全世界的に "Occupy Wall Street" (ウォール街を占拠せよ)というデモが広がりを見せている。
ウォールストリートではじまったのをきっかけに全世界各都市に広がっているデモだが、その意図するところに自分は一種のモヤモヤを感じている。

1. 目的の?
そもそもこのデモは何を目的としたデモなのだろうか。
Occupy Wall Streetのウェブサイトをみてみると、以下の記載がある。

#OWS is fighting back against the corrosive power of major banks and multinational corporations over the democratic process, and the role of Wall Street in creating an economic collapse that has caused the greatest recession in generations. The movement is inspired by popular uprisings in Egypt and Tunisia, and aims to expose how the richest 1% of people are writing the rules of an unfair global economy that is foreclosing on our future. 

簡単にいえば、景気後退の原因を作ってきたウォールストリートに対して抵抗し、アメリカ経済システムがいかに不平等かを明らかにすることのようだ。
しかし、参加者自身がデモに参加している目的を聞いてみるとかなりバラバラであるようだ。
Wall Street Journalによれば、デモ参加者の参加目的は以下の通りである。

35%:共和党を変えた保守派草の根運動の「ティー・パーティー」のように、民主党に影響力を与える
11%:2大政党制の終焉
  9%:進歩主義者の活性化
  9%:国民的対話の促進
  7%:直接民主主義の導入
  5%:税制の抜本改革で所得税税率の一本化
  4%:間接的民主主義と資本主義システムの解体
  4%:健康保険の一本化
  4%:即時アフガン撤退
  4%:富の根本的再配分 
  8%:
思い浮かばず

 
どうやら直接的にウォールストリートに反発するためにデモに参加している人は少なく、むしろ現状の政治経済システムの改善を求め、「アラブの春」にヒントを受けて、 国民の力で政治を動かすことを目的としているように感じられる。
また、デモの様子をyoutubeやテレビでみる限り、多くのデモ参加者はかなり「ノリ」で参加している人も多いように感じる。
テレビ映えするような衣装に身を包んだり、ケーキを用意して乾杯していたり、なんだかデモというよりもパレードをしているようにみえる。上記アンケートでも8%の参加者は参加理由が思いつかないと言っている。そしておそらくその他の回答をしているデモ参加者も理由を後付けにしてデモに参加しているように見受けられる。


2. 参加者の?
確かに景気後退が続く中、国民の不満がたまってきていることは事実である。
デモ参加理由でもオバマ政権にいかに不満を持っており、景気回復を参加者が熱望していることは伝わる。
しかし、彼らのデモをみていると、全く危機感を感じない。
iPhoneやiPadを持って笑いながら練り歩き、食べ物を食べてケーキで祝い、派手なコスチュームを来てパフォーマンスをする。
これはどこまで本気なんだろう?
「アラブの春」と比べてしまうとその違いは顕著である。
エジプト、チュニジアなどでは自分たちの生活をかえるために国民が命を懸けて戦っていた。
それに比べると、今回のデモは「アラブの春」にインスパイアされているようだが、それは「国民の力が国をかえる」という目的と手段の部分だけであり、その本気度は天と地である。

国民が国を動かすためには確かに数の力が必要だとは思う。
しかし、いくら数を揃えても各個人の力が弱ければいくら数を掛けてもその力は大きくならない。
むしろ「やる気のない参加者」がデモの力に与える影響はマイナスである。


3.  意義の?
確かに、アメリカをはじめ先進国各国での経済格差というのは拡大している。しかし、本当に彼らは今の生活に不満を感じているのだろうか。
これがモヤモヤの一番の原因である。
本気でWall Streetを恨んでいる人はどこまでいるんだろう。本気で政治経済システムをかえたいと思っている人はどこまでいるんだろう。 
例えばiPhoneやiPadを買う余裕がある人が経済に不満を持っているといっても説得力は弱い。もちろん不満を持つなといっているわけではない。そりゃあiPad欲しいし、いいテレビ欲しいし、いいもの食べたいのはみんな同じだろう。
しかしそのような人が「我々は99%の人間だ」といってデモをしている姿をみて、明日生きるお金に困っている人はどう思うのだろうか。 
自分にはその姿が都合のいい政治家とかぶって仕方がない。
選挙のときには市民の味方という顔をして、それ以外の時には料亭で食事をしながら既得権益を手放さない。
そのようなデモ参加者は99%という顔をしているが、それでは99%の間の格差はどのように考えているのだろうか。
なんとなくデモの意義も不明確と言わざるを得ないのではないだろうか。 



このように、Occupy Wall Streetはそのどの面をとっても不完全である。
明確な目的もなく、参加者も不適格である。
デモに参加して主張すること自体は自分としては賛成なのだが、これではお遊び半分のパレードでしかない。