞うことができます。

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建築主さんが仕事を早退されて帰って来られたので、早速道具を置き合わせてみます。棚は荒磯棚。ちゃんと京間なので、風炉と棚がバランスよく納まります。

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腰板の竹釘も取り付けました。建築主さんに位置本数を確認して、大工さんに取り付けてもらいます。

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とりあえずある道具で場所の確認。巾三尺の狭い水屋なので、本来正面の腰板に掛ける釜据を右の腰板に掛けるなど、臨機応変に。

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点前座から見る壁床。お軸がかかると、とたんに雰囲気が変わります。「閑座聴松風」。松風は釜のお煮えの音ですが、海にちなむこの席では、文字通り、浜の松風の音も強く連想させます。

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水屋と茶室の間は太鼓襖の引違。普段は水屋から見て右側の襖で出入りしますが、点前座に座って手を伸ばせば左側の襖を開け閉めすることも出来、道庫のように使うこともできます。

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茶室から見た庭。今回は既存のアルミサッシをそのままとしましたので、躙口ではありませんが、高さの違う二枚の簾を掛けることで、躙口風の入り口を作りだしています。

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外から見るとこんな感じ。アルミサッシの段差には松板を嵌め込み、躙って席入りが出来るようにしています。

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障子が外から開け閉めできるように、躙口と同じように手掛りを取り付け。見付三分、見込み四分の杉角材を頭巻で取り付け。

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障子を開けるとこんな感じ。

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中を覗き込むと正面に壁床。天井は舟底天井。

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客座に座ると、茶道口の上には竹の欄間。夏場はその隙間から、水屋に設置したクーラーからの冷気が吹き込みます。水屋を暗くしておけば、クーラーの姿も見えません。

庭仕事

三重県津市で進めて来たお茶室のリフォーム工事も、いよいよ仕上げ。今日は電気など設備の取り付け、大工さんは手摺の取り付けなど、こまかな残工事。私は、素人仕事ですが、庭いじり。今回は予算に余裕がなく造園屋さんを京都から呼ぶことはできなかったので、私のできる範囲で、水鉢を据えたり、穴を掘って飛び石を据えたり。普段は室内でパソコンに向かって図面を描いてばかりですので、炎天下で少し体を動かすだけで汗だらだら(パソコンに向かっている時も汗だらだらですが、、、)。少し穴を掘るだけで汗だらだら(笑)。前の事務所にいた時も、現場でなにか手伝いをすると「設計屋さんは鉛筆より重いものを持ったことないから、大変やろ」とからかわれたものですが、今は図面を描くのにパソコンですから鉛筆すら持っていません(笑)ので、改めて力のなさを実感。少しは鍛えないといけないなぁ。

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水鉢は建築主さんがネットオークションで購入されたもの。福岡県八女郡の八女石、重さ25キロ。新しく購入されたのはこの水鉢だけで、それ以外はここにあった石をあっちにやったりこっちにやったり。もともとあって動かせない大きな石があったりするので(言い訳)、見る人が見れば笑われてしまうかもしれませんが、それでもこうしておけば、枝折戸がないものの(今回はスペース的に無理)、腰掛待合もありますし、席入りするのに手水鉢を使えますし、少しくだけた茶事なら十分にできると思います。

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茶室では、畳も入れられて、最初に炉畳を敷き込んで確認。炉縁も入れてみて確認。大丈夫です。その後風炉用の丸畳に入れ替えて、炉畳は今回のリフォームで作った物入れへ。

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既存の障子に、石垣張りで紙を張り替えたものも到着。同じ建具でも、こうするだけで随分と雰囲気が変わります。石垣張りは手間がかかる分だけお金もかかりますが、それだけの価値があると思います。

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障子の調整をする大工さん。今回は遠方なので、建具屋さんは作るだけ。現場での建て込みは大工さんがされています。

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取り付けられた照明器具。垂木の割り付けの関係や、釜蛭釘から鎖が吊られたときのバランスも考慮して、部屋のセンターからずれた位置に取り付けました。変なアンバランス感を感じるか少し心配でしたが、実際付けてみるとそうした感覚はなく問題なさそうです。逆に炉を間に向かい合う亭主と客を適度な角度から照らしてよい感じかもしれません。

