
単なる「アニメ」を超えた映画
ピクサーの長編作品の10作目である。
あらすじ
古いけれど手入れの行き届いた一軒家に暮らす老人カール・フレドリクセン。開発の波が押し寄せる中、頑なに家を守り抜いてきた。そこは、いまは亡き最愛の妻エリーとの素敵な思い出に満たされた、かけがえのない場所だった。しかし、ついにカールは家を立ち退き、施設に入らなければならなくなる。そして迎えた立ち退きの日の朝、なんとカールは無数の風船を使って家ごと大空へと舞いあがるのだった。それは、エリーと約束した伝説の場所“パラダイス・フォール”への大冒険の始まり。ところがその時、少年ラッセルが空飛ぶ家の玄関に。驚いたカールは渋々ながらもラッセルを招き入れ、一緒に旅をするハメになるのだが…。(allcinemaより)
ピクサーと言えば、ジョン・ラセターという印象が強いのだが、長編10作の監督をざっと整理してみると、
トイ・ストーリー1995 ジョン・ラセター
バグズ・ライフ1998 ジョン・ラセター&アンドリュー・スタントン
トイ・ストーリー2 1999 ジョン・ラセター
モンスターズ・インク2001 ピート・ドクター
ファインディング・ニモ2003 アンドリュー・スタントン&リー・アンクリッチ
Mr.インクレディブル2004 ブラッド・バード
カーズ ジョン・ラセター2006
レミーのおいしいレストラン2007 ブラッド・バード&ヤン・ピンカヴァ
WALL・E / ウォーリー2008 アンドリュー・スタントン
カールじいさんの空飛ぶ家2009 ピート・ドクター&ボブ・ピーターソン
のように、ジョン・ラセターが監督しているのは、単独で3本。共同でも1本に過ぎない。
ただし、監督していない7本すべてに製作総指揮としてクレジットされており、やはりピクサーはジョン・ラセターあってなのかと感じさせる。
しかし、ひとくくりに「ピクサーの長編10本」と言ってしまったが、必ずしもすべてがアニメ一辺倒の映画ではない。
トイ・ストーリーからMr.インクレディブルまでは、子どもがメインのターゲットで、大人は子どもの引率として観るような作りの映画であったが、カーズでは対象を大人にシフトし「古き良きアメリカ」をアニメの力を借りて作って見せた。その後、レミー、ウォーリーと元の路線に戻ったが、本作においては、日本では初日3日間の興行収入はファインディング・ニモに次いで第2位というから、最終的にはなかなかのヒットとなるのではないだろうか。
本作は大人向けと子ども向けがほどよい配合でミックスされており、気持ちよく観れる映画である。また、ピクサー初の3Dという作りの上での特徴もあり、話題的にも面白い映画である。
トイ・ストーリーを初めて観たときの衝撃は今でも忘れない。「フルCG」という触れ込みで観て唖然とした「トロン」のちゃちさと比較すれば、トイ・ストーリーは天と地の差以上の差があった。ピクサー映画はほぼ欠かさず(興行収入的に最高だったファインディング・ニモだけは観ていない)観てきたが、面白そうであるか否かを問わず、いずれも、ピクサーだからと観てきた感がある。
しかし本作においては、ピクサーのフルCG映画であることが、映画の評価に影響はないと言い切ってよいだろう。
エリーとの偶然の出会いから別れまでを走馬燈のように見せた後に、始まるカールの冒険譚。それも、彼らがついぞ持ち得なかった「子ども」と一緒に歩む、夫婦二人がかつて夢見た旅。彼らがそんな夢を持てたのは、子どもを持つことができなかったこと故であろうが、それを実現できたのが、実は(赤の他人のものではあったが)子どもの存在故であったというパラドックスにも似た種明かしが、この映画のストーリー運びにほどよい色合いを加えている。単なる「妻との昔の夢を追う老人の旅」ではこれほどの感動を与えることはできなかっただろう。
孫悟空の猪八戒のような中太りの醜い少年が、小うるさくつきまとうことに感じていた不快感が喜びに感じられることによって、カールじいさんとエリーとの人生は完結することができたのである。かつてカール少年を感激させた往年の冒険家チャールズ・マンツの姿との違いはあまりにも明確であった。
このような映画としての完成度の高い作品を見せておきながら、来年公開する「トイ・ストーリー」の続編はどのような仕上がりとなるのであろうか。単に「1」と「2」を継いだだけの作品では、ピクサー映画が歩んできた歴史に汚点を残すことになる。
それともその来年公開が予定されているカーズ2とバランスをとろうとしているのだろうか。
カールじいさんと空飛ぶ家 公式ホームページ
jamsession123goの評価
エンタメ度 ☆☆☆☆(星4つ)
テーマ性 ☆☆☆☆(星4つ)
jamsession123goの私的映倫
Erotic度 ○(子どもでも大丈夫)
Violence度 ○(子どもでも大丈夫)
-----------------------------------------------
jamsession123goの映画インデックス
------------------------------------------------
ツイート
「このブログが気に入った、応援してやろう」と思ったら、クリックをお願いします。
人気blogランキングへ
