先週は卒業式ウィーク。
全国の様々な学校で卒業式が行われた。
僕の母校はさいたま市立浦和南高校。
高校を卒業したのは今から27年前。
ギターやピアノに明け暮れ、音楽と多少やんちゃな私生活と共に過ごした高校生活最後の締めくくり行事でもある卒業式。
しかしその当時問題になっていたのが卒業式で歌う「仰げば尊し」の歌詞について。
正直、この問題に対して今でもくだらないと思うのでそんなに深く知りたくもないのだが、とにかく歌詞に問題ありとのことで歌わないことに決まった。
卒業する当事者である僕らの意向は全く無視して。
僕はというと、卒業式は仰げば尊しを歌いたかった。
歌詞なんて大して意識したこともなかったけれど、とにかく歌いたかった。
卒業式に仰げば尊しを歌わないだなんてそんなのありえない位に思っていた。
そして、そんなことを思っていたのは僕だけではなかった。
「金古君、卒業式でピアノ弾いてくれない?」
小学生から一緒の同級生の女子からそんな声をかけられたのは卒業式の1週間くらい前だったか。
話を聞くと彼女らもどうしても仰げば尊しを歌いたいらしく、当日歌詞カードをこっそり配ったりの根回しはするから式の最後に壇上に上がってピアノの伴奏をしてほしい、とのこと。
正直僕よりピアノが上手い子は何人もいたけれど、卒業式の真っ最中に壇上に上がり退学覚悟でゲリラライブ的にピアノを弾けるのは金古しかいない、と思ったのだろう。
まあそりゃそうだ(笑)
当の僕はというと二つ返事で快諾。
ただ、一人で壇上に上がるのはさすがに気が引けたので、僕が高校生活で一番こいつは骨のあるやつだと認めていた友人の安部を指揮者役として一緒に壇上に上がってもらうことにした(この安部大雅という男、その後単身イタリアに渡り帰国後は彫刻家として名を馳せるようになる。)
そして迎えた卒業式当日。
式は滞りなく進んでいく。
僕の鼓動はというと当たり前にドクドク早くなっていく。
こういう時の僕の肝はまあまあ座っている方だと思う。
打合せ通り、式の最後に僕と安部は立ち上がり走りながら壇上に上がった。
残りの生徒はというと、各クラスに根回しが行き届き卒業生全員が一斉に立ち上がる。
騒然としたのは先生達。
僕らを下ろそうと説得するも、僕も安部も普段から教師に目を付けられていたのでそんな説得1ミリも聞く気はない。
僕が先生たちの静止を振り切って椅子に座り鍵盤にその指を下ろそうとした時に・・
「金古君お願いだからやめて!」
その声の主は、その当時一番僕のことを理解しようとしてくれていた音楽の先生だった。
取り乱すかのように泣きながら懇願する先生の顔を見て僕の指は止まった。
そして、その横にいた教頭先生が
「君たちの気持ちも理解出来る。なので卒業式は卒業式として一度終わらせて、その後に改めて歌ったらどうだ?」
と提案してきた。
僕らはその案を飲み、閉会の言葉の後に改めて壇上に上がり、そして心おきなく仰げば尊しを歌った。
小学生の時も中学生の時も仰げば尊しは歌ったが、壇上でピアノを弾きながらみんなの歌声を聴く仰げば尊しは最高で、とめどなく涙があふれてきた。
さてここからが大変。
その後僕らは当たり前に校長室へ呼び出された。
卒業式当日に呼び出し食らうなんて前代未聞だ。
まあ開き直りながら校長室へ向かった僕らだったが、結果としてはおとがめなし。
ただ「社会人になってこういうことをやったら会社はクビになるからそれだけは覚えておくように」
とだけ言われた。
その忠告は素直に聞き入れ、その後一度も会社員にはなってないよ先生。
まあ何はともあれ、あれだけのことをやらかしたにも関わらず特に処分はなし。
まあ当時からうちの学校はゆるさが売りだったんだけど、これ私立の厳しいところだったら下手したら退学だったかもね。
そしてほっと胸を撫で折りしながら廊下を歩いていた僕と安部に声をかける人物が。
「おい、お前らちょっと来い!」
声の主はその学校で一番恐れられていた体育教師だった。
ゴリラみたいな体型で顔もいかつくとにかく恐れられていた。
僕と安部は恐る恐るその先生の方へ・・
殴られる、絶対殴られる。
でも後悔はない。俺達はやれることはやったんだ・・
覚悟を決め僕は歯を食いしばった。
「お前ら!本当にありがとう!俺も同じ気持ちだ!」
なんとその先生は僕らと同じで仰げば尊し肯定派だったのだ。
涙をこらえながらガシッと握手してくる先生。
良かった、殴られずに済む。
先生がそんな風に思ってくれて俺らもうれしいです。
でもね先生。
気持ちは嬉しいけど・・
自分の握力を考えてよ。
手がめちゃくちゃ痛いっす!
