「北月学院の演劇部は、まず3つの部門に分かれます」
 大谷地がくるりと振りかえり、ホワイトボードに置かれたペンを取った。栗色の髪の毛がさらりとなびく。

俳優部門

演出部門

技術部門

 ホワイトボードに丁寧に書き、また正面を向く。大谷地のさわやかな表情を見た女生徒たちの目が輝く。

「このようになっています。技術部門は更に、舞台装置、小道具、音響、照明、舞台監督と分類されます。ちなみに、技術部門には札幌の大手舞台プロデュース会社のステージアーツさん、役者部門には芸能事務所や、うちの高校出身の日比谷一郎さんから時下に指導を受ける機会があります。将来プロを目指す人にはとても良い経験になると思いますよ」

 日比谷一郎!
 ふいに出てきた言葉に美夜野の胸は熱くなった。ふとかれんをみると、目が合い、二人から思わず笑みがもれた。

「さて」
 大谷地は、ピアノの上にある紙の束を取り、歩きながら話す。
「さっそく、新入生の皆さんには、この用紙に希望の部門などを記入してもらいます」
 
 30名はいるであろう新入部員に紙が配られる。
 美夜野の元にも用紙が届き、ペンを取る。

 そして、どきどきしながら「俳優部門」と記入した。

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