統合失調症あるいは精神分裂病  精神病学の虚実 (講談社選書メチエ)

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統合失調症あるいは精神分裂病 精神病学の虚実 (講談社選書メチエ)

分裂病の神秘のヴェールを剥がし「単なる脳の運動機能障害だ」と
これまで読んだ分裂病というか統合失調症に関する書籍では、もっと分かりやすいというか納得的。計見さんの主張は精神分裂病とは脳の機能障害という普通の病気である、というもの。患者たちは簡単な行動さえも"貫徹"できず途中でやめてしまう場合が多く、それによってたまったフラストレーションを爆発させてしまうことになる、という。ならば、一連の行為を分割して、ひとつずつできるようにしていく、という方向に持っていけば保護室からも出られるようになるし、退院も可能になる。分裂病患者の問題は「運動を組み立ててまとまりのある行為をする能力」(p.152)なのだと言い切る。ではなぜ簡単な行動が貫徹できないかというと、妨害的な刺激(脳内妨害刺激)によって行動が完結しないからだ、と。そして行動が完結しないと衝動とリアリティの仲介者である自我装置(エゴ・アパレータス)が壊れる、とハルトマンを引きながら説明する(p.168)。計見さんのまとめはこうなる。「ヒトにとっての現実とは、運動行為を脳内で準備するときに発生する世界の絵(リプリゼンテーション)である。その準備活動に従事する責任部位は大脳皮質前頭葉の四六野を中心とする部位で、準備(計画)作成のために、この部位が脳内の他部署を強力に統制して、世界の意味づけやそこで行おうとしている行動の持つ意味、社会的コンテキストその他の重要な情報をメモリーから調達する。行動計画を作成する機能が統合機能であり、これが不適切だったりバラバラであったりすると、合理的行動はできなくなる」(p.271)。幻覚のほとんどは過去への怨恨か、未来への憧憬であり、それによって現在がおろそかになるのが問題の本質なのだという。様々な欲望をもっているけど、社会的制約があるからすぐには満たされないことが多い。こうした矛盾をなんとか抱えながら、統合していくのが自我装置の機能なのだ、ということらしい。




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