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ヒューマン=ブラック・ボックス -映画のご紹介(105) パッチギ-

イムジン河は

38度線だけにある訳じゃない。




あらすじ(goo映画より)

グループ・サウンズ全盛の1968年。京都府立東高校の空手部と、朝鮮高校の番長・アンソン(高岡蒼佑)一派は、激しく対立していた。アンソンの妹で、フルートが得意なキョンジャ(沢尻エリカ)に心を奪われた、東校の松山康介(塩谷瞬)は、彼女が奏でる美しい曲が、「イムジン河」という朝鮮半島に思いを馳せた歌だと、音楽に詳しい坂崎(オダギリジョー)に教えられる。キョンジャと親しくなりたい一心で、康介は、ギターの弾き語りで「イムジン河」を練習し、朝鮮語の独学を始める。

女の子と親密な関係になることが一番の関心事だった高校生が、在日朝鮮人の女の子に恋をしたことで、自分が何も知らなかったことに気づく。そして、「なぜ」という疑問を持つ。なぜ、「イムジン河」は、レコード発売が中止になったのか。なぜ、在日の人たちに、恨みたっぷりに罵倒されるのか。なぜ、自分と彼女の間に、渡れない河が横たわっているのか…。



最近、偶然にも「差別」を扱った映画を何本か観た。

「性差」を原因とするもの。
「民族」の違いを原因とするもの。
「宗教」の違いを原因とするもの。

いかなる差別も、差別されるものそのものには原因はなく、いずれも差別する側が相対的な力学の元に故意に作り出すものだ。
しかし、いったん差別が発生すると、それはその社会に根を下ろし、あたかも社会常識であるかのように一人歩きし始める。そして、恐ろしいことに、世代を超えて受け継がれてゆく。


パッチギで歌われる「イムジン河」は、朝鮮半島の北緯38度線付近を流れる川だ。
38度線は、大国が政治的に作り出した悲劇で、同一民族を数十年の間分断している。

映画「パッチギ」で扱われている在日問題は、日本人が政治的に作り出したものだ。
在日が住む地区を挟んで流れる鴨川が、「イムジン河」になぞらえる。


この映画の中では、何度か河を渡るシーンが出てくる。

1つ目は、松山康介(塩谷瞬)が対岸でフルートを吹くキョンジャ(沢尻エリカ)の元へ引き寄せられるように近づいてゆくシーン。

2つ目は、朝鮮高校生と京都府立東高校生の喧嘩のシーン(面白いことに、喧嘩は、「こちら側」でも「あちら側」でもない中之島で行われる。)

3つ目は、ラジオ局で「イムジン河」を歌い終わった松山に会うためにキョンジャが自転車で橋を渡るシーン(河を渡るわけではないが、「あちら側」から「こちら側」へ渡るということにおいて、意味合いは同じだ)

1つ目と3つ目は、人と人の心の交わりとして「国境越え」が描かれる。

2つ目では、河は戦争の場となるが、面白いことは、新しい生命=アンソンの子どもの誕生というできごとで、休戦となる。

この「新しい生命」は、「次の世代」を意味する。
アンソンと日本人女性の間の新しい生命の誕生が、この映画に込められた「南北の争いの終結」に向けた強い意志を感じさせる。

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この映画で、オダギリ・ジョーは面白い役割を演じている。
常に時代の最先端を歩き、松山たちに少し先の世界を見せている。

ビートルズの来日に猫も杓子もロックという時代にあって、「フォーク」へと松山たちを導く。そして、「イムジン河」という曲の存在を知らせる。

次は、若者が学生運動に興じ、内向きになりがちな世相に反して、日本でなく外国へ目を向けてゆく(フリーセックスのスウェーデンという奇妙なイメージではあるが)

そして、次はアメリカへ。
屋上で、ヒッピームーブメントにどっぷりつかった絵を描く。

ガチンコになりがちな映画の中にあって、「違った方を向いてみよう」的なほっとさせる感覚を漂わせる。
オダギリ・ジョーなしでは、きっと、こてこてな映画になっていただろう。


jamsession123goの評価 ☆☆☆☆(星4つ)










監督:井筒和幸
収録時間:119分
レンタル開始日:2005-07-29

Story
『ゲロッパ!』の井筒和幸監督による青春恋物語。敵対している朝鮮高校へサッカーの親善試合を申し込みに行った康介は、そこで在日朝鮮人の美少女・キョンジャに恋をする。彼女に近付こうとギターや朝鮮語を必死で勉強する康介だったが…。(詳細こちら


監督:井筒和幸
収録時間:127分
レンタル開始日:2007-10-13

Story
井筒和幸監督が贈る感動青春ドラマ『パッチギ!』の第2弾。74年、アンソンは息子・チャンスの病気を治すために一家を引き連れて東京へ引っ越して来ていた。そんなある日、彼の妹・キョンジャが芸能プロダクションの男からスカウトされ…。(詳細こちら



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