2007年02月27日
素晴らしき仲間達３
ある出会い
1973年、現在の文部科学省登山研修所の講師としての登山が始まる。
自分の山行以外に、毎年４〜５回のペースで講師を務めるようになると
私のそれまでの登山の有り方や自然観に微妙に変化が生じてきた。
単独登攀を主に過激な山行を追い求め、記録にこだわり意気がっていた
「おれが山」を、夢と憧れを持ち続けられる「私と山」へと少しづつだが
変わっていったのである。
親からもらった大事な身体、怪我をしてはならない、傷を付けてはならない、
ましてや死ぬようなことはあってはならないのだ。
それまでは、この岩を攀じるためには例え指の１本や２本、凍傷で失くそう
とも遣り遂げるのだという、所謂蛮勇に男気を感じていたのである。
研修所で知り合った研修生や講師の数はおそらく8,000人を下らないであろう。
この大勢の人達の一人でも遭難者に名を連ねてほしくない。
おこがましくも指導者としての立場が、はからずも馬車馬の目の覆いを取り
除いてくれたわけだ。
山で事故を起こさないためには、何が必要かを学ぶ場となったのである。
同時期に講師として参加するようになった近藤邦彦氏とも、この様な考え方は
一致するところであった。しかし、日頃「山で死なないためにはどうするか」
を指導し続けて来た講師仲間でさえも、すでに20数人が山で命を落としている。
私もかつてのような山行を続けていたら、その一人になっていたかも知れない。
最善を尽くしているつもりでも相手は自然である。仲良く上手く楽しく付き合って
行かねばならないが、まだまだ計り知れないことが余りにも多い。
1973年、現在の文部科学省登山研修所の講師としての登山が始まる。
自分の山行以外に、毎年４〜５回のペースで講師を務めるようになると
私のそれまでの登山の有り方や自然観に微妙に変化が生じてきた。
単独登攀を主に過激な山行を追い求め、記録にこだわり意気がっていた
「おれが山」を、夢と憧れを持ち続けられる「私と山」へと少しづつだが
変わっていったのである。
親からもらった大事な身体、怪我をしてはならない、傷を付けてはならない、
ましてや死ぬようなことはあってはならないのだ。
それまでは、この岩を攀じるためには例え指の１本や２本、凍傷で失くそう
とも遣り遂げるのだという、所謂蛮勇に男気を感じていたのである。
研修所で知り合った研修生や講師の数はおそらく8,000人を下らないであろう。
この大勢の人達の一人でも遭難者に名を連ねてほしくない。
おこがましくも指導者としての立場が、はからずも馬車馬の目の覆いを取り
除いてくれたわけだ。
山で事故を起こさないためには、何が必要かを学ぶ場となったのである。
同時期に講師として参加するようになった近藤邦彦氏とも、この様な考え方は
一致するところであった。しかし、日頃「山で死なないためにはどうするか」
を指導し続けて来た講師仲間でさえも、すでに20数人が山で命を落としている。
私もかつてのような山行を続けていたら、その一人になっていたかも知れない。
最善を尽くしているつもりでも相手は自然である。仲良く上手く楽しく付き合って
行かねばならないが、まだまだ計り知れないことが余りにも多い。
2007年02月26日
素晴らしき仲間達２
ある出会い
冬季の伯耆大仙・大屏風岩を目指して大山寺より歩き出す。
大神山神社の近くまで登って来た時、上の方より甲高い声が聞こえてきた。
聞き覚えのある声だが、一方的に喋りまくっている。アッ、近ちゃんが居るな
と直ぐに分かった。「あんたの声は大山寺まで届いてるゾ」と大声を掛けながら
近藤邦彦氏との再会に、旧知に出会った時のような懐かしさを感じたのである。
彼は大屏風岩を登って下山して来たところだった。数分間話し込んだが、今では
その時に何を話したかは全く覚えていない。その場に居合わせた第三者に言わ
すと、2人の話は会話になっていなかったとのこと、それぞれ自分のことだけ
一方的に話しているにも関わらず、要所要所ではお互いが相槌を打ち合って
いたらしい。奇妙なコンビの誕生する瞬間でもあった。
