「大谷地先輩の舞台、素敵なんだ。『ロミオとジュリエット』のロミオ役やった時なんか、ファンが付いて凄かったの」
かれんが、にこりと笑う。
確かに、この顔と雰囲気は、王子役などは、まさにハマり役だろうと、美夜野はぽかんと口を開けたまま見てしまった。
かれんが、にこりと笑う。
確かに、この顔と雰囲気は、王子役などは、まさにハマり役だろうと、美夜野はぽかんと口を開けたまま見てしまった。
「あはは、そんな大したもんじゃないよ。そうそう、僕、今年から演出部門に移ったんだ」
「えっ、そうなんですか。また、どうして」
かれんが驚きを隠せない様子で言った。
「そうだなあ、役者として演出を受けているうちに、感動したことがあってね」
大谷地の、横顔がまぶしく映る。
「先輩の舞台が観れないのは残念ですけど、きっと、演出をやっても素晴らしいと思います!」
かれんは、きっちりとした姿勢で、まっすぐな瞳を大谷地に向けた。
「ありがとう。今年は、かれんちゃんが来るのを、演出部門の人間として楽しみにしてた」
「そんな、もったいないお言葉、ありがとうございます」
深々と礼をしたかれんから、ふわっといい匂いがする。
──かれんちゃん、見た目はほんわりと可愛いけど、中身は体育会系だなあ。
二人のやり取りを、ぼけっとしながら見ることしかできない美夜野。
かれんは、常にはきはきとし、頭の回転も速く、まわりに気を遣える。
しかし、自分は会話はおろか、あいさつもろくに出来ない状態だ。
先輩との上下関係を上手くやっていけるか、たまらなく不安になった。
「えっ、そうなんですか。また、どうして」
かれんが驚きを隠せない様子で言った。
「そうだなあ、役者として演出を受けているうちに、感動したことがあってね」
大谷地の、横顔がまぶしく映る。
「先輩の舞台が観れないのは残念ですけど、きっと、演出をやっても素晴らしいと思います!」
かれんは、きっちりとした姿勢で、まっすぐな瞳を大谷地に向けた。
「ありがとう。今年は、かれんちゃんが来るのを、演出部門の人間として楽しみにしてた」
「そんな、もったいないお言葉、ありがとうございます」
深々と礼をしたかれんから、ふわっといい匂いがする。
──かれんちゃん、見た目はほんわりと可愛いけど、中身は体育会系だなあ。
二人のやり取りを、ぼけっとしながら見ることしかできない美夜野。
かれんは、常にはきはきとし、頭の回転も速く、まわりに気を遣える。
しかし、自分は会話はおろか、あいさつもろくに出来ない状態だ。
先輩との上下関係を上手くやっていけるか、たまらなく不安になった。
◆◇◆NEXT◆◇◆
【73】憧れの演劇部7
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