古いけれど手入れの行き届いた一軒家に暮らす老人カール・フレドリクセン。開発の波が押し寄せる中、頑なに家を守り抜いてきた。そこは、いまは亡き最愛の妻エリーとの素敵な思い出に満たされた、かけがえのない場所だった。しかし、ついにカールは家を立ち退き、施設に入らなければならなくなる。そして迎えた立ち退きの日の朝、なんとカールは無数の風船を使って家ごと大空へと舞いあがるのだった。それは、エリーと約束した伝説の場所“パラダイス・フォール”への大冒険の始まり。ところがその時、少年ラッセルが空飛ぶ家の玄関に。驚いたカールは渋々ながらもラッセルを招き入れ、一緒に旅をするハメになるのだが…。(allcinemaより)
ピクサーと言えば、ジョン・ラセターという印象が強いのだが、長編10作の監督をざっと整理してみると、
トイ・ストーリー1995 ジョン・ラセター
バグズ・ライフ1998 ジョン・ラセター&アンドリュー・スタントン
トイ・ストーリー2 1999 ジョン・ラセター
モンスターズ・インク2001 ピート・ドクター
ファインディング・ニモ2003 アンドリュー・スタントン&リー・アンクリッチ
Mr.インクレディブル2004 ブラッド・バード
カーズ ジョン・ラセター2006
レミーのおいしいレストラン2007 ブラッド・バード&ヤン・ピンカヴァ
WALL・E / ウォーリー2008 アンドリュー・スタントン
カールじいさんの空飛ぶ家2009 ピート・ドクター&ボブ・ピーターソン
のように、ジョン・ラセターが監督しているのは、単独で3本。共同でも1本に過ぎない。
ただし、監督していない7本すべてに製作総指揮としてクレジットされており、やはりピクサーはジョン・ラセターあってなのかと感じさせる。
しかし、ひとくくりに「ピクサーの長編10本」と言ってしまったが、必ずしもすべてがアニメ一辺倒の映画ではない。
トイ・ストーリーからMr.インクレディブルまでは、子どもがメインのターゲットで、大人は子どもの引率として観るような作りの映画であったが、カーズでは対象を大人にシフトし「古き良きアメリカ」をアニメの力を借りて作って見せた。その後、レミー、ウォーリーと元の路線に戻ったが、本作においては、日本では初日3日間の興行収入はファインディング・ニモに次いで第2位というから、最終的にはなかなかのヒットとなるのではないだろうか。
本作は大人向けと子ども向けがほどよい配合でミックスされており、気持ちよく観れる映画である。また、ピクサー初の3Dという作りの上での特徴もあり、話題的にも面白い映画である。
トイ・ストーリーを初めて観たときの衝撃は今でも忘れない。「フルCG」という触れ込みで観て唖然とした「トロン」のちゃちさと比較すれば、トイ・ストーリーは天と地の差以上の差があった。ピクサー映画はほぼ欠かさず(興行収入的に最高だったファインディング・ニモだけは観ていない)観てきたが、面白そうであるか否かを問わず、いずれも、ピクサーだからと観てきた感がある。
しかし本作においては、ピクサーのフルCG映画であることが、映画の評価に影響はないと言い切ってよいだろう。
エリーとの偶然の出会いから別れまでを走馬燈のように見せた後に、始まるカールの冒険譚。それも、彼らがついぞ持ち得なかった「子ども」と一緒に歩む、夫婦二人がかつて夢見た旅。彼らがそんな夢を持てたのは、子どもを持つことができなかったこと故であろうが、それを実現できたのが、実は(赤の他人のものではあったが)子どもの存在故であったというパラドックスにも似た種明かしが、この映画のストーリー運びにほどよい色合いを加えている。単なる「妻との昔の夢を追う老人の旅」ではこれほどの感動を与えることはできなかっただろう。
孫悟空の猪八戒のような中太りの醜い少年が、小うるさくつきまとうことに感じていた不快感が喜びに感じられることによって、カールじいさんとエリーとの人生は完結することができたのである。かつてカール少年を感激させた往年の冒険家チャールズ・マンツの姿との違いはあまりにも明確であった。
このような映画としての完成度の高い作品を見せておきながら、来年公開する「トイ・ストーリー」の続編はどのような仕上がりとなるのであろうか。単に「1」と「2」を継いだだけの作品では、ピクサー映画が歩んできた歴史に汚点を残すことになる。
それともその来年公開が予定されているカーズ2とバランスをとろうとしているのだろうか。
カールじいさんと空飛ぶ家 公式ホームページ
jamsession123goの評価
エンタメ度 ☆☆☆☆(星4つ)
テーマ性 ☆☆☆☆(星4つ)
jamsession123goの私的映倫
Erotic度 ○(子どもでも大丈夫)
Violence度 ○(子どもでも大丈夫)
-----------------------------------------------
jamsession123goの映画インデックス
------------------------------------------------
ツイート
「このブログが気に入った、応援してやろう」と思ったら、クリックをお願いします。
トラックバックが反映せず、申し訳ありません。
トラックバック、コメント、ありがとうございます。
アニメでしか表現できない、CGだからこそという作品ってあるんですね。
これはその最たるものかもしれません。
机上の想像のみと、私はアニメには若干の偏見をもっているのですが、
作り手の魂をスクリーンから感じたとき、こちらに響いてきます。
素晴らしいアニメ作品を堪能しました。