Caption :おめでとうございます! こちらは、アミューズメントセンター『完全世界』への招待状です!
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 <招待状>

 おめでとうございます! あなたは、アミューズメントセンター『完全世界』、無料招待の抽選に見事選ばれました!

 『完全世界』は、SKET‐コーポレーションが運営する総合アミューズメント施設です。

 ☆時間制限はありません。一度の入場で、何時間でも何日でも、当施設をお楽しみいただけます!
 ☆あなたの身の回りを、専属のメイドロボがお世話。彼女たちを連れれば、まさに至れり尽くせり!
 ☆もちろん、メイドロボだけではありません。施設の設備全てが最新鋭の技術を結集して作られています。その一つ一つを、あなた自身の身体でご堪能ください!

 ゲートをくぐればひとたび、あなたの笑顔は尽きることがなくなるでしょう。
 ぜひとも、この機会に一度、当施設まで足をお運び下さい!


 ~・~・~


――私は、何をしていたんだっけ――
 
 霞む視界の中、全ての音が遠くに聞こえた。


 私は、麻痺した思考で記憶の遡及を試みる。

 何も予定のなかった、退屈な休日。私のもとに、一つの郵便が届いた。
 それは、招待状。
 『完全世界』。何でも、最新の技術を寄り集めて作られたアミューズメントパークだとか。
 
 暇つぶしにはちょうど良いと思った。
 招待券のおかげで、入場料は無料。地図を見れば、電車一本で行ける気軽な距離。
 つまらなければ、とっとと帰ってしまえば良い。

 私は、早々に着替えて朝食を摂り、そして、ここに向かったんだ。


 そしたら、どうして。

「ぃあ゛あぁぁあぁぁぁぁぁっははははははははははははははははははははははははッ!!!? くしゅぐっひゃッ!! くしゅぐっひゃぁ゛あぁぁ゛あぁっはははははははははははははははひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃッ!!!?」

 私は、こんなにも全身をくすぐられているのだろうか。


 ここのゲートをくぐったところで、私の記憶が歪んで消える。それ以上先は、思い出せなかった。
 ただ何となく覚えているのは、ずっとずっと、私は全身をくすぐり姦されていたということ。

「あ゛ぎぃいぃぃっひひひひひひひひひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃぁ゛あぁ゛ぁぁぁぁっはははははははははははははははははははははははははッ!!! しょこ、ら゛めッ!!? ぇあぁあっひゃははははははははははははははははははははははッ!!!!」

 いつの間にか全身の衣服を剥ぎ取られた私は、無重力室なる部屋に連れられていた。
 この部屋はすごい。テレビでたまに見る、宇宙船の中でふわふわ人が浮いている様子。あれが、今ここで実際に起きているのだから。

 だから、私の両手首と両足首。その四ヶ所を金属のリングで拘束しただけで、彼女たちは私の全身を隈なくくすぐり犯すことが出来るんだ。
 彼女たちの指が、ふわふわと浮いた私の全身をくすぐり姦す。腋の下も、お腹も、太ももも足の裏も首筋も背中も腕も胸もお尻もふくらはぎもすねも。


「お嬢様、腋の下はどうですか。かりかりされると、堪らなくくすぐったいでしょう?」
「あ゛や゛あぁぁあぁぁあぁあっひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃ!!!? やぇ゛でやぇてやめ゛えぇぇぇえぇぇっへへへへへへへへへへへへへへへ!!!? いぎぃッ!!? ぃひゃあぁあぁぁあああああっははははははははははははははははははははッ!!!!」
「お嬢様、足の裏を御覧ください。特性ローションでぬるぬるになった指が、すごく気持ち良いでしょう?」
「ぃぎゃあぁあっひゃひゃひゃはははははははははははははははははッ!!! ぎもひよぅなんひゃあぁぁぁあぁぁっははははははははははははははははは!!!! なぃ゛いぃひぃぃぃやぁっひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃ!!!!」