近藤氏は小柄ではあるが、体操部出身でその均整の取れた身体は、躍動感に
溢れていた。私は彼を日本の「リカルド・カシン」と形容した。
ある日、一晩で１ｍ以上のドカ雪に見舞われた時、彼はそんな状況をものとも
せず、短めの脚を高く上げながら首まで埋まる雪を猛然とラッセルし始めた。
そのスピードには、彼よりも脚が長い筈の私でもついて行けなかった。
話し方は一方的でまるで機関銃そのものだが、彼もまた私のことを光栄にも
「俺が機関銃ならお前さんは重機関銃だ」と折り紙を付けてくれた。
お互いにチャランポランで良くウマが合う仲間であった。
冬季の伯耆大仙・大屏風岩を目指して大山寺より歩き出す。
大神山神社の近くまで登って来た時、上の方より甲高い声が聞こえてきた。
聞き覚えのある声だが、一方的に喋りまくっている。アッ、近ちゃんが居るな
と直ぐに分かった。「あんたの声は大山寺まで届いてるゾ」と大声を掛けながら
近藤邦彦氏との再会に、旧知に出会った時のような懐かしさを感じたのである。
彼は大屏風岩を登って下山して来たところだった。数分間話し込んだが、今では
その時に何を話したかは全く覚えていない。その場に居合わせた第三者に言わ
すと、2人の話は会話になっていなかったとのこと、それぞれ自分のことだけ
一方的に話しているにも関わらず、要所要所ではお互いが相槌を打ち合って
いたらしい。奇妙なコンビの誕生する瞬間でもあった。
近藤氏は小柄ではあるが、体操部出身でその均整の取れた身体は、躍動感に
溢れていた。私は彼を日本の「リカルド・カシン」と形容した。
ある日、一晩で１ｍ以上のドカ雪に見舞われた時、彼はそんな状況をものとも
せず、短めの脚を高く上げながら首まで埋まる雪を猛然とラッセルし始めた。
そのスピードには、彼よりも脚が長い筈の私でもついて行けなかった。
話し方は一方的でまるで機関銃そのものだが、彼もまた私のことを光栄にも
「俺が機関銃ならお前さんは重機関銃だ」と折り紙を付けてくれた。
お互いにチャランポランで良くウマが合う仲間であった。
2007年02月25日
素晴らしき仲間達１
ある出会い
小豆島の拇指岳に岩登りに出かけることになる。
当時は神戸よりフェリーボートで草壁港に入った。そこからバスで
橘下車、後は徒歩30分ほどで、拇指岳の基部に着く。
正面壁のダイレクトルートの取り付きには数人の先行パーティーがいた。
少し言葉を交わすが、お互い名のり合いはしなかった。だがグループ名は
「岡山クライマース・クラブ」と分かった。
後に彼等の名前を知ることになるが、近藤邦彦氏や重広恒夫氏であった。
近藤氏とは、幾つかの冬季初登攀の先陣を競い合うことになる。
また、当時の文部省登山研修所の講師仲間として、剱岳で年に数回ほど
顔を合わせた。そして1987年には2人でヒマラヤ・アンナプルナ��(7937m)
南壁をアルパイン･スタイルで目指すことになる。
重広氏とは、1992年、未踏最高峰である中国のナムチャバルワ（7782m)を
日中合同登山隊で初登頂することになる。
拇指岳で彼等と出会った折には、その後お互いに深い関わりを持つように
なるとはまだ知る由もなかった。
小豆島の拇指岳に岩登りに出かけることになる。
当時は神戸よりフェリーボートで草壁港に入った。そこからバスで
橘下車、後は徒歩30分ほどで、拇指岳の基部に着く。
正面壁のダイレクトルートの取り付きには数人の先行パーティーがいた。
少し言葉を交わすが、お互い名のり合いはしなかった。だがグループ名は
「岡山クライマース・クラブ」と分かった。
後に彼等の名前を知ることになるが、近藤邦彦氏や重広恒夫氏であった。
近藤氏とは、幾つかの冬季初登攀の先陣を競い合うことになる。
また、当時の文部省登山研修所の講師仲間として、剱岳で年に数回ほど
顔を合わせた。そして1987年には2人でヒマラヤ・アンナプルナ��(7937m)
南壁をアルパイン･スタイルで目指すことになる。
重広氏とは、1992年、未踏最高峰である中国のナムチャバルワ（7782m)を
日中合同登山隊で初登頂することになる。