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茶室のリフォームと同時に進めたトイレのリフォームも完了。手摺は、北山小丸太。何気なくついていますが、金物を取り付けるだけても、きちんとひかりつけをしないといけないので、手間がかかる仕事なのです。親方はあっという間に取り付けていましたが、二階の分をまかされたお弟子さんは結構時間がかかっていました。それでもこうした経験を積まなければ上手にはなれませんから、頑張れお弟子さん。紙巻器やパネル、手摺の位置を、実際にトイレに座って位置決め、は設計者の仕事。

仕事が終わったら大工さんと一緒にスーパー銭湯に行ってさっぱりしたら、駅前の居酒屋に行ってビールで乾杯。汗を流して働いた後のビールはうまい!!

腰掛待合

津市の茶室の現場監理。朝一で京都を出て津に到着は午前十時前。

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今日から左官屋さんが作業開始。塗り替え部分をこそげ落としています。写真は壁床になる部分。下半分にタイルが張ってあり、はがすと荒壁まど落ちてしまいました。上半分は上塗りを落とすだけで塗り替えできるのですが、下地が違うとムラになるかも知れないので、上も荒壁まで落としてもらうようにお願いしました。モルタルでこすれば大丈夫だと思いますが、床の間なので、念を入れた仕事にしてもらいました。

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大工さんは腰掛待合を施工中。

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既製品の巾三寸六分の桧板。腰掛けの奥行きは一尺五寸ほど。石が間近に迫っているからか、それとも袖壁がないからか、少しだけ幅広く見えますが、奥行き一尺五寸は一般的な寸法。円座の直径は一尺一寸、女性の場合は帯もありますし、適度な寸法だと思います。

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腕の良い大工さんの鋸を挽く動きは、ヴァイオリニストのボーイングのよう。行きと帰りがきちんと一直線になるように、手首、肘、腕の有機的に連動させて。丁寧な挽きはじめから徐々に力強くクレッシェンドしてゆくのも音楽のようです。

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トリマーという機械を使うと、、、

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こんな溝をつけることができます。個人的には電動工具も積極的に使ってよいと思います。昔の建物を見ると道具のない時代によくこれだけの仕事をしたなあと感心することがありますが、現代においては、現代ある道具を使ってどれだけ良い建物を造るか、ということが重要だと思います。設計においてCADを使うことも同じですが、それは道具にすぎないということ。なにを作るか、が問題。目的を達成したら手段は忘れてもよいのかもしれません。

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こちらは面取鉋。座った時に膝の裏にあたる、腰掛の一番前の板の面をどのくらいにしようか、と大工さんと相談。

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やはり五厘ぐらいかなあ、と、実際に削ってもらって確認。いい感じです。

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アルミサッシの枠に載せた松板。これで具合よく躙って入ることができます。

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今回の改修ではアルミサッシはそのまま、アルミサッシを簾で隠して、躙口に相当する部分だけを開けて、そこから席入りする予定。

土壁のサンプルと照明器具

津市のお茶室の現場監理。いつものようにJRで草津柘植廻り。近鉄のほうが早いでしょう、とよく言われますが、時刻表を調べると乗り継ぎによりますが、JRの方が早くて安い。

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何度か乗っていると、大体どのあたりの景色が綺麗かだんだんわかってきます。

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加太駅周辺の清流の様子。ゴツゴツした岩が奥深い流れであることを感じさせます。時間があれば途中下車して散策をしてみたい。

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現場には左官屋さんがサンプルを置いていってくれています。実際に壁にあてがって様子を見ます。建築主さんの好みを聞いて、天井や柱などとの取り合い、バランス、他の部屋の壁仕上げとのバランスも考えて、建築主さんと相談しながら決めていきます。

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事前にある程度希望を左官屋さんに伝えておきましたが、ちょっと多めにサンプルを持って来てくれました。色も色々。色味については建築主さんと意見がすぐに一致。

