小泉自民党が大勝し、その後、株式市況は上がりつづけているようだ。「構造改革が進むことへの期待感の現れ」だそうだ(NHKニュースより。正確な引用ではない)。

ただ、これが本当に注釈抜きの「景気回復」につながるか、というと、かなり疑問というのが、今回のHERIKUTSU。
えっと。

●株式市況が上昇する、ということは、上場企業の業績好転の兆しが見えるということです。
●「上場企業の業績好転」ということは「利益が増える」ということです。
●ところが、「業績好調」の大手企業を見たときに、最近、売上げがばりばり伸びた企業も、今後、ぐんぐん伸びそうな企業もあまりありません。

ということは、
多くの企業はむしろ

●「売上げを伸ばすより、コストを減らすことを考えて、業績を好調にしている」ということになります。
・・・で、
●企業において、コストというのは、ま、設備投資、とかいうものもあるわけですが、第一のものは「人」なわけです。

たとえば、
「トヨタ得意のカイゼン活動により、いままで3人で回していたプロセスを1人でできるようにする」
「営業会社が、プッシュ型(飛び込みや、電話かけ)営業から、反響型(広告やインターネットからの集客を中心にする)営業に転換することによって、社員の中の営業比率を減らす)」

つまり「人を減らす」ことに成功した企業ほど「業績が向上」→「株価が伸びる」→(このような企業が増えることにより)→「市況は伸びて」→「景気回復」ということになります。

でも、考えてみると、
「景気」というものには、もう一つのパラメーターがありますよね。

そ。
「失業率」
というものです。

上のようなプロセスによる「景気回復」が、じつは「失業率」ということに関しては、マイナス効果こそあれ、なにも回復には寄与していないということは、論理的な帰結として明らかでしょう。だって、人を減らしているわけですから。

「企業がみんな人を減らす」→「失業率が拡大する」→「景気悪化」というシナリオもまったく同時に成り立つということになります。

ここにデータがないので、確実なことは言えませんが、確かに失業率は、微減と微増を繰り返していたように思います。ついでにいえば統計上の失業率は「就職する気ばりばりで活動している」人のなかから、どのぐらいの人が「失業」しているか、ということなので、「最初から就職をあきらめている層」は、カウントされないことになります。これから構造改革がどんどん進んでいくと、「(郵政株式会社も含めて)人を減らすことに日本中の企業が懸命になっていくわけですから」

「景気はぐんぐん拡大」し、同時に(事実上の)「失業率も拡大する」

という以外のベクトルは考えられなくなっているわけです。

(えっと、確認しておきますが、すべての前提は「今後、劇的にGDPが拡大することはない」ということからはじまっています。事実、トヨタなど片手で数えられる企業をのぞいては、ばりばり世界に出て行って、その富を日本に持ってくるということは考えていません・・・という前提が崩れない以上、「景気回復」は必然的に「失業率拡大」に結びつく、ということになります)

以上、前段。
さらにつづく(長い!)


ちなみに、私は
「構造改革は強者の論理」である・・・ことによって「構造改革を否定しよう」とは考えません。「もっと儲けたい、もっとお金が欲しい、もっといい暮らしがしたい」という気持ちを背景とした個々の努力が報いられない社会では、一人一人が働くモチベーションが失われ、旧共産圏のように社会全体の富が失われていく、というのも事実でしょう。

「勝ち組が儲ける。お金を貯める。いい暮らしをする」

ということ自体は、(競争がフェアである限りにおいて・・・ということも別の問題として考えなくてはいけないのですが・・・に、おいて)正しい世の中だと思います。

ただ、
一方で、これが極端に進んで、
勝ち組がすべてを取る(Winner takes all)の社会というものも、社会全体の活力というものは失われていくことになります。なぜかといえば、「一度負けたが最後、最低限の衣食住も確保されない」というような社会では、個々人がリスクある戦いをできなくなるでしょう。負けたら奈落の底ですから。ヒューマンリソースがフルパフォーマンスを発揮できなくなる。

つまり、
「勝ち組が相応の富を得るのがOK」
しかし
「負け組も、最低限不快でない程度の生活水準を、社会全体の関与によって守っていく」

・・・というのが、私が考える「いい社会」の必須条件になると思います。


さて、日本がこれからこのような「いい社会」に向かっていけるか、というと、かなり疑問があるといえます。
なぜかといえば、社会全体の富は限られ、しかも、Winner takes all的強者の論理が進むことにより、弱者に分配される余裕はさらに減っている、ということがあるからです。

その上、1000兆円にならんとする国の借金は、これから社会全体で返していかなくてはいけないわけですから、さらに減る。

たとえば、現在の国民年金の支給高は年間70万円。これがさらに減らされたとしたら、どの程度の生活が「保証」されると考えますか?


ということは、これからの日本にとって、とてつもない大きな問題だと思うのですが、圧倒的勝利を収めた小泉政権は…ま、何も考えていないでしょうね(笑)

さて、
小泉自民党に投票した20代のみなさん。どうします?
あ、こんな下まで読んでいないか(爆)

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