拇指岳で彼等と出会った折には、その後お互いに深い関わりを持つように
なるとはまだ知る由もなかった。
2007年02月24日
登山ブーム
おっちゃんの独り言
「ローカルだが夢はでっかくヒマラヤへ」が合言葉であった。
それには先ず、日本の冬山を登り込むことが必須である考えた。
1966年、日本アルプスに少しでも近づくために上京することを決断する。
京都ではスポーツ店に住み込みで勤めると、岩登りのトレーニングの為に
週末仕事が終わると金毘羅山の岩場にビバークをしに出かける。
早朝3時間ほど岩を登り10時開店までに戻るのである。またある時には
夜行で穂高へ向い、屏風岩を攀じりビバークして、あくる日の夜には
京都に帰るというかなりハードな山行をこなしつつ、気力と体力を鍛え
技術を磨き経験を積み重ねていった。
ただただ我武者羅で夢中になって突き進んでいた。
「ローカルだが夢はでっかくヒマラヤへ」が合言葉であった。
それには先ず、日本の冬山を登り込むことが必須である考えた。
1966年、日本アルプスに少しでも近づくために上京することを決断する。
京都ではスポーツ店に住み込みで勤めると、岩登りのトレーニングの為に
週末仕事が終わると金毘羅山の岩場にビバークをしに出かける。
早朝3時間ほど岩を登り10時開店までに戻るのである。またある時には
夜行で穂高へ向い、屏風岩を攀じりビバークして、あくる日の夜には
京都に帰るというかなりハードな山行をこなしつつ、気力と体力を鍛え
技術を磨き経験を積み重ねていった。
ただただ我武者羅で夢中になって突き進んでいた。
2007年02月23日
登山ブーム
おっちゃんの独り言
私が岩登りを始めてからは、常に数人の仲間たちと休日になると
岩場へ通うのが通例になった。
小さなスケールの岩場ではあったが、何十本ものルートを開拓した。
鉄工所に勤める友人が、鉄板の切れ端で沢山の縦型ハーケンを作って
くれ、お陰さまで支点となるハーケンには事欠かない状態であり、
大変に助かったことを思い出した。
ルートを拓くのに何百本ものハーケンを打ち込んだ。
後のビックルート開拓に、この時代の経験が大いに役立つことになる。
私が岩登りを始めてからは、常に数人の仲間たちと休日になると
岩場へ通うのが通例になった。
小さなスケールの岩場ではあったが、何十本ものルートを開拓した。
鉄工所に勤める友人が、鉄板の切れ端で沢山の縦型ハーケンを作って
くれ、お陰さまで支点となるハーケンには事欠かない状態であり、
大変に助かったことを思い出した。
ルートを拓くのに何百本ものハーケンを打ち込んだ。
後のビックルート開拓に、この時代の経験が大いに役立つことになる。
2007年02月22日
登山ブーム
おっちゃんの独り言
マナスル初登頂後、国内に登山ブームの波が押し寄せるのである。
登山ブームと並行して、新しい登山用具が次々と開発される。また
外国製品もどんどん輸入されるようになり、これらの用具を全国
各地の「登山用品専門店」が販売し、併せて山の情報も一緒に提供
するようになる。
「山専」に行くと、経験豊富な登山家スタッフが居てアドバイスを
受けることも出来たのである。
1960年半ばよりヨーロッパアルプスやヒマラヤの高峰で活躍した
登山家達の大半が、登山用品関係の場に職を求めた。
大きな商社の登山用品部門で輸入業務に当ったり、個人で輸入業を
始める者、登山用品の会社を起業または勤務する者、更には小売店
を開店する者あるいは勤務する者等々・・・
そして、今日に至っている。
マナスル初登頂後、国内に登山ブームの波が押し寄せるのである。
登山ブームと並行して、新しい登山用具が次々と開発される。また
外国製品もどんどん輸入されるようになり、これらの用具を全国
各地の「登山用品専門店」が販売し、併せて山の情報も一緒に提供
するようになる。
「山専」に行くと、経験豊富な登山家スタッフが居てアドバイスを
受けることも出来たのである。
1960年半ばよりヨーロッパアルプスやヒマラヤの高峰で活躍した
登山家達の大半が、登山用品関係の場に職を求めた。