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色味がきまったら、次はテクスチュア。どのくらいの長さの藁すさをどれくらいいれるか。茶室にあうだろうと思われる仕上げと、建築主さんの好みとのバランスが難しいところですが、そこを、ああでもないこうでもないとお話しながら決めていくのが茶室作りの楽しみのひとつです。

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前回紹介した鴨居。もう方立もついて納まっています。

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板庇の詳細。雨が降って濡れると隙間が埋まります。濡れたり乾いたり、縮んだり延びたりを繰り返して落ち着いていきます。

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大工さんの作業が一段落したら、雨戸を閉めて、障子を入れて(改修なのですでに建具がある、というのは助かります)照明器具をぶら下げて様子をみます。心配した大きさも大丈夫そう。舟底天井なので、乳白ガラスのシェードなどにしてしまうと、まさに矢形舟みたいになってしまいますし、かといって八帖や六帖の座敷に使うようなデコラティブなものもあわないので、こうしたシンプルな豆腐張りの角切りのものを選びました。

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本炉壇が据えられるように仕事をしてもらいました。関東間の四畳半ですが、そこへ京間の畳を点前座から据えていくので、炉がほぼ部屋の中心ぐらいに来ます。炭手前をしたら、部屋の中心の炉の廻りに亭主と客が集まる、感じがよさそうです。

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ただ実際には電熱の炉が使えると便利。炭の準備や後片付けは大変ですし、一酸化炭素中毒も心配。本炉壇を外して、電熱の炉がぴたりと納まるような枠を大工さんに作ってもらいます。電気の接続は床下で。

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風炉の時期のコンセントが問題。電熱の瓶掛けを出していただき、客座に座って目立たない位置を確認して、小さな家具用コンセントを壁に取り付けます。中置きの時の水指の邪魔にならないようにも気をつけて。

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壁床の無双釘。筋交いに固定。壁の塗り厚に気をつけて出巾を決めます。

津市の茶室の現場監理

津市の茶室の現場監理。今日は気分を変えて、近鉄電車、奈良廻りで現場へ。

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大和八木から伊勢中川へ。田植えが終わった水田は同じでも、山々のかたち、川の流れ、集落の景色などなど、滋賀廻りと違いを楽しみながら。

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現場到着。前回高さを決めた水屋の棚はもう既に設置され、大工さんの釘棚になっていました(笑)。なかなか使いやすそう、ということは水屋になってもきっと使いやすいと思います。釘の棚、と言えば、裏千家の茶室無色軒(むしきけん)には、仙叟好みの釘箱棚、というのがあります。点前座の風炉先と風炉脇の入隅に仕付けられた隅棚で、仙叟が板葺きの屋根師が屋根に上がって使用している釘箱から考案されたことに由来。杉木地の三段で、下棚が長く手前に出っ張り、斜めに大きく隅切り、客付きの側板には香狭間の透かし。釘箱棚という名前ですが、釘は使わず、差込式の組み立てになっていて取り外しも可能。


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軸用の竹釘。無双釘の中釘も設置済み。新築の場合は貫に取り付けるのですが、今回は貫の高さがあわず、でも、ちょうど筋交いがあったので、それに固定しました。

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中庭側には板庇を付けています。お茶室ではあまり使わない庇かもしれませんが、三重県では伊勢のあたりや、関宿でもよく見かけるおなじみの庇。伊勢神宮にも大きさやプロポーションは違いますが、板庇の建物があります。お茶室だからと言ってすべて京都式がよい、というのではなく、その地にあった意匠、その亭主に相応しい意匠というものがあるように思います。地方での仕事の折には、その土地の建物を訪れ、永い歴史の中でこの土地の人たちが創り出してきたかたちを感じて、デザインソースとして見て廻るのも楽しみのひとつ。

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こちらは現在施行中の庇。板と板の間に取り付ける目板をこれからとりつけるところ。昔の建物は、単純に打ち付けていたと思いますが、ここでは、大工さんの工夫で、水が廻らないように、と溝が彫られています。丁寧な仕事。手を抜けない性格(笑)。