こうして僕は指を折られそうになりながらも無事卒業することが出来た。
全国の様々な学校で卒業式が行われた。
僕の母校はさいたま市立浦和南高校。
高校を卒業したのは今から27年前。
ギターやピアノに明け暮れ、音楽と多少やんちゃな私生活と共に過ごした高校生活最後の締めくくり行事でもある卒業式。
しかしその当時問題になっていたのが卒業式で歌う「仰げば尊し」の歌詞について。
正直、この問題に対して今でもくだらないと思うのでそんなに深く知りたくもないのだが、とにかく歌詞に問題ありとのことで歌わないことに決まった。
卒業する当事者である僕らの意向は全く無視して。
僕はというと、卒業式は仰げば尊しを歌いたかった。
歌詞なんて大して意識したこともなかったけれど、とにかく歌いたかった。
卒業式に仰げば尊しを歌わないだなんてそんなのありえない位に思っていた。
そして、そんなことを思っていたのは僕だけではなかった。
「金古君、卒業式でピアノ弾いてくれない?」
小学生から一緒の同級生の女子からそんな声をかけられたのは卒業式の1週間くらい前だったか。
話を聞くと彼女らもどうしても仰げば尊しを歌いたいらしく、当日歌詞カードをこっそり配ったりの根回しはするから式の最後に壇上に上がってピアノの伴奏をしてほしい、とのこと。
正直僕よりピアノが上手い子は何人もいたけれど、卒業式の真っ最中に壇上に上がり退学覚悟でゲリラライブ的にピアノを弾けるのは金古しかいない、と思ったのだろう。
まあそりゃそうだ(笑)
当の僕はというと二つ返事で快諾。
ただ、一人で壇上に上がるのはさすがに気が引けたので、僕が高校生活で一番こいつは骨のあるやつだと認めていた友人の安部を指揮者役として一緒に壇上に上がってもらうことにした(この安部大雅という男、その後単身イタリアに渡り帰国後は彫刻家として名を馳せるようになる。)
そして迎えた卒業式当日。
式は滞りなく進んでいく。
僕の鼓動はというと当たり前にドクドク早くなっていく。
こういう時の僕の肝はまあまあ座っている方だと思う。
打合せ通り、式の最後に僕と安部は立ち上がり走りながら壇上に上がった。
残りの生徒はというと、各クラスに根回しが行き届き卒業生全員が一斉に立ち上がる。
騒然としたのは先生達。
僕らを下ろそうと説得するも、僕も安部も普段から教師に目を付けられていたのでそんな説得1ミリも聞く気はない。
僕が先生たちの静止を振り切って椅子に座り鍵盤にその指を下ろそうとした時に・・
「金古君お願いだからやめて!」
その声の主は、その当時一番僕のことを理解しようとしてくれていた音楽の先生だった。
取り乱すかのように泣きながら懇願する先生の顔を見て僕の指は止まった。
そして、その横にいた教頭先生が
「君たちの気持ちも理解出来る。なので卒業式は卒業式として一度終わらせて、その後に改めて歌ったらどうだ?」
と提案してきた。
僕らはその案を飲み、閉会の言葉の後に改めて壇上に上がり、そして心おきなく仰げば尊しを歌った。
小学生の時も中学生の時も仰げば尊しは歌ったが、壇上でピアノを弾きながらみんなの歌声を聴く仰げば尊しは最高で、とめどなく涙があふれてきた。
さてここからが大変。
その後僕らは当たり前に校長室へ呼び出された。
卒業式当日に呼び出し食らうなんて前代未聞だ。
まあ開き直りながら校長室へ向かった僕らだったが、結果としてはおとがめなし。
ただ「社会人になってこういうことをやったら会社はクビになるからそれだけは覚えておくように」
とだけ言われた。
その忠告は素直に聞き入れ、その後一度も会社員にはなってないよ先生。
まあ何はともあれ、あれだけのことをやらかしたにも関わらず特に処分はなし。
まあ当時からうちの学校はゆるさが売りだったんだけど、これ私立の厳しいところだったら下手したら退学だったかもね。
そしてほっと胸を撫で折りしながら廊下を歩いていた僕と安部に声をかける人物が。
「おい、お前らちょっと来い!」
声の主はその学校で一番恐れられていた体育教師だった。
ゴリラみたいな体型で顔もいかつくとにかく恐れられていた。
僕と安部は恐る恐るその先生の方へ・・
殴られる、絶対殴られる。
でも後悔はない。俺達はやれることはやったんだ・・
覚悟を決め僕は歯を食いしばった。
「お前ら!本当にありがとう!俺も同じ気持ちだ!」
なんとその先生は僕らと同じで仰げば尊し肯定派だったのだ。
涙をこらえながらガシッと握手してくる先生。
良かった、殴られずに済む。
先生がそんな風に思ってくれて俺らもうれしいです。
でもね先生。
気持ちは嬉しいけど・・
自分の握力を考えてよ。
手がめちゃくちゃ痛いっす!
こうして僕は指を折られそうになりながらも無事卒業することが出来た。