 見た目が女の子にしか見えない、このとても可愛らしいメイドたちは、ロボットなのだという。
 だから、彼女たちの指は、こんなにも繊細に素早く蠢くのだろう。だから、彼女たちは、汗一つもかかずに私のことをくすぐり犯し続けられるのだろう。


「水分と栄養を補給します。どうぞ味わってお召し上がりください」
「んむ゛うぅぅッ!!? んむふふふふふふ……ッ! んちゅっ!? んぐぅっふふふふふふふふ……!! んうぅぅぅぅッ!!!」

 一人のメイドが、私に深く口付けをした。深く入り込んだ舌が、私の口の中をくすぐり姦していった。
 私は、誤って彼女の舌を噛んでしまう。それでも、柔らかな舌は傷一つ付いていないのだろう、私の口内を犯し続けた。

 そして、少し甘じょっぱい液が、私の喉に注ぎ込まれた。こんなにも笑い悶えている私がちっともむせたりしないのは、きっとこれも最新の技術なのだろう。

「補給を終了致します。引き続き、お楽しみください」

 短く告げた彼女は、再び私の腋の下に指を突き立てた。


「あぁ゛あぁぁっははははははははははははははははははははははッ!!!! ゃめ゛ッ!!? しんじゃッ!! しんじゃや゛あ゛ぁぁっひゃぁあぁぁあっははははははははははははははははははははははは!!!? あぎッ、ぃぎゃあぁあぁっひゃはははははははははははははははははははッ!!!」
「当施設にて、死亡事故は今までに一度もございません。安心して、くすぐったさに身をお委ねくださいませ、お嬢様」

 身体の側面のくすぐったさに、私は何度も死んでしまうような心地がした。

 腋の下では、たくさんの指先が肌のくぼみをほじくり尽くす。腋の下を突き抜けるようなくすぐったさは、私の声帯をこれでもかと揺るがした。
 こりこりこりこりと、あばらを指の腹で転がされる。まるで肺を揉み犯すような責めに、私はその中の酸素を全て吐き出して悶えた。
 脇腹を責める手は容赦がない。さわさわと優しく撫で姦す手、こちょこちょと指を滑らせる手、かりかりと引っ掻く手。その全てが、私に耐え難いくすぐったさを与えた。
 腰を犯す手は、他の場所に比べれば少ない。それでも、腰骨をかりかりこりこりと弄ぶように責められてしまっては、数の多少の関係はなくなってしまう。


「ぃひゃあ゛ぁあぁぁぁぁんッ!!? ぃやぁぁぁぁっはははははははははははははははははははははッ!!! こわぇ゛、こぁ゛れひゃぁあ゛ぁぁぁぁっひゃははははははははははははははははははははははは!!!! あ゛あぁぁ゛ぁぁぁぁっははははははははははははははははははは!!!!」
「大丈夫ですよ、お嬢様。……たとえ壊れてしまったとしても、私たちがずっとずっと、お世話致しますよ」

 背後を襲うくすぐったさは、私の身も心も狂わせる。

 一本の手が、私のうなじを優しくくすぐり犯す。それだけ、たったそれだけの責めが、私には耐え難いくすぐったさに感じた。
 私の背中に、数えきれない程の指が這い姦っているのを感じる。こちょこちょこちょこちょ、さわさわさわさわ、かりかりかりかり、余りに自由奔放で激しい責めの数々。その全てが、私にぞくぞくと震え上がるようなくすぐったさを与えた。
 お尻を犯す手はいやらしい。割れ目をつつーっとなぞり、その中心をこちょこちょとほじくられると、私の腰は否が応でも痙攣を始めてしまう。恥ずかしい恥ずかしい恥ずかしい、でも、それを言っても彼女たちは止めてはくれなかった。


「あ゛ぎゃあぁあぁぁっはははははははははははははははははははは!!! やだや゛らゃあ゛ぁあぁぁぁぁぁっひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃ!!!? ゃぇッ!! ぁ゛あ゛あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ!!!!?」
「とても可愛らしいですよ、お嬢様。ですので、沢山沢山、感じてくださいね」