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便所脇に新たに設ける物入。季節外の建具や絨毯、畳などを収納しやすいように、建具は三枚引き。間口の三分の二が開きます。ということで、鴨居の溝も三本。

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新しい柱と古い柱。

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複雑に加工された鴨居、、、

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アルミサッシがついている既存の鴨居にも溝が彫られて、、、

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アルミサッシの部屋内に紙張障子が入れられるように鴨居が取り付けられました。縁側が少しでも広くなるように、既存の鴨居との間がひとつめの溝になるような納まり。

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ずっと大工さんの仕事を、じっと見ているわけにもいかないので、大工さんから軍手とバールをお借りして、ちょっと庭いじり。石を掘り起こして、露地になるように、仮置き。狭い庭ですので、枝折戸を設けることもできませんが、水鉢を蹲踞かわりに置けば、それなりにできないか、と思案中。

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前回建築主さんからお土産をいただいて美味しかったので(Nさん、ありがとうございました)是非買いにいこう、と帰り際に建築主さんお勧めのお肉屋さんへ。駐車場も大きく立派なビルでびっくり。店内も大勢のお客さんで賑わっていました。ちょっと奮発して上等なステーキ肉をちょっとだけ買って帰りましたが、やっぱりうまい!

茶室リフォーム現場打合せ

三重県津市の茶室のリフォーム工事、月曜日から解体が始まりましたが、大工さんが京都の作業場で事前にきっちり段取りしていることもあって、現場ではテンポよく工事が進んでいます。うっかりするとあっという間に進んでしまいそうな勢い、建築主さんには少し無理をお願いして、現場で建築主さん大工さん設計者の三人での打ち合わせを行いました。出来上がってからああすればよかった、ということが出来る限りないように、細かなことでも現場で打ち合わせをしたいと思っています。特に茶室の場合には、水屋の棚の高さやコンセントの位置など、ちょっとしたことでもあとあと気になることもありますので、油断せず慎重に進めて行きます。

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京都の作業場で仮組をしておいた舟底天井が、もうすでに現場に設置されています。床からの反射光で明るく浮かび上がる天井。建築主さんのお人柄同様、明るい雰囲気の茶席になりそうです。

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照明器具のハトメと釜蛭釘。裏千家では三月の彼岸から四月中旬まで、東風の吹く時季に、釜蛭釘から鎖で釜を吊り下げ、かすかな風でもゆっくりと揺れる釜に春の訪れを感じます。舟底天井のこの席では、舟の揺れも連想されて面白いかも知れません。釣り釜を下げた時に干渉しないよう、照明器具の位置は、部屋の中心ではなく下座側に寄せています。

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照明器具は、無粋に引掛けシーリングを使わずに、ハトメを使って棟木からスッとぶら下げる予定。ということで結線は天井裏で。棟木に面戸板は入っていませんが、直接天井裏まで抜けないといけないので、垂木の合掌部分で孔をあけて貫通しています。何気ないことですが、結構手間なこと。さらっとやってくれる大工さんに感謝です。

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棟木の磨き丸太に入れられたはつり目。さりげない味付け。

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舟底天井と竹の欄間。

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竹の欄間詳細。節の位置を調節して、波を描いているのですが、見付に面をつけているので、ぱっと見には、それとわかるか、わからないかぐらい。写真ではちょっとわかりにくいぐらいでしょうか。視点を変えて側面の節が見えると段々とそれとわかる加減です。

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裏側、水屋からみるとこんな感じ。やはり面をつけないと節の位置がよくわかると思います。

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既存の桧の柱と、新しい杉の内法材たち。今は色づいた桧が目立ちますが、時期に馴染んでくれると思います。

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竹の欄間の下には、太鼓襖の茶道口。鴨居は通常、下がって見えないように、また実際に下がらないように、最初は少しむくらせて取り付けますが、ここでも中央で五厘ほど上げています(写真ではちょっとわかりにくいと思いますが)。真っ直ぐ入れてしまうと、逆に下がって見えたり、あとあと下がってくるような場合は最初から少しだけ上げておく、というのは、長い歴史の中で日本の大工が編み出した手法。どれだけ上げるか、は大工の経験と勘によります。こうしたことは、ちょっと違うかもしれませんが、西洋音楽の純正律と平均律の話と似ているようにも思います。同じ譜面(図面)でも、美しいハーモニー(調和)になるかどうかは、演奏者(施工者)次第。