大きな商社の登山用品部門で輸入業務に当ったり、個人で輸入業を
始める者、登山用品の会社を起業または勤務する者、更には小売店
を開店する者あるいは勤務する者等々・・・
そして、今日に至っている。
2007年02月21日
道具の変遷３
ザイル
ヒマラヤ8000m峰14座の中、7座が初登頂され、残る未踏峰は7座となる。
1956年、8座目のマナスル（8156m)が日本隊によって初登頂され、登山界
において日本も世界の仲間入りをすることになる。
この時に日本では初めてナイロンザイルが使用された。
1954年、国産ナイロンザイルが東京製綱より発売される。直径は8mmで
あったが、従来の直径12mmマニラ麻ザイルの3倍の強度があった。
1955年、鈴鹿市岩稜会の3人パーティが前穂高東壁を登攀中、使用していた
8mmナイロンザイルが切断し若山五郎が墜死する。後にこの事故が小説の
モデルとなり、井上靖著「氷壁」が誕生する。
当時、8mmナイロンザイルはマニラ麻ザイルより強度があり、また岩角にも
強いというメーカー側の説明に疑問を抱いた若山五郎の兄、石岡繁雄氏は
膨大な資金と時間を費やしてナイロンザイルの研究を始める。
その結果、マニラ麻ザイルは岩角に強いがナイロンザイルは岩角に対しては
非常に弱いというレポートをまとめ、メーカー側に突きつけた。
そしてメーカーとその関係者は石岡氏の研究結果を認め謝罪することになる。
このナイロンザイル切断事故後も、ザイルの切断によるクライマーの墜死が
20人以上にも上ることを考えると、石岡氏の努力と研究はクライマーにとり
非常に大きな福音であった。
現在市販され使用されているクライミング・ロープは、石岡氏の研究成果が
大いに生かされている。
＜登攀道具の今昔＞
ヒマラヤ8000m峰14座の中、7座が初登頂され、残る未踏峰は7座となる。
1956年、8座目のマナスル（8156m)が日本隊によって初登頂され、登山界
において日本も世界の仲間入りをすることになる。
この時に日本では初めてナイロンザイルが使用された。
1954年、国産ナイロンザイルが東京製綱より発売される。直径は8mmで
あったが、従来の直径12mmマニラ麻ザイルの3倍の強度があった。
1955年、鈴鹿市岩稜会の3人パーティが前穂高東壁を登攀中、使用していた
8mmナイロンザイルが切断し若山五郎が墜死する。後にこの事故が小説の
モデルとなり、井上靖著「氷壁」が誕生する。
当時、8mmナイロンザイルはマニラ麻ザイルより強度があり、また岩角にも
強いというメーカー側の説明に疑問を抱いた若山五郎の兄、石岡繁雄氏は
膨大な資金と時間を費やしてナイロンザイルの研究を始める。
その結果、マニラ麻ザイルは岩角に強いがナイロンザイルは岩角に対しては
非常に弱いというレポートをまとめ、メーカー側に突きつけた。
そしてメーカーとその関係者は石岡氏の研究結果を認め謝罪することになる。
このナイロンザイル切断事故後も、ザイルの切断によるクライマーの墜死が
20人以上にも上ることを考えると、石岡氏の努力と研究はクライマーにとり
非常に大きな福音であった。
現在市販され使用されているクライミング・ロープは、石岡氏の研究成果が
大いに生かされている。
＜登攀道具の今昔＞
2007年02月20日
道具の変遷２
おっちゃんの独り言
登攀道具で大きく変わったのは、先ずクライミング・ロープである。
私が岩登りを始めた頃は、ゲレンデでは「麻ザイル」を使い、高価な
「ナイロンザイル」は本番用にと大事に残しておいたものだった。
カラビナは鉄から軽合金へと移行し、テントは重い帆布製から、
ビニロンそしてナイロン素材のものへと変貌していくのである。
ただし、オーバージャケット、パンツ等のウェアー類に関しては、
当時の大半の登山家が、ナイロン素材は雪の斜面で滑落すると、
雪面との摩擦抵抗が無くて止まらないという理由から、使用を
躊躇っていたが、ナイロン素材の優秀部分を目の当たりにすると
やがて着用をするようになる。
＜登攀道具の今昔＞
登攀道具で大きく変わったのは、先ずクライミング・ロープである。