 ぬるぬるの何かを塗りたくられた脚は、他のどこよりもくすぐったい。

 太ももから足首まで、おびただしい数の指に包まれる。そして、その全てがこちょこちょこちょこちょと、彼女たちの艶かしい指遣いにくすぐり犯されている。単一的でずっとずっと続くくすぐり責め。それが最も苦しい責め方だったからこそ、彼女たちはそれを行っていたのかもしれない。
 足の裏を犯す二本の手は、それとは打って変わって、余りに技巧的。琴を奏でるかのようにやさしく指先で弾いたかと思えば、突然癇癪を起こしたかのように激しく掻きむしり始める。一向に慣れることなど出来ないくすぐり責めは、私の心をじわりじわりと蝕んでいった。



「あ゛あ゛あぁぁぁぁぁっひゃははははははははッ、ぁ゛あっはははははははははははひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃ!!!? く゛しゅぐっひゃ゛ぃよおぉぉっほほほほほほッ、ぉぁあっははははははははははははははははははははははははははッ!!!!」

――私は、何をしていたんだっけ――
 私は、記憶の遡及を試みた

 朝起きて、それで、それで。
 私の記憶が歪んで消える。
 何だったっけ。もう、覚えていない。

 ただ、何となく、起きてからはずーっとくすぐられ続けているような気が。


 一人のメイドが、私をくすぐりながら耳元で囁いた。

「幸せですね、お嬢様」

――しあわせ?――
 私は彼女にそう返した。

「えぇ、お嬢様はきっと、とても気持ちが良くて、幸福なはずです」

 すると、彼女は私の頬を撫でて優しく微笑んだ。

「だって、こんなにも沢山笑っていらっしゃるではないですか」

――あぁ、そうか――
 おかしいと思っていたんだ。どうして私は、こんなに笑わなければならないのだろう、と。

 簡単なことだった。
 それは、幸せだからだ。


――これは、気持ち良いんだ――

「あ゛ぁあぁぁぁぁぁっははははははははははははははははははははははッ!!!? きもひぃ゛、きも゛ひぃよ゛ぉぉおぉぁぁあぁっはははははははははひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃッ、ぁあっははははははははははははははははははははは!!!!」
「えぇ、ですから、お嬢様。もっともっと、楽しんでくださいね」
「あ゛ぁあぁぁぁぁぁっひゃははははははははははははははッ!!! もっひょおぉおっほほほほほほほほほほッ!!!? こひょこひょ、こちょこひょひへぇぇえぇぇぇぁ゛あぁ゛っひゃははははははははははははははははははははッ!!!! ぁあぁぁぁぁぁっははははははははははははははははははははははッ!!!!?」

 私の思考が、快楽の海に沈んで溶けてゆく。
 段々、自分が何も考えられなくなってゆくのを感じた。

 でも、それで良い。私は今、とても気持ちが良いのだから。


「しあ゛わへぇっへへへへへへッ!!? わひゃひっ、しぁあへぇ゛え゛ぇぁあぁぁぁっははははははははははははははははははははははひゃひゃひゃひゃひゃひゃッ!!!! もっひょぉぉッ、こひょこひょっ、こひょこひょぉおぉぁあぁぁっはははははははははははははははははははははははははははははッ!!!!?」

 私はくすぐられ続ける。
 ずっとずっと、くすぐられ続ける。
 腋の下も、お腹も、太ももも足の裏も首筋も背中も腕も胸もお尻もふくらはぎもすねも。


 あぁ、それは、とても幸せ。
 こんなに幸せで良いのかな?

「良いのですよ、お嬢様」

 すると、彼女は微笑んで答えてくれた。

「だって、ここは……」

――完全世界なのですから――


 ~・~・~


 世界中の富豪たち、技術者たちが、金と技術をかき集めて創り出した世界があった。

 そこは、まさに完全なる世界だった。
 あるのはただ一つ、永遠の悦楽。
 そこに身を委ねるも良し、或いは、それに溺れる者を鑑賞するも良し。

 永遠に離れられぬ、まさに檻のような世界。


 彼らはその世界を、そう、呼ぶのだった。

――檻全世界・終――