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納められた敷居。よく考えると既に立っている柱の間に、こうしてぴったりと敷居を入れる、というのは不思議なものです。ポイントは写真で敷居右下に見える丸い面。

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水屋の腰板も既に京都の作業場で一度組んだものをばらして持って来て嵌め込んでいます。と言うと簡単そうですが、こちらも既に立っている四本の柱の中にこうして納めるのは難しいパズルのようなもの。板の角に四分一(しぶいち)を入れなければ随分楽なのですが、見た目や全体の納まりを考えると、やはり四分一はいれたほうがよく、そうするためには、やはり難しいパズルを解かなければなりません。といっても大工さんはそれをとても楽しんでいるようですが(笑)。こうしてこうして納めました、と説明する大工さんはとても嬉しそう。素人の方に細かなところまで理解していただくのはなかなか難しい話ですが、それでも大工さんの熱意や情熱、誠実さはきっと伝わると思います。

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棚も既に作ってきてもらっています。一番下は女竹を入れた簀の子棚、上三段は一枚板の通し棚。きちんと桟組をした仕事です。

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棚の高さは、図面には資料やこれまでの実測をもとに仮の寸法をいれていますが、今回は間口の狭いイレギュラーな水屋でもあるので、最終的には現場で実際にあてがって、なにをどこに置くかも相談させていただきながら、高さを決定しました。実際には使っていく内に道具の場所も決まって来ると思いますが、図面では均等にしていた間隔を、置く物を想定してイレギュラーに変更。

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庭には腰掛も設置予定。一般的には根石を据えて、その上に束、柱を建てて、となりますが、今回は写真のように既に石が敷き詰められていましたので、寸法的によい加減のところの石を決めて、その石のセンターを基準に墨出し。

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反対側には、石が無かったので、庭を探して適当なものを発見。これでいきましょうか、とすぐにOKしてくるれる大工さんに感謝。大工さんたちは今日京都に戻って、また来週から現場で作業を続けます。本当にお疲れさまです。





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京都・下鴨 岩崎建築研究室 岩崎泰 


解体開始

三重県津市のお茶室のリフォーム。今日から解体開始。大工さんは前日から現地入りしていますが、私は朝七時に京都を出発して、地下鉄烏丸線、東海道本線、草津線、関西本線、紀勢本線と乗り継いで現場へと向かいます。

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亀山駅から紀勢本線、鳥羽行き。一車両しかないワンマンカー。

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車窓からの眺め。田植えを済んだ水田。移動中は今日の打ち合わせ内容の確認と、現在計画中の別件住宅計画案の練り直し。乗客も少なく、景色も良く、好きな音楽を聴きながら、車内は快適なオフィス。

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現場に到着するともう着々と解体工事が進んでいます。壁の下地は竹小舞下地。紐はビニール紐。貫の入れ方やえつり竹も京都とはちょっと違うようです。

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天井、茶室部分は舟底天井で変更しますが、水屋部分は既存の天井を残します。

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壁が完全に撤去されました。ここへ給水給湯排水の配管をして水屋を設置します。

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天井板の撤去。某テレビ番組の○フォーアフターでは解体シーンの視聴率が良いのだとか。ここでは豪快な解体はせず、慎重に丁寧な解体が進められています。

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露になった小屋組。床からの反射光で明るく浮かびあがります。開けられたのもつかの間、またすぐに天井が張られ、光のない状態になります。

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荒壁のひび割れ。ワラを入れて熟成させるほど粘り気がでてヒビ割れが少なくなるのだとか。

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水屋の舟はもう既に作られたものを京都から持って来ています。現地の水道業者さんと排水接続の打ち合わせ。