私が岩登りを始めた頃は、ゲレンデでは「麻ザイル」を使い、高価な
「ナイロンザイル」は本番用にと大事に残しておいたものだった。
カラビナは鉄から軽合金へと移行し、テントは重い帆布製から、
ビニロンそしてナイロン素材のものへと変貌していくのである。
ただし、オーバージャケット、パンツ等のウェアー類に関しては、
当時の大半の登山家が、ナイロン素材は雪の斜面で滑落すると、
雪面との摩擦抵抗が無くて止まらないという理由から、使用を
躊躇っていたが、ナイロン素材の優秀部分を目の当たりにすると
やがて着用をするようになる。
＜登攀道具の今昔＞
2007年02月19日
道具の変遷１
おっちゃんの独り言
当時の給料の手取りは、￥9,800であった。
それでも「KADOTA」のピッケルを￥13,800で購入する。
憧れの「モンクレー」の羽毛服は￥38,000したが、手に入れた。
給料を全部山の道具につぎ込んだのは、それなりの信念からである。
困難な登山を目指すには「体力」「気力」「技術」が必須であるが、
自分の命を守ってくれる装備には、絶対妥協しないで少しでも良い物を
選ぶべきだという考えからである。
1950年に、フランス隊によってアンナプルナ(8091m)が劇的な初登頂を
されたが、人類最初の8千メートル峰登頂で、この隊は「ナイロン部隊」
と呼ばれた。軽くて柔軟性に優れており、凍らないナイロン素材が、
テントやウェアー類に積極的に使用されたのである。
ナイロンは1930年代の後半にアメリカのデュポン社が開発した物で、
水と空気と石油から作り出された化学繊維である。
＜登攀道具の今昔＞
当時の給料の手取りは、￥9,800であった。
それでも「KADOTA」のピッケルを￥13,800で購入する。
憧れの「モンクレー」の羽毛服は￥38,000したが、手に入れた。
給料を全部山の道具につぎ込んだのは、それなりの信念からである。
困難な登山を目指すには「体力」「気力」「技術」が必須であるが、
自分の命を守ってくれる装備には、絶対妥協しないで少しでも良い物を
選ぶべきだという考えからである。
1950年に、フランス隊によってアンナプルナ(8091m)が劇的な初登頂を
されたが、人類最初の8千メートル峰登頂で、この隊は「ナイロン部隊」
と呼ばれた。軽くて柔軟性に優れており、凍らないナイロン素材が、
テントやウェアー類に積極的に使用されたのである。
ナイロンは1930年代の後半にアメリカのデュポン社が開発した物で、
水と空気と石油から作り出された化学繊維である。
＜登攀道具の今昔＞
2007年02月18日
仲間達５
おっちゃんの独り言
M氏と同じ頃、1977年5月に、私とT氏が「パパ」と呼んで尊敬し
慕っていた大先輩の岡本氏は、三嶺（1893m）登山中に病死した。
この先輩には、日頃より山に対する思想をみっちり教えられていた。
1978年の日本山岳会会報「山岳」に岡本氏への追悼文を寄せた。
「パパさん。おまん幸せもんじゃ。一番好きだった三嶺で、
憧れのヒマラヤの夢が見れるきに。
けんど僕等は淋しいがやき、しょうまっこと悲しいぜよ」
岡本氏と出会った時期は、丁度、T氏と彼の組む「麻ザイルチーム」から
T氏と私の「ナイロンザイルチーム」に変わろうとしていた頃であった。
その頃から道具は大きく変わっていくのである。
＜新＞ ＜旧＞
M氏と同じ頃、1977年5月に、私とT氏が「パパ」と呼んで尊敬し
慕っていた大先輩の岡本氏は、三嶺（1893m）登山中に病死した。
この先輩には、日頃より山に対する思想をみっちり教えられていた。
1978年の日本山岳会会報「山岳」に岡本氏への追悼文を寄せた。
「パパさん。おまん幸せもんじゃ。一番好きだった三嶺で、
憧れのヒマラヤの夢が見れるきに。
けんど僕等は淋しいがやき、しょうまっこと悲しいぜよ」
岡本氏と出会った時期は、丁度、T氏と彼の組む「麻ザイルチーム」から
T氏と私の「ナイロンザイルチーム」に変わろうとしていた頃であった。
その頃から道具は大きく変わっていくのである。
＜新＞ ＜旧＞
