杜甫全詩訳注一

(これは Facebook のほうに日記風に書いたものです。意外に反応が多かったこともあり、自分の文だけをここに載せておくことにしました。)

「杜甫は、詩の力で世界を変えることができると、天下の政治も社会の不義も詩の力で正すことができると信じた、おそらく中国の文学史上にただ一人の詩人だった──。」

『杜甫全詩訳注(一)』講談社学術文庫
の松原 朗氏の解説から。

──驚嘆した。ほんとうにそうだったのかはわからないが。
そうであれば、神の言葉の力について私たちはもっと信頼すべきであり、もっと熱心に取り組むべきだと感じた。

杜甫の生涯と精神が自分の中に流れ込んでくる気がする。

高校の頃から杜甫は自分に直接響いてくるので、ある種の危険を感じ、私とはまったく対照的な李白を愛してきたのですが、杜甫を傍らに置くべき時期に来たのかなあと思ったりします。

私の杜甫のイメージは「兵車行」「春望」「登高」が代表的です。
「登高」は杜甫の病を自分のうちに感じてしまうので危険なのです。

「登高」の「万里悲秋 常に客となり 百年多病 独り台に登る……」

長江の波が見え、猿の悲しい声が聞こえます。病んだ杜甫の苦しみが私の心と体の中に入ってきてしまう感じになります。単純と言うか、自分が苦しくなってしまうのです。
それで次から警戒するのですが、それでも大好きなので何度でも読んでしまいます。