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使わなくなる給水給湯には栓をしておきます。

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舟底天井の位置を墨出しして、壁をサンダーでカットして、余分な上塗りを落としていきます。解体といっても、残す部分もあり繊細な気遣いも必要。解体屋さんも京都から来ていただき、京都の棟梁のもと、順調に作業が進んでいきます。

舟底天井の仮組

三重県津市で進めている茶室へのリフォーム、大工さんから舟底天井の仮組ができました、と連絡をいただいたので、作業場へ行ってきました。

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さほど広くない作業場ですが、きちんと両流れとも組んでくださいました。勾配は二寸。今回はリフォームなので既存の廻縁の欠き込みにも注意しながら寸法を決定しましたが、二寸勾配の舟底はゆったりしてよかったと思います。現場で組むのが楽しみ。

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下から見上げたところ。垂木が一本だけ源平(赤白)になっていますが、あそこは釜蛭釘がつくところで、現場で最終調整をしていれますので、いまは仮のものがはいっています。

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棟木は磨き丸太。丸く不均一のものに墨を出して加工するのが数寄屋大工の仕事。

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垂木掛けは成四寸。垂木の成が一寸五分なので二寸五分の見付が見えます。

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水屋の腰板。裏千家では腰板に打った竹釘に柄杓を掛けます。柄杓は合の直径が約二寸前後で柄の長さは一尺一寸六分(真ん中に節)で、合計一尺三寸六分。一尺四寸だとぎりぎりなので、赤身で一尺五寸とれるところ、をお願いしました。ちなみに板は銘木屋さんではなく、大工さんが製材所で直接買って来てくれたもの。だいぶ利口に入手できたようです。

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舟底天井に張る天井板を切断中。若い職人さんはサウスポー。

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いつか矢形舟の設計なんてのもやってみたい。

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舟底天井の天井板は杉白太の板を使用。事前に巾二寸五分、一寸八分、一寸五分の三通りの巾のものを用意してもらいました。数量は、大:中:小を2:1:1。これをよい塩梅で張っていかなければなりません。仮組した床に寝転がってバランスを見ながら、「大、次は中、次は、、、」と言って、大工さんに並べてもらっていきます。

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垂木との重なりにも気をつけながら、良いバランスになるように並べていきます。こうした時に、これまでに茶室や数寄屋建築を見てきて養った感覚、あるいはお茶のお稽古で勉強した感覚、というものが試されると思います。うまくいったかどうかは他の方の判断を仰ぐしかありませんが、大中小の割合というのは、やってみたところ悪くなかったように感じました。やはり同じ巾のものを並べただけのものでは出ない味わいというものがあるようにおもいます。こうした味こそがお茶室の味わいかもしれません。

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仮設の電球で照らしてみます。垂木、小舞の赤杉と、天井板の白太のコントラストもよい。垂木は成一寸五分、巾一寸二分、下端が柾目のいわゆる「そばまさ」。小舞の寸法は成六分、巾八分。小舞の寸法もいろいろなものがありますが、とりあえずこの寸法が私の中では標準、あとはその場その場で多少の変化を持たせていきたいところです。

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垂木の接合部の仕事。ずれないように、雇いをいれてあります。

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裏からみるとこんな感じ。

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棟木にのるとこんな感じ。面戸を入れた方が仕事にも逃げができて楽なのですが、今回は敢えて、ちょっと手のかかる仕事をお願いしました。こうしてここが透いているというのは、細かなことですが出来上がった時の空間の質、透き具合、光の陰影が違ってくると思います。

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垂木掛けの仕事。小舞も一分欠き込んで取付けられています。

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五番目の垂木は釜蛭釘がつくところなので、欠き込んでありません。現場できちんと炉の位置を墨出ししてから取付けられます。先まで読んだぬかりない仕事。

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天井板。下から見上げたときに五厘の底目地になるようになっています。天井裏ではぴったりとくっつきます。この底目地が、垂木小舞のつくる陰影にさらに深みを加えます。

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片側が並べられたら、反対側もできるように、すぐに切断してもらいました。

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再び床に寝転んで(枕を持って来たほうがよかったかな(笑))、並べる順番を決めていきます。今度は棟木を挟んで反対側とのバランスも見ながらばらつきを決めていきます。

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出来上がった様子。時間が経過して、白太の板が色づいてくると、さらに味わいが増して良い天井になりそうです(一番手前の源平の垂木は仮のものです)

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棟木につけるはつり目の位置、大きさも決めさせていただきました。写真ではちょっと見にくいですが、鉛筆で三個二個の合計五個のはつり目を部屋全体のバランスに注意しながら決定。正客が客畳に座り、天井を見上げると、そこにはつり目という具合、大工棟梁の確かな腕を示すとともに、さりげなく茶室に味わいを加えてくれると思います。

茶室へのリフォーム

メールでのお問い合わせをいただき、計画を進めてきた三重県津市での、茶室へのリフォーム計画。この度計画案もまとまり、見積もりもまとまり、いよいよ着工、ということで、大工さんと一緒に現地を訪れ契約、と相成りました。

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関東間で建てられたごくごく一般的な和室六帖(北西角の半間角が押入なので正確には五帖半)を、太鼓襖の間仕切りを新設して、一帖半の水屋と四帖半の茶室にする計画。ただし四帖半は関東間の大きさなので京間は入りません。そこで点前座にはきちんと六尺三寸×三尺一寸五分の京間を入れて、ちゃんと道具組ができるようにして、客座には、巾は京間の三尺一寸五分、長さは部屋に合わせて五尺五寸二分。これは台目よりも少し長い寸法となりますが、客と亭主がほどよい距離になって落ち着いた茶室になるのでは、と思います。畳を均等にわりつけるよりも、こうした敷き方のほうが、道具の置き合わせもしっくりときますし、炉を中心に客も亭主も据わりの良い位置に安定すると思います。

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計画案のパース。建設地が津市と海が近く、また建築主さんが漁師町のご出身ということで、天井を舟底天井としています。限られた予算ですので、大々的な改修はできません。桧の柱や障子は既存のまま。それでも紙を石垣張りで張り替え、天井を舟底にし、壁を京都の左官屋さんに塗り替えてもらえば、味わい深い茶室になるのでは、という計画です。棟木には、はつり目をいれた磨き丸太、垂木は全体のバランスを考えて一分面をとった角の垂木。六分×八分の小舞をいれて天井板は杉白太板。巾を三種類用意して、いわゆる屑張りにする予定。

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茶道口の上には白竹をいれる予定。せっかく舟底にするので、節の位置を調節して波を表現できないか、ということで、大工さんに切れ端を持って来ていただいて、現場で検討。節をそのままにしておくと、一目で波とわかるので、表面に三分から四分ほどの面を付けて、よくよく見たら波に見えるという表現にしようか、と計画中。最初からそうとわかってしまうのは商業建築ならばよいかもしれませんが、茶室の場合には、亭主の説明があって初めてわかる、あるいは確認ができるといった程度の表現のほうが相応しいように思います。

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帰り道、ちょっと寄り道をして海を見てきました。
伊勢の海の沖つ白波花にもが包みて妹が家づとにせむ
(万葉集に安貴王(あきのおほきみ)の歌)
あいにくどんよりとした天気、花のような白波という雰囲気ではありませんでした。

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テトラポッドに流木を発見。今回のお茶室には使うところはありませんが、いつかのために、流木を拾っておくのもよいかも。

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お昼ご飯は、亀山SAで松坂牛の牛丼。お値段950円で、出来上がりまで5分ほどお待ちくださいとのこと。安くない、早くない、うまい。松坂牛が牛丼に相応しい肉かどうかはちょっと疑問かも。

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京都についたら、大工さんのお誘いで、御池通り沿いの嶋臺(しまだい)で開催されている木工芸展を見学。嶋臺は元々造り酒屋で建物も面白く(入り口の大戸がなんと吊り上げ式でした!)木部の塗装などを現物をみながら打ち合わせしたり、茶道の棚なども展示されていて興味深く見学。
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岩崎建築研究室
岩崎 泰

住宅,茶室,店舗の設計等について
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